ゲームSF傑作選 スタートボタンを押してください (創元SF文庫)
- 東京創元社 (2018年3月11日発売)


- 本 ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488772017
作品紹介・あらすじ
『紙の動物園』のケン・リュウ、『火星の人』のアンディ・ウィアー、『All You Need Is Kill』の桜坂洋ら、現代SFを牽引する豪華執筆陣が集結。ヒューゴー賞・ネビュラ賞・星雲賞受賞作家たちが、急激な進化を続けるメディアの可能性に挑む、傑作オリジナルSFアンソロジー! 全作が書籍初収録。序文=アーネスト・クライン(『ゲームウォーズ』) 解説=米光一成
感想・レビュー・書評
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<翻訳文学試食会>で取り上げられたので。
ゲームをテーマにしたSF短編集。
序文ではゲームが現代社会に必要という意味を説きます。
「本来人間の生き方は、現代社会のように渋滞に巻き込まれ一日中働きスーパーで食料を買ってなんてものではない。私達は狩猟民族なのだ!探して狩って次々起こる難局を克服するのだ!この科学の発達した現代社会、科学によるビデオゲームが解決の糸口なのだ。ゲームに受動的に参加するのはなく、自らが世界を作るのだ」
私はまったくゲームはしません。ちょっとしたパズルゲーム(テトリス系)でもかなり嵌ってしまって抜け出すのに大変なので、いわゆるゲームはやりません。
小説としては…、うーーーん、ごめんなさい、全体的にあまり面白くない…。ゲームをやらない私でも「ゲームってこんな感じだろうな」と思う範囲を超えないのよね。リセットする、アイテムを集める、世界を作る、仮想現実、現実と虚像が入り交じる、自分は誰なのか。
序文で「人類にはゲームが…」と言ってるけど、こちらの小説では、ゲームをやらない私には「ゲームっていいな」とは思いませんでしたし、別にこのテーマってゲーム小説でなくても書けるよね、と私は思ったわけです。
<翻訳文学試食会>で取り上げられたのはこちら。
https://creators.spotify.com/pod/show/honyaku-shishoku/episodes/113-e2v2k0v
【コリイ・ドクトロウ『アンダのゲーム』】
少女のアンダはゲームに夢中。現実では小太りで授業も体育も大嫌い。ある時学校にゲームの有力プレイヤー集団勧誘者のライザが来た。女性が女性としてゲームに参加するのだ!
アンダは研修に合格して、憧れのプレイヤー集団に入ることができた!
同じ年頃の相棒、ルーシーと共に、現実でもお金を稼げるミッションに参加した。ゲームでの人殺しなら得意中の得意。指定の場所に行きその場にいる素人プレーヤーたちを簡単に殺す。いくらでもお金が貯まる!
だがこの素人プレーヤーたちはなんだろう?誰が自分たちにお金を払っているのだろう?
ある時殺そうとしたプレーヤーの「レイモンド」が語りかけてくる。「ゲームに介入し、ただ金儲けだけに使う会社がある。奴らは、貧困国の貧困少女を閉じ込めゲームをさせているる。それが彼女たちが家族を養うお金でもあるんだ。だが君に殺されたら、彼女たちは一日タダ働きになってしまう。自分と一緒に、ゲームをただ金儲けに使う奴らと戦ってほしい。」
うるさい。何度でも殺す。でもレイモンドは何度でも再プレイする。話を聞こうか。
その頃現実のアンダは、完全に肥満体になり、ついには若年性糖尿病の症状さえ現れた!ゲームを禁じられたアンダは、治療と体操をしながら考える。ゲームが好き。しかしそれを利用する人達もいる。
数日後、ゲームが許されたアンダはまたレイモンドと出会い…。
==ゲームという別の日常に夢中に鳴り現実がおろそかになる若年者の恐ろしさもありながら、ゲームが好きで、その世界を利用する人たちは許せないという気持ちもある。
現実も、ゲームの世界も、良くしようとするアンダの成長物語。ゲーム仲間のルーシーやライザも話がわかってくれるし、両親もイマイチだらしないが親子愛も感じられて良い。
【桜坂洋『リスポーン』】
牛丼屋で働いていたおれは強盗に殺された。その瞬間おれは、おれを殺した強盗になっていた。刑務所でおれは同室の受刑者に殺された。その瞬間おれは、おれを殺した受刑者になっていた。
おれは不死身なのか、おれは全員おれなのか。
==乾いた皮肉的な語り。この短編集の中で直接的に「ゲーム」という要素が全く出さず、ゲームの世界を表現している。
【デヴィット・パー・カートリー『救助よろ』】
大学生のメグは、彼氏のデボンと別れた。デボンがロールプレイゲームにのめり込みすぎたためだ。友達いよると、デボンは大学も辞めて、まさにずーーーーーーっと一日中ゲームをやっているらしい。デボンを助けるには同じゲームにアクセスするしかない。
そのゲームは、現実にファンタジー要素を足したものだ。現実と同じようにノームがヒントをくれたり秘宝のアイテムをゲットしたりする。しかしゲームには現実にはいないフェアリーがいる。
メグがゲームにアクセスすると、デボンからの救助信号を受け取る。
自分がゲームだなんて。自分は元の世界のほうが好きだ。しかしデボンのことはまだ好きなのだ。
==ゲーム中毒のデボンは「現実には偶然しか起こらないけれど、ゲームは論理で組み立てられて理路整然と美しい」というようなこと言っていて、これは「なるほど」だった。
世界を変えられるということは、この世界も変えられたあとのものかもしれない。
そして「世界を変えられたとして、望む世界を作るか、失ったものを惜しむのか」の違いは人間性(アイデンティティ)の根本の違いでしょうかねえ。
【ホリー・ブラック『1アップ』】
ネットゲームでしかあったことがないソレンが死んだ。ゲーム仲間のデッカー、トード、キャットは、病床の彼からの最後のメッセージ「葬式には来て」の言葉通りに遠い道をやってきた。諦めなければ終わらないゲームと違って現実は残酷だ。
だが三人は、ソレンからのメッセージと、彼が作ったゲームを見つける。そのゲームを進めると、どうやら彼の死にはある悪意が隠されていて、いまなら彼を助けられるかもしれない!?
==画面でしか知らないけれど親友。アメリカを横断して葬式に駆けつけるくらいの。そしてそんな親友に自分の命を任せる。…かなり危険な暗号ではないか…(-_-;)
【チャールズ・ユウ『NPC』】
NPSはノンプレイヤーキャラクターで、要するに脇役とか通行人みたいな?
そんなNPSだった主人公が、なんか取り立てられたり、冒険したりする。でもその外側には現実がある、ってこと?
【チャーリー・ジェーン・アンダーズ『猫の王権』】
脳の障害で認知機能が衰えた同姓の妻シェアリーのために、「猫の王権」というゲームをプレイさせるグレース。プレイヤーは王国の助言人でシェアリーはとても有能な統治人(助言人)だった。ゲームが現実になるシェアリー。ある時ゲーム組合から、好成績者の集いに招待される。好成績者はやはり脳の障害者が多いのだという。
==恋人を大切に思い、介護をして、正気で居させるためにゲームをやらせて、でもちょっと嫉妬もあるし、自分には現実もあるし。
【ダニエル・H・ウィルソン『神モード』】
ビデオゲーム制作をする語り手には、運命のような女性サラがいる。だがだんだん周りの世界が消えてゆく。星が、他の国が、そして大学以外の世界が。
だがサラのことだけは忘れない。そして目が覚めると…。
【ミッキー・ニールソン『リコイル!』】
ジミーはゲーム会社正社員を目指している。ある夜オフィスに残ってゲームをしていたら強盗が現れた!どうやって逃げる?しかもジミーを心配してやってきた恋人キムが人質になってしまった!
【ショーナン・マグワイヤ『サバイバルホラー』】
いとこのアーティーとアニーは、新しいゲームをプレイすることにした。だがインストールした途端に二人は椅子から動けなくなってしまう。まさかこのゲームの「失敗すると異空間に引きずり込まれる」って本当のことなの!?変なキャラクターは現われるし、トイレも我慢限界。抜け出したら開発者を殴りに行ってやる〜!(トイレが近い私には、閉じ込められる・動けない状況は本当に恐怖でしかない…((;゚Д゚))
【ヒュー・ハウイー『キャラクター選択』】
この話はちょっと気に入った。(私が感じた通りの話で良ければ)
出産後のストレス解消に、ゲームオタクの夫が夢中になっているサバイバルゲームをプレイする妻。こっそりやっていたのに夫に見つかり、彼の前でプレイすることに。
「武器を選ぶんだ!敵を壊滅しろ!」という夫だが、しかし妻がこのゲームをする理由は戦渦の店の中庭に庭を作ることだったのだ。
最初は荒れていた庭の雑草を抜き、ゴミを広い、壁の落書きを消し、土を整え、種を撒き、野菜や花を育てる。収穫したら売って種や野菜を買う。
夫は妻の楽しみ方に驚く。妻は「どうしても消えない落書きがある」と伝える。それを見た夫は「秘密の電話番号かもしれない♪」と張り切る。その番号にかけてみると…
==大切なのは、戦時下においても街を整え花を植え町に野菜を流す人…、ってことでいい?
【アンディ・ウィアー『ソウォリア』】
ジェイクのコンピューターにいきなりアクセスしてきた古いネット用語をしゃべるあいつは「ツウォリア」と名乗った。思い出した!31年前に作ったコンピュータープログラムで、勉強しろって言っておいたんだ!
ツウォリアはずーーーーーっと勉強して、すべてのコンピューター情報を博したらしい。なぜジェイクのもとに現れたかって言うと、親の大事さがわかったから、親であるジェイクの言うことを何でも聞くんだって。健気なやつだ、言葉遣いは古いネット用語だけど。
でもこいつがいう「金持ちにする」っていうのは「他の人達の銀行からバレない金額を集める」だから、そんなことしたくない。世界を良くする方法を考えてたら「☓☓☓☓☓☓☓☓☓を実行すればいい」なんて言う、うわーーー!今後はネットにある☓☓関連の発言は全て無視しろ!!!
それより本当に、もっと、この世を良くするにはどうすればいい?そうだ、癌の治療なんてどうだろう?
==あまりに健全な創り手と、あまりに素直なプログラムで良かったわ・笑
【ケン・リュウ『時計じかけの兵隊』】
女性賞金稼ぎのアレックスは、政治界の大物から「家を出た息子ライダーを無傷で取り戻せ」との依頼を受けた。すぐに捕まえて宇宙船に乗せた。どうせ逃げ道はないのでライダーが作ったコンピュータプログラムにアクセスした。そこは王女である自分に機械召使が遣えている。悪くはないが、哲学的、人道的な話になるのは面倒だ。自分だって信念を持ってこの仕事をしているのだから。
しかしライダーは問うてくる。「無知であることと、知ろうとしないことは別物だよ」
再度ゲームを進めることにしたアレックスはある事実を知り…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ビデオゲームをテーマにした、現代SFを牽引する豪華執筆陣によるオリジナルSFアンソロジー。全12編を収録。
「リスポーン」「救助よろ」「1アップ」「NPC」「猫の王権」「神モード」「リコイル!」「サバイバルホラー」「キャラクター選択」「ツウォリア」「アンダのゲーム」「時計仕掛けの兵隊」を収録。
創元文庫がときどき出すSF系アンソロジー。本書は『スタートボタンを押してください (ゲームSF傑作選) 』というタイトルである。これを見て手に取った人なら、間違いなく楽しめる傑作ぞろい。書いているのはもちろんSFで著名な作者ばかりだ(……といっても自分は3人くらいしか知らなかったのだが^^;)。
「救助よろ」はMMOのあるあるを思わせる体験者ならニヤリとしてしまう面白さ。ネットスラングなどをうまく日本語に訳してくれた。
「リコイル!」はそのまま映像化できそうな、スリル満点のアクション佳作。オチがゲーム小説らしくて良き。
「ツウォリア」は「火星の人」のアンディ・ウィアーなので期待して読んだが、見事に期待にこたえてくれた。既視感のあるSF設定ながら、ユーモアと夢のあるこの作者らしい落とし方。
「時計仕掛けの兵隊」はケン・リュウらしい作風が光る、さすがの安定感。
個人的に一番のお気に入りの「1アップ」は往年のテキストアドベンチャーをリスペクトしまくった、好きな人にはたまらない快作。あの時代のアドベンチャーは懐かしいだけでなく今でも楽しめるんだよなぁ。
全体を通してクオリティが高いのはもちろんそれを選んでいるからだが、ゲームとSFの親和性が高いことと、ゲームSFというジャンルがあるとすれば、人間の根源的な何かを探求していくのにこれほどふさわしい小説の分野はないと思わせてくれたことが大きな収穫。自分自身ファミコン世代で今もってゲーマー(ゲームファン)なので、最高に楽しめた一冊だった。第二弾、三弾と出してくれないかな~。 -
まずタイトルがすばらしい。スタートボタンってすぐに押すときと、前回のことを思い出したり今日やる予定を考えたりでしばらく手がとまるときがあるが、それがこのアンソロジーでも当てはまるのだ。そしてゲームをモチーフにしているが、本当に作者によっていろいろだった。1話1話が比較的短いので、「え、もう終わっちゃった」とすぐ現実に戻されてしまうのが何だか残念に思えたが、だらだらむだに長いとたぶん飽きるだろうし……難しいところだ。
<収録>
『リスポーン』桜坂洋、『救助よろ』デヴィッド・バー・カートリー、『1アップ』ホリー・ブラック、『NPC』チャールズ・ユウ、『猫の王権』チャーリー・ジェーン・アンダース、『神モード』ダニエル・H・ウィルソン、『リコイル!』ミッキー・ニールソン、『サバイバルホラー』ショーナン・マグワイア、『キャラクター選択』ヒュー・ハウイー、『ツウォリア』アンディ・ウィアー、『アンダのゲーム』コリイ・ドクトロウ、『時計仕掛けの兵隊』ケン・リュウ -
「リスポーン」行動心理学によれば人間の行動は大きくレスポンポンデント条件付けとオペラント条件付けに分けられる、簡単に言うと環境に対して行動が発現する。それの極端な形が”ゲーム”である、というところからアイデアとったのかな?と思われる短編。ゲームの中でプレイヤーはどんな人にでもなれる。でも所詮それだって、条件付けの産物にすぎない。じゃあ、俺は俺のままでもなんだってできる。そういうことだろ?みたいな話。ゲームSFの懐の深さを見せつける読みやすい良作。
「救助よろ」ケン・リュウは別格なので置いておくとしたら、これが一番面白かった。最初から現社会と異世界の合いの子みたいな世界観で、まあ、SFなんだしこういうこともあるかなぁ、と思いながら読んでいたら意外な仕掛け。ゲームみたいな世界だったらなあ、とは誰しも一度は思うこと(多分)。でもラストのオチはお約束みたいでイマイチだったかな。そんなに悪い世界とも思えないし……。
「1アップ」ゲーム好きが、ゲーム好きならではの発想や推理力から、大きな敵に打ち勝つという王道ながら感動のストーリー。レディプレイヤーワンに求めてたのはこれだったのに……(その話は今は関係ないでしょ)。
「猫の王権」認知症とゲームの未来について、といった解説がなされていたけど、着想はゲームばかりでコミュニケーションを取ってくれなくなってしまった隣人からなのでは? ある意味どこにでもある話なのだと思う。ラストの解釈は難しいんだけど、そういう方向から考えたら、「ゲームは確かにコミュニケーションを奪う、でもそこにはそれだけの魔力も確かに存在している」ってことかな?
「神モード」セカイ系! 崩壊していくセカイ、そこに残されるきみとぼく。よくあるストーリーだけど、それでも好きなものは好き。コメント以上。
「リコイル!」MGSが好きなんだろうなあと思いました。
「キャラクター選択」ゲームがスカウトの役割を果たす、というアイデアは「The video game with no name」にもありましたね。こっちはちょっとひねってある。ネットの感想で「なぜわざわざガーデニングの上手い人をとるのか、オチが雑」というのを見たけど、多分「戦うことを求められる場においても人々の幸せを求めて違った選択肢を見つけられる人こそが平和を守るためには必要」。泣ける。
「時計仕掛けの兵隊」ゲームを進めるに連れて、ゲーム世界と作中世界、そして現実世界までもが交錯していく様は、まさに”ナラティブ”なゲーム体験。抑圧され、知ることを許されず、自己選択を制限されることの苦しみ、それに不自由な身でありながらも少しでも抵抗しようと試みるのは、何よりもそれが自分自身の問題であるから。「無知であることと、知ろうとしないことは、別物である」これはアレックスに向けた、そして私たち読者に向けたメッセージ。その読後の余韻の重さにしびれる。 -
久しぶりに「SFを読んだぞ!」と本を持ったまま小躍りしたくなった。
「これからのSFは中国かしら。そうなのかしら」とワクワクもしてしまって、そのままアマゾンで探して、即『おりたたみ北京』も購入した(中国作家さんのSFアンソロつながり。こちらもおもしろかった!)
ショート集だからいいのか。いや、それだけじゃきっとない。日本のSFでは最近お逢いしないようなジャンルとしてのSFを満喫させてくれる感覚が嬉しかった。
久しぶりにSF熱が再燃して、「光の王」とかそのた海外系重鎮のSFも再び開いてみたのだけれど、また違うと再度思う。肌に合った合わないというところなのかしらん。
そう思って、あぁ、違うと気がついた。短い中でも、ちゃんとSFの仕掛けが物語の軸になってるんだ。単に時をかけるんじゃない、ロボットが出て来るんじゃない、人間がそこにいるんだ……これは「ブレードランナー」を見た時のドキドキに近かったかも。
別の本も、絶対読んでみたいと思う。 -
>はじめに神は画面を創造された。
>画面は混沌であって、闇がすべてを覆いつくし、なにもなかった。
>神は言われた。「ドットあれ」こうして、ドットがあった。ドットは光であり、画面は闇であった。神は言われた。「パドルあれ」こうして、パドルが産まれた。
ゲームをモチーフにしたSFのアンソロジー。
桜坂洋・アンディウィアー・ケンリュウと顔ぶれが豪華で、テーマも斬新、タイトルで面白そう!と思って手に取ったけど面白かった。原書は26篇500ページ超だということで、未訳になったのも読みたい!なんで減らしたのさ!500ページじゃ売れそうにないからか!?・・・売れなさそう・・・。
特に面白かったのは、桜坂洋「リスポーン」
カートリー「救助よろ」ブラック「1アップ」マグワイア「サバイバルホラー」ハウイー「キャラクター選択」ウィアー「ツウォリア」・・・挙げてくと全部挙げる羽目になりそう。
「1アップ」が一番良かったかな。
ネットゲーム友達が死んだというので家を訪ねると、故人の遺作自作ゲームが残されていて、そのゲーム内指令を現実でクリアしていく。最後に辿り着いた結論が・・・!というお話。緊迫感があって良かった。
「サバイバルホラー」とか「救助よろ」のゲームが現実に侵食してくる感じもすごい好き。
たった8ページの「ツウォリア」も好きだなー。『ふわふわの泉』『不全世界の創造手』とかみたいな、世界を良くしてくれるわくわくが素敵。いやさすがウィアー、この人は外れないわ。
ケンリュウは、なんかSFとしてすげーって感じあるんだけど、今んところあんま好きになる短編に出会わないなー。なんか読みづらい。売れてる作家が自分に合わないのだとすると惜しいというか悔しいというか残念。
ちょいちょいネットスラングが使われてて、原文のイメージを生かそうとしているんだろうけど、こういうスラングってすぐに風化するから今読むとちょっと恥ずかしいのが難点。と言ってもきっと原文のスラングも同じ恥ずかしさを抱えていそう。 -
ゲームSF短編アンソロジー。
英語版の翻訳、映画化されたりした人も多い。
ネットネイティブの前のゲームネイティブ世代が多分一番ヒットする。
というか、特に疑問を持たないでサクサク受け入れてしまう気がする。
と言うか割合新しい人たちの発掘先として良かった。 -
近年の海外SF短編(主にゲーム寄り)を邦訳してくれた。VRなどの最新ゲームまで取り扱っている。日本だとこういうジャンルはラノベになりそうだがこちらは硬派。
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あらゆるゲームのプレイ中の感覚を活かしている、そんな短編がたくさん。粒よりでどれもおもしろかった。読後感はそれぞれにさまざま。明るい話よりは、救いがないというか暗い雰囲気の話のほうが多いかな。しかしひとつ選べと言われても選べないというくらいに楽しめた。
アンソロジーの作品





