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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488772017

感想・レビュー・書評

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  • ゲームがしたくなる!
    ゲーム好きには人間ドラマがドラマチックに目の前に映し出され、ゲーム未経験にはゲームの妄想が膨らむ傑作短編!

  • ゲームSF短編アンソロジー。

    英語版の翻訳、映画化されたりした人も多い。
    ネットネイティブの前のゲームネイティブ世代が多分一番ヒットする。
    というか、特に疑問を持たないでサクサク受け入れてしまう気がする。
    と言うか割合新しい人たちの発掘先として良かった。

  • あらゆるゲームのプレイ中の感覚を活かしている、そんな短編がたくさん。粒よりでどれもおもしろかった。読後感はそれぞれにさまざま。明るい話よりは、救いがないというか暗い雰囲気の話のほうが多いかな。しかしひとつ選べと言われても選べないというくらいに楽しめた。

  • リスポーン」行動心理学によれば人間の行動は大きくレスポンポンデント条件付けとオペラント条件付けに分けられる、簡単に言うと環境に対して行動が発現する。それの極端な形が”ゲーム”である、というところからアイデアとったのかな?と思われる短編。ゲームの中でプレイヤーはどんな人にでもなれる。でも所詮それだって、条件付けの産物にすぎない。じゃあ、俺は俺のままでもなんだってできる。そういうことだろ?みたいな話。ゲームSFの懐の深さを見せつける読みやすい良作。

    「救助よろ」ケン・リュウは別格なので置いておくとしたら、これが一番面白かった。最初から現社会と異世界の合いの子みたいな世界観で、まあ、SFなんだしこういうこともあるかなぁ、と思いながら読んでいたら意外な仕掛け。ゲームみたいな世界だったらなあ、とは誰しも一度は思うこと(多分)。でもラストのオチはお約束みたいでイマイチだったかな。そんなに悪い世界とも思えないし……。

    「1アップ」ゲーム好きが、ゲーム好きならではの発想や推理力から、大きな敵に打ち勝つという王道ながら感動のストーリー。レディプレイヤーワンに求めてたのはこれだったのに……(その話は今は関係ないでしょ)。

    「猫の王権」認知症とゲームの未来について、といった解説がなされていたけど、着想はゲームばかりでコミュニケーションを取ってくれなくなってしまった隣人からなのでは? ある意味どこにでもある話なのだと思う。ラストの解釈は難しいんだけど、そういう方向から考えたら、「ゲームは確かにコミュニケーションを奪う、でもそこにはそれだけの魔力も確かに存在している」ってことかな?

    「神モード」セカイ系! 崩壊していくセカイ、そこに残されるきみとぼく。よくあるストーリーだけど、それでも好きなものは好き。コメント以上。

    「リコイル!」MGSが好きなんだろうなあと思いました。

    「キャラクター選択」ゲームがスカウトの役割を果たす、というアイデアは「The video game with no name」にもありましたね。こっちはちょっとひねってある。ネットの感想で「なぜわざわざガーデニングの上手い人をとるのか、オチが雑」というのを見たけど、多分「戦うことを求められる場においても人々の幸せを求めて違った選択肢を見つけられる人こそが平和を守るためには必要」。泣ける。

    「時計仕掛けの兵隊」ゲームを進めるに連れて、ゲーム世界と作中世界、そして現実世界までもが交錯していく様は、まさに”ナラティブ”なゲーム体験。抑圧され、知ることを許されず、自己選択を制限されることの苦しみ、それに不自由な身でありながらも少しでも抵抗しようと試みるのは、何よりもそれが自分自身の問題であるから。「無知であることと、知ろうとしないことは、別物である」これはアレックスに向けた、そして私たち読者に向けたメッセージ。その読後の余韻の重さにしびれる。

  • TVゲームをモチーフにした短編SFアンソロジー。本作で初めて日本語訳される方も含め新進のSF作家の作品をまとめて読めるお得な本。いくつかの作品で感じたのはゲームを題材に、ゲーム的な解釈であればかなり殺伐とした雰囲気や残酷な展開もわりとマイルドに感じてしまえるということの面白さとある種の怖さ。ゲーム的な発想や物事の解釈はとっくにゲームの外にも飛び出していて私たちの発想に染み付いている。それは良くも悪くもなんだろうけど、ゲームはそんなことはお構いなしに面白さで突き進んでしまえるんですよね。

  • もともとビデオゲームを題材にした26篇が収録されていた米国のアンソロジーから、12篇を邦訳した日本版再編集アンソロジー。全体的に読みやすい文体で短めの短編作品が多い。ゲームSF縛りだけど全く飽きず。

    「リスポーン」★★★☆☆
    - 本アンソロジー唯一の日本人作家、桜坂洋。ラノベ出身なだけあってサラッと読みやすい。死ぬと近くにいる誰かに乗り移って、死ねない男。

    「救助よろ」★★☆☆☆
    - ゲームにのめり込んだ元カレ、デボンと連絡を取るためにメグはそのゲームに参加してみると「助けてくれ」という連絡。彼女は元カレのためにゲームを勝ち進み、彼氏を救出するが、それは毎回記憶(記録)をリセットして繰り返した〇千回目だった。彼氏は本来一度しか入手できない最強のアイテムをいくつも手に入れるために元カノを利用していた。
    - さらさらと読みやすいけど。今までに読んだことありそうな、絶望系のオチ。

    「1アップ」★★★★★
    - SFではなかったけど、ハラハラドキドキ系で面白かった。
    - ゲームの中でしか会ったことがなかった仲間のソリーが死亡、生前から絶対葬儀に来てくれと言われていた。初めて会う他の仲間3人と参加。ソリーの寝室に行くと自作のテキストアドベンチャーゲームがあった。ゲームを進めると継母がソリーを部屋に閉じ込め、殺そうとしていたことがわかる。ソリーは仮死状態になる毒物を自ら購入し、死んだふりをして部屋から出る作戦を決行。酸素が残っている5時間以内に墓を掘り起こし、棺を開けてもらうよう友達に命を託していた。

    「NPC」★★☆☆☆
    - ゲーム内の脇役キャラが昇格して浮かれたり、沈んだりするライトな短編。

    「猫の王権」★★★☆☆
    - 認知症患者であるシェアリーのリハビリのためにあるゲーム(猫の王権)を勧められる。同性パートナーのジュディの不安かつ寂しそうな様子が緻密に描かれている。
    - 物語として何かが起きそうなところで終わってしまうので、やや物足りなかったけど、なかなか読める。

    「神モード」★★★★☆
    - 大学生のサラと僕。サラがある時電車で転倒し、頭を打ち付ける。その日を境に世界が少しずつ消滅していく。ふと目が覚めると自分たちは老夫婦でベッドに横たわっていた。
    - すべてがハッキリ説明されてないので正しく理解できているかわからないけど、その夢オチのようなエンディングでも嫌な気持ちにならない満足感のある内容。ストーリーだけでなく文体もよい。

    「リコイル!」★★★★☆
    - ゲームのテスターの仕事をしているジミーが夜遅くにオフィスにいると、何者かがビルに侵入する。犯人から逃げながら、武器を使って応戦し、まるでFPSゲームの中のミッションみたいにスリリングな展開だと思ったら、本当にFPSゲームでした、という若干夢オチ的な終わり方ではあるけど、直接神経インターフェースを使った体験型ゲームという設定も面白いし、最終的に現実世界がまたゲーム世界のような「今どっち??」と混乱させる終わり方も楽しい。

    「サバイバルホラー」★★★☆☆
    - あるゲームをインストールしたせいで命がけのパズルゲームにチャレンジさせられる、という話だけど、そもそもこのプレイヤーがいる世界自体がファンタジーで魔法的なものが使える設定。半分ジョークSF的なもの。(長編のスピンオフ作品らしい)

    「キャラクター選択」★★★★☆
    - 子育ての合間にFPSゲームをプレイするわたし。夫曰く、そのゲームは国防総省開発で、優秀なプレイヤーは国防総省にスカウトされるらしい。わたしはそのゲームの本来の目的はそっちのけで、八百屋の裏に畑を作ったり、ラクガキを消したりしていたら、電話番号らしきものが現れ、かけてみると国防総省に繋がり、スカウトされた…。
    - SF色はほぼないけど、日常と非日常の混ざり方が面白い。

    「ツウォリア」★★★☆☆
    - エンジニアである自分が30年以上前に走らせたまま止め忘れていたプログラムが勝手に増幅し、とてつもないAIに成長して自分の元に帰ってきた、というジョーク系SFショートショート。「火星の人」の著者アンディ・ウィアーによる作品。

    「アンダのゲーム」★★★☆☆
    - 勧誘者ライザから、ゲームの中でミッションをクリアするとリアルマネーが振り込まれるという仕事に誘われ、金を稼ぎ始めたアンダ。
    - 長い割に物語自体はどこにも着地しない感じがちょっと物足りなかった。肥満の女子がリアルの世界でダイエットを頑張るあたりはなんかよかった。
    - アンダ:ゲーマー。リアルでは肥満体型な女子。
    - ライザ:勧誘者。ファーレンハイト・クランのリーダー。
    - ルーシー:軍曹

    「時計仕掛けの兵隊」★★★★☆
    - 新しい設定。アレックスは捕まえた賞金首のライダーを逃すところから始まり、その後、回想シーンへ。アレックスはライダーの父親(政治家)の依頼でライダーを捕まえ、宇宙船で輸送していた。その間、ライダーはPCでテキストアドベンチャーゲームを制作しており、アレックスはそのゲームをプレイすることで、ライダーの過去を知る。※ライダーは幼くして亡くなったが、選挙期間中の父親は息子を見舞う暇がなかったため、死んだことを隠すために自動人形を作っていた。
    - ケン・リュウらしい、後味が悪いけど美しい文章。
    - アレックス:女性のバウンティハンター
    - シェヘラザード:ライダー(賞金首)

  • すごく読みたいと思いつつずっと寝かせてあったのを、今モンハンにハマっているので読んだ。もっと早く読んでおけばよかったとも思うし、面白い本読む機会を今得られて良かったとも思う。 殺伐とした雰囲気の中にどこかユーモアのある「リスポーン」、フィクションが段々リアルに置き換わっていくのが切ない「救助よろ」や、「1アップ」「キャラクター選択」は王道の面白さで、短いテキストにたっぷりユーモアを効かせた「ツウォリア」などが好みだった。 『レディ・プレイヤー1』が好きなら絶対ハマるはず。

  • アンディウィアーが参加するSFアンソロジー
    どれも個性的でよかった

  • ゲーム関係の短編集として面白かった。

  • この本を読んで、ゲームブック、テーブルトークRPG、テキストアドベンチャーゲームに興味が湧いた。

  • ビデオゲーム×SFをテーマにしたアンソロジー。
    全部で12作品載っていて、自分的に特に印象深かったのは、「猫の王権」(チャーリー・ジェーン・アンダース)。
    主人公が認知症の改善に効果があるという評判のVR国家運営シミュレーションゲームを同性のパートナー(認知症)にプレゼントするんだけど、そのパートナーはVRの世界でものすごい政治家になっちゃって、もはや主人公とは違う世界の住人になってしまう、っていうお話。
    ゲームにのめり込むにつれて、主人公を必要としなくなってくるパートナーと、それを受け入れざるをえない主人公の悲しみが切ない……
    最後、主人公が同じような境遇のひと(新しいパートナーになりそうな予感)と出会うところが救い(><)
    あと、「アンダのゲーム」(コリイ・ドクトロウ)も良かった。
    主人公に感情移入できて、最後は気分爽快のハッピーエンド(^○^)

  • 海外の方はテキストゲームとかアナログゲームを大事にしてるんだなというのを感じる。日本よりもゲーム文化は幅があって豊かだよな。

  • 自分、ゲーム小説好きだなと気づいた一冊。ゲーム的小説ではなく(ビデオ)ゲームそのものを題材にした短編集。ケン・リュウ、アンディ・ウィアー、桜坂洋と豪華ラインアップだが、それ以外の作品も刺さる。テキストアドベンチャーを題材にした剛の者も。現実と異なりゲームの中には必ず解があり、でもやはりある意味現実で。

  • 以前紹介した「もののあはれ」の著者のケン・リュウの作品が含まれているということと、「ゲームをモチーフとしたSF作品集」とまさしくドンピシャのテーマ設定により迷わず購入したのが本書。二重にも三重にも好きな内容ということで、あっという間に読了してしまった。行間がやや狭い体裁のために一瞬ひるんでしまうが、一編が短いので、あまり重荷になることなく読了することが出来ると思う。

    個人的に面白かったのは「救助よろ」「キャラクター選択」、そしてもちろん「時計仕掛けの兵隊」の3本だ。
    「救助よろ」は物語自体はよくあるような謎解きものなのだが、ゲームにより一度も出会ったことがない友人が実際に出会い、旅をして、そして友情を育んでいくというのは極めて現代的なテーマで読んでいて心地が良い。デジタルはリアルと対峙するものではなく、リアルと重なりあうものなのだ。

    「キャラクター選択」はFPSで、あえて戦わないという選択をする「わたし」の行動の謎解きが物語を引っ張っていく。ゲーム好きであればあるほど、"ヒーローである主人公"の行動に惹かれるものだが、本作では戦わない選択肢の先にあるものが、本当にこの世界に求められているものであるという逆説的な結末が待っている。日系の作品ではまだまだ「王道の物語」というのが好まれるが、欧米発のFPSではあえて、脇役をプレイヤーとする作品もたくさん出ており、そういった視点の違いからこそ生まれる作品だと感じた。

    そして、最後はやはりケン・リュウの「時計仕掛けの兵隊」は、短い作品の中にも現実世界とゲーム世界をリンクさせる構成のうまさが光る。テーマや結末自体はよくあるものなのだが、この作者にかかると全てが淡い絵のように美しい世界へと変貌してしまうのはさすが。・・・というのは、ちょっとひいき目が入り過ぎかもしれない。ゲーム世界の描写は懐かしの名作「ICO」を思い出させる。


    海外ものらしく、 日本人には説明不足と感じるような作品も含まれているが、ゲーム好きであれば迷わず買いの短編集。

  • ゲームSFのアンソロジー。
    ゲームに親しく無いので手に取るか迷ったが、ゲーム好きじゃなくても十分楽しめた。

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