- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488803018
作品紹介・あらすじ
映画化決定!!
監督:李相日
主演:広瀬すず 松坂桃李
横浜流星 多部未華子ほか出演
2022年公開予定
2020年本屋大賞受賞作
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
感想・レビュー・書評
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9歳の更紗と19歳の文が2か月にわたり共に過ごすが、誘拐事件として捜査され、やがて文は逮捕される。その後2人は【元被害者】【元加害者】として過ごし、15年という歳月を経て再会する。裁きとは?善意とは?第三者と当事者による事実と真実の在り方が描かれた物語。
本屋大賞受賞作であること、何より私のブク友さんが多く本棚に並べられていることから、私も続けと手に取った。
世間を騒がせた事件の報道、第三者が受け止めるそれぞれの事実によって抱く被害者への悲哀と慈悲、加害者への嫌悪、悪意のサマがそこにはあった。私にも身に覚えのある感情だ。
本作は当事者で被害者とされている更紗の少女期と成人後の視点をメインに滔々と真実が語られていく。私は被害者ではない、文は加害者ではないのだと。
しかし世間はその真実をすっ飛ばし、憶測や自己都合で形成したそれぞれの事実に基づき、更紗と文をどこまでも傷つける。あるものは故意の悪意をもち、あるものは他意の善意をもって。
更紗の独白が、私の心のひだにぶら下がる。
「白い眼というものは、被害者にも向けられるのだと知ったときは愕然とした」
「いたわりや気配りという善意の形で、『傷物にされたかわいそうな女の子』というスタンプを、わたしの頭から爪先までぺたぺたと押してくる」
私は己に問うてみる。
時に、憶測の中で被害者を犯していないだろうか。
時に、無責任な正義感で被害者を庇護していないだろうか。
そして彼女は結論づける。
友達でもない恋人でもない家族でもない人と一緒にいたいという感情は存在すると。
本作は最後に文視点の独白も綴られている。
総じて、感慨深くもあり、更紗と文の漫才にも似た掛け合いに愛嬌を感じられたりと、終始物語の世界観に入り込めた作品であった。また文体に柔らさがあり、重いテーマながらも初読者を優しく受け入れてくれる。これぞ著者の魅力だと実感した。この作品に触れて良かった。
最後に、本作品の余韻でぼやけぬように自身へのメッセージとして記しておく。
本作品は事件当事者のみが知る真実に基づき、犯罪に対する世間の歪んだ視点、愛情の多様性、デジタルタトゥーの恐ろしさと愚かさが綴られている物語である。
この物語を額面通りに受け入れ、自分が世間側に纏まらないための言い訳として、目の前で起きている犯罪を擁護し見逃がすようなことがありませんように。 -
「‥‥そう考えると、遵守する必要のないルールって多いのね。わたしも子供のころ、どうして夕飯にアイス食べちゃいけないのか、その理由をずっと考えてた」
「わかった?」
「ううん。でも、もういいの。今はいつでもアイスクリームを食べていいから」
「大人になったら、ルールを守らなくてもよくなるの?」
わくわくと問われ、残念ながら、とわたしは首を横に振った。
「大人になったら、今よりもっとたくさんのルールに縛られるのよ」
「でも更紗ちゃん、いつでもアイス食べるんでしょう?」
「そのために手放したものがたくさんあるの」(249p)
ホントは昨年5月の映画上映開始前に読み終えるはずだった。間に合わなかった。それは仕方ない。映画は好みではなかった。それも仕方ない。観る作品の半分以上はそうだ。だとしたら、小説は無理に紐解く必要はない。それでも手に取ったのは「流行小説を知る窓」として、本屋大賞1位作品を文庫本になった時に読むことを自らに課しているからである。
辛いことばかりが起きる。ことは知っている。でも映画も小説も、それぞれ、あらすじだけが価値ではないことも知っている。
小説は流石に映画の数倍は情報量があった。私は映画では気が付かなかった、幾つもの大切なことに気がついた。更紗に訪れる不幸の連鎖は、必然ではないけどありうる「現代」ではあるという事はわかった。「浮世離れ(マイペースすぎてやばい人)」の両親のもとで育った更紗には、こういう道が確かにあり得るのだ、ということは映画ではわかりきれなかった。それともあの短い描写で、そこまで分かるべきだったのだろうか。でも、更紗は幾つかの経験を重ねて冒頭の会話の心境に至る。
文に訪れる不幸の連鎖にしても、幾つかの条件があれば決して起こらないことであると、今なら思う。そういう2人が再会する。社会は2人を変えたけど、2人は決して社会に働きかけない。江戸時代の「道行き」からこの方、2人を巡る運命は、大きな構造からかけ離れることはない。
事実と真実は違う。そのことを、ぼくという当事者以外でわかってくれる人がふたりもいる。(344p)
彷徨う月は、ずっと新月や半月のままを推移して映画は終わったと思っていたけど、小説版には、思いもかけず、13夜の月が現れた。蒼く澄み切った夜が、2人を照らしている。こんなラストを私は予想していなかった。
凪良ゆうさんは、苦手の作家ではある。
けれどもこれが「流行の窓」ならば、
文庫本が発行されるであろう約3年後もまた、
私は凪良ゆうさんが選択した事実のその先を、
真実を探ってゆきたい。-
土瓶さん、こんばんは。
コメントありがとうございます♪
私、李相日監督との相性悪いんですよね。「悪人」ダメだったし、「怒り」は好きな俳優ば...土瓶さん、こんばんは。
コメントありがとうございます♪
私、李相日監督との相性悪いんですよね。「悪人」ダメだったし、「怒り」は好きな俳優ばっかし出ていたのに今ひとつだったし。今回、横浜流星は凄かったですよ。彼にとって転機になる作品だったのでは。2023/04/17 -
クマさん、感想楽しく読んでます。
僕は映像オンリー派です。
最後にようやく「面白い波」が来る感じでした。
記載の通り流星さんは演技が上手で...クマさん、感想楽しく読んでます。
僕は映像オンリー派です。
最後にようやく「面白い波」が来る感じでした。
記載の通り流星さんは演技が上手でした。
2023/04/17 -
くりくんさん、おはようございます。
コメントありがとうございます♪
くりくんさんは最後に波を感じたんですね。それは幸いでした。映画で満足で...くりくんさん、おはようございます。
コメントありがとうございます♪
くりくんさんは最後に波を感じたんですね。それは幸いでした。映画で満足できたならば、それが一番です。
今回やっと千数百もあるレビューの中から「いいね」が4つ以上ついている人たちの感想をざっと眺めたのですが、皆さん1番感じていたことに「真実と事実は違う」という文のひと言があります。その言葉が一人歩きするのは、なんか嫌な感じがしたので、ここを借りてちょっと補足させてください,
みなさん、小説という「神の視点」から眺めた全体像を見て、まるで答え合わせのように真実と事実の「違い」についてわかったと言っているのですが、そういう「学習」だと次に出てくる「違い」については気がつくことができないと思うんですよね。私は40年間本多勝一「事実とは何か」を学習会で読んで以降、ずっと考えてきました。世の中の報道は全て、それはSNSでは更に顕著になりますが、誰かの「選択された」事実によって、まるで真実であるがの如く広まっています。でもそれは、誰かの「視点」で選ばれた事実に過ぎない。戦争国のルポを書くときに、延々とその土地の物産を書いても事実だし、殺されていく人間を描いても事実で、どちらも間違ったことを書いていないのにも関わらず、全然違うルポになるのは何故か。ルポを書く目的は事実を書くことではない。出来るだけ真実を書くことです。でもそれはどうやったら書けるのだろう。(長くなるので詳細は省きますが)歴史を見るときに、1番真実に近い世界を見るためには、支配者の視点からその世界を見たら間違う。1番弱い者の視点から世界を見るべきです。なかなか生半可なことでは、そういう観方はできませんが、私はずっとそう努力してきました。
凪良ゆうさんも、この間の発言を見ていると、出来るだけマイノリティの立場から世界を見ようと努力しているように感じました。そういう観方が評価されているのだとしたら、現代も少しは希望があるのかもしれません。2023/04/18
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"汝、星のごとく"が衝撃的におもしろかったので、本書を購読。
序盤から強く惹きつけるストーリー。
言葉にできない複雑な感情の描写。
『凪良ゆうさん、すごいわ』と一気読みした後に、思わず呟いてしまった。
"事実と真実は違う"をテーマとした、特別な関係にある男女のストーリー。
作品に描かれた2人の"関係"と"感情"は、他人に理解できるものではなく、2人しかわからないものだと強く感じた。
全体的に暗い話だったけど、最後に光が見えたのはよかった。
凪良ゆうさんの小説はとてもおもしろい。
次は、著者のどの小説を読もうか考え中です。
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なべさん、初めまして!
凪良ゆうさんいいですよね
人気があるのはなんとなく知っていたのですが、つい最近になって流浪の月で初めて読みました
最...なべさん、初めまして!
凪良ゆうさんいいですよね
人気があるのはなんとなく知っていたのですが、つい最近になって流浪の月で初めて読みました
最後に光が見えたことで、やっと少し救われるくらい苦しい物語でした
汝、星のごとくは衝撃的な面白さだったのですね
文庫になるのを待たずに読んでみようかなぁ…
フォロー有難うございます!
ご挨拶が遅れましたが私もフォローさせて頂きました
本棚の一部が似ているな~と感じています
少しずつですが更新していきますので、これからもよろしくお願いします♪2022/10/09 -
傍らに珈琲を。さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
本棚似てますね!太宰治は私も大好きです♪
凪良ゆうさんは今1番の推しです...傍らに珈琲を。さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
本棚似てますね!太宰治は私も大好きです♪
凪良ゆうさんは今1番の推しです。
汝、星のこどくオススメですよ。
これからもよろしくお願いします。2022/10/09
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凪良ゆうさんの作品は初めて。
とっても良かった。。。
事実と真実は違う。
普通って??
でも、最後は自分に正直でいることなのかな??
勇気をもって、自分らしくありたいと思った。
さて、次は「汝、星のごとく」に行きます。
とっても楽しみです~。。 -
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2022/04/21
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2022/04/21
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凄い面白かった
二人のやりとり、楽しい時も悲しいときも見てると
シチュエーションは違うけど
映画【レオン】のレオンとマチルダと重なる
自分は憶測で物事を考えたり、決めつけたりするのは嫌いで、個人的に凄い気をつけてるんですが
この作品はまさにそれを描いてる
人は【憶測で考え、憶測で動く、事実はほったらかし、違っても見ないふり】自分もふくめ、ほとんどの人がソレだから嫌になる
結局何が言いたいかっていうと
【亮くん大嫌い】だけど、あんな亮くん役を引き受けた横浜流星さんに拍手!!って事!!-
ベルゴさん、おはようございます!
映画版見ましたよ!
横浜流星さん、ほんとイヤなヤツでした。あんな役を引き受けるなんてスゴいなー、と...ベルゴさん、おはようございます!
映画版見ましたよ!
横浜流星さん、ほんとイヤなヤツでした。あんな役を引き受けるなんてスゴいなー、と感心し、今後を心配してしまいました。それだけ白身の演技ですばらしかったです。2022/06/11 -
自分は映画を観てないですが
予告見て
鼻血出ても広瀬すずちゃんて超絶可愛いのね…って思いました自分は映画を観てないですが
予告見て
鼻血出ても広瀬すずちゃんて超絶可愛いのね…って思いました2022/06/11 -
2023/01/04
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流浪の月も、そして、バトンは渡されたも、映画が気になり先に本を読みました。
本を読んで満足したので結局映画は見ずじまいです。
2作品ともと...流浪の月も、そして、バトンは渡されたも、映画が気になり先に本を読みました。
本を読んで満足したので結局映画は見ずじまいです。
2作品ともとても好きです。
2022/08/19
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本屋大賞受賞作品
広瀬すずと松坂桃李で映画にもなった話題の物語。
「事実と真実は違う」ということをテーマとした男女の物語
ストーリとしては、
自由な家庭で育てられた更紗。両親がいなくなり、叔母の家で引き取られるも、居場所がない
そんな更紗は9歳の時に公園で19歳の文と知り合う。
そして、自分の新しい居場所として、そのまま文のマンションで2か月二人で暮らすことに。
しかしながら、文は逮捕され、更紗は保護される。
加害者と被害者の関係
しかし、真相はそうじゃない
そして、15年後二人は再会。文は加害者じゃないし、更紗は被害者でもないのに、社会やSNSは二人をそのようにあてはめる。
二人はどうなるのか..
そこから浮き上がる
事実と真実は違う
ということ。
自身の真実を理解してもらえないのは辛い。
しかし、全体的には暗い雰囲気の物語となっていて、どちらかというと嫌いなストーリ(笑)
文の病名が何かは本書で明らかにされていません。
ググってしまった -
初めての凪良ゆうさん。
すごく、すごく良かった。
昨日読み終えて、それからずっとこの物語の世界を漂っている。
更紗と文は、どうしているだろう…
平穏に暮らしているだろうか…
映画を先に鑑賞したので、脳内映像はどうしても映画のキャスティング。
そしてストーリーが分かっているのに、冒頭から心を持っていかれ、揺さぶられ、震える。
何だろう、感動するとか泣けるとかじゃないの。
叫びたいのに、叫べない。
呼吸をするのも苦しい。
そんな作品。
“事実と真実は違う”
同じ出来事も、当事者と第三者ではまるで違って見える。
わたしの言葉は、誰の耳にも届かない。
“思いやり”とか、“優しさ”とかのフイルターを通して、届かない。
優しさって、何だろう?
正しいって、何?
そんな事を問われ、考えさせられる。
読んでいて本当に苦しい…
こんな感想だと、とても暗くて哀しいストーリーに聞こえてしまうかな。
哀しいことには違いない。だけど。
更紗が両親と暮らしていた時間は、宝石のようにキラキラしている。
文と一緒の時間も、暖かな色で満たされている。
そんな色のある世界に、ほっとする。
“普通”の人には分かってもらえない、更紗と文の関係。
そんな二人が、しっかりと手を繋ぎ、今を生きている。
ちょっとだけ明るいラストに救われる。-
土瓶さん、おはようございます^_^
本当は映画より先に読もうと、手元にあったの。
でも公開されたら、観たい気持ちが抑えられず先に...土瓶さん、おはようございます^_^
本当は映画より先に読もうと、手元にあったの。
でも公開されたら、観たい気持ちが抑えられず先に鑑賞(^_^;)
で、いまになって原作(笑)
どっちが良かったか?
私は原作かなぁ。
あらすじは、だいたい同じなんだけど、ラストがちょっと違ったかな。
凪良さんの作品は初めて読んだから、登場人物たちの心を丁寧に描いている部分とか、プロローグとエピローグの繋がりとか、好きだなぁ、と思って。
でも映画も良かったよ!!2022/09/08 -
2022/09/08
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あ、基本、同じよ^_^
(たしか…)
話の展開の仕方がちょっと違った気がして。
とにかく怖かったのは、横浜流星(亮くん)。
...あ、基本、同じよ^_^
(たしか…)
話の展開の仕方がちょっと違った気がして。
とにかく怖かったのは、横浜流星(亮くん)。
あと、多部未華子(谷さん)は原作とビジュアルは違うんだけど、すごく良かったの。
映画と本。
あ、この本読みたい!
と思って、なかなか読まないでいると、すぐ映画化されて、困るんだよね(笑)
どっちを先に?!
って。2022/09/08
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「汝、星のごとく」を読んでものすごく衝撃だったので、
こちらの作品も読ませていただきました。
気づけば、ほぼ一気読みをしており読み終えてしまうことが哀しかったです。
どう表現していいのか、どう伝えていいのか分からないですが、
幸せのカタチは人それぞれなのだなと改めて思いました。
文と更紗、二人を取り巻く周りの人含めて皆不器用ながらも必死に生きていて
誰かを犠牲にして、自分も殺して、それでもまた誰かを求める…
抱えているものを吐き出せる存在がいてくれるだけでどれだけ救われるか、
それを受け止めてくれる人と出会えるのは奇跡であり運命である気がします。
真実のことを当事者や誰か1人でも知っていれば、
周りにどう見られても生きていける強さになることを
文と更紗の二人の生き様を見て感じました。
すっかり凪良作品の大ファンになりました!!
映像作品も絶対に見たいと思います!!
著者プロフィール
凪良ゆうの作品






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コメントありがとうございます^ ^
最近の私、本選びに感受とか直感を大切にしてまして、本作品もまさにそれ...
コメントありがとうございます^ ^
最近の私、本選びに感受とか直感を大切にしてまして、本作品もまさにそれです。チャレンジです!
映画鑑賞されたのですね!読了後映画のキャスト陣をチェックしたのですが、何だかとても良いんじゃないかなぁと思いました。しかし松坂桃李は映画界で引っ張りだこですね。
原作、とても響きました。映像から原作という楽しみ方もアリですよね!是非是非!!(´∀`*)
本当に松坂桃李は、驚くほど多くの映画に出ていますね。
この映画のキャスティング。
横浜流星が、結構スゴイです。
横浜流星の宣材写真の顔つきがもはや亮くんで...
横浜流星の宣材写真の顔つきがもはや亮くんですよね。
とてもとても想像がつきます。
私はレンタル落ちしてから観ようと思います(*´﹃`*)