うつくしが丘の不幸の家 (創元文芸文庫 LA-ま 1-1)

著者 :
  • 東京創元社
4.09
  • (307)
  • (479)
  • (170)
  • (17)
  • (6)
本棚登録 : 5165
感想 : 321
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488803025

作品紹介・あらすじ

築21年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』だって呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われるまでは――。わたしが不幸かどうかを決めるのは、他人ではない。『不幸の家』で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族をふっくらと描く、傑作連作小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ブックオフで何冊か仕入れてきた本の一冊。
    町田そのこ先生のお名前で購入。
    町田そのこ先生もハズレが無い作家先生だなぁ。。。
    何を読んでも美しい。。。


    海を見下ろす住宅地、築21年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。
    美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。
    朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』だって呼ばれているのを知っていて買われたの」?と言われるまでは――。わたしが不幸かどうかを決めるのは、他人ではない。『不幸の家』で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族の短編集。

    五つの短編は全てこの一軒家に暮らす家族の物語。
    どの家族も順風満帆とはいっていないのだが、その家族の幸せを見つけていく。
    なんともほっこりする短編集。

    相変わらず私は短編集が苦手だが、会社の昼休みを使って、一日一編ずつ読んでいくと、ちょうど一週間で読み終わり、気持ちもほっこり(^_^)

    町田そのこ先生の本、いいな。。。
    また何か購入しよう(*^^*)

    • しずくさん
      こんにちは、bmakiさん、いいねをありがとうございました。

      >相変わらず私は短編集が苦手だが、会社の昼休みを使って、一日一編ずつ読ん...
      こんにちは、bmakiさん、いいねをありがとうございました。

      >相変わらず私は短編集が苦手だが、会社の昼休みを使って、一日一編ずつ読んでいくと、ちょうど一週間で読み終わり、気持ちもほっこり

      私も短編は苦手ですが、bmakiさんのような読み方もあると気づかされました。

      2023/02/10
    • bmakiさん
      しずくさん

      こんにちは。
      こちらこそご丁寧にありがとうございます(^_^)

      短編苦手ですか??
      私も本当に苦手で(^^;;
      ...
      しずくさん

      こんにちは。
      こちらこそご丁寧にありがとうございます(^_^)

      短編苦手ですか??
      私も本当に苦手で(^^;;

      昨日会社に持って行った本がまた短編で(^◇^;)
      しまったーーーと思ったんですが、それは会社に置いておいて、休み時間に読むことにしました。

      休日は長編を読みます(^-^)v
      2023/02/11
  • 購入理由は、表紙かわいい✖️町田さん。
    五つの家族。

    1、幸せは自分が作り上げる、人からもらうこともある。人にあげられるような人になりたいと思えた。

    2、高校生の息子と親離れ子離れの話。自分の高校生の頃を思い出した。夫の不倫?も。

    3、高校のときの親友と同棲
    ここにでてくる浦谷の真っ直ぐさにやられる
    子供は素直だ、大人より大人のように人をよく見てる、みんな幸せになれますように。

    4、不妊治療の話
    えー、、!?みたいな。辛いとは聞いていたがリアルで知見となりました。

    5、1話との繋がり


    段々と過去に戻って同じ家の出来事の物語。
    1から5は別の家族のお話です。

    なんか、、ゆるーいほっこり〜みたいな感想になるような本かと思いきや、全然違いました。結構それぞれのお話濃い!!自分ならどうする?が問いかけられました。

    ミステリーばかりだったけど、ミステリー同様の気力があるような、、、濃い!濃いっ!!

    PS.小春素敵だっ、頑張ったね。

  • 親子、夫婦、友人、隣人に関わること…
    私自身も、そして誰もが経験したり抱えている問題を家という視点から描いている作品。
    町田そのこさんは初めて読んだのですが、それらの事象を、真っ直ぐ見つめる著者の熱量がふつふつと感じられ好印象をもちました。5つの短編で、一つずつ時を遡っていく構成も良かった!

  • ハートフル・ファミリー小説ですね。
    うつくしが丘の住宅の一軒の家に移り住む五つ家族の物語。
    連作短編で時間をさかのぼる構成で物語をつむぐ。
    いずれの家族も問題を抱え込んで、端からみると不幸に見えるためにいつしか「不幸の家」と呼ばれてしまう。
    読んでいると、男性の身勝手が問題の発端に成ることが多いのは身につまされる想いがしました。翻弄される女性陣が苦境を脱して問題解決して、新たな人生に旅立つ家なので、当事者にすれば「幸福への家」に様変わりする物語ですね。
    町田さんの描写はとても丁寧で、頭の中で映像化しながら読む私には馴染みやすい筆運びでした。
    かなり、つらい話が語られていて、ちょっと苦しみながら読みました。同情ストレスを感じたりもしながら、それでも町田さんのリードが心地よくなんとか読み進めました。
    心揺さぶる言葉も多く語られていて、つまるところは人間模様の温かさを噛みしめられる物語ですね。
    人物描写も細やかで、心模様がよくわかる文章です。
    心温まる、町田さんの小説をまだまだ味わいたいと感じました。

  • 【52ヘルツのクジラたち】の著者、町田そのこさんの短編小説。

    タイトルから、ホラーとかイヤミスとか、隣人サスペンスを想像していたが、読んでみたらどの短編もラストはハートフルな結末を迎える。

    構成としては、うつくしヶ丘という住宅地にある3階建ての一軒家を舞台に、章が進むごとに主人公が前章の一代前の入居者となり、時間が遡る形で話が進んでいく。それに対して、隣人の荒木信子さんは全ての章に登場し、時に隣人の助け船となり、物語に温かい風を吹き込んでくれる。

    全体を通して感じたのは、男性の登場人物がダメ男が多い(もう少し言葉を選ぶべきかな…)のに対比して、女性は奮闘しながらも前を向いて生きていている姿が印象的。
    また、隣人の信子さんのスパイスがとても効いていて、4章で彼女の過去を知った時に、より一層彼女のことが好きになると思う。

    【心に残ったフレーズ】
    「それにねえ、あなたはしあわせがどうこう言うけれど、しあわせなんて人から驚ったり人から汚されたりするものじゃないわよ。自分で作りあげたものを壊すのも汚すのも、いつだって自分にしかできないの。他人に左右されて駄目にしちゃうなんて、もったいないわよ」P38

    ・どんな家も、容器にすぎない。大事なのは、そこじゃない。そのことに、ちゃんと気付けた。P261

    本当にその通りだなと思う。どんなにお金をかけて周りから羨まれるような豪邸でも、それはただの入れ物にすぎない。大事なのは中に住む人が、互いに糸を紡ぎ、確かな幸せを築いていくこと。

  •  「家なんてただのいれものだよ。」

     「うつくしが丘」に建つ三階建ての家。一階を店舗にリフォームして、開店を間近にした美保理に近所の人の言葉。「ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?」
     そこから、かつてこの家に住んでいた四つの家族の物語が始まる。それぞれ、さまざまな事情を抱えた家族が、希望を持って越してきたものの、家族の形を変えたりしながらまた、引っ越していく。はた目には「不幸の家」だ。でも実は、自分たちの状況に向き合うことで、新しい家族関係を作り出す「幸福の家」と言えそうだ。
     家族と言っても、寧ろ家族だからこそ、うまく愛情を伝えあうのは難しい。甘えがあったり、過度に期待したり、心を開くのをためらってしまったり…。惣一の言うように、「家なんてただのいれもの」だから、はた目にはどうであれ「どんなところでも、だいすきなひとと笑っていられたら、それでいいじゃん。」。簡単なような、すごく難しいような。でも、「いれもの」=はた目、を気にするのではなく、いろいろな出来事を経ながらも互いを思い合っていけるといいな。

  • 新しく開発された住宅地の1軒は、偶然にも住人が居着かない家だった。まるで小説の様に住人が代わる家は少なからずあるものだ。当然口さがない人達の噂の格好の餌食となりやすい。ここに住んだ人々のお話が遡って進んでいき、後であれが伏線になっていたんだと気付くのも面白い。変わっていく中でお隣の女性だけはいつも温かい目で見つめていた。痛みを知っている人だからこその優しさを感じた。明日に希望を感じさせる小説で良いなと思った。町田そのこさんまた読んでみたい。

  • 不幸なお話かと思っていたら、そんな事は無かった。
    もう駄目だと思っても、また再生して前に進んでいく人達の素敵な連作短編。

    どこの家だって、何かしらの問題を抱えてますよね。
    それに家庭の問題って、結局は当人達でしか解決できないものだし。
    本作でも、幸せって家庭ごとに色々なんだなって、改めて感じた。
    他人と同じなんてあり得ないし、分かったつもりになったりしちゃ駄目だなって。

    それと、枇杷への興味が芽生えました。
    枇杷って、こんなにすごい植物だったのかっ。
    読み終わって、枇杷茶を買いました。
    枇杷の実も食べたいけど、ちょっとお高い。
    今から植えて、実が採れるようになるまで8年かぁ…

    • あゆみりんさん
      私も今まで、枇杷の事を考えた事なんて無かったです。
      でもこの小説、庭の枇杷の木が大事なポイントになっています。
      本当に万能らしいですよ、アロ...
      私も今まで、枇杷の事を考えた事なんて無かったです。
      でもこの小説、庭の枇杷の木が大事なポイントになっています。
      本当に万能らしいですよ、アロエくらいすごいんじゃないでしょうか‼︎
      2022/06/23
    • しずくさん
      あゆみりんさん、フォローとたくさんのイイねをありがとうございました!
      本作は昨夏に読みました。
      さて、枇杷の木ですが、十年ぐらい前にがん...
      あゆみりんさん、フォローとたくさんのイイねをありがとうございました!
      本作は昨夏に読みました。
      さて、枇杷の木ですが、十年ぐらい前にがんになった友人が枇杷茶や枇杷お灸を手始めに山の枇杷の木を貰い受けるまで枇杷信仰?(笑)にのめり込み、従来の健康を取り戻しました。病床に付いた時『あなたの守り神は枇杷の木』だと告げられたそうです。私たち友人は半信半疑で彼女を応援してましたが、元気に回復して何よりです。今も彼女は枇杷信仰を続けていますよ。
      さて、枇杷は当地・長崎の茂木(もぎ)地区に中国から伝来したと言われています。海に面した斜面一面に栽培されていて、今の時期は枇杷の淡いベージュ色の花が咲き甘い香りを放っています。私は生まれ育ちが鹿児島なので、栽培されている贈答用の枇杷のお値段の高さに最初は驚きました。枇杷が実る季節になると、長崎では枇杷を遠く離れた親戚や知人に送る高齢者を良く見かけますが、私はもらう方は高級な果物とご存じかしらと疑問に思うのです。
      関東にお住まいのあゆみりんさんの辺りの枇杷の産地は千葉や伊豆半島周辺でしょうか?
      2023/01/12
    • あゆみりんさん
      しずくさん、こんにちは。
      フォローといいね!そして、コメントありがとうございます♪
      しずくさんのお友達が回復し今も元気で過ごしておられること...
      しずくさん、こんにちは。
      フォローといいね!そして、コメントありがとうございます♪
      しずくさんのお友達が回復し今も元気で過ごしておられること、とても嬉しく思います。
      そして、やっぱり枇杷のパワーってすごいんですね‼︎

      枇杷といえば長崎と鹿児島ですよね、こちらでも良い物は高値で販売されています。
      桃やさくらんぼのように、あの箱に入って数千円もします。
      千疋屋では一箱5,000円の枇杷を見たことがあります。
      果実としての栽培が盛んなのは、関東では千葉の南房総だと思います。
      美味しい枇杷栽培には、陽当たりの良い斜面が大事な栽培ポイントなんですかね。

      美味しい枇杷はお高いので普段はたべられませんが、娘が大好きなので一年に一度くらい食べたいです。
      今はネットから枇杷農家さんに直接注文したり出来ますからね(*´∀`*)
      2023/01/12
  • 海を見下ろす住宅地に建つ、築21年の三階建の一軒家。
    その家で暮らした5つの家族が、時代を遡るかたちで描かれている。
    そして、どの話にも変わらずに出てくるのが、隣の家に住む「信子さん。」
    彼女の家族のことも、それぞれの話の中に盛り込まれている。
    とても読みやすいのだけれど、描かれている内容は、複雑で重い気持ちになるものだったり、辛くなるものだったりもした。
    登場人物に嫌なタイプが出てきて、読みながら腹もたてた。
    それでも、5つの家族の結末は、どれも希望が持てるように優しく描かれていて、心がふんわり温かくなった。
    素敵な作品でした。

  •  この家は果たして、不幸の家なのか。この家に居場所を求めた、5つの家族を描いた連作短編集。

     別の家族でありながら、同じ家に住んでいたつながりからそれぞれの家族の幸せを考えていく展開で、とても温かい気持ちになる読後感でした。

     しかも、最後に住む家族から描かれ、次に前に住んでいた家族が描かれていき、ちょっとしたなぞもそれに合わせて、解明していくというストーリーで、連作短編の醍醐味を味わうことができました。

     5編を通して登場する隣人の言葉も家族や人間関係の本質をとらえており、とても考えさせられました。

     家族にはそれぞれの課題もあれば、幸せの在り方も違うということを改めて感じました。

     我が家の幸せを見つけていきたいとしみじみと思いました。

全321件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
町田 そのこ
凪良 ゆう
町田 そのこ
辻村 深月
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×