うつくしが丘の不幸の家 (創元文芸文庫 LA-ま 1-1)

著者 :
  • 東京創元社
4.08
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本棚登録 : 6151
感想 : 385
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488803025

作品紹介・あらすじ

築21年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』だって呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われるまでは――。わたしが不幸かどうかを決めるのは、他人ではない。『不幸の家』で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族をふっくらと描く、傑作連作小説。

感想・レビュー・書評

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  • こちらも近くの図書館には置いてなくて
    久々の購入本

    でも買って正解!
    とてもよかったです

    うつくしが丘にある一軒家
    そこに住んでいた人たちの連作短編です


    短編は苦手ですが
    この作品はとても良かった

    イヤミスなイメージで
    なかなか手が出なかったのですが
    全然違いました
    確かにそれぞれいろんなものを抱えていますが
    読了後前向きな気持ちになれます(^^)



    町田さんの作品はとても辛い現実を
    いつも書いてますが
    ラストには救いがあって
    頑張ろうって思えるところが好きです
    ご本人も『読み終えた後に
    「明日も頑張ろう」って思えるものを書く』
    というのを原点にされていると
    今回の解説で知りました。


    時系列が逆になっていますが
    それも面白い。
    家の落書きなどの繋がりを楽しめるのもいいです


    各章の感想も書いておきます


    ◯おわりの家
    この話はただ荒木さんと話をするだけで
    美保理が救われていくのがいい
    なにもしてないのにこっちの気持ちだけで
    こんなにガラッと変わるんだなと。

    全部読んでから改めて読むと
    もう荒木さんいないのか…と切なくなります

    しあわせなんて
    人から貰ったり
    人に汚されたりするものじゃない
    というセリフが印象的

    ◯ままごとの家
    男性陣にイライラするけど
    その分女性陣が痛快!
    小春にスカッとしたし
    樹里亜もしっかりしてて好感を持ちました

    何度だって
    どれだけ平行線を辿ったって
    それを乗り越える努力をしなさい

    という言葉がずっしりときました


    ◯さなぎの家
    この話が一番良かった
    泣きながら読みました
    この話があるから星5と言ってもいい!

    秀仁が本当に最低
    響子がいい子で余計に泣けます…
    抱きしめてあげたい!!


    ◯夢喰いの家

    荒木さんの過去も知れて驚きます。
    不妊は実は身近でいろんな人が直面するんですよね

    夢って乱暴な言葉だと思う
    というセリフに
    妙に納得してしまいしました


    ◯しあわせの家
    これまた健斗がどうしようもない。
    なのに惣一がめっちゃいい子…
    ここにも抱きしめてあげたい子が…

    そして真尋が妹を見て感じた気持ちを思うと。。
    てか父親がどういう気持ちだったのか
    もうちょっと知りたかったかな。
    スッキリしきれない
    でもそれは真尋も一緒かな

    そしてエピローグの仕掛けにほっこりします(^^)



    最近はこういう連作短編が多いですね
    自分が手に取りがちなのかな?
    ちょっとした時間に読めていいけど
    やっぱり長編にどっぷり浸かりたいなあ


    気づけば長くなってしまった!!
    長々と失礼しました(^^)

  • ブックオフで何冊か仕入れてきた本の一冊。
    町田そのこ先生のお名前で購入。
    町田そのこ先生もハズレが無い作家先生だなぁ。。。
    何を読んでも美しい。。。


    海を見下ろす住宅地、築21年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。
    美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。
    朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』だって呼ばれているのを知っていて買われたの」?と言われるまでは――。わたしが不幸かどうかを決めるのは、他人ではない。『不幸の家』で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族の短編集。

    五つの短編は全てこの一軒家に暮らす家族の物語。
    どの家族も順風満帆とはいっていないのだが、その家族の幸せを見つけていく。
    なんともほっこりする短編集。

    相変わらず私は短編集が苦手だが、会社の昼休みを使って、一日一編ずつ読んでいくと、ちょうど一週間で読み終わり、気持ちもほっこり(^_^)

    町田そのこ先生の本、いいな。。。
    また何か購入しよう(*^^*)

    • しずくさん
      こんにちは、bmakiさん、いいねをありがとうございました。

      >相変わらず私は短編集が苦手だが、会社の昼休みを使って、一日一編ずつ読ん...
      こんにちは、bmakiさん、いいねをありがとうございました。

      >相変わらず私は短編集が苦手だが、会社の昼休みを使って、一日一編ずつ読んでいくと、ちょうど一週間で読み終わり、気持ちもほっこり

      私も短編は苦手ですが、bmakiさんのような読み方もあると気づかされました。

      2023/02/10
    • bmakiさん
      しずくさん

      こんにちは。
      こちらこそご丁寧にありがとうございます(^_^)

      短編苦手ですか??
      私も本当に苦手で(^^;;
      ...
      しずくさん

      こんにちは。
      こちらこそご丁寧にありがとうございます(^_^)

      短編苦手ですか??
      私も本当に苦手で(^^;;

      昨日会社に持って行った本がまた短編で(^◇^;)
      しまったーーーと思ったんですが、それは会社に置いておいて、休み時間に読むことにしました。

      休日は長編を読みます(^-^)v
      2023/02/11
  • 購入理由は、表紙かわいい✖️町田さん。
    五つの家族。

    1、幸せは自分が作り上げる、人からもらうこともある。人にあげられるような人になりたいと思えた。

    2、高校生の息子と親離れ子離れの話。自分の高校生の頃を思い出した。夫の不倫?も。

    3、高校のときの親友と同棲
    ここにでてくる浦谷の真っ直ぐさにやられる
    子供は素直だ、大人より大人のように人をよく見てる、みんな幸せになれますように。

    4、不妊治療の話
    えー、、!?みたいな。辛いとは聞いていたがリアルで知見となりました。

    5、1話との繋がり


    段々と過去に戻って同じ家の出来事の物語。
    1から5は別の家族のお話です。

    なんか、、ゆるーいほっこり〜みたいな感想になるような本かと思いきや、全然違いました。結構それぞれのお話濃い!!自分ならどうする?が問いかけられました。

    ミステリーばかりだったけど、ミステリー同様の気力があるような、、、濃い!濃いっ!!

    PS.小春素敵だっ、頑張ったね。

  • ニワトリが先か卵が先か。
    紅茶が先かミルクが先か。
    幸せが先か不幸が先か。

    日常生活、どうしても先に不運なことの方に意識がいってしまいがち。周りに小さな幸せは沢山落ちているのに。それも自分でなかなか気付けず、周りの人のふとした言葉などから教えてもらう。
    ...ホント人間って難儀やなあ。

    いやそれよりお話の構成がですね、いきなりのゴールからスタート地点に戻り、続いて1、2、3、4と進み再びゴール...はっ!ここで全部繋がったわよ?!という感じなのです(は?)。
    「はああぁぁ!?こりゃすごいわ!町田さん!」と深夜に大声で叫んでしまいましたとさ。

  • 親子、夫婦、友人、隣人に関わること…
    私自身も、そして誰もが経験したり抱えている問題を家という視点から描いている作品。
    町田そのこさんは初めて読んだのですが、それらの事象を、真っ直ぐ見つめる著者の熱量がふつふつと感じられ好印象をもちました。5つの短編で、一つずつ時を遡っていく構成も良かった!

  • とある新興住宅地にある1軒の家。
    そこは住人が長く居つかずコロコロ変わるため、「不幸の家」と呼ばれていた。
    そんな不幸の家に住んできた家族達のお話。


    5つの家族の話からなる連作短編集。
    「不幸の家」とか言われると何となく物騒な気がするけど、全然そんな事なかった。
    むしろどの話も読後良い話ばかりだった。

    町田さん巧いな〜。
    構成といい、エピローグへの繋げ方といい、やっぱりお見事でした。
    こういう構成って、1話読むごとに伏線を回収していくみたいでめっちゃ楽しい♪
    ただ、とても良かったのだけど、ちょっと捻くれた見方をすれば少々出来過ぎな気もしたりして、、。
    ダメな男も出てきすぎだし〜笑←でもそんなとこも町田さんぽくて好きなんだけど笑

    このお話に限らず、どこにでも自分の憶測だけでいらん事言う人っているよな〜。
    それに振り回されがちだけど、考えたらバカバカしいなと思えた。
    自分の幸せは自分で決める!
    私もそうありたいなと感じた✩︎⡱



  • ハートフル・ファミリー小説ですね。
    うつくしが丘の住宅の一軒の家に移り住む五つ家族の物語。
    連作短編で時間をさかのぼる構成で物語をつむぐ。
    いずれの家族も問題を抱え込んで、端からみると不幸に見えるためにいつしか「不幸の家」と呼ばれてしまう。
    読んでいると、男性の身勝手が問題の発端に成ることが多いのは身につまされる想いがしました。翻弄される女性陣が苦境を脱して問題解決して、新たな人生に旅立つ家なので、当事者にすれば「幸福への家」に様変わりする物語ですね。
    町田さんの描写はとても丁寧で、頭の中で映像化しながら読む私には馴染みやすい筆運びでした。
    かなり、つらい話が語られていて、ちょっと苦しみながら読みました。同情ストレスを感じたりもしながら、それでも町田さんのリードが心地よくなんとか読み進めました。
    心揺さぶる言葉も多く語られていて、つまるところは人間模様の温かさを噛みしめられる物語ですね。
    人物描写も細やかで、心模様がよくわかる文章です。
    心温まる、町田さんの小説をまだまだ味わいたいと感じました。

  • 【52ヘルツのクジラたち】の著者、町田そのこさんの短編小説。

    タイトルから、ホラーとかイヤミスとか、隣人サスペンスを想像していたが、読んでみたらどの短編もラストはハートフルな結末を迎える。

    構成としては、うつくしヶ丘という住宅地にある3階建ての一軒家を舞台に、章が進むごとに主人公が前章の一代前の入居者となり、時間が遡る形で話が進んでいく。それに対して、隣人の荒木信子さんは全ての章に登場し、時に隣人の助け船となり、物語に温かい風を吹き込んでくれる。

    全体を通して感じたのは、男性の登場人物がダメ男が多い(もう少し言葉を選ぶべきかな…)のに対比して、女性は奮闘しながらも前を向いて生きていている姿が印象的。
    また、隣人の信子さんのスパイスがとても効いていて、4章で彼女の過去を知った時に、より一層彼女のことが好きになると思う。

    【心に残ったフレーズ】
    「それにねえ、あなたはしあわせがどうこう言うけれど、しあわせなんて人から驚ったり人から汚されたりするものじゃないわよ。自分で作りあげたものを壊すのも汚すのも、いつだって自分にしかできないの。他人に左右されて駄目にしちゃうなんて、もったいないわよ」P38

    ・どんな家も、容器にすぎない。大事なのは、そこじゃない。そのことに、ちゃんと気付けた。P261

    本当にその通りだなと思う。どんなにお金をかけて周りから羨まれるような豪邸でも、それはただの入れ物にすぎない。大事なのは中に住む人が、互いに糸を紡ぎ、確かな幸せを築いていくこと。

  • 新しく開発された住宅地の1軒は、偶然にも住人が居着かない家だった。まるで小説の様に住人が代わる家は少なからずあるものだ。当然口さがない人達の噂の格好の餌食となりやすい。ここに住んだ人々のお話が遡って進んでいき、後であれが伏線になっていたんだと気付くのも面白い。変わっていく中でお隣の女性だけはいつも温かい目で見つめていた。痛みを知っている人だからこその優しさを感じた。明日に希望を感じさせる小説で良いなと思った。町田そのこさんまた読んでみたい。

  •  「家なんてただのいれものだよ。」

     「うつくしが丘」に建つ三階建ての家。一階を店舗にリフォームして、開店を間近にした美保理に近所の人の言葉。「ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?」
     そこから、かつてこの家に住んでいた四つの家族の物語が始まる。それぞれ、さまざまな事情を抱えた家族が、希望を持って越してきたものの、家族の形を変えたりしながらまた、引っ越していく。はた目には「不幸の家」だ。でも実は、自分たちの状況に向き合うことで、新しい家族関係を作り出す「幸福の家」と言えそうだ。
     家族と言っても、寧ろ家族だからこそ、うまく愛情を伝えあうのは難しい。甘えがあったり、過度に期待したり、心を開くのをためらってしまったり…。惣一の言うように、「家なんてただのいれもの」だから、はた目にはどうであれ「どんなところでも、だいすきなひとと笑っていられたら、それでいいじゃん。」。簡単なような、すごく難しいような。でも、「いれもの」=はた目、を気にするのではなく、いろいろな出来事を経ながらも互いを思い合っていけるといいな。

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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