私たちの特別な一日: 冠婚葬祭アンソロジー (創元文芸文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488803100

作品紹介・あらすじ

人生の節目で催される行事を総じて、冠婚葬祭という言葉があります。冠は成年として認められる成人式を、婚は婚姻の誓約を結ぶ結婚式を、葬は死者の霊を弔う葬式を、祭は先祖の霊を祀る祭事を指します。人生の始まりと終わりから、そして当人が死してなおその先まで縁を繋いでいく四つの行事。現在の、あるいはこれからの私たちと冠婚葬祭をテーマに、書き下ろしを含む文庫オリジナル・アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 作家6名のアンソロジーですが、町田そのこさんの作品「六年目の弔い」のみに関する感想です。
    本日、書店で購入してから帰宅後、あっという間に読み終えましたが、読了後の興奮度と満足度は過去最高の一つであり、評価は当然⭐️5です。
    何故ならば、(勿論、私の勝手な見解に過ぎませんが)本作品が町田さんの初めてのミステリーであるだけでなく、その完成度も非常に高かったからです。
    (小説として面白く楽しめたのは言うまでもなく)
    読み進めて行くと、夫を事故で亡くした女性と、夫の娘(先の女性は母親ではなく、実の母親は娘を産んだ時に亡くなっている)を主軸として、町田さんらしい文章が連なり、いつものように魅了されます。
    終盤に差し掛かり、これまた町田さんらしく温かいエンディングを迎えそうだなと思っていると、最後の2ページで驚愕の真相が現れます。
    正直に告白すると、まさかミステリーとは思っていなかったこともあり(創元文芸文庫だというのに、不覚)、最後の2ページ(特にP299)の文章の意味が最初は良く理解出来ませんでした。ようやく理解出来た時は、伏線と回収の巧みさに驚愕すると共に、歓喜の声をあげました。
    「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」の感想で書いた、【町田そのこ節のミステリー】を発表してほしいという希望が、こんなにも早く叶うとは‼️
    一昨日、「夜明けのはざま」を読了(⭐️5)し、今週は町田さんの新作を2冊も読むことが出来、幸せなひとときを過ごせたことを、町田さんと各出版社の皆さんに感謝したいですね。
    これからも、幅広く、底知れぬ才能と情熱から産み出される町田さんの作品に期待しています。

  • 感想
    昨日と変わらず太陽が昇っている。心臓の動きもいつもと同じ。でも今日は特別な日。生を、死を、まざまざと感じさせる。自分は社会の一員。

  • 寺地はるなさんと町田そのこさんが参加していると聞いて購入。飛鳥井千砂さんの小説が一番好きだったな。

    ・飛鳥井千砂さん「もうすぐ18歳」(成人)
    18歳で子どもを産んだ母親の話。周囲からの偏見に対しての家族の暖かさ、最後に同僚の菜摘さんに「18歳で生んだの」と打ち明けたときの爽やかな読後感が良かった。これがいい意味での「令和の多様性」だなぁと。

    ・寺地はるな(成人式)
    女2人と男1人の幼馴染、成人式の日に出産が重なった友人を助けるために奔走する二人と、そのときに生まれた子どもの成人式の話。
    なんかもう亡くなっている?みたいな雰囲気を醸し出してからの全然元気に生きているオチ(1話目は留学的な、2話目は助産師で忙しくて不在だっただけ)がなんとなく前の話と構成が被ってしまっているのが残念。アンソロの順番ってどう決めてるんだろう

    ・雪舟えま
    はじめての作家さんだし、いきなりのSFファンタジーで世界観を掴むまで没入に時間がかかってしまった。こういうのも入るアンソロだったのか。

    ・嶋津輝
    喪服、がテーマの話。幼少期に憧れたカナさんと父が再婚するストーリーは置いておいて、高校生〜おばさんになるまでのそれぞれの節目で参加する葬儀での喪服へのこだわりというか、各喪服の描写がとても細かくて、あのとき似合っていたものが似合わなくなる、という感覚は非常に共感できた話。

    ・高山羽根子
    神社から生き物を買って帰ってくるな、というおばあちゃんが亡くなった後の話。

    ・町田そのこ
    事故で亡くなった夫に実は娘がいて、その娘さんとの命日での交流を描いたお話。オチはなんとなく読めていたけれど。
    冠婚葬祭がテーマだからか、この小説出てくる人の死ぬ確率高いですよね…。

    自分の忘備録も兼ねた読書メモでした。
    最初の1話目がとてもよかったな。

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著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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