研究する意味

  • 東京図書
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784489006531

作品紹介・あらすじ

21世紀を生きるためにどのように考え、どんな決断をすべきか?現実に批判的に介入し知の最前線で闘う研究者たちがいま、研究する意味を問う。

感想・レビュー・書評

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    新品同様

    【定価:1,800円(税抜)】

  • 学生であろうと社会人学生であろうと、報告、エッセイやあるテーマのまとめ等ではなく、一定の水準の論文を書くということは、一時的に「研究」に取り組んでいることは言うまでもない。職業教育上の効果と彼らが取り組んでいる研究との連関を書く場面で議論しても、なかなか一般的な見解を得ることが難しいということが昨今の実感でもある。ただ学生自身が、一度、大学や大学院で論文を執筆する行為は、研究と呼ばれるものの一部または全てとなる。こうした前提を持ち、本書を手に取ってみた。なお、出版年が2003年であるため、登場するほとんどの研究者は、今日では当該分野の大家と呼ばれる人が多い。

    本書を読み、分野によっては、参入者が短期間に激増し、実はサブカルチャー化、ファッション化する領域も無くはないことが頭に浮かんだ。読者はそうしたふわふわした感覚では、「研究」とは向き合えないということを了解せざるをえないだろう。学生はもちろんのこと、所属・段階を問わず、研究に対する覚悟を促す本である。「問題意識」を「理論的に語る」(吉見p.238)には、やはり読む、考える、議論する、書く、といった修練が必要そうだ。

    以下に挙げるのは、本書を読み印象に残ったことを言い回しや語句を言い換えたものである。文脈を問わずに単に切り出すと誤解を招く可能性があるので、あえてこのようにしてみた次第。

    ・今はゲーム理論が成立しない世界にある。
    ・文科省に受けの良い研究が残っていく。
    ・政策上の不具合、企業の不祥事を減らしていくには、現代の無責任社会を変化させることにある。
    ・一般市民の思考を鈍らせて愚民化させ、架空の二項対立の議論に持ち込み、感情に訴えている方法。

  • 具体的、実践的な人文社会学の研究がボーダーレスになることには必然性がある。
    ボーダーレスな領域を開いていくことは非常に重要なこと。
    研究者を志している人たちに批判的スタンスをとらなければいけないという意識を持てる環境がない。
    自分の言語と自分の思考力で見抜く。自分が生きにくくて苦しいその理由と背景をつきとめる。
    コンサバティブな勢力が持っているツールを全部マスターしていることを見せることが重要。
    研究することは結局、それまでに知らないことを知ることであり、知ることによって、前よりも自由になること。
    着実にスキルを身につける。英語を読むスキル、本を批判的に読むスキル、一次資料を批判的に読むスキル。
    ひとつ先を見通すような新しい着想を生み出す力が必要。
    今読んでいるものがどういう枠組みの中にあり、どの視点が足りないのかを考える。
    研究テーマを見つけることと、読むものを見つけることは同義。
    知的タフネス、精神的、意思的なタフネス。
    時代状況の中で、自分自身が培ってきた知識と分析の枠組みで研究成果を世の中に提示することで社会還元をし、社会との接点のなかで往復運動をすることがつねに求められている。
    自分の問題関心を設定したうえで、そこを徹底的に読むこと。隣接するディシプリンを学んでいく必要がある。
    自分の分析視覚で問題を設定し、自分の分析手段を作って自分で研究していくということ。

  • 未読

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著者プロフィール

金子 勝(かねこ・まさる):1952年、東京都生まれ。経済学者。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学社会科学研究所助手、法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現在、立教大学経済学研究科特任教授、慶應義塾大学名誉教授。財政学、地方財政論、制度経済学を専攻。著書に『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)、『新・反グローバリズム』(岩波現代文庫)、『「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ』(筑摩書房)、『平成経済 衰退の本質』(岩波新書)、『資本主義の克服』(集英社新書)ほか多数。

「2023年 『イギリス近代と自由主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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