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本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784489020537
感想・レビュー・書評
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Math Storiesというシリーズの1冊。
なぜ日本語では数学を理解し難いのかという疑問を起点にして、数学の基本を貫く言語である「論理学」の世界を解き明かしていきます。
本書では最終目的は数学の基本である「証明」の解明方法の共通する部分を認識すること。構成は以下のとおりです。
1.論理学を構成するすべての論理記号を確認する。
2.日本語で記述された命題を論理記号に置換する。また論理記号で展開された論理を日本語で把握し直す。
3.論理記号で表された命題について、その形式ごとに証明のテクニックを確認する。
こうした段階を一歩ずつ踏むことによって、一見どこから手をつければ良いかわからないような証明問題でも、論理に導かれるように問題を溶けるようになるという算段です。
数学を構成する論理の根本はこんなに簡単な構成であったのかということに目から鱗が落ちました。「または」「かつ」「全ての…」「ある…」といった最小限の論理を細かく積み重ねることによってあの巨大な体系が出来ているのかということを考えると、数学が古代ギリシャから脈々と積み重なる叡智の結晶であることが改めて実感されます。そして数学の基本的な論理と背理法や数学的帰納法などのいくつかのテクニックについて、例題を解きながら触れていくことで私たちにも「数学する。」ということに慣れていくことができました。(超ド文系の私にはそれでも理解が追いつかなかったりする部分はありましたが。。。)一見超複雑な論理で彩られた数学の世界の土台の部分をしっかりと確認することで、私たちにもこの世界にかじりつく感覚を少しだけ味わうことができた気がします。
また、今回は数学と言語を結ぶものとして論理学が用いられ、最終的には数学の問題を解くための話につながりましたが、テクニカルライティングの場でも本書で掲げられた和文数訳は役に立つものかも知れません。日本語の文章を厳密な論理のもとで書く必要が有る場合は、論理記号と日本語の相互置換のもとで文章を書き進めていくと良いかもしれないと感じました。 -
わかりやすい。時間をかけて読めればもっと理解できそう
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2020/11/12 二度目の観測
2017/10/16 初観測 -
サイエンス
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題名に惹かれて。AIの可能性が盛り上がっている今、数学的厳密性と言語的曖昧性の接地ポイントを体感出来るかな、と期待して手に取りました。シンプルな構成ですが結構苦労しました。数学を英語とかフランス語とかみたいな第二外国語として習得するための最初の教本というコンセプト。そこで「英文」「英訳」みたいに「数文」とか「数訳」とか初めて聞く概念を持ち込んでいます。外国語の文法本を読んだだけでは外国語語が喋れる訳じゃないのと同じように、この本もサラッと読んだだけでは沁みてきません。しかし数学という第二外国語は、ものすごいシンプルで複雑ゆえに時代も社会も、もしかしたら宇宙も超えることに対する感動が改めてあります。論理ってすごいな…このすごさは言語が人間の現実にたいするコミュニケーションなのに対して、数学が人間を超えた真実に対するコミュニケーションだからなのだと思います。
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論理の積み重ね。
数学とはこうだ!が見えてくる。
直感ではなく、言葉、それも論理。合理。
世界中で通じる言葉でもあるに納得。
一度、つまずくとわからなくなる理由も見える。
このギリシャ数学の原点の存在を知るか否かで
この世の見方が変わってくるというのは大げさか。 -
Mon, 28 Dec 2009
数学の式を理解しよう.
それは,何かを意味している言葉である.
定義とは何か? とか ∀ とか ∃ とかが入った式の読み方,書き方など.
それからεδ論法など そういうのが載っていたわけだ.
出来る限り平易な言葉で書かれていて,なるほどな と面白く読んだのだが,
僕にとっては,まぁ,基本的には既に知っていること.
非常に数学の人らしい記述のものを平易にしたかんじなのだが,
我らがR大の学生達が これを読んでどのくらい「フンフン!」
と思えるのかは,気になるところだ.
分かりやすい解説も,場合によっては受け手の想定をミスると
ひとりよがりだからなぁ~.
分かる人にとって分かりやすくおもえても,
分からない人にとってわかりにくかったら意味ないし.
また,だれかに渡してみようかしら. -
[ 内容 ]
困ったことに、数学語は数学や科学だけで使われている言葉ではないのです。
論理的とよばれているありとあらゆる分野で、数学語が共通語として使われているのです。
というわけで、この本の目的は、「数学語を第二言語として身につける」です。
言語の本ですから、「ナマモノ」の数学に出てくる補助線の引き方やつるかめ算など数学技能については勉強しません。
三平方の定理やオイラーの公式のような有名な定理もやりません。
その代わりに、数学の文法と和文数訳、数文和訳、そして数学の作文法を勉強します。
[ 目次 ]
1 定義とは何か
2 数学の文法
3 和文数訳
4 数文和訳
5 かたちから言葉を見る
6 証明とは何か
7 数学の作文
8 終章―ふたたび古代ギリシャへ
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
[第1刷]2009年9月25日
この第1作が、テーマ自体が興味深く、読み進めやすく、素晴らしい内容だったため、シリーズを全作読み通してみましたが、本作以外は、数学読み物としては、内容の難易度が高く、既習者以外は取り組み難いと思う。 -
「数学を第二言語として身につける」ことを目的とした本。
数学(で利用されている記号や表記手法)は解釈の違いなどといったものが入り込まないようにされた意思疎通のために生み出された言語であることが丁寧に解説されている。
数学が苦手な人にとっては意味不明な数字や記号の羅列でしかなかった数式が、どういう意味で書かれているのかを読み砕くことで数文を和文に、和文を数文に翻訳して理解できるようになる。
数学的な記述方は私達が普段使っている言語で発生してしまう読みづらさを少しでも解消する為に発展してきたものと丁寧に解説しているよい本でした。
数学が苦手な人にとっては共感が得られないかもしれませんが、そういう人にこそおススメしたい本です。 -
オススメの理由
数学の本ではあるが、それと同時に言語の本なのである。古代からあり、論理的とよばれているありとあらゆる分野で世界中で最も使用されている共通言語。英語なんか比にならない。
この非常に論理的で明快に記している本書の書き方に清々しさを覚えた。
題名の通り数学を「言葉」として扱い、数学の「文法」を綴っている。
「和文数訳」や「数文和訳」などといった演習も含まれていてわかりやすい。
数学嫌いの人のために、というには少し難しいかもしれないが、昔は好きだったのに途中で挫折した人やパズルが得意な人などにはとてもおすすめの良書。
推薦者のページ
⇒http://booklog.jp/users/kaitooo5to1kite -
数学の本ではあるが、それと同時に言語の本なのである。
古代からあり、論理的とよばれているありとあらゆる分野で世界中で最も使用されている共通言語。
英語なんか比にならない。
この非常に論理的で明快に記している本書の書き方に清々しさを覚えた。
題名の通り数学を「言葉」として扱い、数学の「文法」を綴っている。
「和文数訳」や「数文和訳」などといった演習も含まれていてわかりやすい。
数学嫌いの人のために、というには少し難しいかもしれないが、
昔は好きだったのに途中で挫折した人やパズルが得意な人などにはとてもおすすめの良書。 -
数学を第二言語として身につける。
ありそうでなかったコンセプトだ。
構成も外国語の本にそっくり。数学の文法を踏まえて、和文数訳、数文和訳で数学語を磨く。おもしろい。
著者の新井紀子さんのご発言によれば「東京図書のMath Storiesは高校から大学への移行期に『視点を変える』ためのテキストとして企画しました。『あぁ、数学ってこういう話だったのか』と思ってもらって大学の数学に入ってもらえるように。」とのこと。なるほど納得。
命題論理やら述語論理やら、一年の夏に記号論理学なる講義を取っていたため、内容はすんなり頭に入ってきた。良い時期に読むことができた。 -
卒研生必読書.卒論を書く前にぜひ読んでください.
卒論指導の中で毎年注意することですが,
「となる」と「とする」
はたった1文字の違いですがとても大きな差があります.
「AはBとなる」は,Aがなんらかの操作,推論,演繹の結果,Bとなることを表しているのに対して,「AをBとする」は,AでBを定義することを意味しています.とても大きな違いですが,1文字しか違わないので,学生さんはごちゃごちゃに使ってしまいます.しかしその1字の違いで読んでいる人にはチンプンカンプンになってしまいます.
本書は「数学語を第二言語として身につけさせる(はじめにより)」ことを目的として書かれており,卒論を書くにあたって必要な論理的説明およびそれに必要な数学語を解説しています.理系の大学生には一読の価値のある書籍だと思います. -
「数学語を第二言語として身につける」というコンセプトが衝撃的だ。最近は、社会人向けの数学入門書がにぎわっているけれど、その多くは中学や高校の数学をわかりやすく説明するという構成。本書は、そういった本とはまったく異なるアプローチで、数学の扱い方を解説する。すなわち、数学を外国語のように学ぶというアプローチだ。
英語に英文法があるように、数学にも、命題を構成する「対象・関係・論理結合子」などの文法があり、この文法を学ぶと「日本語で書かれた数学の命題を、数学の記号だけからなる数文に変換できる」。これを著者は「和文数訳」と呼んで、「どんなnに対しても、それより大きなmが存在する」「素数は無限に存在する」など、様々な和文数訳の演習を重ねていくのだ。ふむふむ、かなり手ごわいけれど、ノリは外国語の勉強とよく似ている。
和文数訳があれば、当然その逆の「数文和訳」もあるし「数学の作文」もある。この新しい数学語の学習は「練習して数をこなす以外にはない」そうで、一朝一夕で習得できるものではないという。でも、トレーニングを積んで数学語を自在に扱えるようになった暁には、次のような副産物もついてくる。「そのとき、あなたは(中略)自分の頭の中がそれ以前に比べて、ずっと整理されていること、自分の考えがシャープになっていることに気づくにちがいありません」。
本書は“math stories”というシリーズ刊の1冊目。数学語の習得後には、『計算とは何か』『変化をとらえる』など、同シリーズの本にも手を伸ばしていただきたい。 -
数学の基本的な論理結合子は¬、→、∧、∨、⇔、∃x、∀xの7種に集約される。これらは、英語で考えると順番が合致し、日本語よりしっくり来るようだ。大学1年の時にこの本読みたかった。
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ネットの「文芸思潮」「作品の広場」「エッセイの広場」の『量化って』の中で社会科学(ミクロ経済学)の問題を解くのに量化(価格}式と等価(価格)式が構築された時に前者が「和文数訳」後者が「数文和訳」として「財」の変化を論理的に説明できたので何かの参考にしてください。
著者プロフィール
新井紀子の作品





