よくわかる量子力学

著者 :
  • 東京図書
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本棚登録 : 193
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784489020964

作品紹介・あらすじ

量子力学の壁にあえて正面からぶつかっていく学習者のために。

感想・レビュー・書評

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  • 決してエレガントとは言えない泥臭さが本書の魅力と言える。小出などの入門書を読んで分からなくなったら本書を参照する,といった使い方が初学者にはいいかもしれない。

  • 量子力学の入門書。レベルは学部2~3年生向け。入門書と言ってもよくある薄い本ではなく、しっかりと書かれている。網羅している内容は、
    (1)なぜ量子力学が必要なのか
    (2)シュレーディンガー方程式
    (3)一次元のポテンシャル問題
    (4)調和振動子
    (5)水素原子
    である。

  • 非常に丁寧な本である。前野先生のファンになりました。

    本書では水素原子の場合のシュレーディンガー方程式を球面調和関数を用いて解くところまで丁寧に解説されている。このあたり、ややこしいので入門書では省略されている本が多いのではないかと思う。量子力学にこうした数学の古典的な結果が活用されるのは面白いと思う。

    それにしても、ニュートン力学はシンプルな微分方程式だが、量子力学になると偏微分方程式で、水素原子のようなシンプルなケースでもこうした球面調和関数といったものがでてきて、最新の超弦理論などでは最先端の数学のオンパレードらしい。物理学が進むにつれ、高度な数学が必要になる、というのはちょっと不思議である。自然というのはそんなに複雑な構造をしている、ということか。あるいは、自然に比べると人間の知性はまだまだ幼稚だ、ということだろうか。

  • 読み通せた。何せ20年以上のブランクだ。学生時代に分かっていたかは甚だ疑問だが、これでようやく端緒に着いた感がある。

    あとあと振り返ると本当に丁寧に描かれた本であったことが分かる。

  •  大学生向けの教科書。初学者がつまづきがちな量子論の「概念の壁」と「数学の壁」。本書にじっくり取組めば,これらを乗り越えることができる。学生時代は手抜きしてたけど演習問題って残さずやるべきだと痛感。
     二か月ほどかけて,最後はディラックの評伝と並行して読み進めた。やっぱり手応えあったなぁ。位置や速度といった古典論の力学変数が,量子論では力学変数ではなくなって,波動関数の期待値や固有値になるなんて。突飛な発想だけどこれでうまくいくのだから仕方がない。うまくいくってのが実感できた。
     量子力学で時間発展する力学変数は波動関数。これは無限の自由度をもつ,いわば無限次元のベクトルだ。そこから場所とか運動量とかの特定の情報を抽出するために,対応する演算子を掛けて期待値をとるという操作をする。これの簡略記法がブラ・ケットで,演算子は行列の働きをしている。
     このあたりが「概念の壁」。結局量子力学のキモは,交換すると思ってた物理量が,実は交換しないんだよということ。それが不確定性関係の一表現だし,物理量が演算子だとか行列だとかの得体のしれない物に変わってしまう根本原因でもある。耳では聞いていた話だけれど,理解が深められた。
    「数学の壁」も厚かった。一次元調和振動子で出てくる無次元化や,上昇下降演算子を使った計算テクニックとか。三次元の問題を極座標で解くときに出てくるルジャンドル陪関数,球面調和関数。動径方向の解に用いる球ベッセル関数,ラゲールの陪関数…。などなど。
     それでもなんとか読み通せたのは,丁寧な式変形や解説,ネット上のサポートページの賜物だと思う。でなおし量子力学,本書のおかげでだいぶうまくいった。

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