若者の居場所と参加

制作 : 田中 治彦  萩原 建次郎 
  • 東洋館出版社
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784491028118

感想・レビュー・書評

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  • 職場にある積読本ようやくさっと読み。自分のやってること、やりたいこと、やろうとしてること、やらなあかんことが何なのか、他地域の先行例やパイセンの実践例を見聞きしながら整理する時間。子どもから大人への移行期を支えるユースワーク、難しい。

  • 2016.4.22
    若者の居場所作りについての様々な論考を載せた本。おもしろかった部分と面白くなかった部分とあったかな。なぜ居場所なのか、という哲学的考察がやはり一番おもしろかった。近代的自我は個人という単位を生み出したがそれも行き詰まり、本当は自我とは個人を単位とするのでなく、その下には無意識とか、関係性とか、繋がってる部分があるのではないか、という自我の捉え方は興味深く、まさに居場所の必要性を担保する言説である。居場所を考える上で人間関係についての考察は避けて通れないわけだが、居場所感覚のある人間関係とは、互いに影響力がある関係と言えるのではないか。私がその場もしくは他者に何かしらの影響力があり、またその場もしくは他者から影響を受ける関係、というか。例えば若者の政治離れというが、それは一票が政治に関わるという影響力を実感できないことによる。よって政治はどこか違う国のお話と思い、私には関係のないものと捉えてしまう。関係とは、ただ互いの顔を知り、ただそこに一緒にいればいいというわけではない。関係とは、相互的に互いが互いを作り変える関係ではないか。そしてできればその影響力は、よきものでありたい、すなわち貢献という影響力でありたい。ただ影響力というなら悪い意味でのそれもある、例えば支配、例えば相手を害するなど。それも関係だが、そこから生まれるのは関係を切る、相手を潰すベクトルである。関係が円熟するには互いに影響力がありつつ、その互いの変化が各々にとってプラスでなければならない。それはすなわち、貢献とか、支え合いとか、承認とか、学び合いとか、そういうことだろう。自分の中の何かが相手によって変わる感覚、また自分によって相手の中の何かが変わる感覚、そしてそれが個人と場という関係にまで波及する、これが居場所感覚ではないだろうか。人間には社会的欲求がある。それは他者の上に立ちたい承認欲求でもあるし、支配欲でもあるし、また他者の役に立ちたいという貢献欲求でもある。この社会的欲求をどう考えるか、欲求を満たす方法として何を提示できるか、その方法を実現するメカニズムとしてどのような場を構成していけるか、これが居場所作りには大切ではないだろうか。

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著者プロフィール

1953年東京生まれ。
上智大学名誉教授,日本社会教育学会名誉会員,(認定NPO)開発教育協会監事,(学)東京YMCA 学院評議員,龍ケ崎市最上位計画策定審議会副会長。
(財)日本国際交流センター,岡山大学,立教大学,上智大学を歴任。
専門は,開発教育,生涯教育,SDGs 論。
著書に『SDGs と開発教育』『SDGs とまちづくり』『SDGs カリキュラムの創造』(以上,学文社),『グローバル時代の「開発」を考える』『18歳成人社会ハンドブック』(以上,明石書店),『成人式とは何か』(岩波書店),『SDGs と社会教育・生涯学習』(東洋館出版社),他多数。

「2023年 『新SDGs論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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