THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―
- 東洋館出版社 (2018年11月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
- / ISBN・EAN: 9784491036175
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架 KW/2018//K
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世界で何が起きているのか、平和ボケしている日本人に読んでほしい。
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本当のイスラム教の教えを知らなければイスラム教という世界三大宗教の誤解を招きかねない内容だと思うので、読む前にイスラム教とはどういう宗教なのかということを知っておいたほうがいいと思います。
この本を読むとイスラム教自体に嫌悪感を覚えるかも知れません。
内容的には奴隷や拉致をされた人たちの話なので、そういった人たちが書く内容としては『ありきたり』かなぁと思いました。 -
こんなひどい話が現実だなんて。イラクの小さな村で、貧乏ながら家族と幸せに暮らしていた著者。ある日突然、ISISによる侵略が始まる。ヤズィディ教徒の彼女たちは異教徒=人間ではないと見なされ、男と年寄りは殺され、若い女性は性奴隷として売り飛ばされる。異教徒は人間じゃなく奴隷=物なのだから、殺そうが、暴力を振るおうが、レイプしようがいいとされる。そんなバカな話が21世紀のこの時代にまだ存在するなんて!著者の体験を考えると震えた。著者がレイプした男だけでなく、それを知りながら肯定した男たちの妻や母も非難する。自分の娘が同じことをされたらどう思うのかと。でも、異教徒を人と認めていないのだから、その想いは伝わらないのだ。人を人と思わないって何なんだろ。悲しすぎる。
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4.24/487
『2018年ノーベル平和賞受賞! ナディア・ムラドの自伝刊行!
「戦下における武器としての性暴力の根絶に尽力」
これはすべて、この世界で起きたこと――
2014年にイラクで起こった大虐殺。
家族を失い、自らも性奴隷として地獄の苦しみを受けたナディアが
その体験と、生還までの道を圧倒的な臨場感で物語る。
「この世界でこのような体験をする女性は、私を最後(ラスト・ガール)にするために――」
貧しくも平和な村で、愛する家族と暮らしていたナディア・ムラド。
しかし、イスラム国の脅威は次第に強まり、ついに虐殺と収奪の日が訪れた――
平和で、互いに支え合うヤズィディの人々の暮らし。
イスラム国による虐殺や性暴力・暴力の凄惨な実態。
決死の覚悟で脱出し、支配地域の現状を世界に発信するまでに、
彼女を支え続けた人々。
一人の女性の身に起こった、生還と闘いの物語。
今、世界でもっとも注目されるノーベル賞平和賞受賞者の自伝、ついに翻訳刊行。』
原書名:『The Last Girl: My Story of Captivity, and My Fight Against the Islamic State』
著者:ナディア・ムラド (Nadia Murad)
訳者:吉井智津
出版社 : 東洋館出版社
単行本 : 430ページ
受賞:ノーベル平和賞 - 2018年 -
↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00260617 -
アフガニスタンとイスラム国の問題がホットニュースで流れる中、なぜ多くの国民が自国アフガニスタンを離れようとするのか。イスラム国とは何か。本書は、イラク北部にあるコーチョという小さな村に生まれ育った、女性ナディアの衝撃の体験を綴った作品である。少数派の宗教、ヤズディー教徒達が、貧しいながらも平和な日々を暮らしていた。しかし、湾岸戦争やイラク戦争の戦後処理の民族・宗教対立の中で、平和な生活を少しずつ蝕み、ついにイスラム国の一軍による襲撃が始まり、家族はばらばらとなり、青年男性達は銃で処刑されるジェノサイド。若い女性は拉致され、人身売買、性奴隷として凌辱され、兵士達に輪姦される。著者ナディアも繰り返し身体的暴力と性奴隷の中で、偶然にも逃亡に成功し、奇跡的に良心的イラク家族によって、兄の元に逃げ切り、そして犠牲になった同じ民族達の救助に奔走し、世界に告発し、2018年ノーベル平和賞を受賞する。世界でも日本でも、そしてスラム系勢力の男尊女卑、家父長制、ミソジニー(女性蔑視)を自身の体験を元に、丹念に告発するが、著者の勇気と行動力に敬意を表したい。
個人的にではあるが、アジア・太平洋戦争史を学ぶ中で、日本軍の蛮行である戦時性暴力と全く同じ構図が世界に未だに続いていることに、大きな嘆きを禁じ得ない。 -
たくさんの人に読んで欲しい。その一言に尽きる。
ヤジディ教徒のジェノサイドが行われていたこの時期、ナディアが苦しんでいたこの時期、私は普通の生活をしてた。当たり前のことだけど、こういう話に無頓着になりたくないなぁと改めて思った。