THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―

  • 東洋館出版社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784491036175

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架 KW/2018//K

  • 世界で何が起きているのか、平和ボケしている日本人に読んでほしい。

  • 第一部の幸せな日々、
    しかし常に脅威に晒されるイラクという国家、
    不穏な事件、暗転、
    第二部は辛すぎて部分的にしか読めず、
    逃亡に成功し、
    第三部で脱出叶い、母と似た人を見た瞬間で
    読み溜めてきた感情が、私もナディアと一緒に放出されるかのようだった。
    脱出を助けてくれたナーシル、その家族の善行。
    そしてエピローグ。テロリスト達に対する絶え間ない戦いを続ける、勇気あるナディア。

    本当にこんな残酷なことができる人間がいるんだ、
    宗教って利より害の方が人類にとって大きかったのではなかっただろうか。

    日本人には、どれだけ語られても本質的な意味でどの宗教のことも理解できないと思う。
    人種、民俗、住んでいる国家や周辺国家の征服者によって
    人間たちの都合のいいように作られてきたもののように思えてしまう。

    性善説、性悪説はどちらも信じない。
    やはり人間、生まれ持った中身と環境の問題だ。

  • イスラム教徒過激派による少数派信者に対するジェノサイドを経験した女性の悲劇の物語。
    彼女の生い立ちからISISの襲撃、その後の性奴隷にされた日々、決死の覚悟で逃げ出してから今日の活動までを赤裸々に綴っている。
    小説を読んでいるようでハラハラした。

    コンゴの医師の本を読んだ後だったから、不謹慎にも「アフリカよりはマシでは?」と思ってしまったが、圧倒的に違うのは、アフリカでの性暴力はあくまでも違法であるのに対し、この著者が経験したことはイスラム国では合法だったこと。
    合法的に裁判所の手続により性奴隷にされるというのは異様である。

    男性が男性であるが故にこの世界から性暴力を根絶するのは難しいのかもしれない。
    この著者も自身に起きた悲劇全て(家族が虐殺されたことなど)を話したいのに、人はレイプのことばかり聞きたがるというのがその証拠だと思う。

    この女性は強く賢く勇敢なのだと思うが、一点だけ賛同できない考えがあった。
    ISISの襲撃や暴力を黙って見ていた人達を憎むことはちょっと違うと思う。
    暴力に立ち向かうにはそれなりに勇気と力が必要だし、自分に利害がなければなるべく関わらないようにしようと考えるのが人間である。

    他の宗教や考え方を受け入れない姿勢は著者の宗教に起因があるのかもしれない。
    しかし、そういう考えが争いの火種になり、今日の紛争や性暴力の原因になっていることを私たちは知る必要がある。

  • 本当のイスラム教の教えを知らなければイスラム教という世界三大宗教の誤解を招きかねない内容だと思うので、読む前にイスラム教とはどういう宗教なのかということを知っておいたほうがいいと思います。
    この本を読むとイスラム教自体に嫌悪感を覚えるかも知れません。
    内容的には奴隷や拉致をされた人たちの話なので、そういった人たちが書く内容としては『ありきたり』かなぁと思いました。

  • こんなひどい話が現実だなんて。イラクの小さな村で、貧乏ながら家族と幸せに暮らしていた著者。ある日突然、ISISによる侵略が始まる。ヤズィディ教徒の彼女たちは異教徒=人間ではないと見なされ、男と年寄りは殺され、若い女性は性奴隷として売り飛ばされる。異教徒は人間じゃなく奴隷=物なのだから、殺そうが、暴力を振るおうが、レイプしようがいいとされる。そんなバカな話が21世紀のこの時代にまだ存在するなんて!著者の体験を考えると震えた。著者がレイプした男だけでなく、それを知りながら肯定した男たちの妻や母も非難する。自分の娘が同じことをされたらどう思うのかと。でも、異教徒を人と認めていないのだから、その想いは伝わらないのだ。人を人と思わないって何なんだろ。悲しすぎる。

  • 4.24/487
    『2018年ノーベル平和賞受賞! ナディア・ムラドの自伝刊行!
    「戦下における武器としての性暴力の根絶に尽力」
    これはすべて、この世界で起きたこと――
    2014年にイラクで起こった大虐殺。
    家族を失い、自らも性奴隷として地獄の苦しみを受けたナディアが
    その体験と、生還までの道を圧倒的な臨場感で物語る。

    「この世界でこのような体験をする女性は、私を最後(ラスト・ガール)にするために――」
    貧しくも平和な村で、愛する家族と暮らしていたナディア・ムラド。
    しかし、イスラム国の脅威は次第に強まり、ついに虐殺と収奪の日が訪れた――
    平和で、互いに支え合うヤズィディの人々の暮らし。
    イスラム国による虐殺や性暴力・暴力の凄惨な実態。
    決死の覚悟で脱出し、支配地域の現状を世界に発信するまでに、
    彼女を支え続けた人々。
    一人の女性の身に起こった、生還と闘いの物語。
    今、世界でもっとも注目されるノーベル賞平和賞受賞者の自伝、ついに翻訳刊行。』


    原書名:『The Last Girl: My Story of Captivity, and My Fight Against the Islamic State』
    著者:ナディア・ムラド (Nadia Murad)
    訳者:吉井智津
    出版社 ‏: ‎東洋館出版社
    単行本 ‏: ‎430ページ
    受賞:ノーベル平和賞 - 2018年

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00260617

  • アフガニスタンとイスラム国の問題がホットニュースで流れる中、なぜ多くの国民が自国アフガニスタンを離れようとするのか。イスラム国とは何か。本書は、イラク北部にあるコーチョという小さな村に生まれ育った、女性ナディアの衝撃の体験を綴った作品である。少数派の宗教、ヤズディー教徒達が、貧しいながらも平和な日々を暮らしていた。しかし、湾岸戦争やイラク戦争の戦後処理の民族・宗教対立の中で、平和な生活を少しずつ蝕み、ついにイスラム国の一軍による襲撃が始まり、家族はばらばらとなり、青年男性達は銃で処刑されるジェノサイド。若い女性は拉致され、人身売買、性奴隷として凌辱され、兵士達に輪姦される。著者ナディアも繰り返し身体的暴力と性奴隷の中で、偶然にも逃亡に成功し、奇跡的に良心的イラク家族によって、兄の元に逃げ切り、そして犠牲になった同じ民族達の救助に奔走し、世界に告発し、2018年ノーベル平和賞を受賞する。世界でも日本でも、そしてスラム系勢力の男尊女卑、家父長制、ミソジニー(女性蔑視)を自身の体験を元に、丹念に告発するが、著者の勇気と行動力に敬意を表したい。
    個人的にではあるが、アジア・太平洋戦争史を学ぶ中で、日本軍の蛮行である戦時性暴力と全く同じ構図が世界に未だに続いていることに、大きな嘆きを禁じ得ない。

  • たくさんの人に読んで欲しい。その一言に尽きる。
    ヤジディ教徒のジェノサイドが行われていたこの時期、ナディアが苦しんでいたこの時期、私は普通の生活をしてた。当たり前のことだけど、こういう話に無頓着になりたくないなぁと改めて思った。

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著者プロフィール

人権活動家。ヴァーツラフ・ハヴェル人権賞、サハロフ賞を受賞し、人身売買の被害者らの尊厳を訴える国連親善大使に就任した。現在は、ヤズィディの権利擁護団体ヤズダとともに、イスラム国を大量虐殺と人道に対する罪で国際刑事裁判所の法廷に立たせるべく活動している。2018年、デニ・ムクウェゲ氏とともにノーベル平和賞を受賞。

「2018年 『THE LAST GIRL』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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