使える 弁証法

著者 :
  • 東洋経済新報社
3.69
  • (41)
  • (43)
  • (53)
  • (15)
  • (2)
本棚登録 : 399
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492042427

作品紹介・あらすじ

ただ一つの法則を知るだけでビジネスにおける「洞察力」「予見力」「対話力」が身につく。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ■書名

    書名:使える 弁証法
    著者:田坂 広志

    ■概要

    ヘーゲルとは、ドイツの観念論哲学者、ゲオルク・ヘーゲルのこと。
    その「ヘーゲルの弁証法」と聞くと、多くの方々は、「高尚で難解
    な哲学だ」との印象を持たれるでしょう。
    そして、「だから、日々の仕事の役には立たない」と思われるで
    しょう。
    しかし、そうではありません。
    「ヘーゲルの弁証法」は、日々の仕事の役に立つのです。
    現実の問題に使えるのです。
    それも、弁証法のただ一つの法則を知るだけで、
    物事の本質が分かる「洞察力」
    物事の未来が見える「予見力」
    自然に思考が深まる「対話力」
    そうした実践的な力が身につくのです。

    この本ではそのただ一つの法則について、
    そしてその法則の使い方について、
    IT社会の未来をテーマに分かりやすく語りました。 
    (From amazon)

    ■気になった点

    ・「進歩、発展」と「復活、復古」が同時に起こる事が、螺旋的発
     展の法則である。

    ・まず「何が消えて行ったのか」を見る。そして「なぜ、消えて
     いったのか」「どうすれば復活出来るのか」を考える必要がある。

    ・物事は否定の否定により発展する。

    ・世の中の物事の多くは、ある量が一定の水準を超えると急激に
     質が大きな変化を遂げるという性質を持っている。

    ・物事は矛盾を認め固定することにより発展する。

    ・企業が抱える矛盾を機械的な割り切りにより解消してしまうと、
     同時に生命力や原動力も消えて、発展が止まってしまう。

    ・矛盾する2つの物の間で、バランスを取る事が大事である。

  • 19世紀ドイツの哲学者・ヘーゲルが提唱した弁証法には、4つの法則があるという。
    ①螺旋的発展の法則・・・物事は螺旋的に発展するという法則
    ②否定の否定による発展の法則・・・物事は否定され、さらにその否定によって反転するという法則
    ③量質転化による発展の法則・・・物事は量的な臨界点を超えると質的な転換を起こすという法則
    ④相互浸透による発展の法則・・・対立する物事は互いの性質が浸透することで発展するという法則
    この4つの法則によって、「時代を読むことができる」というのが本書のテーマだが、そもそも時代を読み続けることが本当に必要なのだろうか。
    その意味で、具体的に使えるのかどうかは、検討の余地がある。
    時として、時代が間違った方向に進むときがある。このとき、正しい螺旋の先にいたとしても、時代とマッチしない。
    時代を読むことよりも、大事なことがあるような気がしてならない。

  • その名の通り使えます。流行・ブームを冷静に眺められるでしょう。ヘーゲルと易経をつなげる進化論。分かり易い。

    ●時代の変化が早くなったので、今まで直線に見えていた進化の過程が、螺旋的な進化である事が分かるようになっている。懐かしいものが進化して出てきている。一度消えたものが復活してきている。
    ●ひとたび消えていったものが復活してくるとき、革新的技術や社会基盤の整備を背景に、何かが便利になって戻ってくる。螺旋階段を一段登ってくるように新たな価値が加わるという進化がそこにある。
    ●物事の内部には矛盾が含まれている。それは両者を肯定し、抱合し、統合し、超越することによって高い次元へと止揚していく「発展の原動力・生命力」。
    ●矛盾を割り切ることは魂の弱さ。割り切ることなく格闘する人は、魂の強い人。これが「器の大きな人物」という言葉の意味。

  • ”---
    T:
    P:
    O:
    ---
    ・この弁証法を学ぶだけで(中略)「洞察力」と「予見力」(中略)「対話力」 ただ、対話をするだけで、自然に、思考が深まっていく。そして、物事の本質が見えてくる。そうした力が身につきます。(p.6-7)
    ・「弁証法とは、ドイツ観念論の哲学者、ゲオルク・ヘーゲルの思想。」
     「弁証法」は、極めて実践的な方法なのです。(p.15)
    ・弁証法において「最も役に立つ法則」
     「物事は、螺旋的に発展する」(p.20)
    ・いま「復活」しつつある、様々な「懐かしいもの」。
     それは、ただ「懐かしいもの」ではない。
     それは、「便利になった懐かしいもの」なのです。(p.49)
     #御用聞き、寺子屋、手紙美人、助け合い・・・
    ★「書を捨てよ、街に出よ」
     (中略)
     何が「懐かしい」のか。何が「便利になった」のか。
     #螺旋的発展を目撃したいなら、タウン・ウォッチングで「便利になった懐かしいもの」を探そう!
    ★弁証法をどう使うか (p.79-81)
      何が「復活」してくるかを、読む
     →「何が消えていったのか」を、見る
     →「なぜ消えていったのか」を、考える
     →どうすれば「復活」できるかを、考える
    ・復活が起こる理由(p.90)
     「合理化」や「効率化」が進むと、「重要度の高い機能」は十分に実現されていくため、これまで「重要度の低い機能」と考えられていた機能に重点が移っていき、それを実現する動きが生まれます。
    ・復活では、必ず「価値」が付け加わる (p.96)
     #コンビニエンス・ストアを例に。個店主義、地域主義の復活+工夫の智恵(=言葉で表せない)を共有する
    ・実は、ブロードバンド革命が変える最も大きなものは、そうしたデジタル・コンテンツの流通ではありません。
     では、何か。
     「人々の意識」です。(p.137)
     #NGNが変えるのもここ。・・・だとすれば?
    ・「止揚」とは、何か
     互いに矛盾し、対立するかに見える二つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへと昇華していくことです。(p.165)
    ・「弁証法」と「討論」「議論」とのちがい (p.178-179)
     「思考を深める方法」と呼ぶべきもの
     「正」「反」「合」による思考の深化です。
     すなわち、弁証法とは、「正」(テーゼ)「反」(アンチテーゼ)「合」(ジンテーゼ)というプロセスで思考を深めていく方法です。
    ★インターネット革命によって、
     「規律」「階層」「管理」にもとづく「機械的システム」から、
     「自由」「平等」「創発」にもとづく「生命的システム」へと、
     いま、資本主義が、経済が、社会が、進化していこうとしている。(p.190)
     #今後ますます、組織間ネットワーク、企業間ネットワークづくりの価値が高まる!”

  • 正、反、合

    なかなか受け入れられない意見を受け入れることでより考えが深くなる。

    意見と反対意見を合わせて新しい考えを作り出す。

    なかなか自分の考えだけに固執しがちだが、固執し凝り固まった時、それがストレスになった時に、違う考え方が出来るので良い。

  • この本の内容を鵜呑みにするなら、
    世の中のすべてのことは弁証法で説明がついてしまうらしい。
    ある程度説得力はあるけど、本当にそうなのかと言われると
    ……どうなんだろう。
    ただ、弁証法の入門書としてはとても読みやすい。
    現在世の中で起こっていることを例に挙げているのも
    わかりやすいと思う。
    書かれた時期を考えるなら、著者の考察からの予測はかなりの精度で的中しており、そこは2019年現在からすると驚かされる。

  • ヘーゲル哲学、と聞いてピンとこなくてもこの言葉を聞けば「あ〜」となるはずです。
    アウフヘーベン。

    そう、小池都知事でおなじみのバウムクーヘンです。
    バウムクーへン、もとい、アウフヘーベンはヘーゲル哲学では重要な概念であり、本書でも語られるキーワードの一つです。
    対立し、争うかに見える二つのものがある意味で相手を内包していき、結果として両者は似てくる、あるいは統合されていく(アウフヘーベン)、という話は「なるほど」と思える内容でした。

    特に次の文章は頭の片隅に置いておこうと思います。

    <経営者やマネジャーが行うべき「矛盾のマネジメント」とは、まさに、「矛盾」と見える経営課題の間での「バランス取り」であり、そのバランスを取るために、組織の状況を敏感に感じ取りながら「振り子」を振り続けることに他なりません。>

    内容は濃いですが、一日で読みきれるくらい文章量は少なめですので興味を持たれた方はぜひ。

    最後に、本書を読もうと思ったきっかけのYouTube動画→https://youtu.be/LezgrpbxlRg
    話し方が非常に巧みで引き込まれます。

  • 要約

    「事物の螺旋的発展」の法則
      進化と原点回帰
       市場(いちば)→オークション
       集団購入→ギャザリング
       御用聞き→コンシェルジュサービス
       寺子屋(自律学習)→Eラーニング
       文(ふみ)の文化・手紙美人→電子メール・メール美人
       助け合い→ボランティア
       電話→ボイスメール
     進化とは多様化
       紙の書籍→電子ブック
     合理化→均質化→個性化
       コンビニの地域化・個店化
     螺旋的発展を目撃できる時代になった(ドッグイヤー)

    「否定の否定による発展」の法則
     反転・リバウンド・振り子
     智恵の時代→知識の時代→智恵の時代
     主戦場を読む・先回り

    「量から質への転換による発展」の法則
     情報コストの劇的低下=量の変化
     顧客中心市場

    「対立物の相互浸透による発展」の法則
     従来の証券のネット証券進出⇔ネット専業証券の街角店舗
     証券と銀行
     ベンチャーキャピタルとコンサルティング
     営利企業と非営利組織

    「矛盾の止揚による発展」の法則
     「利益追求」と「社会貢献」
      松下幸之助
       「企業は、まず、本業を通じて社会貢献する」
       「利益とは、社会に貢献したことの証である」
       「多くの利益を与えられたということは、
        その利益を使ってさらに社会に貢献せよとの、天の声だ」
     「市場原理」と「政府規制」
     「自己責任」と「弱者救済」

    弁証法で身に付く力
     対話力
      ディベートやロジカルシンキングとは違う
      正・反・合
     歴史観
      西洋文明と東洋文明
      西洋的:規律・階層・管理=機械的システム・機械的世界観
      東洋的:自由・平等・創発=生命的システム・生命的世界観
       →インターネット=複雑系・自己組織化・創発

  •  本のタイトルも、「ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える」という副題も「いかにも」風なんだけど、これは意外な拾いものだった。読み直す価値あり。

  • 本書サブタイトルは、「ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える」。ホンマかいなという感じがするが、そこはさすがに田坂さん。実に明快に、ヘーゲルの弁証法を解説し、それをIT革命に代表される現代に見事に当てはめてみせる。とても納得。これを近未来に当てはめることで未来を予想する。ビジネスの新ネタ探しにも役に立つと思う。 では、田坂流ヘーゲルの弁証法とは何か? どうやら次の5点の命題が重要らしい。1.物事は、直線的にではなく、螺旋的に発展する。2.物事は、反転の反転によって発展する。3.物事は、量から質への転化によって発展する。4.物事は、対立物の相互浸透によって発展する。5.物事は、矛盾の止揚により発展する。1−4に対しては解説の必要はないだろう。5の「止揚」とは、「矛盾する諸要素を、対立と闘争の過程を通じて発展的に統一すること」。要は、合い対峙する要素から上位要素を取り出すことで発展するということ。特に5が重要であるとは言うまでもない。こういう風に発展を捉えると、確かに何かが見えてくるかもしれない。じっくり考えてみよう。

全65件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

多摩大学大学院教授

「2018年 『深く考える力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

使える 弁証法のその他の作品

使える 弁証法 オンデマンド (ペーパーバック) 使える 弁証法 田坂広志

田坂広志の作品

使える 弁証法を本棚に登録しているひと

ツイートする