使える 弁証法

著者 :
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492042427

作品紹介・あらすじ

ただ一つの法則を知るだけでビジネスにおける「洞察力」「予見力」「対話力」が身につく。

感想・レビュー・書評

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  • 田坂氏の本。
    哲学的思索により森全体をみる、。
    弁証法により、洞察力と予見力がみにつくとのこと。
    なかなか興味深い。さすがの一冊。

    行間が広めで、考えながら読みやすくて良い。

    メモ
    ・螺旋的発展の法則
     物事は螺旋的に発展するというもの。
     進歩発展と復活復古が同時に起こっているというもの
    ・何が一弾登ったのか、何が進歩発展したのか
     深く考える必要がある。
    ・未来進化と原点回帰は同時に起こる
     進化するとき、便利になった懐かしいものが
     復活してくる。
     または、懐かしいものが残りつつ、便利になっていく
    ・進化の本質は多様化。古いものは淘汰されることはあっても、必ずしもそうとは限らない。その結果世界はますます豊かな世界になっていく
    ・我々の人生の長さに比べ、
     世の中の変化が早くなった。
     そのため、局所的変化のみならず、
    螺旋的発展を目撃するように。
    ・ビジョンや戦略の陳腐化
     書を捨てよ街に出よ
    ・弁証法の使い方
     →何が復活してくるかを読む
     →そのために何が消えて行ったのかを見る
      合理的効率化の中で消えたものはなにか
     →なぜ消えていったのかを考える。
     →どうすれば復活できるのかを考える
    ・新しいものを古い眼鏡で見ると過ちになる。
     新しいものは新しい眼鏡でみる必要あり
     →いかなる形で新たな価値が付加されるか
      復活とともに何が付加されているか
    ・ある指標の量が一定の水準を越えたかを判断する
     には、キーワードが忘れられたか。
     インターネットといった言葉が日常化し、当たり前のものになったか。それが一つの目安となる。
    ・否定の否定による発展
    ・量から質への転化による発展
    ・対立物の相互浸透による発展
     争っているもの同士は互いに似てくる
    ・弁証法においては、対立し、争うかにまえる二つのものがある意味で互いに相手を内包していき、結果として両者が統合されていく。
    ・根底に存在する法則は、矛盾の止揚による発展の法則。物事は矛盾の止揚により発展する。
    全てのものごとには内部に矛盾が含まれるが、矛盾こそが発展の原動力になる。矛盾を機械的に解消するのでなく、弁証法的に止揚したとき、物事は発展する。
    ・割り切らないこと。矛盾を抱えて進めることこそが矛盾のマネジメント。
    ・矛盾を機械的な割り切りによって解消してしまうと矛盾とともに生命力や原動力も消えてしまい進歩や発展が止まってしまう。
    ・止揚とは、対立するように見えるものに対して、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することで高い次元のものに昇華していくこと。
    ・矛盾のマネジメントとは振り子をふること。二つの局を極端にふってみる。経営者の行うべきことはバランスを取るために振り子を振り続けること。
    ・割切りとは魂の弱さ。矛盾と戦い続けること。

  • 哲学のことはあまり詳しくない私であるが、ちょくちょく「アウフヘーベン」など哲学用語を目にすることがあり、少し調べてみた。副題の「ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える」に惹かれたのもある。本書の特徴は弁証法について基礎的なことを具体例を挙げて説明していることだ。正(テーゼ)と反(アンチテーゼ)があり止揚(アウフヘーベン)して合(ジンテーゼ)に至る思考方法が分かる。そして弁証法を活用した思考法とその先にある未来を見る方法を解説している。世の中の進化を螺旋階段に例えているのも分かりやすい。復活や復古と進化の階段を上がるのを繰り返すことが弁証法の肝なのではないかと理解した。2005年の著書なので若干例が古い感じがするが、そこは弁証法的思考でどのように世の中が進化してきたのかを検証する意味で腑に落ちる要因となる。

  • ■書名

    書名:使える 弁証法
    著者:田坂 広志

    ■概要

    ヘーゲルとは、ドイツの観念論哲学者、ゲオルク・ヘーゲルのこと。
    その「ヘーゲルの弁証法」と聞くと、多くの方々は、「高尚で難解
    な哲学だ」との印象を持たれるでしょう。
    そして、「だから、日々の仕事の役には立たない」と思われるで
    しょう。
    しかし、そうではありません。
    「ヘーゲルの弁証法」は、日々の仕事の役に立つのです。
    現実の問題に使えるのです。
    それも、弁証法のただ一つの法則を知るだけで、
    物事の本質が分かる「洞察力」
    物事の未来が見える「予見力」
    自然に思考が深まる「対話力」
    そうした実践的な力が身につくのです。

    この本ではそのただ一つの法則について、
    そしてその法則の使い方について、
    IT社会の未来をテーマに分かりやすく語りました。 
    (From amazon)

    ■気になった点

    ・「進歩、発展」と「復活、復古」が同時に起こる事が、螺旋的発
     展の法則である。

    ・まず「何が消えて行ったのか」を見る。そして「なぜ、消えて
     いったのか」「どうすれば復活出来るのか」を考える必要がある。

    ・物事は否定の否定により発展する。

    ・世の中の物事の多くは、ある量が一定の水準を超えると急激に
     質が大きな変化を遂げるという性質を持っている。

    ・物事は矛盾を認め固定することにより発展する。

    ・企業が抱える矛盾を機械的な割り切りにより解消してしまうと、
     同時に生命力や原動力も消えて、発展が止まってしまう。

    ・矛盾する2つの物の間で、バランスを取る事が大事である。

  • 19世紀ドイツの哲学者・ヘーゲルが提唱した弁証法には、4つの法則があるという。
    ①螺旋的発展の法則・・・物事は螺旋的に発展するという法則
    ②否定の否定による発展の法則・・・物事は否定され、さらにその否定によって反転するという法則
    ③量質転化による発展の法則・・・物事は量的な臨界点を超えると質的な転換を起こすという法則
    ④相互浸透による発展の法則・・・対立する物事は互いの性質が浸透することで発展するという法則
    この4つの法則によって、「時代を読むことができる」というのが本書のテーマだが、そもそも時代を読み続けることが本当に必要なのだろうか。
    その意味で、具体的に使えるのかどうかは、検討の余地がある。
    時として、時代が間違った方向に進むときがある。このとき、正しい螺旋の先にいたとしても、時代とマッチしない。
    時代を読むことよりも、大事なことがあるような気がしてならない。

  • その名の通り使えます。流行・ブームを冷静に眺められるでしょう。ヘーゲルと易経をつなげる進化論。分かり易い。

    ●時代の変化が早くなったので、今まで直線に見えていた進化の過程が、螺旋的な進化である事が分かるようになっている。懐かしいものが進化して出てきている。一度消えたものが復活してきている。
    ●ひとたび消えていったものが復活してくるとき、革新的技術や社会基盤の整備を背景に、何かが便利になって戻ってくる。螺旋階段を一段登ってくるように新たな価値が加わるという進化がそこにある。
    ●物事の内部には矛盾が含まれている。それは両者を肯定し、抱合し、統合し、超越することによって高い次元へと止揚していく「発展の原動力・生命力」。
    ●矛盾を割り切ることは魂の弱さ。割り切ることなく格闘する人は、魂の強い人。これが「器の大きな人物」という言葉の意味。

  • ・P87:第二章 弁証法を、どう使うか
    弁証法の「螺旋的発展の法則」を具体的に使うための思考の方法
    - 「螺旋的発展」において、何が「復活」してくるかを、読む。
    - 「合理化」と「効率化」の中で「何が消えていったのか」を、見る。
    - 「その段階」で、それが「なぜ消えていったのか」を、考える。
    - 「新しい技術や方法」で、どうすれば「復活」できるかを、考える。

  • 弁証法を理解するのに、大局観を養うのにとてつもない良書だった。
    弁証法の根源的な考え方やそこに紐づく法則
    ・事実の螺旋的発展
    ・否定の否定による発展
    ・量から質への転化による発展
    ・対立物の相互浸透による発展
    ・矛盾の止揚による発展

    事例をベースに解説されておりとてもわかりやすかった。
    また、全ての物事には矛盾が含まれその矛盾を解消するのではなく弁証法的に止揚した時に進化が生まれるというのは面白かった。

    例えば、「出社vsリモートワーク」、「プロ野球におけるベテラン起用vs若手起用」みたい事象も不満を解消するのではなく止揚することが大事なのだと理解した。

  • これは凄い本に出会った。ヘーゲルのアウフヘーベンを実際のビジネス、社会の予言に応用する。
    凱旋的発展。モノの味方が変わる。

  • シンプルな名著。

  • 既存の課題を見つけて改善する事のは当たり前だし、それを弁証法的と呼んでもいいけどそれで未来が見えるのは過剰では?
    螺旋階段などの用語に置き換えて、製品のライフサイクルの説明を本に出来る厚さに引き延ばしただけのペラい本に感じた。弁証法自体の知識も少なく、深読みも出来ていないのかイライラが募りました。

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著者プロフィール

シンクタンク・ソフィアバンク代表

「2023年 『能力を磨く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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