現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全: 脳が超スピード化し、しかもクリエイティブに動き出す!

著者 :
  • 東洋経済新報社
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本棚登録 : 2652
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492046869

作品紹介・あらすじ

【遂に出た!書籍・ネット・SNS・ニュース・有料メディアなど「読み方の最新全スキル」が1冊に!】
【「5分の集中」を重ねるだけ!スマホで「気が散る」時代の「全く新しい読み方」を初公開!】
【読めば、「断片的な知識・情報」を「知肉」に変えて、「思考力」につなげる秘訣がわかる!】
【「無意識」を武器にして、「新しいアイデア」が思いつきやすいコツまでわかる!】
【「本物の思考力」と「新しい発想力」が同時に身につく!こんな本が欲しかった!】

巻頭カラー、なんと20ページ!
「2000冊の仕事場の書棚」から「アイフォンのアプリ全一覧」まで、写真で公開!
ここだけ見ても面白い!

「読む力」&「考える力」&「書く力」&「アイデアの技術」
究極のメソッドが全部わかる最強の1冊!

この本で、スマホ時代に必要な「新しい読み方」を身につけ、「頭脳」と「人生」を、いっきに変えよう!

【本書で身につく「読む力」「考える力」「アウトプット」のスキル例】
★【ネット記事】毎日「400のサイト」「1000の見出し」に目を通す方法
★【ニュース】自分の頭で「深く読み解く」3つのステップ
★【SNS】これぞプロ!「ツイッター」のスゴい使い方、「LINE」の注意点
★【書籍】「知を立体化」する!難しい本も読める「メモアプリ」読書術
★【リアル書店】「書店員の目利き力+本棚の文脈」で、「いい本」に出会う
★【情報整理】「2つの保存」を使い分け、 集めた知識を「知肉」を変える
★【アウトプット】アイデアを思いつく秘訣、文章の書き方、メモの作り方
★【ツール】「雑務を徹底的に効率化する」最強アプリはこれだ

感想・レビュー・書評

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  • 積読本ですが、何のためにいつ買ったのかも覚えていなかったのですが、最近SNSを使い始めたので、中程までの情報はありがたいものでした。
    後半の本の読み方などは今まで読んできたもので十分だったのでメモは省略します。



    ツイッターとフェイスブックで毎朝八時に10本くらいのさまざまな記事を紹介している筆者が実践している「読む力のノウハウ」がすべて本書に書きつくされている。


    ・何よりチェックすべきなのは、インターネットでは専門家が書いている個人のブログや専門家が発信するSNS。
    ・読むことで得た「知識」「視点」を「知肉」にするのが最終目標。
    ・「世界観」を学んで、自分の「知肉」として育てていく→「読むことの最終的な目標」
    ・世の中を知る「入口」に「新聞」は使える。
    ・2020年代のツイッターはもはや「人間関係のSNS」ではなく完全に「情報収集のツール」として確立している。
    ・しっかりとした権威のあるウェブを見て、専門用語の意味をざっと知っておき、コメントに使われているかどうかで、その人が門外漢か専門家かある程度はわかる。
    ・さまざまな分野で「信頼できるツイッターのリスト」をつくっておくことができるようになれば、百人力どころか「万人力」「億人力」である。
    ・「あとで読む」アプリを使う。
    「ポケット(Pocket)」や
    「インスタペーパー(Instapaper)」
    「フィードリー」
    ・「ポケット」に入れた記事は、すべてアーカイブになる。
    ・「永久保存だ」と判断した記事は、さらに「メモアプリ」にも保存する。
    ・ネットが普及して、人の評判がすぐに広まる現代には「ギバー」のほうがうまくいく。
    ・ツイッターで記事を紹介しておくことで、過去に読んだ記事を見つけやすくなる。→「ツイログ(Twilog)」
    ・SNSで決してマウンティング(相手の優位に立とうとする行為)はしない。
    ・優れた書籍は、1冊の本の中だけで「アウトライン→視点→全体像」という流れを全部用意してくれている。
    ・読書を「勉強の本」「娯楽の本」と分けてバランスを考えるのではなく、勉強の本も娯楽の本もすべて「自分にとって楽しみな本」にインテグレーション(統合)してしまう。



    以下「本の読み方」「知肉」の育て方「脳をクリア状態にする「二刀流」のすすめ」「マルチタスクワーキングの秘訣」と続きますがメモは省略します。

  • そんなに深くはない。
    でも、佐々木さんの知の積み上げ方が覗けて興味深い。

    読書ペースが落ちたスランプの時期に読んだ。
    読了後、心持ち読書へのモチベーションが上がった気がするので、僕にとっては効果があった。


    ・スマホ時代は、「集中力が続かない」前提に立った「新しい読み方」「新しいアウトプットのやり方」が必要なのだが、気づいていない人が多い。
    ・集中力をつけるのは諦める。
    ・集中する短い時間を細やかにコントロールする「散漫力」を磨く。

    ・何かを読むことの目的は「たくさんの視点を獲得すること」
    世界観を学んで、自分の「知肉」として育てていく。それが読むことの最終的な目標
    ・たくさんあるメディアを分別し、それらを活用してニュースを読み解く「流れ」をつくり、「たくさんの視点」を獲得する。
    書籍を読むときには、読書メモから「概念」をつかみ、それを頭の中に置いておく。そこから「世界観」をスケッチし、自分の中の「知肉」にしていき、それをもとにして、たくさんのメディアの情報を、さらに深く読み解いていく。

    ・SNSによる分断で怖いことはエコーチェンバーに入ってしまうこと。同じような信念の人たちが閉鎖的な場所に集まり、お互い「そのとおりだ!」と言い合い一つの信念がどんどん増幅される。
    エコーチェンバー…「残響室」の意。音が壁などで吸収されず、いつまでも残り続ける特殊な実験室

    ・ツイッターは情報収集ツールとして優秀なSNS

    ・素晴らしい専門家であっても、おかしくなる人はいるし、逆におかしかった人が急に目覚めてまともになることもある。フォローして確認する必要がある。

    ・未読の本は増やしすぎないことが大切!←耳が痛い…

    ・「今読んで楽しい本」を読む。楽しいから「知肉」になる

    ・本の中で、抽象的で難しい部分こそ、丁寧に熟読する←これが、なかなかできないのですよ。だから「知ってるつもり」が増える

    ・「人間の頭」とコンピュータが協力し、苦手なところを補い合う。人間の頭は概念にするのが得意。コンピュータは記憶容量が無限大。

    ・コンピュータに保存されている情報は乱雑でかまわない。簡単に検索できる。

    ・「概念」と「概念」を結びつける(=新しいアイデアが舞い降りてくる)頭の中はきれいでまっさらにしておく)

    ・学びの本質は、さまざまな知識を自分の頭の中で「統合」していくこと。

    ・「ワークライフバランス」より「ワークライフインテグレーション(=仕事と生活をうまく統合する)」を目指すべし。

  •  本書は情報が誰でもすぐに手に入れられる。誰でもすぐに発信できる。そんな時代に上質な情報を的確に吸収する方法を教えてくれます。

     私は「最も正しい情報収集」とは新聞と本のことかなと思っていました。しかし、筆者が最も活用しているニュースのソースはTwitterと聞き驚きました。

     大切なのは楽に続けられる方法で、媒体にこだわるのではなく適切な情報を判断して正しい情報のみを吸収するということが大切だと述べられていました。確かに新聞が全て正しいわけでもないし、Twitterの情報がフェイクニュースばかりとも限りません。

     有限の人生の中で最適なインプットをするという観点において本書は最高の一冊だと感じました。

  • からビジネス書を手にとったときに最初にやるべきことは、その本が「どういうビジネス書なのか」をまず調べてみることである。
    ①「実用書系のビジネス書」なのか
    ②「自己啓発系のビジネス書」なのか
    ③「世界観系のビジネス書」なのか  

    この 3つに分類できれば十分である。   目の前の本がどの系列かを調べるのには、まずアマゾンの商品ページの説明を読み、それから書籍の「はじめに」と「目次」を眺めれば判断できる。」

    - [ ] 読書
    ここまで、ドストエフスキーの『罪と罰』を題材にして、
    ①気になるところを「メモする」
    ②メモから「概念をつかむ」
    ③概念を集めて「世界観をスケッチする」
    ④世界観から「知肉を育てる」  という 4つのプロセスを解説してきた。

    - [ ] 情報の扱い方
    必要なときに求める情報をすぐに取り出せるのであったら、それでもかまわない。  
    大事なのは、
    ・「情報」の置かれているところは乱雑でもかまわない
    ・「概念」と「概念」を結びつける頭の中は、きれいでまっさらにする  この二刀流である。

    情報の扱い方について概念という考え方が新鮮だった。

  • 冒頭に佐々木氏仕事場の写真がでています。2000冊の紙の本、本、本。Kindleの本棚、iPhoneのホーム画面、デジタルツールなど

    本書の目的は
    ・幅広い分野の情報をどうやって集めるか
    ・集中力が続かない、集中できないときの読み方
    ・アイデアの発想法、発想力                   です。

    結論は、「学び」の本質は、さまざまな知識を「統合」していくこと です。

    散漫な状態でどうよむか
    いろいろなメディアを通じてどう情報を取得して自分のための「知肉」にするかが、著者のメッセージかと思います。

    気になることは次です。

    ・アウトライン⇒視点⇒全体像 という順番の流れをつくる メモから世界観をつかむ
    ・一本の記事では「断片」しか理解できない
    ・「さまざまな視点」を得ることが読むことの目的
    ・たくさんの概念を集めると「世界観」をスケッチできる
    ・正解に見えるものは、たいていの場合は「後出しジャンケン」である
    ・情報ツールとしてはツイッターがおすすめ。情報収集ツールとして確立しているから
    ・戦闘的なものは無視して、いい情報だけを拾い集める
    ・中途半端な知識の人ほど、すぐに断言する
    ・記事の見出しは瞬発力勝負、記事の本文は、持続力勝負。スキマ時間をつかって記事を探して、じっくりと画面に向き合う
    ・よい情報とは、集約され網羅されている、そのテーマについて全体像をつかみやすい、こと
    ・散漫な状態で読むのもいい、集中していないときこそ、「舞い降り」(ひらめき)がやってくる
    ・「無意識の領域のコビトさんたち」が情報を整理するのを妨げない
    ・情報の整理、コンピュータの中は、乱雑でいい、頭のなかはすっきりと
    ・今読むべき本 
      読書スキル不足は、今の自分にあわない
      あっているかどうかは、冒頭の30頁を読んでみる
      向いていない、無理だとおもったら潔くあきらめる
      いま、読んで楽しい本を読む
    本の読み方
      気になるところには付箋をはる
      抽象的で難しいところは丁寧に熟読する
      感銘を受けたところは、短い覚え書も一緒に書く
      文献リスト、引用をもとに、広げていく読書
    名著難解本を読むコツ
      解説している記事、書評を読む
      アマゾンなどの商品ページでレビューをよむ
      平易な入門書、解説書を読む
      漫画版、映画版をよむ
    本をいつ、どこでよむか
      スキマ時間、長時間移動
      とにかく小刻みによむ

    目次は以下です

    はじめに
    序章 まずは現代の知的生産に必須の「5つの大前提」を知る
    第1章 まず「落とし穴」を見極め、「読むべきもの」を選別する
    第2章 ネットは「何を」見ればいいのか
    第3章 SNSをどう使いこなすか
    第4章 選んだ記事をどう読み、どう整理・保存するか。情報整理の方法。
    第5章 本は「何を」「どう」読めばいいか
    第6章 知識や情報を活用するカギは「2つの保存」を使い分けることだ
    第7章 脳をクリアな状態にする「二刀流」のすすめ
    第8章 散漫力を活用し「最適なインターバル」で仕事を回す!「マルチタスクワーキング」の秘訣

  • ツイッターでの毎朝のニュースキュレーションでもおなじみのジャーナリスト・佐々木俊尚さんによる情報の扱い方や仕事術の紹介本であり指南書です。著者自身がおこなっているネットメディアやSNS、書籍などからの情報の取り入れ方や整理の仕方、活用の仕方からはじまり、最適な仕事術の方法で締めくくられています。さまざまなノウハウが開陳されるばかりか、丁寧かつシンプルに解説されている良書でした。わかりやすいこと、この上ないです。

    最重要と思われるテーマは、「知肉」です。情報を摂取して得た知識・視点から概念をつかみ、たくさんの概念から世界観をつかむ。そして世界観から掴んでいくのが、自分なりの「知肉」なのでした。自分のものにした「知」という意味になります。

    ネットメディアには、浅く広く世の出来事を取り扱うものと、深く狭く取り扱うものがある。また、中立的か右や左に偏りがあるか、などの違いもある。このあたり、弁別がビシッと効いているのは、「さすがジャーナリスト」です。僕を含めて一般的な人は、「このメディアは過激な言葉を使うなあ」だとか、「あのメディアは政権がなにやっても常に批判してるなあ」だとか、尖りすぎて感じられる部分には比較的しっかりとその傾向を認識しはしますが、その他についてはあんまり考えないでぼんやりと各メディアの記事を読んでいたりするだけなのではないでしょうか? 本書を読んでいると、あまりにぼんやりとニュースに接していると、世の中がまったくクリアに見えてこないばかりか、自分自身が偏った見方に染まってしまう危険性があることに気付くことになりました。今後は気をつけて、できるだけ客観性を増した視座でさまざまなニュースに接していきたいです。

    メディアの持つ傾向を弁別するばかりでなく、著者はSNSの性質も看破しそれらを仕訳できていて、実際に使い分けをしているそうです。ツイッターは情報収集用、のように。

    SNSの章ではエコーチェンバーについても述べられていました。引用すると <エコーチェンバーは「残響室」という意味で、同じような信念や考え方を持つ人々が閉鎖的な場所に集まると、お互いに「そうだ!そのとおりだ!」と言い続けて、ひとつの信念ばかりがどんどん増幅されてしまうことをたとえている> つまり、考えや思想がエスカレートしていったり、ある意味では洗脳のように、その考えに取り憑かれてそれ以外の考えには見向きもできなくなってしまう。これはひとつの認知の歪みとも考えられると思うのです。認知の歪みには不安から逃げ続けるなどの行為が関係するといいますが、「そうだ!そのとおりだ!」というのは一種の不安からの解放で、その不安の解消の仕方は、もしかすると不安から逃げたり避けたりすることと似たような心理体験なのかもしれません。僕にはそんな気がします。

    そして、書籍の扱い方については、その読み方も含めて紙幅が多く割かれていました。著者は電子書籍派で、ほとんどはキンドルやタブレットなどで読んでらっしゃるようで、本書でも電子書籍をつよく勧めています。僕のほうは目が疲れやすいし、それこそ目で感じる紙のページの質感のようなものも好きだし、要するに紙の本派なので、このあたりは反発する気でがんばって読みました。ひとつ言うならば、それこそネットニュースの記事にあったんですが、電子書籍だと読解力が上がらないだったか発揮しにくいだったか、そのような内容のものを目にしたことがあります。電子書籍を読んだことはありませんが、パソコンなりスマホなりで文字を読むよりも、紙に印字されている文字を読んだほうが、中身が頭にじわっと浸みわたるように読める感覚はあります。ですから、読解力に差が出るっていうのはあるのかもしれないなあと思うところでした(真偽はわかりません)。

    本の読み方のほうについては、その「知肉」までのもっていきかたは、僕の今のやり方と似ていました。僕はこうやって記事化することで、要点のまとめや感想、印象に残った自分にとって大切な箇所などをインプットしたかたちでネットに保存します。自分の言葉でまとめたことですから、あとで読みなおしても、そのときの思考の道はたどりやすく、その本から得た最低限のエッセンスを取り戻しやすいです。取り戻すというか、頭の奥から呼び起こす、に近いでしょうか。そうやってはっきり呼び起こす必要のあるものもあれば、読書体験自体が(つまり著者の論理展開のしかたや発想などといったものが)自分に変化を及ぼしているものもあります。読書の面白いところのひとつはこういうところなのでした。
    本書では、「知肉」までの過程を客観的に言葉にしていて、ノウハウとしてはこれ以上ないくらいでした。著者がここで書いたことをまず踏まえて、10冊なり20冊なり、楽しみながらやってみたならば習慣のきっかけになるだろうし、それが続いていくと自分の知力にとってけっこう大きなことになることは、著者ならずとも、僕も受け合います。難しい本や相性の悪い本なんかは、「読むのが大変だー」となかなか先のページまで進まなかったりしますが、そういう過程だって楽しんでしまうんです。急がなくていいですから。そうしているうちに、読める範囲が広がるし、読める深度だって高くなります。

    最後の章、仕事術に関しては「マルチタスクワーキング」と名付けた、仕事を小さく分けて(重い仕事と軽い仕事にも分けて)少しずつこなしてく方法が述べられていました。これについても、僕のように介護しながらちょこちょこ何かをこなしたい人にもそれなりにフィットするやり方だなあと思いました。実際、こういう感じで原稿書いたり本を読んだりなどしてますから。ただ、ここまで意識的には考えていなかったところを意識化してアウトプットして共有財のようにしてくれたところが良いですよね。

    また、後半では無意識はすごいんだ、っていう部分があります。アイデアの出し方や、それこそ無意識下に知識と知識を掛け合わせて新たな知識を生みだして意識にのぼらせるなどをやってるんだっていう話です。無意識を有効につかう手段についても述べられていますが、僕はこれにもうひとつ、ぼうっとする時間や頭を真っ白にする時間も大事だと言っておきたいです。

    著者の佐々木俊尚さんには、ツイッターで彼のツイートに引用RTなどを返したときにRTしていただいたことがたびたびあります。その時々の僕の考え方を正面から取り上げてくれたようでうれしかったですねえ。取りあげてくれたということは読んでいただけたということで、なにがしか、僕の知が彼の「知肉」に影響を与えていたのならば、このネット時代で共有・シェアの時代でこそのある種のコラボレーションのように感じます。今回本書を読んでも最後のところで、僕が何度も書いてきた「自律や他律の話」と言い換えてもいいような話題でしめくくられていましたし、もしかすると、佐々木さんが目にするほんとうに数多くの情報源のうちのひとつに、僕のブログかツイッターかが数えられていることがあるのかもしれないなあ、なんて空想してしまいました。僕が考えを公開で書くのは自分のためにやってることでもあるし、ギバー(与える者)としてやってることでもあるし、誰かのなかで育ってほしいという願いもあります。それでも、なんでもかんでも書いてしまうと創作のネタに困ることになるので少しは我慢しないといけないのではないか、という方向にも傾いてはきているのですが。

    さて、良書だったので、おもしろかったで締めたいところではありますが、最後にひとつ(余計なことを?)書いておくことがあります。

    「人をけなしたりするマウンティング」はいけないと主張するところが出てきてその論調はもっともなのだけれども、他の部分を読んでいてけなされた気持ちになってしまう箇所が少しでてきたんです。

    「これ、けなしてるじゃない??」と思ったところは、たとえばこのふたつ。「一方的な視点だけで物事を判断し、『俯瞰して見ると』、と偉そうなことを言ってる人がいるが」「未読の紙の本を積み上げておいて悦に入る積ん読などという言葉があるが、そんなもの単なる自己満足でしかない」

    とくに後者はそれこそ一方的な視点だけで判断されているふしすらあります。僕はかなり積ん読するほうなので、刺激されてしまいました。たとえば「積ん読が増えた」と言っても、僕にしてみれば、雪が積もった、くらいの事実を述べているのとあまり変わりなく、時には喜びもするけれどそれだって、雪が積もって遊べるぞ、と喜ぶのとさして変わりがないのですよ。

    マウンティングって、それだけ根深い心理というものというか…………ですよね。自覚がないような意識の薄いところでやってしまったり、それこそなんでもないと思ってやってることが受け手によってマウンティングにされたり。扱いが難しくてセンシティブ。

    そういうところにひっかかりましたが、本自体の本筋はすごくおもしろい。ちょっとした瑕疵にめくじらを立てたみたいに見られかねませんが、「攻撃性を否定しつつも攻撃しているじゃないですか」的な感覚があって言葉にしてみました。友だちに「そこ、おかしいじゃないの」と指摘するようなノリです。

    (気持ちを隠したりソフトに表現したりしないといけないという文筆業の難しいところなんでしょうか。隠して論調に筋を通すのと、隠さないで矛盾があらわになるままなのと、どっちが誠実といえるものなのでしょうか……。人間っていう存在はいくつもの矛盾を頭にも心にも抱えているものなのだけれども。まあ、本っていうものとは距離感があるし、こういうことが出てきてもあんまり気にするものではないと思ってたいていは流してしまうのですが、そういう見て見ぬふりのベールを脱ぐときが気まぐれに生じたりするのでした。)

  • 本書のタイトルに言うように、「集中できない」は一種の「現代病」である。

    とくに、インターネット普及以前から成人していた50代超の人は、そのことを痛感していると思う。
    私もそうだ。ネットがなかった昔のほうが、読書や執筆、思索などに集中できた。いまは途中ですぐにスマホやパソコンをつい見てしまい、集中できない。

    ネット以前の時代を知っている世代には、ネットの影響による集中力低下が如実に実感できるのだ。

    この問題にいち早く警鐘を鳴らした好著が、ニコラス・G・カーの『ネット・バカ――インターネットがわたしたちの脳にしていること』(邦訳は2010年青土社刊/篠儀直子訳)であった。
    その中には、たとえば次のような一節がある。

    《ウェブ閲覧は、非常に集中的なマルチタスク処理を脳に要求する。このジャグリングのような作業は、作業記憶を情報であふれさせることに加え、脳科学者が「切り替えコスト」と呼ぶ負担をわれわれの認知に課す》

    《オンラインで絶え間なく注意をシフトすることは、マルチタスクに際して脳をより機敏にするかもしれないが、マルチタスク能力を向上させることは、実際のところ、深く思考する能力、クリエイティヴに思考する能力をくじいてしまう》

    私自身も物書きのハシクレとして、ネットの影響による集中力低下を深刻視していた。
    ゆえに、本書の《現代病「集中できない」を知力に変える》というサブタイトルを見て、即座にポチって予約したのである。著者の佐々木俊尚さんに対する信頼感もあったし(これまでに著書をわりとたくさん読んでいる)。

    つまり私は、“現代病「集中できない」を克服して、もう一度集中できるようになる秘策”を求めて、本書を買ったのだ。

    だが、本書には“集中できるようになる秘策”など書かれていなかった。逆に、“集中できない時代にふさわしいやり方で対応すればよい”と、いわば開き直る(笑)内容だったのだ。

    我々は無意識のうちに、「集中力はあったほうがよいに決まっている」という前提で考え、「集中力低下は由々しき問題である」と決めつけがちだ。
    著者はそうした思い込みから離れ、集中力低下を時代の必然と捉え、対応する方途を考えたのだ。

    そして、それは机上の空論ではなく、著者自身がジャーナリストとして大量のインプット/アウトプットをこなすなかで編み出した仕事術であった。

    のみならず、著者は集中力のなさを「散漫力」という価値として捉え直す。

    《あえて「散漫さ」を逆活用することで、じつは生産性を高めることができる》し、《「散漫力」を活かすことで、「無意識の領域のコビトさんたち」も素晴らしく働いてくれるようになる》(335ページ)メリットもあるというのだ。

    「無意識の領域のコビトさんたち」とは、我々によいアイデアやひらめきをもたらす無意識下の精神作用の謂(いい)である。
    そうした精神作用は、注意力が散漫になっているときのほうがむしろ生まれやすい、と著者は言う。

    なるほどたしかに、古来ひらめきが生まれやすいとされる「三上」(馬上・枕上・厠上)は、いずれも精神集中から離れた状態と言える。
    つまり、ひらめきが生まれるためには集中力はむしろ邪魔で、散漫力こそが必要なのだ。

    そのように、「集中できない」という「現代病」を逆手に取り、集中力を必要としない新たな知的生産術「マルチタスクワーキング」を提示し、さらに「散漫力」としての新たな価値を見いだした点が、本書の独創である。

    その「マルチタスクワーキング」のポイントを解説した最終章(第8章)こそが本書の白眉であり、独立した価値を持つ。

    では、それ以前の1~7章には何が書かれているのか?

    著者自身が《日々実践している「読むべき記事やニュースの集め方と読み方」「本の選び方・読み方」といったインプット術から、「情報整理術」「アイデアの発想法」「執筆やタスク処理」などのアウトプット術まで》が、つぶさに公開されている。
    要は、わりとフツーの“私の知的生産の技術”本である。

    古くは立花隆の『「知」のソフトウェア』や、山根一眞の『情報の仕事術』、近年では佐藤優の『調べる技術 書く技術』など、第一線でバリバリ仕事をしている書き手が知的生産の技術を開陳する本には、いつの時代も一定の需要がある。
    本書も、その列に連なる一冊なのである。

    著者は、過去の著作でもその一端を明かしてきた。
    たとえば、2009年刊の『仕事するのにオフィスはいらない』(光文社新書)では、一章を割いて仕事中の「アテンションコントロール」のコツが紹介されていて、とても参考になった。

    ただし、意外なことに、著者の知的生産の技術について《全部まとめて1冊でノウハウを公開するのは、本書が初めて》だそうだ。

    すでに述べたとおり、本書の最大の価値は第8章にあり、そこまでの1~7章にはあまり独創性がない。「知的生産の技術」本をよく読む人なら、「どこかで読んだような話」も多いだろう。

    それでも、さすがにITなどにくわしい人だけに、私にも参考になる点、取り入れたいノウハウがたくさんあった。
    「知的生産の技術」本としても一級品だ。

  • 読書好きを通り越して、活字を読んでいない時間に虚無感を感じてしまう自分にとって、こうした読書本は、読書家との貴重な会話の時間でもある。著者は本書において、読書を実用とか娯楽とかを分けぬ事の大切さや、知への強い「欲望」という表現を用いているが、こうした言い回しは良くわかる。私にとっては、目の前の認知からの逃避。死や人間関係の喪失感からの駆け込み寺の様な役割もある。

    翻訳にはDEEPLというツールが良いよとか、大紀元というウェブメディアは、法輪功が運営しているよなんていう情報も有益だ。

    電子書籍の方が紙よりオススメ、というのは価値観の異なる点。三島由紀夫が鼻につくという感想も頂けない。ただ、この辺は嗜好の話。agree to disagree で良いのだろう。私は紙も三島も好きだ。対極的だが、物凄く共感したのは、電子書籍だとページ数を意識しない読書が可能という点。終わりを意識しない事で、推理の結末を追い詰めない読書ができるし、永遠に続くような恍惚感も得られるのだろう。

    読み方は、人それぞれ。関わり方も、人それぞれ。

  • 本質からはずれてしまいますが、佐々木俊尚さんはシングルマザーである母が義父と再婚、四畳半一間での貧しい暮らし、しかも図書館通いが義父にばれて殴られたことが何度かあったそう。
    それでも早稲田の政経に入学(中退だけど)今こうして活躍されているんだなあ…と。私はこういう家庭に偏見をもっていましたので。

    「散漫力」(無理に集中しようとするのではなく、あえて「散漫さ」を逆活用することで、じつは生産性を高めることができるというもの)を活かすことで、「無意識の領域のコビトさんたち」も素晴らしく働いてくれるようになる、というのになるほど。
    一生懸命考えているときには何も浮かばないのに、離れて他の事をしだすと、ふっといいアイデアが舞い降りてくる。

    でもそのためには、集中しなくても「タスク」がはかどるようにする。
    そのために「マルチタスクワーキング」をすすめています。

    『スマホ脳』に書かれていたことと真逆のようですが、どちらも読んで納得。
    本の読み方などその他のいろいろも、私の固定観念から大きくはずれていて、新しい発見が多くて面白かったです。

  • 1. 自分の読書力をさらにレベルアップさせたくて読みました。

    2. 現代人は集中力が亡くなっていることが問題点として挙げられていますが、本書では、そこを逆手にとって考えております。読書と並行してメモアプリを使用したり、様々なアプリをあえて使ってみたりしております。現ぢ亜人の問題とされる「散漫力」を逆手に取ったからこそできるやり方が豊富に詰まっております。
    このように、本書では著者が実践している情報収集力を豊富に紹介しております。読書の中でも、どれか1つを実践するだけで自分の情報取集能力は格段と上がる1冊となっています。

    3.正直、メモアプリと連携して使うやり方が性に合わなくてずっと避けていました。しかし、著者も含め、一流の方は新しいテクノロジーを積極的に活用し、自分の生産性を日々上げております。ですので、私も「ポケット」や「NOTE」を使おうと思いました。
    また、私が印象的だったのは、情報は全て混ぜて考えることです。何かと○○用と分けてスッキリさせてしまいがちですが、そもそもアイデアは掛け算で生まれてくることが多いです。ですので、知識の結びつきをスムーズにできるようになるために、一度全部を混ぜて考えていこうと思います。

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著者プロフィール

ジャーナリスト

「2022年 『楽しい!2拠点生活』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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