なぜ日本は若者に冷酷なのか: そして下降移動社会が到来する
- 東洋経済新報社 (2013年11月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492223352
作品紹介・あらすじ
【目次より】
◆若者に冷たい社会 子どもにやさしい親 ~親依存社会がもたらす格差の拡大
◆生活レベルが親世代より低下する ~下降移動社会の到来
◆就職以外の選択肢がない学生たち ~大学の高校化が進んでいる
◆なぜ若者は恋人をつくらないのか ~消極化する男女交際のテコ入れが必要
◆投機化する教育 ~学歴を費用対効果で格付する
◆家族をやめるという選択肢の広がり ~近代家族イデオロギーの崩壊
若者の経済状況に比べれば、その親世代が恵まれているとはいえ、格差があることは確かである。親が早く亡くなった、親自体がリストラに遭った、親が離婚したなど、さまざまな理由で、親に若者を依存させる余裕がないケースも増えてきている。若者が強者だった時代、おおむね1990年頃までは、学校を卒業さえすれば、男女とも自立して生活ができる定職に就くことができた。しかし、今は、学卒後、定職に就けない若者が増えており、親にも頼れない場合は、不安定な職で自立して生活するしかない。その結果、ホームレスやネットカフェ難民、そして、生活保護を受ける以外にまともな生活をする手立てがない状況に追い込まれる。つまり、欧米で見られたようなアンダークラスの若者が増え始める。日本では、そのような若者が大量に出てこないのは、まだ親が面倒を見ているからであり、それができない親が増えれば、当然、日本でもアンダークラスの若者が増えることは必然である。 (本文より)
感想・レビュー・書評
-
なぜ日本は若者に冷酷なのか。
・持続可能なワーキングプアー対策として考えられるのは、流動的単純労働の必要性を認めた上で、それに従事する人々の生活の安定と、将来への希望をつなぐことでしかない。
低収入の非正規雇用者の生活水準引き上げのためのミニマムインカムの導入、非正規雇用者や自営業者にも適応できる失業保険、新卒一括採用慣行を変えていく必要など。そのための大きな制度的変更と消費税などによる国民負担が必要。
・女性が活躍しない国は財政赤字が拡大する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サラリーマンと専業主婦を基準として設計された年金制度。現状に合ってない年金制度を早く変えないといけない。
でも政府はそんなに簡単に変わらないし。 -
2023年に読んで発行年2013年が描く社会の変化を“確認”したのだが、社会ってものは自然とそうなっているわけでなく、それを選択した結果の姿なわけで、13年の選択が変わらずにそのまま23年の社会を作り続けている。
つまりその間に我々は社会の、制度の、思考の変化を望まず、結果として予想されたジリ貧状態を突き進んでいるわけである。
こういう読み方をして世の中を振り返る読書というのもある。 -
概ね著者に同意
-
社会
家族 -
希望格差社会でも出た、パイプライン崩壊(決まった進路が保障されない未来)など、使い古しも多い。
日本人が外人妻と結婚し、死後厚生年金を海外で受け取って豪華な暮らしをするっていうのは面白かった。それは結局現役の保険者からお金が出されているわけだけど。 -
最初は、斜に構えて読んだものの以外と面白かったです。が、新卒一括採用に関する誤解と、これが書かれた2013年とは社会情勢が相当異なっているので、その部分は違和感がありますが。
-
日本の社会構造への問題提起
-
いまひとつ題名に対する答えになっていないし、割と前からの主張で追加が少ないが、読みやすかった。