たった1%の賃下げが99%を幸せにする

著者 :
  • 東洋経済新報社
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レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492260920

感想・レビュー・書評

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  • 元富士通の人事部で成果主義人事の弊害を告発し、最近では若年層の多くが転職をしている事実を指摘した本がベストセラーになった城さんの近刊です。城さんが出られる講演会に行くことになったので事前に読んでみました。

    年功序列制度における中高年大企業正社員の優遇ぶりを示して、そこから生まれる正規社員と非正規社員の格差、新卒採用偏重の弊害を指摘する、というわりと先の暗い話が続きます。

    高度成長期から高齢化(少子化)と低成長という環境変化が生じ、かつてうまくいっていた年功序列終身雇用の制度疲労が起きているということについて、あらためて認識させられます。またそこから生まれる問題が"希望のなさ"、というのもなるほど了解できます。
    そこで、21世紀型人材、として自身のキャリアに対して「ビジョン」を持つことと、「何をやってきて、何ができるのか」について明確なものを持つことだと指摘します。

    少なくとも自分の立場は大企業正社員であるのですが、この状態がこのままあっさsりと続くとは思えないし、もし続いたとしてもそれは自分の子供たちにその分を負わせてしまうことなので、それでよしとするのも問題があるような気がします。能天気に借金をして持ち家を買ったのが悔恨の元になる日が来るのかもしれません。

    打開のための提案らしきことも書かれてありますが、説得力は薄いです。政治も含めたシステム的な問題なので、一旦瓦解するようなことにならないと修正が効かないのかもしれないですね。

    こういうのを読むと、やはり国家でも会社でも成長が七難隠すのかなと思います。うちの会社は...

  • 一貫して書かれていたことは「職能給から職務給へのシフト」です。つまり、「どこで何年働いたか」という終身雇用を基本とする考え方ではなく、「何ができるか」というその人が持つ能力を基本とする考え方に雇用形態をシフトすべきということです。

    仕事をしていて頭に入れておくことがあります。それは、「今鍛えている能力は他の会社に行っても使えるだろうか、Firm-Specific Skillになっていないだろうか」ということです。知財の仕事は、基本的に内向きにベクトルが働くと思っているので、油断すれば自社でしか使えないの力を鍛えることになりかねません。

    今お世話になっている会社に対して、辞めたくなるほどの不満があるわけではありません。しかし、どの企業でもそうであると思いますが、いつ転ぶかわからないのが現状です。そうなった時に生きていく術を身につけておく必要があります。

    今は「弁理士」という肩書きした備えていません。また、資格に見合う能力があるとは自分では思っておりません。今出て行けば野垂れ死ぬのが関の山でしょう。

    入社した時に思った目標があります。「5年間で今の会社に残るか別の会社に移るかを選択できるスキルを備える」です。3年目の折り返し地点を迎えた今、掲げた目標には遠く及ばないと思っています。「不景気こそ自分を磨けるチャンス」と思って日々研鑽を重ねます。

  • 言ってることは今までの本と同じで目新しさに欠ける
    正しいとは思うけどね・・・

  • 終身雇用、年功序列などの日本型雇用はもう限界がきた。
    正社員の既得権にメスを入れ、労働市場の流動性を高めるべきという、著者の主張。その通りだと思う。

    安倍政権下の「岩盤規制打破」を考える上でとても参考になった。

  • ・正社員は属人的な要素からなる年功賃金であり、非正規社員は仕事を基準とする賃金。日本の賃金決定は二重性である。

    ・日本の農業と企業の共通点→「希望のなさ」

  • "たとえば筆者の周囲には、書籍はもちろん、
    新聞もほとんど読まないという人間が割と多い。
    ハナからその気がないならともかく、
    本人たちは大企業の正社員で、
    中には最先発で幹部抜擢された人間もいるほどだ。
    聞けば彼らが知識を求めないのは「今は必要ないから」だという。
    現にそれがなくても、立派に業務をこなし評価もされているはないか、と。"

    (P80 第2章 「生き残る21世紀人材像」)


    「現にそれがなくても、立派に業務をこなし評価もされているはないか」
    という若年層の考え方に対して、
    大手企業での人事制度に携わった経験をもとに、
    著者はそれでは通用しないと指摘します。


    かつて、中国大使を務めたことがある、
    丹羽宇一郎さんさんの発言を引いて、
    それなりの待遇を受けたければ、
    「10年単位での知識と教養の蓄積」が必要であると、
    説いてます(P81)。


    管理人はこの「10年単位での知識と教養の蓄積」というのが、
    本書のキーワードであると感じています。

    http://a-e-dkmemo.blogspot.com/2013/02/199.html

  • 年功序列賃金制や終身雇用制に対する代替案が主な内容。

  • 主に、ブルーカラー系の職業に対して、賃下げ・賃金交渉(春闘)にまつわるお話をしている。

    労働組合が、一律の賃金交渉を行い、横並び的な要求をすることで、
    多くの軋轢を生んでいる問題を指摘する。

    年齢に対してこの賃金を要求すると労働組合が主張した場合、
    中途採用等で、高齢の人間を採用する場合、その年齢に満たす賃金水準以上でない限り採用はできない。
    たとえ中途採用の高齢の人間が、水準より低賃金で採用して構わないと主張しても、労働組合は特別扱いできない、呑めないのだ。

    すると、企業は高齢の労働者を採用する場合、年齢相応以上の、自社で通用する高いスキルの人材を横並びの賃金水準で雇用せざる負えなくなり、とても現実的なジョブマッチングができなくなる。

    優秀な人材は流れ、ふさわしい人材を雇う枷となり、企業の体力は削られていく。

  • 我々の職場でも、働く人の間の格差が広がっている事を感じる。ある意味派遣労働者として投入される技術者は、信じられないような低い報酬であり、またその技術が古くなると働く場さえ与えられない。一方、発注側は雇用だけは未だに守られてはいるが、技術の空洞化により自分に自信や希望がなく、精神的に不安定な人も多い。とても難しい問題だが、正規雇用という形態自体、撤廃した方がスッキリするのかも。

  • この方の本を読むのは3冊目ですが、一番これが第三者的に書かれていて面白かったかな。
    小泉改革が格差社会を作ったわけではない、という点が人材育成の観点や雇用制度の観点から簡潔にまとめられており、非常にわかりやすいです。
    そして、彼が言う変革も時代に求められているのは自明の理ですが、民主党政権ではそれもなかなか難しいのであろうということも。
    最終章は若干冗長なきらいがありましたが、タイトルほどのインパクトはないにしても、まぁ読んだ時間の価値だけはあるのではないでしょうか。

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