東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか

著者 :
  • 東洋経済新報社
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本棚登録 : 789
レビュー : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492261132

作品紹介・あらすじ

この本に登場する女性は、あなたの娘や妻かもしれない!

東洋経済オンライン2億PV突破の人気連載、待望の書籍化!

風俗で学費を稼ぐ女子大生、明日が見えないシングル派遣社員、子供たちの未来を奪うシングルマザー……、
貧困に喘ぐ彼女たちの心の叫を「個人の物語」として丹念に聞き集めたノンフィクション。

いま日本で拡大しているアンダークラスの現状が克明に伝わってくる。

感想・レビュー・書評

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  • テレビやネットニュースでしばしば、「若者の貧困」と言った特集が組まれる。世間の反応は往々にして厳しい。

    「家賃が高すぎる」「携帯代が高すぎる」「交際費はもっと減らせる」等々。

    残念ながら、かつての自分もそういった反応に同調的だったかもしれない。

    東京貧困女子にもそのような女性が登場する。

    本書の冒頭で、とある女子大生が登場する。彼女は部活の費用を払うために、風俗で働くことを選択する。

    自分はその心理が理解できずに驚いた。部活を継続するために、「体を売る」仕事に従事する…?

    でも、本書を読み進めるうちに、自分にかけられた呪いが解かれていく。

    自分はそんな心理なんて理解できなくても良い。

    ただ現実として、部活を継続するために風俗で働く人間が、この世にはいる。そして彼女たちは意にそぐわない労働をすることなく、理想の人生を叶えて然るべき。それが世の中のあるべき姿なのだと。

    マクロ的なレベルで、本書は自分の価値観を裏返してくれた。

    自分はいつからこんな負の感情に囚われていたのだろう。一体いつから、他人の貧困を責めるような癖がついてしまったんだろう。

    長い年月をかけて自分の意識に染み付いた、他責感情が溶けていった。

    僕らが目指すべきは、好きなことを好きなだけできる世の中。そんな経済的な豊かさを達成するべき。

    互いが互いの生活を非難するような風潮のなんと貧しいことか。そして自分もまた、無意識的とは言え、そんな風潮に囚われていた。そのことを決定的に気づかせてくれたから、「東京貧困女子」に出会えて良かった。自分もまたこの本によってある意味では救われたのだと思う。

    自分にできることを、少しずつやっていこう。

    (長くなってしまうので各論については省略。書評の全文については、書評ブログの方でどうぞ)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AE%E4%BE%A1%E5%80%A4%E8%A6%B3%E3%82%92%E8%A3%8F%E8%BF%94%E3%81%99_%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E5%A5%B3%E5%AD%90_%E4%B8%AD%E6%9D%91%E6%B7%B3%E5%BD%A6

  • とても苦しい。心が痛い。こんな現実がある事を知らずに生きてる自分が恥ずかしい。

    生きていくにはお金がかかる。
    学校に行くにしても、大学とか奨学金でって思うけど返済しなきゃいけないものだし。
    それを親が使っちゃうなんて信じられない。
    負のサイクル。そこから逃げるには相当の努力が必要。

    確かに離婚して女手一つで育てていくには厳しい。
    悲しいな。何かいい方法はないものなのか。

    体を壊すまで働かなきゃいけない現実。
    働き方改革なんて、ほんの一部だ。働かなきゃ生きていけないんだ。
    どうすればいいんだ。

  •  同じ世界の違う空間が、あちこちに口を開けて広がっている。
     この本を読んでも現実感が持てない人も多いかもしれないが、それは貴方が現実認識リテラシーがなく、そこらじゅうから発信されるこんな事実情報を繋ぎ合わせる想像力が欠如してあるからか、現実から閉塞せれた世界に生きているかのどちらかだ。
     ぽっかり口を開けた様な世界は、どんどん数を増し、もはやその世界の住人たちにとっては、同じ世界の違う層として共通認識され始めている。
     更に、これからこの『新コロナウィルス』が社会全体の変容にドライブをかけていく中で、もっとも先に著しく被害を被るのは、老人、基礎疾患保有者、そして貧困者という順番であろう。
     最低半年は続くこの『新コロナウィルス』が与える影響は人間の築いてきたここ数年の『社会の形に』大きな傷痕と、疑問を投げかける。
     そして、その疑問が反省、社会の再設計に生かされるまで、この本に取り上げられた『貧困女子』は姿を消して、新しい『貧困女子』が生まれていることだろう。
     
     “普通”と“貧困”はほんと紙一重のところにあることは知っておいた方がいい。恐ろしい現実だ。

  • 分量が多いので、読むのに時間がかかった。
    奨学金の恐ろしさを考えさせられた。奨学金はビジネスであり、返済を見据えて貸りることが大事だと思った。また、見えない貧困や非正規雇用などの社会問題を他人事だと思わずに、国や行政にもっと関心を持とうと思った。

  • 知らないことばかりで怖くなった。
    日本の制度はいったい誰のため??
    生活保護がすぐに貰えないってのは聞いてたけど、、
    介護業界も誰のための介護なんだか。

    奨学金も自分の考えてた物と意味が違っていた。
    大人は、学校の先生などは内容を知っているのか??
    日本は風俗業界のために奨学金制度を設けているのか??
    親がしっかりしていたおかげでわたしは学生の貧困にはならなかったが、中年の貧困はちょっと間違えたらすぐに陥る。
    気を付けよう。。

    この本のお陰で無知は怖いと知る。
    読めば読むほど日本が嫌いになってきている。

    これは首都圏だけの話し?

    精神を患わないように、
    介護離職しないように、
    国の制度をフルに活用しよう。

    あと、介護職には就かない。
    これは汚いものが嫌いだから絶対に選ばないと思うけど…
    忘れないように書いておく。

    この本は高校生から読むといいと思います。

  • 重さ一万トンのルポタージュです。実際に数多くの貧困女性にインタビューをした内容を纏めているので、頭でっかちな貧困論ではありません。それだけに読んでいて足が地面にめり込んで行くような重さの本です。
    現在女性や子供の貧困率が異常に多くなり、特に母子家庭の貧困率は50%を超えています。筋金入りの母子家庭出身者としては身につまされる事です。我が家は田舎から送られてくるお米で飢える事だけはなかったのが幸せでした。
    本書に出てくる女性達は、体を売っていたとしても特別な贅沢をして言うわけでは無く、数万円どうしても足りない生活費や学費を補うために売春という行為に走っていたりします。しかも売春の単価も下落して、それだけでは生活できなかったりと前では考えられないような状況になっています。
    色々な状況で生活が立ち行かない人々にインタビューしていますが、皆特別ではなく真面目にどうにか食べて行けるだけのお金を得る事を願っている人ばかりです。
    社会保障をどんどん減らし、色々なセーフティーネットを民間に委ね、行政そのものが非正規雇用を最安値で雇い更なる貧困を作っているというこの現状。貧困にあたる人達が一番最初に働き場所で選ぶのは「介護」。10数年前は成長産業と目されていましたが、今となっては精神をやられるまで人を使い潰す業種の最右翼となりました。この本の中でも劣悪な介護現場で精神をやられた人が幾人も出てきます。
    今後は海外から安い賃金で介護をする為に労働力が大量に流入します。待遇を改善するのではなく、全体の賃金をさらに下げようという所業です。
    しかも外国の人達だって日本で生活していくわけで、やはりブラックな環境で生活していく事になるわけで、それもまた人買いのような状況になっていくのではないでしょうか。楽しくない先の見えない生活が辛いのはどこの国の人だって同じですから。
    そんな重厚で精神的ダメージも大きい本です。これ、他人事ではありませんよ。

  • 誰でもいつでも貧困へ転落する可能性があることをむざむざと感じさせられた。女性ばかりが扱われた本だったが、現状を考えれば男性にもあり得る。日本の社会制度は、男性を家父長として専業主婦の女性と将来的に両親を養うための子供たちという家族構成が前提となっている。様々な家庭環境がうまれ、増えてきている現状、例えば「寡婦年金」の支給は女性に対してのみ(名前の通り)など、男女間の不平等はダイレクトに「レール」を外れた人々を攻撃する。本書内で書かれた「東洋経済オンライン」の記事に対して心ないコメントを残す人々は、自分が決して「貧困」へ落ちることがないという謂れのない自信を持っているのだろう。そういう自信が持てることが羨ましいし、恐ろしい。
    批判的に書かれていた現在の不足した制度だったが、活用できるか否かに生命線がかかっているというのも事実だ。知識は身を守る。貧困する人々が制度にアクセスできるための方法を確立することも重要だと感じた。

  • 平成に入って拡大した貧富格差。本書は東京の女性に絞り、現在置かれている状況と、それまでになにがあったのかを追及したルポだ。東洋経済オンライン「貧困に喘ぐ女性の現実」の記事を元に、書き下ろしの考察で現代の病根を抉っていく。そこで語られる悲惨な状況に目を背けたくなるが、地方の男性まで視野に入れればなんのことはない、自分も貧困層だったことに気付く。ほんの少し幸運だっただけで、そこに大きな差はない。なんらかの救済措置が、本当に必要な人に届くことを願う。

  • 東洋経済オンラインの人気連載を再構築してまとめた一冊で、本屋大賞2019年のノンフィクション部門ノミネート作品。現代社会における女性の貧困問題にフォーカスし、貧困に苦しみ生死ギリギリの生活を送っている女性たちのリアルな実情が赤裸々に語られている。その内容は本当に壮絶なものばかり。本人の自己責任とは言えないようなケースも多数あり、行政や現代社会の仕組みの犠牲者となっている場合においては、本人がどれだけ努力しても状況を変えることすら出来ない。ただただ暗い気持ちになるしかなかった。貧困問題は本当に闇が深い。

  • 年末休み中に読み続けた一冊。まるでザ・ノンフィクション二夜連続5時間スペシャルかと思った。
    重くて暗くて希望がなくて、明らかに年の瀬に読むようなものではなかった……が、それはそれで身に浸み入るものがあって良かった。

    東京で暮らす貧困女子たちの実態がインタビュー形式でまとめられている。
    大学生、風俗嬢、シングルマザー、介護士、保育士、非正規雇用。
    彼女たちのほとんどは明日を諦めている。「もう死ぬしかないですよね」とつぶやきながら今日を生きながらえている。
    親からの仕送りのない地方出身の単身大学生は、水商売か風俗をしなければ学生生活は送れない。奨学金という名のローンをフルで借りて、卒業したら明るいとは決して言えない日本の社会に出ていく。貧困は常にすぐそこにある。

    図書館司書の女性の話は我が身に感じてつらかった。
    民間委託がすすむ図書館の現場では、正規採用である公務員は数名だけで、あとはすべて年度契約の非常勤やアルバイトでまかなわれている。資格の必要な専門職とは名ばかりで、当の公務員は図書館にも本にも興味はなくただ辞令に従って配属されただけという有様だ。
    図書館で働く非正規雇用は、いくら条件が悪くても給料が安くても図書館で働きたい熱意のある真面目な人が大半を占めているのに、自治体にはただ使い捨てにされるだけ。
    いつになったら変わるのだろう。もう一生このまま、あるいはもっとひどくなる未来しか想像できない。

    また、介護士として働くシングルマザーの「ほんの少しつまずいただけで生活できなくなる」という言葉は、少しも大袈裟ではなくその通りなのだろうと思った。
    介護業界の抱える闇は深い。正社員でも低賃金、身体も精神も削られる過酷な仕事だ。でも貧困女性が最後に行き着くところは介護職しかないのかと思うととてもじゃないけど勘弁してほしい。

    読み終えてふりかえってもどこにも救いがなかった。この本を読んで感じた絶望を忘れたくない。明日は我が身と胸に刻んで、躓かないように、躓かないように、とにかく娘たちが自立するまではそういう風にしかもう生きられないのかもしれない。また、娘たちが成長してこれからこの混沌の世の中を生き抜いていくために、どのような術が必要なのか、母親として、同じ女として、ちゃんと示してあげられるようになりたい。

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著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場をフィールドワークとして取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)はニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネートされた。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)など多数がある。また『名前のない女たち』シリーズは劇場映画化もされている。

「2020年 『日本が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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