東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492261132

作品紹介・あらすじ

この本に登場する女性は、あなたの娘や妻かもしれない!

東洋経済オンライン2億PV突破の人気連載、待望の書籍化!

風俗で学費を稼ぐ女子大生、明日が見えないシングル派遣社員、子供たちの未来を奪うシングルマザー……、
貧困に喘ぐ彼女たちの心の叫を「個人の物語」として丹念に聞き集めたノンフィクション。

いま日本で拡大しているアンダークラスの現状が克明に伝わってくる。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    「コロナで苦しい生活が続くから、風俗に美人が入る」と言って炎上したのはナイナイの岡村さんだった。この発言がモラル的に許されるかはさておき、事実、貧困と風俗嬢の供給には相関関係がある。水商売を始める女性の大部分は生活苦による収入目当てだからだ。
    ただし、裸やセックスの価格は今や暴落の一途となっている。もう10年ほど前から、裸の世界は一般女性であふれ返っており、安い店の嬢はそれだけでは暮らしていけない。稼いでいるのはひと握りのスペックが高い女性だけなのだ。

    本書はそうした「貧困女性」を取り巻く現状を、当事者たちへのインタビューを通してまとめた一冊だ。本書で出てくる女性のほとんどが、生活費を稼ぐために水商売をしている。中には夜の生活が長く続いたため病気になり、社会復帰が困難になっている人もいるぐらいだ。

    夜の仕事をしている女性に対して、世間は非常に冷たい。内容がわいせつであることもそうだが、何より水商売は「金の亡者」のような印象があるからだろう。
    ただし、「やりたいことを全部やっているからお金がない」のか、「全てを我慢してもなおお金が足りないのか」は、大きく異なる。
    ほとんどの女性は後者に該当する。例えば、冒頭に出てくる国立医大生の広田さん。彼女は高学歴でかつ美人だが、学費と東京での生活費の高さに圧迫され、勉強や部活に手が付けられていない。かといって時給1000円程度のアルバイトでは、ほんの足しにしかならず、貴重な時間をさらに無駄にするだけだ。そんなとき、「生きるために稼ぐ手段」として、「風俗」や「パパ活」が真剣に候補に上がってくる。

    彼女に対するネットコメントは辛辣だ。「何で部活を辞めないのか」「部活と売春を天秤にかけて部活を選ぶなんてどうかしている」「自己顕示欲による軽率な行動だ」……。多くの人は彼女が「既に持っている女性」で、そこに+αが欲しいから水商売していると思っている。そして彼らは口々にこう言うのだ。「それって『貧困』なのか?」と。
    だが、学生生活に必要なお金はあまりに多い。使える時間はあまりに少ない。その中で「効率的にお金を稼ぐ」という選択がベストなのは当然だ。もし風俗を嫌ってコンビニのアルバイトなどを選べば、それこそ真の貧困に落ちてしまうだろう。真っ当に働いて餓死するか、なりふり構わずカラダを売るか。選択肢の少ない学生がどちらを選んでも不思議ではない。

    性風俗の中には、「自分の欲しい物が買えるようになる」という触れ込みのバイトが多い。そして、多くの男性はそれが目的だと誤解している。
    だが、事情はそう単純ではない。彼女たちは「生きるため」にカラダを売っている。そして、水商売から卒業しても貧困の土台は変わらない。彼女たちは悪循環から抜け出せないまま、また貧困に落ちていくのだ。

    ――取材から明確に見えてきた未来は、終わりのないさらなる下り坂と、それにともなう苦しみ、目の前の人々が憎しみ合う分断だ。 たまたま転落することなく生き残った中流以上の人々は、離婚や養育費未払い、奨学金利用などの些細なキッカケで貧困に転落した人々に自己責任の暴言を浴びせかけ、これからもっと貧富、世代、男女で苛烈な分断がはじまる。そして、延々といがみ合って罵り合ってさらに沈んでいく。
    ――――――――――――――――――――――――――

    【まとめ】
    1 安くなるカラダ
    裸の女性たちの取材は、ずっと東京を舞台に行ってきた。 貧困問題のフィールドワークという自覚はないながら、「もしかして日本はおかしくなっているのではないか?」と、うっすらと違和感を抱くようになったのは2006~07年あたりからだ。
    裸どころかセックス映像を世間に晒して売る、というリスクの高いAV女優に「出演料が安すぎて、とても普通の生活ができない」という層が現れた。競争が起こるようになって出演料と撮影の数が減り、東京の高額な家賃に圧迫されて生活が苦しいという状態からはじまって、現在は自分の生活が支えられるのは上位の一部というところまで追い込まれている。
    2000年代半ばから援助交際や売春の代金も本格的な下降の一途となった。カラダを売りたい女性が急増したために、価格が急降下したのである。

    貧困は生まれや育ち、家庭環境、健康状態、雇用、政策や制度、個人や配偶者の性格、人格などなど、さまざまな要因が重なって起こる。現実は十人十色、それぞれである。問題解決の糸口を見つけるには、個々の生活をつぶさに見ることで真実を浮かび上がらせるしかない。


    2 学費を稼ぐために体を売る
    パパ活をしてお金を稼ぐ、国立医大生の広田さん。相手の男性に身元がバレるのが恐ろしいので、男性とはすべて偽名で接している。大学名やプライベートのことは、すべて噓をついている。お金のことで悩む、掲示板に書き込む、知らない男性とやり取りする、食事をする、セックスする、噓をつく、また不安で悩む、パパ活のすべてがストレスとなっているようだった。
    「お金のためだけにやっていることです。だから、プライベートに入ってこられるのが怖い。結び付きが強くなるのは、ちょっと嫌だなって。だからパパといっても、すごく中途半端な感じ。あと大学1年の夏休みから風俗もやっています……。歌舞伎町のハンドヘルスです。」
    彼女は絵に描いたような優等生であり、現在もこれまでも周囲には優等生しかいない。学業以外の知識や情報がないのと、また割り切りや柔軟性がないので、違和感ある行動をしている自分を責めていた。彼女はアンダーグラウンドであるパパ活も性風俗も、まったく向いていない。本来は歌舞伎町など歩くのさえもやめたほうがいい、といった女の子だった。

    「彼氏に対しては、バレなきゃいいって。社会のことはまだよくわからないけど、お金を持っている人は持っているじゃないですか。まわりはみんな親からお金をもらえて、恵まれている。けど、私は普通にお金がない。そういう星の下に生まれたのだから、風俗で働いてお金をもらっても、それは仕方ないことなんじゃないかって」

    裸やセックスの価格は世の中のデフレに最も巻き込まれている。価格は暴落の一途となっている。最も旬な年齢である現役女子大生といえども、3万円は相対的に「上の下」な価格である。
    彼女の記事が東洋経済オンラインに掲載された後、数日間に及んで、続々と辛辣なコメントが書き込まれた。彼女の「学生生活に必要なお金が足りない」という悩みに寄り添う意見はほとんど見当たらず、基本的にカラダを売っている行為を誹謗中傷する意見がほとんどだった。


    3 親の借金を返すために体を売る
    親の借金を返すために風俗で働く、有名女子私大3年生の小倉くるみさん。筆者の「10年後、どうなっていると思う?」という質問にこう答えた。
    「暗い話ですけど、たぶん自殺していると思います。将来のことはよく考えるけど、幸せな自分は当然、生きている自分の姿も想像つかない」

    貧困家庭や不遇に育った女性ほど、自分のために合理的に稼ぐより、人の役に立ちたいという意識を持って低賃金の福祉系職に就く傾向がある。簡潔にいえば、親からの仕送りのない地方出身の単身大学生は、水商売か風俗をしなければ、学生生活は送れないということだ。彼女のように経済的な苦境に陥る女子大生は、膨大に存在している。男子大学生もまったく同じだ。


    4 カラダを売ったことで生活が壊れた
    学費と生活費に追われて、貧困に苦しむ現役女子大生。そのうちのひとり、山田詩織さん(仮名、24歳)は、現在、アルコール依存症で関東近郊の精神病院に入院している。

    「カラダを売る自分はダメな人間だ、という感覚はなかった。ただ、夜の世界で仕事をしたことが、自分の中ですべてになってしまった。夜の仕事をしたことで大学に通えたし、留学もできた。お金がないっていう精神的な苦痛もなくなった。風俗が自分にとって、単なるお金を稼ぐための手段という以上の存在になって、自分が将来やりたいことを叶えていくための一時的な拠り所って方向には向かなかった。夜の世界が私の居場所になった」

    女性がカラダを売る仕事に就くキッカケはほぼ100%が経済的な問題であり、もう10年ほど前から、裸の世界は彼女のような一般女性であふれ返っている。いま夜の世界の女性たちに、かつてのような過剰な消費を繰り返して破綻したり、闇金に手を出してやむをえず風俗で働いたりするというケースは数少ない。ほとんどの女性は月3万~5万円程度のお金が足りなくて、その選択をしている。


    5 国と企業が貧困を作り出す
    奨学金制度は貧困家庭の子どもも高等教育の機会が与えられるように、という建前だ。しかし、逃げ場のない貧困家庭の子どもに自己破産相当の負債を背負わせて、高等教育を活かして貧困の連鎖を防ぐどころか、決して少数ではない学生をさらなるマイナスに向かわせているのが現実である。

    貧困女子大生たちの話から見えるのは、そこに転落する原因は親が低収入、親の離婚、親の虐待、経済的虐待などで、国の制度や中高年世代の無理解、自己責任論がその状況の悪化に拍車をかけていた。

    企業は人件費圧縮のために女性を中心に雇用をどんどん正規から非正規に置き換えている。最低賃金の基準があってフルで働いているので貧困までいかないが、賞与もなく、昇進や昇給は望めず、長期的展望は見えようがない。現在、女性の非正規雇用率は55.5%と全体の過半数を超えてしまっている。

    官製ワーキングプアとは地方自治体の役所や公共施設などで臨時職員、非常勤職員という形で雇用されている労働者のことだ。また低賃金が社会問題になっている介護職や保育士なども、賃金のおおよそは制度設計している国が決めるので官製ワーキングプアの範疇となる。介護や貧困の取材をしていると、国の意図や意向は透けて見えてくる。正直なところ、国や行政の公務員以外の職員には、お金を払うつもりはまったくないといえよう。公的事業を手伝ってくれる国民や市民を貧困層として生活させようという自覚があって、意図的に労働者を貧困ギリギリのラインに落とし込んでいる。

    貧困を測る指標として「絶対的貧困」と「相対的貧困」がある。絶対的貧困は衣食住にも不自由して餓死を想定にいれるような絶対的な貧困状態のことをいう。先進国では一般的に「相対的貧困」が貧困の指標として使われている。相対的貧困は「世帯の可処分所得を世帯人数で割って算出した金額が全人口の中央値の半分未満」という定義である。厚生労働省「国民生活基礎調査」での可処分所得の中央値は244万円だった。その半分なので年122万円未満で生活する人は、相対的貧困に該当、貧困であるという判断がされる。
    日本の貧困はOECD加盟国の中で7番目に高く、国際的には貧困化が進んでいる国という評価だ。

    シングルマザーの貧困は簡潔にいえば、お金が圧倒的に足りないことがすべての原因だ。実家からの支援がない、非正規雇用しか就けないひとり親世帯の母親が、元夫に養育費の支払いを拒絶されるともう致命的だ。女性が男性並みに稼げれば、長女が高校進学を拒絶するような深刻な貧困には陥らない。

    取材から明確に見えてきた未来は、終わりのないさらなる下り坂と、それにともなう苦しみ、目の前の人々が憎しみ合う分断だ。 たまたま転落することなく生き残った中流以上の人々は、離婚や養育費未払い、奨学金利用などの些細なキッカケで貧困に転落した人々に自己責任の暴言を浴びせかけ、これからもっと貧富、世代、男女で苛烈な分断がはじまる。そして、延々といがみ合って罵り合ってさらに沈んでいく。

  • 貧困は婚姻率の低下即ち少子化や社会の不穏化を招来する深刻な問題です。大学生や児童を抱えたシングルマザー、中高年の単身女性など様々なステージの貧困事情をルポしています。親の所得の低下により充分な仕送りが得られず奨学金に頼る大学生が増えています。また、離別により再就職する場合の非正規雇用の低賃金問題、中高年では更に就職難が加わります。ルポに主観的な表現があったり、データや事例に偏りがあってレポートの価値を下げていますが、貧困は間違いなく放置してはいけない問題です。今の資本主義は富の再分配が全くうまくいっておらず、自助>共助>公助などと言って、貧困を自己責任にしていますが、むしろ制度的問題に起因する罪が大きいと知るべきです。

  • テレビやネットニュースでしばしば、「若者の貧困」と言った特集が組まれる。世間の反応は往々にして厳しい。

    「家賃が高すぎる」「携帯代が高すぎる」「交際費はもっと減らせる」等々。

    残念ながら、かつての自分もそういった反応に同調的だったかもしれない。

    東京貧困女子にもそのような女性が登場する。

    本書の冒頭で、とある女子大生が登場する。彼女は部活の費用を払うために、風俗で働くことを選択する。

    自分はその心理が理解できずに驚いた。部活を継続するために、「体を売る」仕事に従事する…?

    でも、本書を読み進めるうちに、自分にかけられた呪いが解かれていく。

    自分はそんな心理なんて理解できなくても良い。

    ただ現実として、部活を継続するために風俗で働く人間が、この世にはいる。そして彼女たちは意にそぐわない労働をすることなく、理想の人生を叶えて然るべき。それが世の中のあるべき姿なのだと。

    マクロ的なレベルで、本書は自分の価値観を裏返してくれた。

    自分はいつからこんな負の感情に囚われていたのだろう。一体いつから、他人の貧困を責めるような癖がついてしまったんだろう。

    長い年月をかけて自分の意識に染み付いた、他責感情が溶けていった。

    僕らが目指すべきは、好きなことを好きなだけできる世の中。そんな経済的な豊かさを達成するべき。

    互いが互いの生活を非難するような風潮のなんと貧しいことか。そして自分もまた、無意識的とは言え、そんな風潮に囚われていた。そのことを決定的に気づかせてくれたから、「東京貧困女子」に出会えて良かった。自分もまたこの本によってある意味では救われたのだと思う。

    自分にできることを、少しずつやっていこう。

    (長くなってしまうので各論については省略。書評の全文については、書評ブログの方でどうぞ)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AE%E4%BE%A1%E5%80%A4%E8%A6%B3%E3%82%92%E8%A3%8F%E8%BF%94%E3%81%99_%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E5%A5%B3%E5%AD%90_%E4%B8%AD%E6%9D%91%E6%B7%B3%E5%BD%A6

  • とても苦しい。心が痛い。こんな現実がある事を知らずに生きてる自分が恥ずかしい。

    生きていくにはお金がかかる。
    学校に行くにしても、大学とか奨学金でって思うけど返済しなきゃいけないものだし。
    それを親が使っちゃうなんて信じられない。
    負のサイクル。そこから逃げるには相当の努力が必要。

    確かに離婚して女手一つで育てていくには厳しい。
    悲しいな。何かいい方法はないものなのか。

    体を壊すまで働かなきゃいけない現実。
    働き方改革なんて、ほんの一部だ。働かなきゃ生きていけないんだ。
    どうすればいいんだ。

  •  同じ世界の違う空間が、あちこちに口を開けて広がっている。
     この本を読んでも現実感が持てない人も多いかもしれないが、それは貴方が現実認識リテラシーがなく、そこらじゅうから発信されるこんな事実情報を繋ぎ合わせる想像力が欠如してあるからか、現実から閉塞せれた世界に生きているかのどちらかだ。
     ぽっかり口を開けた様な世界は、どんどん数を増し、もはやその世界の住人たちにとっては、同じ世界の違う層として共通認識され始めている。
     更に、これからこの『新コロナウィルス』が社会全体の変容にドライブをかけていく中で、もっとも先に著しく被害を被るのは、老人、基礎疾患保有者、そして貧困者という順番であろう。
     最低半年は続くこの『新コロナウィルス』が与える影響は人間の築いてきたここ数年の『社会の形に』大きな傷痕と、疑問を投げかける。
     そして、その疑問が反省、社会の再設計に生かされるまで、この本に取り上げられた『貧困女子』は姿を消して、新しい『貧困女子』が生まれていることだろう。
     
     “普通”と“貧困”はほんと紙一重のところにあることは知っておいた方がいい。恐ろしい現実だ。

  • 分量が多いので、読むのに時間がかかった。
    奨学金の恐ろしさを考えさせられた。奨学金はビジネスであり、返済を見据えて貸りることが大事だと思った。また、見えない貧困や非正規雇用などの社会問題を他人事だと思わずに、国や行政にもっと関心を持とうと思った。

  • 知らないことばかりで怖くなった。
    日本の制度はいったい誰のため??
    生活保護がすぐに貰えないってのは聞いてたけど、、
    介護業界も誰のための介護なんだか。

    奨学金も自分の考えてた物と意味が違っていた。
    大人は、学校の先生などは内容を知っているのか??
    日本は風俗業界のために奨学金制度を設けているのか??
    親がしっかりしていたおかげでわたしは学生の貧困にはならなかったが、中年の貧困はちょっと間違えたらすぐに陥る。
    気を付けよう。。

    この本のお陰で無知は怖いと知る。
    読めば読むほど日本が嫌いになってきている。

    これは首都圏だけの話し?

    精神を患わないように、
    介護離職しないように、
    国の制度をフルに活用しよう。

    あと、介護職には就かない。
    これは汚いものが嫌いだから絶対に選ばないと思うけど…
    忘れないように書いておく。

    この本は高校生から読むといいと思います。

  • 重さ一万トンのルポタージュです。実際に数多くの貧困女性にインタビューをした内容を纏めているので、頭でっかちな貧困論ではありません。それだけに読んでいて足が地面にめり込んで行くような重さの本です。
    現在女性や子供の貧困率が異常に多くなり、特に母子家庭の貧困率は50%を超えています。筋金入りの母子家庭出身者としては身につまされる事です。我が家は田舎から送られてくるお米で飢える事だけはなかったのが幸せでした。
    本書に出てくる女性達は、体を売っていたとしても特別な贅沢をして言うわけでは無く、数万円どうしても足りない生活費や学費を補うために売春という行為に走っていたりします。しかも売春の単価も下落して、それだけでは生活できなかったりと前では考えられないような状況になっています。
    色々な状況で生活が立ち行かない人々にインタビューしていますが、皆特別ではなく真面目にどうにか食べて行けるだけのお金を得る事を願っている人ばかりです。
    社会保障をどんどん減らし、色々なセーフティーネットを民間に委ね、行政そのものが非正規雇用を最安値で雇い更なる貧困を作っているというこの現状。貧困にあたる人達が一番最初に働き場所で選ぶのは「介護」。10数年前は成長産業と目されていましたが、今となっては精神をやられるまで人を使い潰す業種の最右翼となりました。この本の中でも劣悪な介護現場で精神をやられた人が幾人も出てきます。
    今後は海外から安い賃金で介護をする為に労働力が大量に流入します。待遇を改善するのではなく、全体の賃金をさらに下げようという所業です。
    しかも外国の人達だって日本で生活していくわけで、やはりブラックな環境で生活していく事になるわけで、それもまた人買いのような状況になっていくのではないでしょうか。楽しくない先の見えない生活が辛いのはどこの国の人だって同じですから。
    そんな重厚で精神的ダメージも大きい本です。これ、他人事ではありませんよ。

  • 貧困

    決して他人事ではない
    以前お付き合いしていた女性に
    2人の子持ちシングルマザーがいたが
    彼女も金銭的な苦労は絶えないと言っていた

    元夫からの養育費は途中から支払われなくなり
    国からの支援金も微々たるもの
    自分の洋服などはもう何年も買えていない

    交際中はよく子ども達も連れて食事に行っていた

    価値観の違いなどにより
    その女性とは別れてしまったが
    その後は元気にやっているだろうか

    この国は一度貧困に陥ると
    普通の生活水準まで戻すのがとても困難だ

  • 自分は男性で公立中高、私大、就職と流れてきたが、このような貧困を直視する場面は少なかった。富裕層ではないにしろ中間層で育った。あることはうすうす気づいてたが直視できなかった。いや、直視しようと思うことすらなかった。

    よく考えれば本書で扱う貧困は誰でも陥りやすい。高卒女性の平均初任給が16万と少し、さらにここから昇給することもあまりない。まさに子どもを授かり、離婚したら終わりになる。

    度々、貧困の親から子へのループを強調しているが、子がこれを断ち切るには家族を見捨てるしかない。一度、手を貸すとまた貧困に引きずり込まれてしまう。優しさや思いやりのような部外者の安い言葉では処理しきれない。

    国家制度の問題はこれをテンプレート化させて、負のスパイラルの深く深くへ落とし込む。令和になり、テクノロジーがどれだけ進歩してもそれは別次元の話だ。暗い気分にさせるけど、別次元の世界があるということ、そこで生きているのも同じ日本人であるということを知らなければいけないと思った。

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著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場でフィールドワークを行い、執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、過酷な現場の話の傾聴を続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)は2019年本屋大賞ノンフィクション本大賞にノミネートされた。『新型コロナと貧困女子』(宝島社新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『日本の風俗嬢』(新潮社)、『女子大生風俗嬢』(朝日新聞出版)、『職業としてのAV女優』『ルポ 中年童貞』『AV女優消滅』(幻冬舎新書)など著書多数。また「名前のない女たち」シリーズ(宝島社)は2度の劇場映画化もされている。

「2022年 『悪魔の傾聴 会話も人間関係も思いのままに操る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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