ヤバい経済学 [増補改訂版]

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492313787

作品紹介・あらすじ

アメリカに経済学ブームを巻き起こし、170万部のベストセラーとなった話題の書。若手経済学者のホープが、日常生活から裏社会まで、ユニークな分析で通念をひっくり返します。犯罪と中絶合法化論争のその後や、犬のウンコ、臓器売買、脱税など、もっとヤバい話題を追加した増補改訂版。

感想・レビュー・書評

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  • 雑にまとめると私たちが持っている先入観をデータで打破するというストーリーである。つい最近流行っていた『ファクトフルネス』の経済学(社会学)版といってもいいだろう。直前に『ファクトフルネス』を読んでいたこともあり、本書の冗長さがどうしても気になった(『ファクトフルネス』の書き振りがやけにさっぱりとしているのもあるが)また本書で取り上げられている事柄もあくまでアメリカ社会がベースとなっているため、第1章の先生の話と相撲の話以外は日本人にはいまいち頭に入ってきにくい気がする。

  • 一応社会問題に関する様々な興味深いデータを元に、経済学を論じた本です。

    たとえば90年代のN.Yの犯罪の減少は、当時のジュリアーノ市長が行った、警官増員や貧しい家庭の子供にも十分な教育を受けさせたりっていう対策が功を奏したというのではなく、
    それよりもっと以前の30年前に施行した中絶合法化が根本的な解決につながったという話。

    つまり貧しい家庭のお母さんが子供を育てるための十分な経済力がなかったとしても、30年前までは中絶が合法化されてないために、生みっぱなしのほったらかしで、親の庇護を受けることもなく育った子供たちが犯罪を起こすケースが多かった。
    そしてその世代の子供たちが大人になり妊娠し子供を産むと、残念ながらその悪い循環は繰り返されてしまうという現実があった。

    とか、

    それ以外には、相撲の八百長問題について。
    一場所15日のなかでの7勝力士が勝ち越しをかけて対戦する場合、確率からとらえた場合の勝率の不自然さでいうと、八百長はかなりの頻度で行われていたんじゃないの?
    みたいなことなど。

    経済っていうから、ちょっと身構えてしまうんだけど、
    物事の見方の視点を変えてみると、いろんなことが見えてくるよ。ってことを著者は言いたかったんでしょう。

    訳本だしこういうのを読み慣れない自分はイマイチ頭に入ってこない部分もあったけど、新鮮味があっておもしろかったです。

    続編の超・やばい経済学も注目。

  • 重厚な見た目と経済学という取っ付きにくそうなタイトルの印象とは異なり、読み進めやすい作品であった。一貫したテーマは無さそうであるが、各章とも世の裏側を探究している、という点で一貫している。裏側を見ることで、自分がいかに固定観念を持って生きているか、ということを実感した。
    最も印象的な章は、アメリカで犯罪があるときから減少し始め、その原因を探るところである。
    中絶認可が他の要因よりも圧倒的にそれに寄与しているなど中々思わないし、想像することはないだろう。(最終的に中絶をどのように捉えるかという問題は棚に上げた上で。)

  • 2007年当時のベストセラー。世の中、身近な事象を、インセンティブの考え方と、統計を用いて解き明かす。
    力士が八百長をしているか?犯罪者が減った真の理由、効果的な子育てとは?などなど。でも、いまではもうビッグデータとかAIで、因果関係ではなく相関関係で物事を把握することが一般的になってきているので、もうさほどの驚きはない気がする。
    ブログなどの記事も追加した増補版ですが、よほどハマった人以外にはこれは不要かな。

  • 経済学と言うよりは統計に近い。
    ドキュメンタリーのような推理がなかなかに面白い。

  • 経済的・社会的・道徳的インセンティブを軸に、経済学を日常の事象(日本では日常でない)から考察・検証し、分かりやすく説明している。さすがベストセラー作品。最近話題の「識学」に通ずるものがある。普通に面白い。

  • ティム・ハーフォード、かーらーの→Wスティーヴン。
    ティムの文章もなかなかに達者だと思っていたが、さすが本職のもの書きは格が違う。ミリオンセラーも納得である。
    ネタ部分は共著のもう一方、本職の経済学者によるもので、こちらもさすが。「数字は苦手」と言い放つ新進気鋭、当代一流の経済学者は、経済学の新しい側面を見せてくれる。

    読了日未記録

  • 「銃とプール、子供にとって危険なのはどちらか」などの身近なテーマについて統計データを読み解いていくという本。常識的に考えた場合とは異なる結果も多く、サブタイトルにあるような「世の裏側を探検」している気分を味わうことができる。どちらかというと雑学的な内容なので、高校で経済を学ばなかった方でも気軽に楽しめると思う。
    (機械科学科 B4)

  • ■『ヤバい経済学 [増補改訂版]』読了 ★4つ
    昔ヒットして、今となっては、ちょっと古い本だが読了。

    著者(の1人)スティーヴン・レヴィットは、2年に1度40歳未満で最も優れたアメリカの経済学者に贈られる賞を受賞した鬼才。
    アメリカの犯罪発生率低下の原因、子どもの学校の成績の因果関係など、「それも経済学に入るの?」という分野を経済学的手法を使って分析していく。
    著者が冒頭で予告するとおり、「本書に一貫したテーマはない」。ひたすら著者の興味があるもの(犯罪系が多い)をテーマを手当たり次第という感じ。
    例えば、「アメリカの近年の犯罪率低下の主要因は『妊娠中絶の合法化』である」といった、賛否両論が置きそうな分析を行っている。

    統計的手法を使って分析しており、現在だといわゆる「ビックデータ解析」に近いものがある。
    AIやビックデータで人間がいらなくなるという議論が多くなってきているが、この本を見ると、ビックデータ時代の人間に残される仕事が(の1つ)がわかる。
    それは、そもそも分析するためのデータを取ってくるところ。データ化されていないが、データ化して分析すれば面白い結果が得られなそうな元データをいかにとってくるか。
    この分析元データの取得は、各経済学者が苦労しているようだが、まだまだ職人芸的要素が強そう。
    コンピュータは元データを与えないと何もできない。「分析のためにそもそも何をデータ化すべきか」という仕事は当面は人に残りそうだと感じました。


    https://www.amazon.co.jp/gp/product/4492313788/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4492313788&linkCode=as2&tag=hitoshiebih0a-22

  • 相関と因果は別物。だまされないようにしっかりとデータを見極める。 子供の知能への影響は実は親の知能や教育水準、経済水準で、教育の熱心さや名前自体は影響しない、むしろ上記の条件を写す鏡のようなもの。人間を動かすのはインセンティブ。ただ、与え方を間違えるとマイナスの効果が大きい。インターネットはこれまでの取引の情報の非対称性を壊していくので、顧客側はまずはインターネットで情報を取得することを心がけよう。意図的に偽情報を流すやつもいるから、慎重に。簡単に信用しないように、ラクして儲けることはできない。 いろんなデータや分析などの記事や世の中の仕組みについては、いろんな角度やデータの背景、表現方法を注意して見る(難癖をつけるつもりで)クセづけをすれば、いろんな角度で分析出るはずだ。相撲の八百長などはいい例で、事象の特徴的な部分と人間的な特性や欲をベースに考えると見えてくるものがある。

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