経済学は人びとを幸福にできるか

著者 :
  • 東洋経済新報社
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レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492314425

作品紹介・あらすじ

2003年刊の底本『経済学と人間の心』(四六版上製)の新装版。
著者は市場メカニズムや効率性の重視に偏った考え方を批判し、人間の尊厳や自由を大切にした経済社会の構築を訴えてきました。
実際、2000年代後半のリーマン・ショックや世界経済危機を経て、「人間が中心の経済」という思想はますます輝きを増しています。同時に、幸福な経済社会を作るうえで、経済学がどのような役割を果たせるかという議論が巻き起こっています。
新装版では底本の構成をガラリと変え、未公開の講演録2本を追加しました。さらにジャーナリストの池上彰氏が「『人間のための経済学』を追究する学者・宇沢弘文」と題して、解説を加えています。
ノーベル経済学賞候補と言われた世界的な知の巨人・宇沢弘文氏が、温かい言葉でその思想を語った、珠玉のエッセイ集です。

感想・レビュー・書評

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  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】
    ・基本はエッセイ。大塚信一の「宇沢弘文のメッセージ」(集英社新書)がいかにコンパクトにうまくまとめられているかが再確認できた。本書は、宇沢さんの業績のモジュールをそれぞれ少し深堀したような感じ。それほど経済学として緻密な論理を展開しているわけではなく、そのため、読みやすくはある。これで物足りなかったら、各著作をあたるということ。

  • 経済学の観点も踏まえ、21世紀を生きる我々が持つべき、都市や学問、環境、政治のあり方についての考え方を教えてくれる。宇沢弘文さんの思想が、おそらく表面的、簡略的にではあるが、その一端を伺い知ることはできるのではないか。
    戦中、戦後に生きて、欧州やアメリカなど世界を奔走した稀代の経済学者が宇沢弘文先生である。多くの歴史的な経済学者だけでなく、様々な分野の偉大な学者との交流もあり、スケールの大きな内容も多く、学生にとっても、興味深いのではないか。
    デューイ、ヴェブレン、ケインズ、フリードマン、昭和天皇、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世、マッカーサー、歴代の日米首脳等々が端々に登場する。宇沢弘文先生は、こうした人物の多くと関わりを持っていて、彼の偉大さをより一層際立たせる。
    ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世、昭和天皇との逸話は、彼らと宇沢先生の「人間的な素晴らしさ」を表していたように思う。
    ウィットに富んでいるものの、辛辣さを隠しきれないマネタリストとしてのフリードマン批判には、宇沢弘文という経済学者の信念を感じた。

    環境経済学についても、地球温暖化を生半可な知識をもって批判・誹謗する、ウィリアム・ノードハウス(2018年、「地球温暖化の統合評価モデル」の構築に大きな貢献をし、経済学賞を受賞した。)といった経済学者を糾弾している。スティーブン・シュナイダー博士(著作に『地球温暖化で何が起こるか』がある。)のような、理性的な考え方が、地球温暖化問題の解決には欠かせない。

    ここが個人的に重要で、面白いと思ったのが以下の内容だ。

    後半の19章「人間的な都市を求めて」と20章「緑地という都市環境をどう創るか」では、都市のあり方が、ジェーン・ジェイコブスの『アメリカの大都市の生と死』や、エベニーザー・ハワードの「田園都市」、ル・コルビュジェの「輝ける都市」等の考え方を挙げながら、論じられ、どのような都市が人間的、文化的でかつ、環境に優しい都市なのかがよくわかる。ここで重要なのは、人間的、文化的な都市と、環境に優しい都市が「矛盾しない」点ではないだろうか。
    ル・コルビュジェの建築への貢献は大きいものだと思う一方で、その「非人間的な」建築と彼の描いて、現実化してきた(たしか、政治都市のブラジリアなんかが、ル・コルビュジェの理想通りに計画してつくられた都市であった気がする)都市計画が、今、我々を「呪縛」し続けていると思わずにいられない。
    非常に有用かつわかりやすい「ジェイコブスの四大原則」を以下に紹介したい(基本的に、本書の249~250頁から引用しているが、一部、改変して引用している)。 ①都市の街路は必ずせまくて、折れ曲がっていて、一つ一つの区画が小さくなければならない。

    ②都市の各地区には、古い建物ができるだけ多く残っているのが望ましい

    ③都市の多様性が大切である。都市の各地区は必ず2つ以上の機能、働きを持っていなければならない。

    ④都市の各地区の人口密度が充分高くなるように計画した方が望ましい。

    その詳しい内容については、本書を読んでほしい。もしくは、私に尋ねて欲しいところ。笑

    総じてみると、「社会的共通資本」の考え方が、平易にまとめられており、「宇沢弘文入門」と位置付けて良い本だといえる。教育や医療、都市における緑地の重要性、格差と貧困、戦争という行為の愚かさ、総括すれば、本書のタイトルに似ているが、経済学という営みは人間を幸せにするものなのか?という宇沢先生が生涯考え、挑戦した問いの一端が垣間見れる。 「グローバル・チェンジ」を考察し得る、「人間主義的な」経済学のパラダイムの、一刻も早い確立が待たれる。

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  • 宇沢弘文氏の思想を垣間見る本。

    宇沢氏の書いた分をあちこちから拾い集めただけで中身もテーマも正直微妙。本としての価値が感じられなかった。
    宇沢氏の主張がどうこうと言った話ではないのだけれど、今更読む価値はないなと感じる一冊。

  • ポスト資本主義/経済至上主義は元より、かと言って社会主義でもない、今後の社会のあるべき姿としての社会的共通基盤について書かれていたと思う。タイトルは内容とは直接は関係ない気がするが、短いエッセイを20編、非常に示唆に富んだ内容と思う。

  • エッセイ集

  • もうちょっと長生きしてノーベル賞とってもらえたらなあ。

  • 請求記号:331.04/U99
    選書コメント:
    人間の心を大切にする経済学を希求した良書です。大学というアカデミックな場で学ぶということでの大事なことがわかります。エッセイを中心にまとめられていますので、読みやすいので是非読んでください。環境問題についても触れられています。
    (環境創造学部環境創造学科 鶴田 佳史 准教授)

  • 経済には滅法疎い私だが
    一昨年、宇沢弘文さん
    という偉大な経済学者がいらしたことを
    NHK「クローズアップ現代」で知った。

    同僚であったミルトン・フリードマンと激しく対立し
    市場原理主義の考えには全く相容れなかった。
    常に人間のための経済学を追求し続けた。
    だから何度もノーベル賞の有力候補に挙げられながら
    果たせなかったのかもしれない。

    この本は宇沢先生のエッセイ集だ。
    だから人としての先生の姿がよく見える。
    「社会的共通資本」を読む前に
    この本を読んでおいてよかった。

    いま
    アメリカ的な社会をひたすら目指す日本、
    格差と分裂、混乱が益々拡大していく世界を
    宇沢先生はどんな思いで見つめているだろう。
    その目は哀しみに満ちているに違いない。

  • 著者は理系出身の経済学者ということで,以前から興味をもっていた.
    この本,著者の履歴を語る前半は面白かったのだが,後半の教育のところあたりから,あまり共感のできない文章がつづき読むのが辛く,最後に少し残して読むのをやめてしまった.

    読んでも経済学がどういう学問かはわからないし,もっとわからなくなったというのが本音.

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著者プロフィール

元東京大学名誉教授
1928年生まれ。51年東京大学理学部数学科卒業、56年スタンフォード大学経済学部研究員、58年同助手、59年同助教授、60年カリフォルニア大学バークレー校経済学部助教授、61年スタンフォード大学経済学部準教授、64年シカゴ大学経済学部教授、68年東京大学経済学部助教授、69年同教授、89年東京大学を定年退官、新潟大学経済学部教授、中央大学経済学部教授、同志社大学社会的共通資本研究センター所長などを経て、2014年死去

「2017年 『経済と人間の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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