その問題、経済学で解決できます。

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制作 : Uri Gneezy  John A. List  望月 衛 
  • 東洋経済新報社 (2014年8月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492314494

作品紹介

ノーベル経済学賞最右翼!
行動経済学ここに極まる!

「この50年で最大のイノベーションだ!」(『ヤバい経済学』著者レヴィット教授)

対象は教育・ビジネスから途上国支援まで

子どもの成績を上げるには? 
ワインをたくさん売るには? 
保育園のお迎えの遅刻をなくすには? 
娘の競争力を高めるには? 
お得に買い物をするには? 
恵まれない子に寄付してもらうには? 
社員の生産性を上げるには? 

「人はインセンティヴで動く」は当たり前! 大事なのは、誰にいつどのように仕向けるか。
子どもの成績を上げたいとき、あなたならどうするだろうか? 実は、ご褒美をあげるだけでは不十分。ご褒美を渡すタイミングや種類によって、結果は全然違ってくる。
本書では、『フォーブス』誌で「世界で最も影響力のある経済学者」に選ばれた最先端の行動経済学者が、実地実験という最強の武器で、人をやる気にさせるものは何か、人はインセンティヴにどう反応するかを解き明かす。意思決定の奥深くをあぶり出し、ビジネスの現場にも差別や格差という大問題にも解決策を出す画期的な一冊!

【推薦の言葉】
「ジョン・リストとウリ・ニーズィーは世界最先端の行動経済学者だ。この本は彼らの画期的な研究を描いている。読んでてほんとに楽しい。」――ダニエル・ギルバート(『幸せはいつもちょっと先にある』著者)

「経済学のイノベーションの話をしていてウリとジョンに触れずにいるのは、ちょっと難しい。彼らがやってきた、経済学のきわどい裏の側面の追求に関してはとくにそうだ。」――ダン・アリエリー(『予想どおりに不合理』著者)

「本物の世界で本物の人間が本物の意思決定をどうやって下すかを描きだした本物のホームランだ。経済学の理論と実践の両方で新しい境地を切り開いている。」――ダロン・アセモグル(『国家はなぜ衰退するのか』著者)

「ジョン・リストの業績は実地実験に革命を起こした。」――ゲイリー・ベッカー(ノーベル記念経済学賞受賞者)

「ウリ・ニーズィーは道を切り拓く人だ。彼は実験室と現実の世界を隔てる壁を打ち壊した。」――アルヴィン・E・ロス(ノーベル記念経済学賞受賞者)

「ジョン・リストとウリ・ニーズィーは、大きくて難しい問題を経済学で扱う画期的な仕事をやってのけた。つまり、差別や、男女格差は生まれつきなのかそれとも社会から受ける圧力のせいなのか、都市部の生徒と裕福な地域に住む生徒の格差を埋めるには、といった問題だ。こうした問題でも他の深刻な問題でも、解決策を探す人なら誰だってこの本からたくさんのことが学べるだろう。」――タイラー・コーエン(『大停滞』著者)

その問題、経済学で解決できます。の感想・レビュー・書評

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  • 最近の経済学で大流行している比較対象実験(Randomized Control Trial)を用いた研究結果について詳細に記述している良書。

    以下に、興味深かった点を挙げておきます。
    ①子どもの成績を伸ばすためには?
    子どもの成績を改善しようと思うのであれば、ご褒美をあげることが何よりも大切である。ご褒美とは、何もお金だけで無い。トロフィーやチョコレートでも良い。努力に対して報酬を与えることで、子どもが勉強をするインセンティブを引き上げることができる。

    ②女性は男性よりも劣っているのか?
    日本においても、管理職に占める女性の割合は男性のそれよりも圧倒的に低い。これは、女性が生まれながらにして、マネジメント能力や経営管理が出来ないからなのだろうか、それとも、会社の雰囲気などの文化的な要因によって影響されているのか。この問題に対して、筆者は、母性社会が強い村と父性社会が強い村を比較して、女性がどのように振る舞うのかについて検証をします。その結果、女性が先天的に経営管理能力が劣っているのではなく、適切な競争条件が整備されているのであれば、女性も自身のキャリアを伸ばすことができることが明らかとなった。

    ③差別はどのように生じるのか?
    筆者は、差別の中でも経済的差別に関して言及している。経済的差別とは、統計的に平均値が低いもしくは高い集団に対して、差別的な感情を抱くことである。例えば、黒人と白人を比較すれば、前者の方が明らかに犯罪率が高い。それゆえに、黒人は暴力的であるという差別意識を抱きがちである。

  •  実際にお金を払ったり状況を変化させる「ランダム化実地実験」をすることで、細かいインセンティブの差を見出す、という研究の一般向けの本。
     ランダム化実地実験が行動経済学の一分野かどうかはわからない。しかし、ランダム化実地実験(行動経済学?)は、マーケティングと心理学だったらマーケティングにより近い感じがする。とはいえ、どっちもよく知らないけど。
     一方で、ランダム化実地実験(行動経済学?)を経済学に踏みとどまらせているのは、ランダム化実地実験(行動経済学?)がインセンティブ(特に金銭的なインセンティブ)に注目している点ではないか。
     心理学だと(たぶん)そこまで金銭的インセンティブにこだわらないだろう。マーケティングは金銭的インセンティブにかなり興味があるが、とにかくまず儲けなければならない(ほんと?)だろうから、少し視野が狭そう(このあたり、かなり妄想)。
     ランダム化実地実験(行動経済学?)という方法はバーノン・スミスの「実験経済学」とも手法が異なるようだ。

  • 子供に勉強のやる気を起こさせるためにはどうしたらよいだろう。
    寄付金をより多く集めるにはどうしたらよいだろう。
    新車を安く買うためにはどうしたらいいだろうか。
    訪問販売でより多く売るためにはどのようにしたらよいだろうか。
    社員のパフォーマンスを上げるためにはどうしたらよいだろうか。

    こんな疑問は日常生活でもよく考えると思う。
    これらに対する回答は、昔ながらの迷信や習慣ではなく、科学ー特に実験に基づく行動経済学ーによって与えることができるし、そうあるべきである。

    最近はビッグデータという手法が流行っているが、こちらは非常に大きい(ビッグ!)データ群から相関関係を主とした分析を行う。ここで注目してほしいのは、因果関係ではなく、相関関係であるということだ。
    悲しいかな、人間は相関関係と因果関係を混同しやすいらしい。
    たとえば、ある広告代理店のCEOが、広告をTVで流した量とその売上げの正の相関を証拠として、「どうだ!広告を流せば流すだけ売り上げが伸びているぞ!」ということができるだろうか。
    一方で、夏時期にアイスクリームの売り上げと溺れる子供の量のグラフ(こちらも正の相関だ!)をみて、アイスの売り上げが多い年に、子供にプールに行かせることを禁止する親がいるだろうか?
    実は、両者とも本質は全く同じだ。つまり、相関はあるけれども因果関係は必ずしもイコールではない、ということである。
    (ネタバレだが前者は、たまたま広告を流した時期がクリスマス的な売り上げが伸びる時期であるため広告と売り上げの因果関係があると錯覚した例で、後者は暑くなるとアイスを買う人とプールや海に行く人が増えるので相関がある、というだけの話だ)

    ということもあり、真に因果関係を調べたい場合は、従来のよく整備された実験環境を構築して、対照群と比較して検討する必要があるのだ。
    一昔前は、大規模に実験する環境、資金、アイデアがなかったので困難であったが、ここ最近の実証経済学の流行をうけて大規模な社会実験も可能となってきたらしい。

    本書に記載されている例として、子供成績を上げたいと思うのはほとんどすべての親御さんの願いであろう。
    この場合、どのようにしてやる気を出させるのがもっとも有効であろうか。
    物でつる場合と、お金そのものズバリを上げる方法がまず考えられるが、物を上げる場合も本質的にはお金を上げることと等価なので、お金という尺度で実験をしてみる(小さい子供は、お金よりもおもちゃの方が喜ぶだろう!というご指摘はもっともである。これについても本書では研究成果を披露しているので本書参照)

    1)何もしない(これがベースとなるので比較対照群)
    2)事前に1000円あげておいて、前の成績よりも下がったら1000円を没収する
    3)事後に、成績が上がった場合に1000円をすぐにあげる
    4)事後に、成績が上がった場合に1000円を少し時間を空けて(1か月等)あげる

    この4つのケースで成績があがったのはどのケースでしょうか?
    1つだけ劇的に上がったケースがあります。
    詳しくは本書で。


    また社員のパフォーマンスを上げる問題についても同様に実験した結果が披露されている。
    こちらは個人でインセンティブを与える場合と、チームとしてインセンティブを与える場合とで結果が異なるという興味深い結果が得られたそうだ。
    詳しくは本書で。


    というように、このようなテーマは普遍性があり、知っていると意外と役に立つことがあるかもしれない。
    お勧めできる一冊である。

  • 読了日:1/9

  • 人はインセンティヴで動くが、単に与えるだけでなく、どれだけ与えるか、どのような形で与えるかによって、反応の仕方はまるっきり変わってくる。

    著者の研究グループでの事例を織り交ぜながら、インセンティヴの掘り下げを行っている。

  • 「・・・経済学で解決できます」というタイトルだが、分野は行動経済学で、テーマは社会実験。
    内容は面白いが、実験とその評価は少し粗雑な印象を受けた。社会実験なんてこの程度なのだろうか。
    訳文はくだけて読みやすくはあるが、不快に感じる部分もあり残念。

  • 実地実験を行う経済学派の各種成果の話。特に、インセンティヴをどう効かせるか、どうかかわっているか・いないかを、経験や勘ではなく、実際に試してより良い方策を見つけようという話。

    まず、本書のタイトルと内容が直接的に結びついていなくて、期待を裏切っている気がする。
    元の英文はをんでいないからわからないが、このくだけた文章の調子が忠実に訳しているからなのか、そういう訳をしているからか、少し鼻につく。
    内容を的確に表すタイトルを付けて、ターゲットの読者に届ければ、それを望む読者には高評価になるのかもしれない。

  • 人がどのようにしてインセンティブにより動かされていくのか、どうすれば自分たちの思ったとおりに人々に動いてもらえるのか。様々な課題をランダム化比較試験で、実証しながら答えを出していく筆者達のアイデアや行動力に脱帽。
    これを読んだから、他人に対するインセンティブの与え方が劇的に向上するわけではないけれども、少なくとも子供には短期的なインセンティブの方が良いのである。更に面白いことにインセンティブが消失してからも良い行動が続く傾向があるというのも大変興味深い結果である。

  • 行動経済学の本。


    興味深かったのは3点。

    「お金」というインセンティブは万能ではない。むしろ悪く作用することもある。これは、ダン・アリエリーも述べていた、「社会規範」と「市場規範」に通じる。(金銭的な指標を持ち込むと悪くなる人間関係がある)

    P.346がなるほど、と思わせる内容。
    本書では、実地実験の大切さと有用性を述べているが、大企業などでは実験が行われない。
    その理由は、企業がなかなか動かないことも去ることながら、管理職の腰がひけることにある、とのこと。
    これまでのやり方をなぞっていれば、慣れているし、安全。また難しい経営判断をする際、実験をするとなると「私にはわからないんです」って言っているようなものだからだ、と著者は述べる。

    これについての解決法はトップダウンとボトムアップ。
    上の人が実験を計画して実行し、分析する。ボトムアップなら現場の人が実験をし、コストベネフィットを上司に報告すること、とのこと。


    また寄付の集め方は参考になった。見栄や「暖かな光」仮説という、寄付するといい気分になるということが、寄付の源になるという。また、寄付のお願いに「寄付の依頼のDMはこれっきりにしてください」というチェック欄を設けると、寄付が増えるというのは興味深かった。


    実際に実験をする場合は統計学が必要になる。
    『統計学が最強の学問である』と相性が良さそうな本。

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