格差は心を壊す 比較という呪縛

  • 東洋経済新報社
4.19
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本棚登録 : 272
感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492315262

作品紹介・あらすじ

イギリス格差研究の第一人者による渾身のレポート!
私たちを追い詰める“他人の目”という呪縛。

激しい格差は、人類の競争本能を暴走させる。
下流も上流も息苦しい社会の変革に必要なこと。

【本書の主な主張】

・米国人の80%以上が臆病に悩んでいる。
・友情の価値は年間約1200万円
・100万人の英国の生徒が病んでいる
・不平等の拡大でうつ病も広がる
・ゼロサムゲームとしての美容整形
・格差でサイコパス的経営者が評価される
・不相応な出費を促す極限の資本主義
・不平等な社会ほど子どものいじめが激しい
・能力の差が改装を決めるという誤った思い込み
・格差は社会全体の学力を低下させる
・超富裕層はなぜ高価な絵画を求めるのか
・平等な社会は生活の質を別次元の高さへと導く
・労働組合が弱体化すると格差が広がる
・株式会社という制度はこれからも通用するか ほか

感想・レビュー・書評

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  • ●前著の「平等社会」。第一に、所得格差が大きな社会では人々が健康を害しがちである。暴力犯罪が増え、刑務所への収監率が上昇する。不平等は、1部の人たちだけでなく、すべての人に影響する大問題である。
    ●アドラーは不安感こそが人間であることの基本であると考えた。「人間である事は劣等感を覚えることだ」この不安感への対応には2つの方法がある。1つは自信喪失に陥り社交嫌いになること。もう一つはうぬぼれナルシズム。こうした優越意識は、隠れた劣等感に対する防衛反応だとみなした。
    ●私たちは社会的な動物なので、他人への配慮は生きる術である。しかし周囲への思いやりであっても、度が過ぎると、思わぬ副作用をもたらす。
    ●社交不安は友達との付き合いを減らし社会的な孤立を深めていく。健康への直接的な被害だけではなく、寿命を縮めてしまう。友情がいかに健康に素晴らしい恩恵をもたらすのか。
    ●比較的新しい時代の狩猟採集社会では、平等な社会にどっぷりつかっていても、人々は個人的な熟練や知識、能力まで否定されなかった。能力の高い人は尊敬され評価されたが、他人を支配する権力まで与えられなかった。序列的な地位や個人的な価値に応じて、人々が金持ちになったり貧乏になったり、あるいは快適に暮らしたり困窮した生活を送る社会制度は、まだ存在していなかった。
    ●現代社会のように地理的な移動が活発になると、私たちの自己認識は地域社会のアンカーを失い、一時的な気まぐれで激しく振れる。その結果、人と出会うたびに好印象を得たいと言う脅迫に駆られるようになった。
    ●昔の流動性が低い社会では、階級は生まれながらの偶然の産物だとみられていた。だから身分が劣っていても個人的な責任は問われない。現代は個人的な能力や努力が強く反映された結果だとみられる。地位が低いのは個人の怠慢によるものだとみなされてしまう。
    ●財産を失った上流貴族は、次世代になると正真正銘の貧乏人。成金は次世代になると、上流階級の一員として受け入れられた。
    ●プライバシーの領域が広がるにつれて、他人がその隠された部分を知ったらどう思うかと言う潜在的な不安が増大している。
    ●支配行動システムDBS。従属と支配。敵対的と友好的に分類する。
    ●子供に広がる自傷行為。幼少期の虐待や育児放棄の経験が一定の役割を果たしている事は言うまでもないか、最近の広がりは、私たちの社会で何かが変化し、問題をさらに悪化させていることを示唆している。
    ●ストレスを感じ難くなるには、所得より社会階層の方が影響が強い。
    ●裏付けのある自尊心と裏付けのない自尊心。格差の大きいアメリカ等は度を越した自尊心としての自己愛がひどい。また、格差でサイコパス的経営者が評価される。出会った当初は、全身からにじみ出る自信によってとても有能な指導者のように思える。しかし時間が経つにつれて支持は下降をたどる。
    ●自分が他人より価値があるとは、優越的才能によるものだと単純に信じている人々がいる。彼らこそが社会に甚大な損害をもたらしている。
    ●国民全体の所得の平準化が進む中で、デンマーク人は広告の影響受けにくく、派手な車やそれ以外の高級品にはあまり関心を示さない。
    ●雄の体格の方が大きいという事は、一夫多妻や階級社会だった可能性が高い。
    ●私たちは「実力主義」の中で生きており、能力が階層を決めていると言う思い込みがある。最新の研究によると、第一に予想不可能な影響の結果、つまり偶然によると言うこと。第二に、幸運を別にすれば、能力が地位を決めるのではなく、社会的な地位が能力や興味、才能を決めると言う方が真実に近い。
    ●経済成長を続ける事に合理的な意味はあるのか?寿命の伸びも頭打ちになる。気候変動と温暖化。福利と経済成長が連動しなくなったことである。
    ●私たちが無駄な消費をするのは、社会的地位への不安があるから。だから格差を是正すれば無駄な消費がなくなるはずだ。、

    • 本ぶらさん
      こんにちは。はじめまして。
      この本って、イマイチ何について書かれている本なのかわからなかったんですけど、なるほど!すごく参考になりました。
      ...
      こんにちは。はじめまして。
      この本って、イマイチ何について書かれている本なのかわからなかったんですけど、なるほど!すごく参考になりました。
      ありがとうございます。

      個人的には、「デンマーク人は広告の影響受けにくく、派手な車やそれ以外の高級品にはあまり関心を示さない」というところに、すごく興味を感じたんですけど。
      その理由(デンマークの人が広告の影響を受けにくくて、高級品に関心をあまり示さないわけ)って、この本に書いてあるんですか?
      2021/11/13
  • ■英国人経済学者と英国人疫学者の共著による、429ページもある分厚い書籍。だが、人類学や格差問題に興味がある人にとっては読み応え充分。名著だと思う。
    ■結論は格差が少ない社会は比較という呪縛から逃れることができ、より多くの幸福を実現できる可能性が高いということ。それを様々な形で検証している。

  •  格差が拡大すると,周りからの社会的評価が気になり,社会との接触をなくしたり,心の病に罹ったりする傾向がある。それはどの階層にも作用するが,所得階層が低い方がその傾向が強くなる。もしくは,他との違いを出そうとして,自己誇示をする傾向や自己愛が強くなる傾向がでる。そうした内容が,数多くの先行研究や報告書を参照しつつ,述べられていた。500以上の参考文献には驚いた。

     人間社会は狩猟社会だったときは平等社会で,農耕社会になってから格差が生じたらしい。エピジェネティクスの観点から,人間は平等性の志向と差をつけたがる志向の両方があり,どちらに傾くかは環境によるとの指摘が興味深かった。不平等を縮小していけば,心の病等の健康問題がどこまで解決するのかが気になる。

     あと,狩猟社会に関する文化人類学の研究を調べたいと思った。

  • 格差はない方がいいよねーっていう本。
    今ある格差という状態以上に、それ以降の経済発展にも影響が大きいということがよくわかる。

    国ごとに悩みの種はあるもんですね

  • 【図書館の電子書籍はこちらから→】  https://kinoden.kinokuniya.co.jp/tit.library/bookdetail/p/KP00030755

  • 東洋経済202151掲載

  • 電子ブックへのリンク:https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000089562(学外からのアクセス方法:1.画面に表示される[学認アカウントをお持ちの方はこちら]をクリック→2.[所属機関の選択]で 神戸大学 を選んで、[選択]をクリック→3.情報基盤センターのID/PWでログイン)【推薦コメント:「文化の多様性を重視する」とよく言われるが、この言葉を形式的な題目ではなく、実質的な意識にするための方策が様々な側面から分かりやすく著述されているから。】

  • レビューはブログにて
    https://ameblo.jp/w92-3/entry-12616370954.html

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著者プロフィール

リチャード ウィルキンソン
ノッティンガム大学メディカルスクール名誉教授
経済学者、公衆衛生学者。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済史を学び、後に疫学を学ぶ。ノッティンガム大学メディカルスクール名誉教授、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン名誉教授。著者に『格差社会の衝撃』『寿命を決める社会のオキテ』など。ケイト・ピケットとの共著『平等社会』は『ニュー・ステイツマン』誌の「この10年に読むべき本トップ10」に選出され、20を超える言語に翻訳された。

「2020年 『格差は心を壊す 比較という呪縛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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