昭和恐慌の研究

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  • 東洋経済新報社
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492371022

作品紹介・あらすじ

1930年の金解禁をきっかけに、日本は恐慌に陥った。そのとき経済学者たちは、いかなる論戦を繰り広げたのか?何が恐慌からの脱出を可能にしたのか?70年前、日本を襲った未曽有の経済危機、われわれは今、何を学ぶべきか。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史
    経済

  • 恐慌研究の最重要文献の1つ。
    必読!

  • 経済学者で現在日銀副総裁の編著者が、1930年代の昭和恐慌とそこからの脱出について論じた本です。本書は現在の日銀異次元緩和の理論的バックボーンになっており、10年前の本ですが現在にも多くの示唆があると思いました。

    興味深い点は、①1930年1月に実効レートより14%程度高い平価で日本は金本位制に復帰したが、なぜデフレ環境下でさらにデフレ的な政策を行うことになったのか、②高橋是清蔵相のもとで1931年12月に金本位制離脱・1932年3月に国債の日銀引受を開始を行うが、その前後の金融市場の動向、③1936年2月に暗殺された高橋蔵相の金融・財政政策の後のマクロ環境はどうなったか、の3点でした。

    ①については、当時支配的であったイデオロギーは、金本位制はグローバルスタンダードであり健全財政・健全通貨・自由貿易をもたらすという「金本位心性」および弱い企業を淘汰することにより経済が強くなるという「清算主義」であったためと述べられています。これらのイデオロギーは、金融緩和による経済回復後には姿を消します。

    ②については、株価(東株指数)が1931年末から1932年末までに+80%程度の上昇(TOPIX800を基準とすると1,440)したあと1936年2月まではほぼ横ばいに、ドル円の為替レートは▲60%程度下落(ドル円80円を基準とすると200円)したあと1933年4月の米国金本位制離脱を経てその後は+40%(143円)となりました。

    ③については、1936年の2・26事件後は、軍事予算を抑制しようとした高橋蔵相に代わり馬場蔵相となり、軍事予算の穴埋めをするために日銀の国債引受が継続されました。この結果、高橋財政期には2%程度だった物価上昇率が15%程度まで跳ね上がりました。株価は乱高下しつつ概ね横ばいとなりました。

    また、国際金本位制により為替レートが固定されている状態では、経常赤字国が緊縮政策を迫られる一方で経常黒字国は必ずしも緩和政策を採る必要がないため、世界的にはデフレ環境になりやすいとの指摘があり、この点は現在のユーロ問題などを考える際にも面白い示唆だと思いました。

  • リフレ政策=インフレ目標+無制限の長期国債買いオペ
         =物価水準を貸し手と借り手にとっての不公      正を修復する水準まで戻す政策
         =物価を企業が失業者を吸収できるような水      準まで戻し、その水準で安定させる

  • 332.106||Iw||Sh

  • 昭和恐慌というモデルケースは、現在の「失われた20年」と呼ばれる時代を終わらせるために有用なケースだろう。

    問題なのは、国民や政治家、マスコミの無知と日本銀行の消極的な金融緩和政策であるだろう。

    昭和恐慌を終息させた中心人物である高橋是清の財政金融政策への考え方は、現在の世論の考えとは逆のことであり、その逆の政策を実行してきた政府・日銀にとって高橋の考え方は決して受け入れられないものなのかもしれないが、そのような保身的な姿勢が日本経済を長期間に渡り停滞させていることは否定できないことである。

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著者プロフィール

日本銀行前副総裁、学習院大学名誉教授

「2019年 『なぜデフレを放置してはいけないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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