経済学者たちの闘い―脱デフレをめぐる論争の歴史

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492371138

作品紹介・あらすじ

経済学者とは何者か? 18世紀以降、経済学者たちは繰り返す不況を解決し、既得権益を打破しようと、論争・奮闘を繰り広げてきた。市場経済や自由貿易といった現代の仕組みは、そうした中で勝ち取られたものだ。<br> そして、現在の日本。デフレは十数年に及ぶ。その処方箋としてリフレーション政策がようやく第一歩を踏み出した。我々は今、新たな闘いの目撃者となる。増補版には、書き下ろし「リフレ戦記」43ページを追加。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、経済学史を専攻する1965年生まれの経済学者が2003年に刊行した本を一部改定したもの。
     従来の学説が生まれた経緯やそこにまつわる議論をとりあげて、そこで行われた取り組み(当時の問題の見方)が、現代でも有効(知ることが必要?)だということを示そうとしている。
     ということで、経済学史の網羅的で純粋な解説ではなさげ。

    ・ちなみに、「コラム」と「エコノミックスの考現学」は経済学初心者には少し難易度が高いかもしれない。
    ・変なことを言うエコノミストや評論家(等)には厳しい。
    ・所謂リフレ派の立場。
    ・最後の「リフレ戦記」は一読では消化できず……

    【簡易目次】
    プロローグ 経済学者とは何者か?
    ○第一部 経済学者たちの「勝利」と「敗北」
      第一章 「欲張りなことはよいことだ」 ―マンデヴィルの世界
      第二章 バブル崩壊後の経済学 ―二八〇年前のバブルと二人の銀行家
      第三章 何のための「セーフガード」か? ―ヒュームと既得権益との戦い
      第四章 誰が改革を担うのか? ―スミスと既得権益との戦い
      第五章 歴史のなかの開発主義者たち ―ハミルトンから村上泰亮まで
      第六章 ソーントンの前例なき要求 ―中央銀行の責任(1)
      第七章 リカードウの新平価解禁論 ―中央銀行の責任(2)
      第八章 「影の大蔵大臣」バジョット ―中央銀行の責任(3)
      第九章 経済学者は冷血動物なのか? ―J・S・ミル 対 反経済学者たち
    ○第二部 二十世紀最高の経済学者は誰か?
      第十章 景気が良くなると改革が進まない? ―シュンペーターとしごき的構造改革
      第十一章 デフレと金本位制復帰 ―一九二五年、ケインズの敗戦
      第十二章 一九三〇年代の「非正統的な」政策 ―ヴィクセルとその同僚たち
      第十三章 終わりなき戦い ―その後のケインズ
    エピローグ 再び、経済学者とは何者か?


    【目次】
    目次 [iii-ix]

    プロローグ 経済学者とは何者か? 001
    人気のない経済学/経済学版「マーフィーの法則」/根強い反経済学の伝統/さまざまな経済学者たち

    第I部 経済学者たちの「勝利」と「敗北」 
    第01章 「欲張りなのはよいことだ」――マンデヴィルの世界 014
    映画で経済学?/『蜂の寓話』の世界/見えない手と見える手

    第02章 バブル崩壊後の経済学―― 二八〇年前のバブルと二人の銀行家 025
    バブルとその崩壊/リスクを計算した銀行家/企業者活動が結ぶ市場経済/「バブルの反省」とは

    エコノミックスの考現学① 現代のバブル 038
    バブルの破裂するとき/根拠なき熱狂/「新しい時代がやってきた」?/マスコミか口コミか

    第03章 何のための「セーフガード」か?――ヒュームと既得権益との闘い 038
    何を「セーフガード」し、「保護」するのか?/「貿易衰退」論者たち/「大多数の幸福」を求めて/クルーグマンとしてのヒューム

    第04章 誰が改革を担うのか?――スミスと既得権益との闘い 042
    大学教授の経済学?/『諸国民の富の性質と原因に関する研究』/改革の政治経済学/古典の生命力

    第05章 歴史のなかの開発主義者たち――ハミルトンから村上泰亮まで 075
    挙証責任の転換/開発主義者とは何か/開発主義者は可能か/「唯一の天才」――アレグザンダー・ハミルトン/ハミルトンの提案/政策評価の難しさ/恩恵どころか制約を受けたソニーやホンダ/政府の能力――誰が仕切るのか

    エコノミックスの考現学② 産業論の正しい見方 092
    産業の再生と産業論の再生/産業論の現在を示す二冊/企業家精神の衰退?/ミクロからマクロへ?/政府の適切な役割とは何か

    第06章 ソーントンの前例なき要求――中央銀行の責任(1) 102
    何のための独立性か?/地金論争の時代/古典は最高の貨幣理論家――ヘンリー・ソートン/貨幣の過剰発行の仕組み/イングランド銀行の責任

    第07章 リカードウの新平価解禁論――中央銀行の責任(2) 113
    「経済学者のなかの経済学者」/インフレからデフレへ/産業構造の転換を支えるマクロ経済の安定/リカードウの貿易論でデフレ不況を説明できるか?/危機が鍛える経済学

    エコノミックスの考現学③ 銀行の陰謀? 124
    銀行の責任/陰謀の筋書き/全知全能の「黒幕」?/予測に失敗した陰謀本

    第08章 「影の大蔵大臣」バジョット――中央銀行の責任(3) 129
    危機と中央銀行/「影の大蔵大臣」――ウォルター・バジョット/中央銀行をめぐる緊張/中央銀行総裁の条件/130年前のバジョットの問いと選択

    エコノミックスの考現学④ アメリカの「素晴らしい10年」をもたらしたもの 139
    アメリカ90年代の成果/マクロ経済学者の面目躍如/我が国の学ぶべき教訓とは/経済学者の決め技

    第09章 経済学者は冷血動物なのか?――J・S・ミル対反経済学者たち 145
    陰鬱な科学?/経済学者の使命とは/反経済学者/反撃する経済学者/インセンティブに注目したスミスとミル/偉大な改革者の時代の記憶

    エコノミックスの考現学⑤ 不平等を正当化する人々 155
    平等――熱い問題/いかに平等を実現するか/経済学者の責任?


    第II部 二〇世紀最高の経済学者は誰か?
    年表……………160
    歴史的背景……162

    第10章 景気が良くなると改革が進まない?――シュンペーターとしごき的構造改革 164
    何でもランキング、ついに経済学者も?/20世紀という時代/成長から循環へ――企業者活動/しごき的構造改革――「景気が良くなると改革が進まなくなる」?/循環から成長へ――「アルゼンチンをめざせ」?/シュンペーターからケインズへ

    第11章 デフレと金本位制復帰―― 一九二五年春、ケインズの敗戦 179
    エコノミストの格付け?/通貨が堕落するとき?/デフレの恐怖/敗戦――1925年3月17日/再戦――大蔵省=中央銀行連合との闘い/敗戦を繰り返さないために

    増補版への追記…………200

    第12章 一九三〇年代の「非正統的な」政策――ヴィクセルとその同僚たち 202
    数学者から経済学者へ――クヌート・ヴィクセル/不滅の金字塔――『利子と物価』/「非正統的な」政策の発動/スウェーデンの経験をどう捉えるか?/「非正統的な」政策を可能にしたもの/再びケインズへ

    第13章 終わりなき闘い――その後のケインズ 222
    経済学のイメージ/「足かせ」からの脱出/理論と実践/『雇用・利子および貨幣の一般理論』――説得のロジックとレトリック/IS-LMモデルの有効性/「一人しかいなかった」ケインズ

    エピローグ 再び、経済学者とは何者か? 247
    呪術師たちの系譜?/昭和金融恐慌の真の教訓とは/「前例がない」政策?/「勝利」と「敗北」と/経済学の危機も進行する日本/終わりなき闘い

    補章 リフレ戦記――その後の経済学者たちの闘い 269
    2012年12月26日――アベノミクス始動/1992年初頭――マネー激変とマネーサプライ論争/金融政策の迷走とデフレ論争――リフレーション政策の台頭/2001年から06年――量的緩和からその解除/2008年9月――リーマン・ショックと第二次世界大恐慌の回避/評価1:リアルタイムでの金融政策批判/経済学の危機、再び/評価2:日本版ゾンビ経済学との対決/アベノミクスをどう評価するか/決着をつけよう 

    あとがき(二〇〇三年一月 若田部昌澄) [312-317]
    『経済学者たちの闘い(増補版)』へのあとがき(デフレを完全に脱却する日に思いをはせながら 2013年3月4日) [318-320]
    参照文献一覧 [321-345]
    人名索引 [346-347]
    事項索引 [348-349]

     COLUMN
    コラムA 日銀理論 008
    コラムB 一般均衡と部分均衡 035
    コラムC 金本位制 049
    コラムD 比較優位説 054
    コラムE アダム・スミスとアマルティア・セン 064
    コラムF 知識と情報 089
    コラムG ミクロとマクロ、短期と長期 120
    コラムH 経済における「専門知」と「世間知」 190
    コラムI IS-LMモデルと実践マクロ経済学 237
    コラムJ ヴィクトリア朝後期の「良いデフレ」? 255

  • mo

  • 歴史上の経済学者たちから、現在の「エコノミスト」まで、彼らの主義主張の本質を抑えながら、議論を整理していく、その体系がすごい。が、その議論の本質がよくわからない。経済学を肌感覚で身に付けるためには、どういう生活を送ればよいのか・・・。あるいは不要なのか。

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著者プロフィール

若田部 昌澄
早稲田大学政治経済学術院教授.早稲田大学大学院経済学研究科,トロント大学経済学大学院博士課程満期退学.著書に『経済学者たちの闘い』(東洋経済新報社)『危機の経済政策』(日本評論社)などがある.監訳書にマーク・ブライス『「緊縮」という病』(NTT出版)などがある.

「2018年 『ルールなき省察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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