カオスの帝王 惨事から巨万の利益を生み出すウォール街の覇者たち

  • 東洋経済新報社 (2024年7月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784492371367

作品紹介・あらすじ

『フィナンシャル・タイムズ』『ニューヨーク・タイムズ』絶賛!

パンデミック、テロ、暴動、政治紛争、サイバー攻撃、気候変動、破壊的技術の出現。
市場を混乱に陥れる「予測できない極端な現象(ブラック・スワン)」にいち早く気づき、行動を起こした者だけが巨万の富を手に入れることができる。
不確実性が増し、存亡リスクさえも高まる世界にどう適応すべきか。
「カオス」を制したファンドの「帝王」たちから、その原則と思考法を学ぶ。

ユニバーサは暴落時に莫大な収益を上げるポジションを常にずっと取っていた。なぜなら市場はいつなんどきでも、前触れなく暴落する可能性があるからだ。暴落がいつ起きるかは誰にも予測できない。だからユニバーサに資金を預ける投資家は暴落を心配する必要がなかった。――第2章より


誰よりも早く「パニック」を起こした者がカオスを制する。
パンデミック、政治紛争、暴動、気候変動、破壊的技術の出現――市場を混乱に陥れる「予測できない極端な現象(ブラック・スワン)」にいち早く気づき、行動を起こした者だけが巨万の富を手に入れることができるのだ。
2020年3月、パンデミックに市場が揺れるなか、投資顧問会社ユニバーサ・インベストメンツは4000%を超えるリターンを叩き出した。多くの投資家が匙を投げ、多額の損失を被るなか、なぜユニバーサは莫大な利益を生み出すことができたのか。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の記者による本書では、ユニバーサの最高投資責任者マーク・スピッツナーゲルと、ミリオンセラー本『ブラック・スワン』の著者ナシーム・タレブが確立した投資戦略とその哲学に迫る。さらに、バブルの崩壊は予測できると主張する複雑系研究者や気候変動専門家などへの取材をもとに、複雑化し脆弱性が増す社会における生き残り戦略を探っていく。

感想・レビュー・書評

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  • 「運とリスク」選択の日々
    投資に人生を賭けた若者(ユニバーサ創設者:マーク・スピッナーゲルとナシーム・ニコラス・タレブ)の生き方、それは「ギャンブル」だ。投資は時に莫大な収益をもたらす一方、大暴落し破産、地獄を見ることもある。その予兆を如何に誰よりも早く知り先手を打つことが出来るか。必ずやその「賭け」には失敗への保険をかけておくこと、と言う教訓もある。世界情勢の多くの情報は一部の人・メディアからでありコンピューター、生成AIでの分析、予測は過去のデーターが源になっているだけなのだ。人の発信ほど不明確で不信なものはない。その一つ一つの情報に安心して眠る間もなく焦り、迷い、苦悩する日々が投資家の人生なのだ。人は一度大儲けすると欲が出てしまう「まだ、また儲かるはず」、それが失敗への奈落の道となり、大損失、または破産寸前で漸くその坩堝から脱出できる、と思うくらい現代人はのめり込む。現代人は肉体労働より頭脳労働を選ぶ、運で『楽して徳を得る』思考に進んでいるのが恐ろしい。

  • 小さな事象が大きなカオスを巻き起こす、「予測できない極端な現象」=ブラック・スワンにまつわる物語。
    『ブラック・スワン』の著者ナシーム・タレブ氏と本作の実質的主役であるマーク・スピッツナーゲル氏のテールエッジ・ファンド「ユニバ―サ」が話題の中心だが、環境問題やパンデミックなど破産問題全般を取り上げているので、題名の「ウォール街の覇者」を念頭において読み進めるとやや面食らう。一方で、ソネット氏やリード氏、リッカーマン氏など多種多様な面々との闘争や共創が刺激的。
    ファットテールをロジックにして実装し、S&Pを97%とヘッジを3%とし、来るべき日に向けてプット・オプションを購入し続けるという戦略は非常に参考になる(調べたところ日本の個人投資家だと購入ができない模様)。予防原則を提唱し、「早い段階でパニックを起こせ」の実践的な話は、VUCA時代のいまにフィットしていて興味深い。

  • 混沌とした状態を狙って利益を生み出してきた覇者たちの考え方、活動をまとめた本。
    反脆弱性の著者であるナシーム・ニコラス・タレブが出てきて面白かった。
    通常時は小さな損失を積み重ねることに耐え、大きな混乱が発生した時に大きな利益を得る考え方はどうかなと思うものの、混乱が発生する頻度が高まっている近年に置いては、素晴らしい戦略では無いかとも思っている。自分の投資ポートフォリオに少し加えてみたい。

  • オーストリア学派は彼らの言う中央計画者の専制と、個人の自由および自由市場の対立を強調する。
    基本的には政府の介入に反対

  • タイトルからは、コロナ禍での金融マーケットの混乱から大きな利益をもたらしたファンドについてのドキュメンタリー、ちょうど「マネー・ショート」のような、をイメージしていたのだが、いい意味でこの予想は裏切られた。

    本作は金融マーケットだけではなく、世の中の様々なところに存在している「発生タイミングが予測不可能だが、一度発生すると破壊的な影響をもたらす」ことに焦点を当てたノンフィクションだ。この考え方は、今ではブラックスワンと呼ばれるのが一般的だが、クラッシュスワンの考え方を提唱したニコラス・タレブの本作で取り上げる主要な人物の一人である。

    こういったブラックスワンは、金融マーケットにおいて有名になった考え方だが、本書によれば、ブラックスワンが発生するのは、金融マーケットだけではなく、地球温暖化やコロナのようなパンデミック、あるいは遺伝子組み換え作物などにも考え方が当てはまると言う。

    一度発生すると、破壊的な影響をもたらすようなこのような事態に対して、本書が予防原則と言う考え方を提示して、危機に備える人たちを取り上げる。
    といっても、本書は非常にバランスが取れており、例えば地球温暖化のような極めて政治的に取り扱いが難しいテーマであったとしても、スタンスを取るような事はしない。本書が伝えたいこと。、そしておそらく著者のスコット・パタースンが伝えたい事は、そういったブラックスワンが発生する可能性があるのであれば、予防原則と言う考え方を取り得ることが有効な対策方法の1つであると言うことだ。

    本書が、いかにもアメリカ的だと思うのは、この社会的な分析に対して、金融商品を開発し、そして大儲けをする人間が主役の1人になってると言うことだ。法律的にリスクとリターンをバランスを取る金融取引においては、破壊的なリスクが存在するのであれば、破壊的なリターンにより相殺することができると言うのが、本書の強いメッセージの1つだと思う。

    とは言え、この2025年の夏のように信じられない暑さが続く現実を見ると、本書が言うような予防原則の考え方が、適応できる時期は既に終わってしまったのではないかと言う不安を持たざるを得ない。

  • 四谷/338/パ/

  • タレブが自著でも紹介していなかった彼の生い立ちやキャリア、ヘッジファンド引退後の活動など、いろいろ知ることができて満足。
    タレブファンにおすすめ。

    地球規模のリスクに関する動向を論ずる最後の方は正直ついていけなかった。

    この本と直接関係ないが、「卵は一つのカゴに盛るな」といった
    資産運用のプラクティスはこの本で述べられているような年金基金といった大規模な資産運用を生業とする状況で成り立つ原理原則であって多少の金の増減が生死に関わらない弱小個人投資家が見習っていても絶対大成することはないんだなと再認識。

    ———————————————————————————
    タレブの戦略を実現したヘッジファンド
    →ダウンサイドプロテクションとして、プットオプションを購入
    平時の少額の損失は受け入れ

    タレブの愛読書
    ベルリン日記

    1960年、レバノンのアミオウン市

    タレブの生い立ち

    ポパーの反証可能性
    正しさではなく間違いや証明することで進歩する
    ブラックスワンという言葉ももとはポパーの著書から

    "過去10年で巨富が築かれたのはほんの数日、破産もわずか数日"

    アダムスミス→ダニエルカーネマン
    エコノミックアニマル→バイアスというパラダイムシフト

    アンカリング

    映画の残余財産配分

    ドラゴンキング
    暴落予兆の予想

    "雷を伴う暴風雨の中で傘を持っている会社はユニバーサだけだった。この暴風雨が、実質的に傘の値段を決めていた。"

    破産問題
    →いずれは破綻するものにポジションを取ってはいけない。オプションの売り


    シンプリファイUSエクイティPLUSダウンサイドコンベクシティ
    Simplify US Equity PLUS Downside Convexity ETF
    SPD
    →個人投資家にとってのミニ・ユニバーサ

  • タレブと相方の話、ブラックスワンのやつ。これを追った作品は貴重。
    題名がありふれた漠然としているのがダメ。中身はそれなりにまとも。

  • ふむ

  • 長くて読みづらい

  • タレブらのファンドはFar out of the moneyのプットオプションをひたすら買い続けてブラックスワンが来るのを待つ、というだけ。
    市場は正規分布よりもファットテールになっているので理論的にはこの戦略は正しいのだろうけど、買っても買ってもExpireし続けるのは精神的にキツイ。実際、タレブ自身もこれに耐えられずに文化人への道を選んだようだし。

    本書はタレブの著作の実践編という感じで面白かった。
    アメリカには文化人のサークルのようなものがあり、大富豪たちがノーベル賞級の科学者を呼んで話を聞くような場も多いそうで、こういうのはいいなぁと思う。

    指数関数的な爆発をし、人類滅亡の可能性があるものはいわゆる「破産問題」として扱うべきで、気候問題なども間違っているかもしれないが、ブラックスワンとして発現したときのリスクを考えると丁寧に対処すべきだとのこと。なるほど。

    ・不安定さを増す世界は、人類がテクノロジーと数量モデルと至るところにあるジャスト・イン・タイム方式の最適化によって世界をコントロールしようとした逆説的な結果である、とタレブは主張してきた。そのせいで社会はますます複雑化し、人為的になり、衝撃の影響を受けやすい脆弱なものになった。「現代では、複雑性、部品同士の相互依存性、グローバル化、そして人々に綱渡りを強いる、くだらない『効率性』のせいで、必然的にブラック・スワンの影響は増していっている」

    ・「今パニックを起こせ──早い段階でパニックを起こせ」、これはタレブと小論の共著者たちが新型コロナ危機の間ずっと使い続け、カオスの帝王の戦略を代表する言葉になった。

  • CHAOS KINGS: How Wall Streat Traders Make Billions in the New Age of Crisis

    ナシーム・タレブ、マーク・スピッツナーゲルの「ユニバーサ・インベストメンツ」がブラック・スワン・プロテクション・として、アウト・オブ・ザ・マネーのプットを買い続ける戦略の話と歴史がメインで、それはそれで面白いが、終盤の金融以外の話のほうが有意義な話。
    GMOや気候変動、ジオエンジニアリングなどについて「予防原則」はその通りと思う。
    予防原則(Precautionary Principle):もしある行動や政策が公共領域に重大な害をもたらすリスクが疑われる場合、科学的に安全性がほぼ確実視できなければ、その行動は実行すべきではない。

    【目次】
    プロローグ:地獄がやってくる
    【第1部:スワンとドラゴン】
    第1章:瞬時の崩壊
    第2章:破産問題
    第3章:さらに暗い未来が待ち受けている
    第4章:シズラー
    第5章:ナシーム・タレブの世界
    第6章:七面鳥問題
    第7章:ドラゴンハンター
    第8章:その先にある狂気
    第9章:真っ暗なトンネル
    【第2部:ファットテールの世界】
    第10章:夢と悪夢
    第11章:フラッシュ・クラッシュ
    第12章:無秩序のクラスター
    第13章:ボルマゲドン
    第14章:これが私たちの生きている世界
    第15章:宝くじ
    【第3部:厄介な問題】
    第16章:この文明は終わった
    第17章:絶滅への移行
    第18章:破産は永続する
    第19章:タイミングはとっくに過ぎている
    第20章:ギャンブル
    第21章:ティッピングポイントを越えた先に
    第22章:目隠し飛行
    第23章:リスクの大いなるジレンマ
    第24章:破滅の入り口

  • ブラックスワンの系譜にある本でタレブの話もたくさん出ている。この本ではユニバーサというヘッジファンドの話だが、結局のところはブラックスワン戦略で、とても説得力があるのはいつも通り。予防原則という言葉は初めて聞いたが、大事な考えだと思う。

  • タレブ氏の著作以来、ブラックスワン的なイベントに目を向けられるようになった。
    本書はタレブ氏もかかわる極端な急落時に収益を上げるヘッジファンド運用、また金融以外でもリスクの連鎖が容易に起こりえる現在社会でのリスクがテーマ。
    そのヘッジファンド運用と言っても、実現するのは容易なことではない。
    投資家の立場からは
    ・何年も損失が続く投資に資金を振り向ける決断。
    ・極端な損失を回避することで、それ以外では思い切ってリスクを取って運用する覚悟。
    提供者の側では
    ・確かなオプション価格の算出力。
    ・外れ値のようなオプション価格の妥当性を算出することだけでなく、取引が厚い取引で逆に細かな収益を上げることでコストを引き下げるトレーディング力。
    が求められる。
    値段がつけられ、歴史として目にすることできる金融市場はまだしも、それ以外のリスクとなれば、気がつかないふり、やったふりをしているのが現実。
    本書は、自分自身でリスクに関して考え直してみるいい機会になった。

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