アイドル国富論: 聖子・明菜の時代からAKB・ももクロ時代までを解く

著者 :
  • 東洋経済新報社
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492396070

作品紹介・あらすじ

☆一冊でアイドルの基本がわかる!
 メディアとの関係、アイドルを生み出す方法の変遷、芸能プロダクションというビジネスモデル。
 「見出すゲーム」「支えるゲーム」「育てるゲーム」というアイドル消費の根幹。
 古典的アイドルから現代アイドルまでを、それを支える仕組み・環境を含めて徹底的に論じる。

☆アイドルがわかれば日本経済がわかる!
 アイドルと日本経済に相関関係があることは、「アイドルの時代」を景気循環に重ねて見れば一目瞭然だ。
 アイドルブームは戦後経済成熟期と現代、つまり「行き詰った」時代に起こっている。
 では、行き詰った時代の人々がアイドルを求める理由とは? 日本経済の来し方行く末とは?

☆東浩紀氏推薦!
 「アイドルがいまなぜ支持されるのか、ようやくわかった。
  半世紀の歴史を踏まえ、文化論と産業論を統合する“現代アイドル論の決定版”」

AKBグループ、ももいろクローバーZ、モーニング娘。、そして、あまたのアイドルがしのぎを削るアイドル戦国時代。
いまこそアイドルを、その起源にさかのぼって考えよう!
本書では、エンターテインメント産業の研究者にして現職官僚である著者が、文化・産業、そして経済・社会、二つの視点から「アイドル」に迫る。


【本書で取り上げるアイドルたち】
映画スターの時代を経て70年代に生まれたアイドルたち。
南沙織から山口百恵、キャンディーズからピンクレディー、そこに満を持して現れ、80年代アイドルブームの中心に立った松田聖子。
また、河合奈保子、中森明菜、小泉今日子といった聖子のライバル達。
そして、時代を作ったグループアイドル、おニャン子クラブ。
90年代、冬の時代の後にやってきた現代アイドルの時代。
AKBグループ、ももいろクローバーZ、モーニング娘。を軸に、PerfumeやBABYMETALからローカルアイドルたちまで、もはや挙げればきりがない。

【主な目次】
《第一章 アイドルのメディア産業論》
 ・80年代アイドルの時代へ
 ・「アイドル」のビジネスモデル
《第二章 アイドルの消費論》
 ・劣ったものが消費選考されるパラドクス
 ・アイドルの消費メカニズム
《第三章 アイドルの進化論》
 ・「アイドル冬の時代」
 ・アイドルとアイドルビジネスの「再生」
 ・「アイドル戦国時代」
《第四章 アイドルの国家論》
 ・日本のグローバル市場主義受容物語
 ・現代アイドルの機能~ヘタレマッチョの誕生
 ・「中産階級主義国家・日本の理想」と「アイドル」
《第五章 アイドルの世界平和論》
 ・「マッチョの国」と「ヘタレの国」のグローバル市場
 ・グローバル市場、平和、そして文化

感想・レビュー・書評

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  • kindleでハイライトしたのでメモ省略。

    ・ももクロの復古的アイドル性について。
    ・日本経済とアイドルを通じて解釈できる現代社会。納得できる。

    日本の生き残りの道であり、幸せなあり方の可能性である「ヘタレマッチョ」

    <blockquote>天野春子
    「全く関係ないんだよ、自分とそのアイドルは。それなのに、まるで気持ちが通じ合ってると錯覚させる力。それがプロなの。大事なのは、100万人に知られる事じゃないんだよ、100万人と1対1になれる才能だと思うんだ」
    </blockquote>

  • 80年代アイドルの活躍した時代から、90年代の「アイドル冬の時代」を経て、モーニング娘。やAKB48、ももいろクローバーZといったグループが乱立し「アイドル戦国時代」とも称される現代に至るまでの歴史を、日本経済の変化から解き明かす試みです。

    現代のアイドルを支持している人びとは、グローバル資本主義の流動性を前提としており、その点では宇野常寛のいう「資本主義ネイティブ」でありながら、グローバル資本主義のなかでエリートをめざす競争から距離を置こうとする「ヘタレマッチョ」だと著者はいいます。そして、こうした「ヘタレマッチョ」たちが自分たちの置かれている宿命を受け入れるべく鼓舞するような「アイドル」を支持しているという見解が示されています。

    アイドルの歴史に関する考察についても、また日本経済の見方についても、著者の議論は興味深く読みました。ただ、中産階級主義についての評価にかんしては、個人的に著者のように楽観的にはなれないと感じてしまいます。

    中産階級が解体していくなかで、ほんらい国家に対して適切な距離を保っていたはずの大衆文化が「韓流」や「クールジャパン」といった国家的戦略の中に組み込まれてしまうことにより、かえって国家間の摩擦が増幅される危険性を鑑みるならば、日本のアイドルがたどり着いた「ヘタレマッチョ」を元気づけ励ます存在という役割に希望を見いだそうとする著者の見解も、理解できます。しかしながら、こうした中産階級主義には「内」に対する抑圧的な構造を抱え込んでいるのではないかという反省をおこなうことも必要でしょう。このことは、かつて丸山眞男をはじめとする戦後の知識人たちを相手に「大衆の原像を繰り込む」ことの必要性を訴えた吉本隆明が大衆文化批評の世界に身を投げ入れるようになった際に、痛切に感じ取っていた問題でもあったように思います。

    とはいえ、「アイドル」という存在に熱中する人びとの意識に、国民経済的な観点から迫るという著者の試みは、十分に成功しているのではないかと思います。

  • おもしろかった。70年代から現在に至るまでのアイドルのあり方と、日本の政治、経済、社会状況をリンクさせながらたどっていき、最終的には「アイドルは世界を救う」というところに持っていく論。ただし、ちょっと文章が硬くて読みにくいし、学術的な用語も散見されるので意味がつかみにくいところもある。ただ、なぜ現在に至ってもアイドルがこれだけ人々に支持されるのか、という疑問については納得できた。冒頭で「日本の社会動向とアイドルの年表」を挿入しているのも親切。

  • アイドルを、産業や時代性などの側面から解き明かそうとしている一冊。アイドルの歴史も解説されている。韓国の「アイドルグループ」との比較もあり、そこを地理的に考察できたら面白いのではないか、と思った。まだ読んでないけど。

  •  日本アイドルの変遷と社会の変化の関連を読み解く。

     この本はマッチョとヘタレという対立軸を基にアイドルと社会の変化を結びつけていってるのだが、アイドルだけ見ても社会の変化だけを見てもなるほどと膝を突くことが多く、感心しっぱなしだった。
     なぜぱっとみ可愛くない子がアイドルとして成立するのか、なぜ今のアイドルは昔のアイドルより激しいダンスを踊っているのか、なぜアメリカや韓国にはアイドルがいないのか。ぱぁっと視界が開けたような思いだった。

     アイドルとはを深く知るだけでなく、社会についても考えることができる。
     この本と日本のアイドルに乾杯。

  • [図書館]
    読了:2015/1/1

    プレジデントの記事から。
    語り口が分かりやすくてぐいぐい読まされた。


    1章 アイドルのメディア産業論
    日本の経済成長とともに生まれた「アイドル」は、日本経済がいわゆるバブル時代と呼ばれるその頂点に達したとき、かき消えてしまった。
    85年、松田聖子の破局と婚約会見
    87年、おニャン子クラブの解散

    2章 アイドルの消費論
    p. 75 異議を申し立てたくなるのは、この言説に倫理的非難を感じるからであり、逆に言うと我々がそう感じる倫理を共有しているからに他なりません。それは、私たちは「庇護し、支配したい劣等な存在を選んではいけない」と、言い換えれば「自身が気後れするような素晴らしい異性に挑戦しなくてはいけない」という規範を引き受けてしまっているからです。

    あぁ、ここんとこ、自分が今悩んでることにビシッとはまった…。

    p. 82 「誰もがみんな幸せになれる」のは原理的に不可能である。
    「社会的名誉」の願いというのは、洋服や自動車のようにいくらでも作り出せるものではなく、その本質が他者よりも優れたい、優れていると言われたいという気持ちであるだけに、全員にそれを叶えることは原理上できないのです。

    p. 96 ラカン流に考えれば、「〜主義」つまりイデオロギーの核心は、人々をわけも分からずある様式を実行していること自体ではなく、それを盲目的に実行していることの背後にある、彼ら自身が目をそらしたい事実にこそあります。「努力主義」の裏には、「成果」主義の軸では自分は淘汰されるかもしれないという不都合が隠れています。

    うわ〜、この辺いたい〜。

    p. 98 なにせ日本は国まるごとが国際経済競争の勝者になったわけで、これによって誰もが(主観的には)「実力派」になるという想定もしなかった事態が訪れました。

    バブル世代のこの感覚が、肌実感として分かんないんだよねぇ…

    2章の結論:アイドルのゲームはマッチョ主義から逃避するヘタレのゲームである。

    3章 アイドルの進化論
    p. 153 AKB48の指原がももクロよイベントに乱入してTIFへの参加を呼びかける…についての注釈、「ただしAKBグループそのものは閉じた関係性の中でのドラマを魅力とした存在であり、その意味では積極的に他グループとの関係を構築する指原莉乃はAKBグループとしてはやや異端児なのだろう。」

    ほぉ…あの人、なんか他と違うとは思うけど、熟女顏とか芸人並のバラエティ対応能力とか以外にこういう面もあるのか…。

    4章 アイドルの世界平和論

    p. 162 筆者は、バブル期に日本全体が競争主義を受け入れ、一億総マッチョ化が起きたと説明しましたが、実はその本気度は疑わしかったと思っています。というのも、優勝劣敗の競争主義への変化は単なる経済制度や企業経営の改革に留まるものではなく、年齢や学歴など社会の序列変更を伴うもので、業界内、職場内、あるいは家庭内の秩序の変更に繋がりかねないものだからです。バブル期の好調でいい気になっただけの日本人にそんな変革を本気で歓迎する覚悟はなく、いわゆるこの段階のマッチョ化は「なんちゃってマッチョ」とも呼ぶべき変化だったと言えるでしょう。

    世のなんちゃってマッチョに読んでほしい一文だわ。

    p. 166 こうした一連の出来事は「小泉劇場」とも評され、日本全体が大きく変わるのだというある種の高揚感に沸いた時期でもありました。

    そうかなぁ…「スタンドプレーはうまいけどほんとかよ」っていう雰囲気だったような…。街角インタビューのおじさんおばさんはそうだったかもね。

    4章 アイドルの国家論
    それまで「ふんふん」と納得しながら読めてきたのに、p. 184からいきなり意味分かんないこと言い出した、という印象になった。

    p. 184 現代アイドルは日本社会の中核を占めるヘタレたちのマッチョ化を支える社会心理学的な機能を体現している、いわば日本のグローバル市場主義の精神インフラであると言ってもいいでしょう。

    えっ、そうなの!?全然インフラなんて印象がないんだけど。モノノフな筆者の思い込みが強すぎないか?アイドル好きにしか分からない論理展開になってないか?そして、結局この筆者はマッチョ化推奨なの?


    p. 231 やまもといちろうという人の引用だが、「日本人であることしか誇れない人は多い」

    国家主義とはかくも感情的…。自称「論理的」な男性が多いような気がすんだけどなぁ。

    p. 242 エーレンライクは、米国流の「ポジティブシンキング」の鼓舞が、「ネガティブな人」の排除という意識につながってヘタレたちをかえって社会的に抑圧したり、ヘタレたちに「ポジティブな表現」を強制することで一種の常態的精神労働状態にヘタレたちを追い込み、大きなストレスを生じさせていると指摘します。

    ヘタレとは、「自分たちの属する文化の主流の価値観になじめない人たち」

    p. 243 ファンのために己に挑戦し続ける現代アイドルたちは、マッチョたちの啓蒙的言説とは全く違ったやり方でヘタレのマッチョ的姿勢を支え、ヘタレマッチョという明るく努力できる中産階級を生み出しているわけです。

    ラスト、p. 247あたりから、「世界中で、かわいい女の子がファンのために人生の応援歌を歌い踊り演じる、そんなアイドルたち」に救済を求める筆者が少し気持ち悪くなった。芸能界で、使い捨てられて、まともに教育も受けずに、年齢を重ねて「お褥滑り」になった後の人生の保証もなく、ヘタレのために頑張ってくれる、、、どこまでも自己中心だなぁ、っと…。

    p. 189 アベノミクスの核心(の一つ)は、国際競争上の重荷おろし、言い換えれば日本がこれまで獲得してきた資産蓄積を意図的に放棄する戦略的窮乏化政策なのです。別の言い方をするな、アベノミクスは「調子の悪い先進国」であるよりも「調子のよい先進国」である方がよい、という価値判断をしたようなものです。

  • なるほどと思わせるところがたくさんあった。
    ただし、難しい熟語が多く、文章が硬いので読みにくい人も多いかも。

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著者プロフィール

境 真良(サカイ マサヨシ)
国際大学GLOCOM客員研究員、経済産業省国際戦略情報分析官(情報産業)
1968年東京都生まれ。学生時代よりゲームデザイナー、ライターとして活動し、1993年に東京大学を卒業、通商産業省に入省。経済産業省メディアコンテンツ課の起ち上げに課長補佐として参画。その後、東京国際映画祭事務局長、早稲田大学大学院客員准教授、(株)ドワンゴ等を経て、現職。専門分野はIT、コンテンツ、アイドル等に関する産業と制度。TwitterID:@sakaima。著書に『テレビ進化論』(講談社、2008年)、『Kindleショック』(ソフトバンククリエイティブ、2010年)ほか。モノノフ。

「2014年 『アイドル国富論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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