デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論

制作 : David Atkinson 
  • 東洋経済新報社 (2016年12月9日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492396353

作品紹介・あらすじ

ベストセラー『新・観光立国論』の著者、30年間の集大成がついに刊行。

日本はいま、潜在能力をまったく活かせない「日本病」に陥っている。
その原因を特定し、「あたりまえの政策」を実行するだけで、
【平均年収2倍】【GDP1.5倍(770兆円)】が可能になる!

データに基づく客観的な分析で解説する、日本に輝かしい未来をもたらす方法。

■潜在能力が活かされていない日本
・日本は「GDP世界第3位」の経済大国
 →1人あたりGDPは世界第27位
・日本は「輸出額世界第4位」の輸出大国
 →1人あたり輸出額は世界第44位
・日本は「研究開発費世界第3位」の科学技術大国
 →1人あたり研究開発費は世界第10位
・日本は「ノーベル賞受賞者数世界第7位」の文化大国
 →1人あたりノーベル賞受賞者数は世界第39位

■潜在能力を活かせば、日本はこうなる
・平均給与は男性が1.6倍、女性が2.7倍に。全体では約2倍に拡大
・GDPは1.5倍の770兆円に
・貧困問題、国の借金の問題、社会保障費問題も解決する

■筆者のコメント
皆さんが学校でこんなに熱心に勉強して、塾にも通って、就職してからも毎日長い時間を会社で過ごし、
有給休暇もほとんど消化せず、一所懸命働いているのに、「生産性は世界第27位」と言われて、悔しくないですか。
先進国最下位の生産性と言われて、悔しくないですか。
こんなにも教育水準が高い国で、世界の科学技術を牽引するだけの潜在能力がありながら、
1人あたりのノーベル賞受賞数が世界で第39位というのは、悔しくないですか。
「ものづくり大国」を名乗りながら、1人あたり輸出額は世界第44位と言われて、悔しくないですか。

私は、悔しいです。日本は、この程度の国ではありません。

日本の実績を「この程度」に押しとどめている原因を特定し、改革を実行すれば、日本は必ずや、劇的な復活を果たせるはずです。
本書がその一助となれば、筆者としてこれほど嬉しいことはありません。

デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論の感想・レビュー・書評

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  • 日本人はプレッシャーともっと戦うべきだし、プレッシャーをうまく設定すべきだ、というのが本書の趣旨なように思う。

    女性が自由を手にするには稼がなくてはいけないと西原理恵子も言っており、私はこれを支持するが、本書には生産性の低い仕事しか女性に与えられておらず、だから女性の給料が低く男女格差があるのだといく記述があった。

    さらにはアメリカのROE至上主義とは行かないまでも時価総額を上げざるプレッシャーをかけることにより女性活用せざるを得なくなると。概ね納得のいく内容。

    日本には稼ぐは悪という空気があったように思う。不景気の緊縮が暗黙としてあるような…。趣味だって稼ぎがあってなんぼ、生産性を上げる=単位時間あたりの収入を増やすことなので、趣味の時間を確保するために工夫ことだって生産性の向上につながる。

    会議を一回で終わらせるために、決断することや後回しの提案をしないことも生産性の向上につながる。

    メールを簡潔な文章で端的に書いて齟齬を減らすことも生産性の向上につながる。

    こう言った取り組みを実践しつつ、価値観をともにできる仲間を増やすことが、日本のためにもなるのだと考えた次第。

    いや、しかし、プレッシャーっていうのは苦しいものよ。丸投げせず、適切にコントロールして仲間に伝えないとね。

  • 成長しなくても良いと考える理由が何なのか疑問に思った。確かに単にプレッシャーがないだけかもしれない。

  • 分析の数値や用語はマクロ経済のものだが、本書の主張は「意識を変えれば」とか「潜在能力を発揮すれば」日本は蘇るというもので、皆が物価が上がると信じ込めばデフレは脱却できると言っていた多くのエコノミストと同じ誤りの論議に思える。
    意識も潜在能力も国民文化や幅広い社会システムにより醸成されるものである以上、もっとより深い考察が必要とされるのではないか。
    最近のテレビで訪日外国人がモノづくりの職人文化を絶賛し、視聴者のナショナリズムと自尊心をみたさせる番組があるが、本書にも同じ匂いを感じるように思えた。

    2017年4月読了。

  •  絶対数値でしか判断できない日本人。
     そこに「1人あたり」で見るとどうなるか、為替レートではなく「購買力調整後データ」でみるとどうか等、データサイエンティストの視点で切り込んだ良作。

    ・日本は「GDP世界第3位」の経済大国
    →1人あたりGDPは世界第27位
    ・日本は「輸出額世界第4位」の輸出大国
    →1人あたり輸出額は世界第44位
    ・日本は「研究開発費世界第3位」の科学技術大国
    →1人あたり研究開発費は世界第10位
    ・日本は「ノーベル賞受賞者数世界第7位」の文化大国
    →1人あたりノーベル賞受賞者数は世界第39位

     まず筆者は読者に動執生疑を起こさせる。曰く
     「皆さんが学校でこんなに熱心に勉強して、塾にも通って、就職してからも毎日長い時間を会社で過ごし、有給休暇もほとんど消化せず、一所懸命働いているのに、「生産性は世界第27位」と言われて、悔しくないですか。
     先進国最下位の生産性と言われて、悔しくないですか。
     こんなにも教育水準が高い国で、世界の科学技術を牽引するだけの潜在能力がありながら、1人あたりのノーベル賞受賞数が世界で第39位というのは、悔しくないですか。
     「ものづくり大国」を名乗りながら、1人あたり輸出額は世界第44位と言われて、悔しくないですか。
     私は、悔しいです。日本は、この程度の国ではありません」と。

    そして「はじめに」で要旨が明確に述べられている。
     「日本は先進国でもっとも生産性が低く、もっとも貧困率が高いが、なぜ生産性がこれほど低いのか。
     経営者の意識を変えれば問題は解決する。政府が経営者に「時価総額向上」のプレッシャーをかける。そうすればGDPは1.5倍の770兆円になり、平均所得は倍増する」と。

     本文では章ごとに日本経済の分析、検証がなされてゆく。
    第1章 日本はほとんど「潜在能力」を発揮できていない
    第2章 「追いつき追い越せ幻想」にとらわれてしまった日本経済
    第3章 「失われた20年」の恐ろしさ
    第4章 戦後の成長要因は「生産性」か「人口」か
    第5章 日本人の生産性が低いのはなぜか
    第6章 日本字は「自信」をなくしたのか
    第7章 日本型資本主義は人口激増時代の「副産物」に過ぎない
    第8章 日本型資本主義の大転換期

     最後の第9章「日本の「潜在能力」をフルに活用するには」で具体的な処方箋が示される。

    アベノミクスの足を引っ張っているのは「経営者」
    日本の潜在能力にふさわしい一人当たりの目標を計算する
    輸出は今の3倍に増やせる
    農産物輸出は今の8倍に増やせる
    もはやアメリカの背中を見るのをやめるべき
    GDPは770兆円まで増やせる
    やればできることを、「観光業」が証明した
    生産性を上げるには首都・東京がカギ
    地方の格差問題を考える
    政策目標は「上場企業の時価総額」
    株価と設備投資の関係を示す4つの理論
    日本政府は「株式市場プレッシャー仮説」を採用すべき
    安倍総理は、日本を脅かす「外圧」たれ
    もっとも大切なのは経営者の意識を変えること
    このやり方で、女性の収入問題も解決できる
    女性ももっと国に貢献すべき
    お役所の生産性改革
    「デフレ」は本質的な問題ではない

  • 政策提言として、政府がGPIF(公的年金ファンド)を通じて上場企業に「時価総額を上げろ」というプレッシャーをかけるべきだと。

    日本の上場企業経営者は国際水準ではまったくの無能であり、利益を出せていない(「3時に閉まる銀行」という例が何度も登場する)、無能な経営者を交代させることでしか生産性の向上はない、女性の活躍もないと。

    なお、藤野英人著『ヤンキーの虎』にも「5年平均でROEが5%を下回ったら経営者をクビにしろ」と書いてあった。冨山和彦著『なぜローカル経済から日本は甦るのか』には両方あわせた主張、つまり「GPIFはROE 5%未満企業から金を引きあげろ」と書いてあった。まさに同意する。

    ---

    # IT投資と生産性

    アメリカでは生産性上昇率の半分以上がITによる貢献だった(1995〜2001年)。つまり生産性向上においてIT投資が重要となる。じつは日本もIT投資比率は低くない。ではなぜ生産性が上がらないのか。

    IT投資を通じて生産性を向上するには、「ITを人の働き方に合わせるのではなく、人の働き方をITに合わせて変える」ことが肝要だ。これができていないので、日本のIT投資は生産性向上に貢献しない。パッケージやSaaSの導入が進まず、オーダーメイドシステム開発ばかりやっている。

    『中国化する日本』風に言えば、日本の労働者は「業務プロセスのドラスティックな変革」に対する拒否権プレイヤーなのだ。「仕事のやり方を変えなくていいなら、システムを導入してもいいですよ」「仕事のやり方を変えようとするなら、そんなシステムは使いませんよ」と。それではシステムを導入する効果がない。このような「百姓一揆」の抑止力によって、日本のIT投資には失敗という選択肢しか与えられていない。

    この問題については、単に経営者の責任というよりも、むしろ「江戸時代的な日本人のエートス」に原因があると言うべきだ。「自分の居場所(正社員という身分、家職)で立派に勤め上げたら、老後も社会(会社とクニ)が面倒みてあげましょう」という「労使の日本式社会契約」がある限り、日本の生産性は上がらないだろう。

    これから否応無く日本社会でも資本と労働の流動性は高まって欧米化、いや、「中国化」していく。ならばそれに適応して日本の社会システムも更新されなければならない。日本の生き残りの道はそこにしかない。

  • 内容は一言で「日本は生産性が低いので改革をして生産性を上げよう」といったもの。ただ結論はいずれにせよ議論の組み立てにはおそらく異論が多いだろう。

    個人的には同意すると同時に妙な違和感も感じながら読み進めた。その違和感は特にデータが恣意的に解釈されているのではという疑念、そのデータ解釈に基づき議論が先に進む部分から来ている。

    実際本書の中でも著者は過去の英華のプライドから日本人は生産性の低さが認められないと度々記述しているが、そうではなく三段論法的な意見の組み立てに納得できないのであろうと推察する。

  • GDPを主として、日本人がその潜在能力を十分に発揮できていない現実について、その理由を書かれています。十分に多いように見える各指標ですが、一人当たりに換算して、さらに諸外国と比べると。。。数値を実際に出して比較することで冷静に説得されています。著者の本業からも感じられるところが書かれており、具体的な例もあり理解しやすかったです。まず冷静に現実を知ること。それから経営者を中心に生産性改革を行うこと。そうすれば全体が良くなること。よくわかるし、分かっているんですがね。

  • 「日本の技術は世界最高峰で、世界に誇れる技術が日本にはある」という日本人が持っている幻想を打ち砕く1冊!!絶対値だけをみることの怖さや平等であることの美徳を掲げる日本人の特性の危うさを教えてくれる一冊でした。

  • まさにアベノミクスの狙いと成果の理論背景だと感じた。ニュースの見方、感じかたが変わったと思う。

  • 20180221読了

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