デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論

  • 東洋経済新報社
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レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492396407

作品紹介・あらすじ

猫も杓子も生産性、でもほとんどの議論は間違いだ!

『新・観光立国論』(山本七平賞)で日本の観光政策に多大な影響を与えた筆者が、
今度は34年間の集大成として「日本経済改革の本丸=生産性」に切り込みます。

読めば納得、目からウロコ、歯に衣着せぬ「アトキンソン節」、全開!

【本書の内容】
・「良いものをより安く」が国を滅ぼす
・日本企業の数は「いまの半分」でいい
・最低賃金を上げて「経営者」を追い込むべし
・かつて「人口が半減した国」に学べ
・「女性優遇」では生産性は上がらない
・生産性を高めないのは「親を見殺しにする国」になる道 他

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日本人は「生産性」と「効率性」を混同しています。
たとえば、誰も求めていない商品を「効率よく」つくることは可能です。
しかし、売れない以上、「生産性」はゼロです。
生産性のないもののことを、無駄と呼ぶのです。
――デービッド・アトキンソン
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感想・レビュー・書評

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  • 経済的生産性の話かと思ったが、日本人の稚拙で低次元な論理思考について考察されており、ビジネス一般でも応用の効く考え方が、エピソードとともに示唆されている。
    これまでもコストを最優先にするべきではないと考えてきたが、価格を下げることはそれ以上の需要の喚起が前提になっていること、付加価値の向上が生産性向上の本質であること、それぞれがひとつの理由付けになるだろう。
    宅配サービスも、ガラパゴス携帯の例も、国内の過当競争が生んだ過剰な無駄品質で、グローバルスタンダードから求められないものになった。結果、国際的に見ると付加価値:生産性を下げることに繋がっているのではと感じた。
    経営にもサイエンスの要素を持ち込むべきだという一説には非常に説得力があった。
    以前、資本主義の歴史を書籍で読んだ際に、インフレの本質的な原因は労働者の給与引き上げ圧力だと理解した。著者の主張するところ、日本の失われた25年、デフレの原因は給与の引き下げという記述を見てまさにその通りだと思った。特に日本の場合には労働者の反発が少ないことが効いているのだろう。

  • 著者はデータ分析に強みがあるとの事ではあったが、本書では一般に受け入れやすくするためか、データが少なく感覚で話されているように感じてしまった。
    しかしながら、本書の指摘にあるように、
    ・公務員に女性を率先して採用する
    ・最低賃金を引き上げる
    事には賛成する。

    昨今の人手不足も元を正せば最低賃金に原因があり、北欧の国々の女性の就業の大半が公務員である事からこの2つの案を取り入れない理由もない。
    経営者が無能だ、賃金が低いのは労働者をバカにしている。このような指摘は一労働者としては、なんとも心地よく聞こえるが実際に行動に移すのは難しい。経団連は政治家へ献金し、デフレ状態は富裕層、及び年金受給者にとっては居心地が良い。政治的にも高齢者が大多数を占める日本で抜本的な改革など求められていない。つまり、詰んでいるのだ。著者のアナリストとしての指摘はもっともだ、恐らく正しいのだろう。しかし、政治はそう動いてくれない。著者が本書の中で何度も言われているように日本人は究極的な局面まで迎えないと変われない。しかし今回の局面はどうやら超えられないのがわかって来てしまった。

    著者には観光に関する問題提言をして貰えばいいと思うし、著作としても観光以外の書籍の評価は高くないと感じた。、

  • 過激な正論を、定量データの分析と共に示すデービット・アトキンソンの新作は、生産性に関する一冊であり、個人的にこれまでの著作の中で最も共感する部分が多かった。

    昨今の働き方改革議論の中でも、効率性と生産性をごっちゃにしている議論が一定程度混在しているように見えるが、生産性とは、GPDを人口で除した1人あたりGDPを指す。効率性論者が勘違いしているのは、いくら同じアウトプットを出すのにインプットとなる労働力を下げたところで、それはGDPを上げる方向には働かない(もちろん余剰時間で副業問等をするなら別であるが)ということである。

    本書では、本当の生産性を上げるために、
    ・企業は顧客が望んでいる品質を向上させ、その対価としての価格をもっと上げるべき
    ・官民ともに女性の経済参加をより促進させるべきであり、子どもを持たない夫婦に対する扶養手当等の優遇策は一刻も早く廃止すべき
    ・日本は生産性の極めて低い中小零細企業が多すぎるため、最低賃金の倍増等により、これらの企業の統廃合を進めるべき
    等の提言がなされている。

    特に日本の企業数が多すぎるというのは非常に同感で、内需が縮小する中で、同業種の企業がこれほど多く生き残ってしまっている国は日本以外にはないだろう。ブラック企業に関する論調と通じるところもあるが、ブラック企業の多くは利益率が低い点に根本要因があるのだから、利益率の低いブラック企業を行き残すことに全く意味はない。そうした企業が中小零細企業に多いことを考えれば、そうした企業に対する無意味な補助金や事業承継に関する支援等は一刻も打ち切るべきだろう。

    そういえば、これを読みながら思い出したが、日本の長寿企業をやたらと礼賛する風潮があるが、あれは全く理解できない。一定の利益率を出している長寿企業を礼賛する分には何ら問題がないが、長寿企業というだけで「だから日本は凄い」というような思考を持っている人とは個人的に関わり合いになりたくない。

  • 白石貢さんがすすめていたデービッド・アトキンソンの本。

    日本の人口減少をどうやって対策していくべきかを提案している。
    移民を受け入れる、老人を働かせる、女性を働かせる…
    様々な意見が取りざたされているが、
    イギリス生まれ、イギリス育ち、ゴールドマン・サックスに入社して…経済のプロとしての視点で、日本の問題点を暴き、解決の糸口を提案している。
    なるほど、そうかもしれないと思いました。

    日本の「高品質・低価格」は、本当か?
    ・求められてもいない不必要なことまでもやって、高品質をうたっても、高い価格で売れないの出れば、それは生産性が低い。なるほど。
    ・「高品質・低価格」は、労働者にサービス残業や低賃金で働くことを強要することで成り立っている悪しき慣習。これをやめなければ、日本の未来なない。なるほど。

    日本の戦後の経済発展は、人口爆発によっておこっただけ。勤勉で手先が器用だから(だけ)ではない。→これは、他の本でも読んだな。
    経済大国、アメリカや中国は、今も人口が増え続けている。
    人口減少は、ヨーロッパで以前から起きている。その対策として、女性を活用する方向にシフトした。日本人の女性の働く意欲のなさには驚く。ヨーロッパで数十年前までは、男尊女卑が横行していたが、それでは経済が成り立たないので、女性が活躍できる環境に整えてきた経緯がある。

  • 強い衝撃を受けた。数値的な根拠を提示しながら、生産性を上げるしかないという強いメッセージを送っている。
    日本が社会保障制度を維持し続けるためには、生産性の向上が必要。
    高度経済成長の主因は爆発的な人口増加であって、日本的経営や文化的背景が効いたわけではない。

    日本人は客観事実よりも感覚的に物事を捉える傾向が強い。FACTや一次情報を軽視し、抽象的なフレーズを多用する。これは大手企業や役人でさえ多くみかけられる。

    生産性向上5つのメリット
    1.労働者の生活水準の向上と労働条件の改善
    2.年金基金と一般株主の配当利益の増加
    3.消費者が受け取る付加価値の向上
    4.環境への配慮の向上
    5.政府が格差社会緩和のために使う税収の増加

    ーアクションー
    ・一度では消化不良があるので再読する
    ・経済本をお絵描きしながら読む
    ・対案や施策を提示する


    ーおまけー
    著者の書き方は非常にわかりやすい論理構成をしている。節の頭にメッセージを提示し、それを支持する内容を本文に書く。マッキンゼーのプレゼン本などで見かける構成をしている。

  • 日本の人口減少は「生産性」向上でしか補えない。女性活躍は必須。企業数は減らす。最低賃金を引き上げる。日本人は「生産性」と「効率性」を混同している。不要な商品をいくら「効率良く」作っても「生産性」はゼロ。むしろ「無駄」である。増やすべきは「利益」よりも「付加価値」。「高品質・低価格」は日本を滅ぼす。

  • 内容というより日本語うまって感じ

  • おもしろくて夢中で読みました。
    この提言通りやって、生産性が上がったら幸せな人が増えるのではないかと思って明るい気持ちになったので、ぜひ読んでほしいなあと思います。

  • 良く分析・整理されていて、分かりやすい。
    参考になった。

  • 以前に書いてあることの繰り返しが多いので、何冊か読んでいる人は読まなくてもいいかもしれない。

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著者プロフィール

デービッド・アトキンソン
小西美術工藝社社長
小西美術工藝社社長。三田証券社外取締役。元ゴールドマン・サックス金融調査室長。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年に同会長兼社長に就任。日本の伝統文化を守りつつ、旧習の縮図である伝統文化財をめぐる行政や業界への提言を続ける。2015年から対外経済政策研究会委員、2016年から明日の日本を支える観光ビジョン構想会議委員、2017年から日本政府観光局特別顧問などを務める。2016年に財界「経営者賞」、2017年に「日英協会賞」受賞。『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(山本七平賞、不動産協会賞受賞)『国宝消滅』『新・所得倍増論』『世界一訪れたい日本のつくりかた』(いずれも東洋経済新報社)等著書多数。

「2018年 『デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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