デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492396407

作品紹介・あらすじ

猫も杓子も生産性、でもほとんどの議論は間違いだ!

『新・観光立国論』(山本七平賞)で日本の観光政策に多大な影響を与えた筆者が、
今度は34年間の集大成として「日本経済改革の本丸=生産性」に切り込みます。

読めば納得、目からウロコ、歯に衣着せぬ「アトキンソン節」、全開!

【本書の内容】
・「良いものをより安く」が国を滅ぼす
・日本企業の数は「いまの半分」でいい
・最低賃金を上げて「経営者」を追い込むべし
・かつて「人口が半減した国」に学べ
・「女性優遇」では生産性は上がらない
・生産性を高めないのは「親を見殺しにする国」になる道 他

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日本人は「生産性」と「効率性」を混同しています。
たとえば、誰も求めていない商品を「効率よく」つくることは可能です。
しかし、売れない以上、「生産性」はゼロです。
生産性のないもののことを、無駄と呼ぶのです。
――デービッド・アトキンソン
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感想・レビュー・書評

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  • 論理的に、数字をベースに、現状の日本の状況を説明している。GDPの状況などをかっくこと比較し、生産性=一人あたりのGDP を上げる必要性を説いている。
    私も日本の異常な高品質と低価格は懸念をいただいているため、非常に興味深く読めた。
    さまざまな統計情報もあるため何かの説明の際にもベースになる数字知識として活用できそう。
    また、日本は根拠の検証をしない国、というにも非常に納得がいく。


    22 日本は世界第3位のGDP。
       人口数は11位で1億以上は13カ国しかない。
       先進国の中で1億以上なのは米国と日本だけ。
    25 生産性向上率は126位
    56 生産性=1人あたりのGDP★
    60 1人あたりのGDPは28位。
       日本のGDPが高いのは人口が多いから。
    144 日本は本当に根拠の検証をしない国
    225 IMD World Digital Competitiveness Ranking 2017
    によると、日本のデジタルインフラ競争力は6位と高い。すじゃす、」企業の機敏性は57位で、データを使う能力は59位。

  • これまでの著作とのダブり感はあるものの、論旨は明快、正論。効率性と生産性は違うということ。如何に付加価値を付けられるようにするか、ということが生産性の向上である。
    今の政治家と官僚では、日本は泥舟ではないか、と暗澹たる気持ちにもさせられる。一方、著者も言うように伸びシロは多い。

  • 著者はデータ分析に強みがあるとの事ではあったが、本書では一般に受け入れやすくするためか、データが少なく感覚で話されているように感じてしまった。
    しかしながら、本書の指摘にあるように、
    ・公務員に女性を率先して採用する
    ・最低賃金を引き上げる
    事には賛成する。

    昨今の人手不足も元を正せば最低賃金に原因があり、北欧の国々の女性の就業の大半が公務員である事からこの2つの案を取り入れない理由もない。
    経営者が無能だ、賃金が低いのは労働者をバカにしている。このような指摘は一労働者としては、なんとも心地よく聞こえるが実際に行動に移すのは難しい。経団連は政治家へ献金し、デフレ状態は富裕層、及び年金受給者にとっては居心地が良い。政治的にも高齢者が大多数を占める日本で抜本的な改革など求められていない。つまり、詰んでいるのだ。著者のアナリストとしての指摘はもっともだ、恐らく正しいのだろう。しかし、政治はそう動いてくれない。著者が本書の中で何度も言われているように日本人は究極的な局面まで迎えないと変われない。しかし今回の局面はどうやら超えられないのがわかって来てしまった。

    著者には観光に関する問題提言をして貰えばいいと思うし、著作としても観光以外の書籍の評価は高くないと感じた。、

  • 過激な正論を、定量データの分析と共に示すデービット・アトキンソンの新作は、生産性に関する一冊であり、個人的にこれまでの著作の中で最も共感する部分が多かった。

    昨今の働き方改革議論の中でも、効率性と生産性をごっちゃにしている議論が一定程度混在しているように見えるが、生産性とは、GPDを人口で除した1人あたりGDPを指す。効率性論者が勘違いしているのは、いくら同じアウトプットを出すのにインプットとなる労働力を下げたところで、それはGDPを上げる方向には働かない(もちろん余剰時間で副業問等をするなら別であるが)ということである。

    本書では、本当の生産性を上げるために、
    ・企業は顧客が望んでいる品質を向上させ、その対価としての価格をもっと上げるべき
    ・官民ともに女性の経済参加をより促進させるべきであり、子どもを持たない夫婦に対する扶養手当等の優遇策は一刻も早く廃止すべき
    ・日本は生産性の極めて低い中小零細企業が多すぎるため、最低賃金の倍増等により、これらの企業の統廃合を進めるべき
    等の提言がなされている。

    特に日本の企業数が多すぎるというのは非常に同感で、内需が縮小する中で、同業種の企業がこれほど多く生き残ってしまっている国は日本以外にはないだろう。ブラック企業に関する論調と通じるところもあるが、ブラック企業の多くは利益率が低い点に根本要因があるのだから、利益率の低いブラック企業を行き残すことに全く意味はない。そうした企業が中小零細企業に多いことを考えれば、そうした企業に対する無意味な補助金や事業承継に関する支援等は一刻も打ち切るべきだろう。

    そういえば、これを読みながら思い出したが、日本の長寿企業をやたらと礼賛する風潮があるが、あれは全く理解できない。一定の利益率を出している長寿企業を礼賛する分には何ら問題がないが、長寿企業というだけで「だから日本は凄い」というような思考を持っている人とは個人的に関わり合いになりたくない。

  • 安倍さんの頃は、彼の受け売りばかり政府が発信することに違和感があったが、岸田ショックよりずっとマシだったと今は思っている。大事な投資が惨事。

  • 日本がいかに生産性が低いかがよくわかった。少子高齢化はとてもやばい状態であり、このまま生産性の低い働き方を続けていれば、日本の社会保障は崩れる。
    生産性に関係のない無駄なサービスをやめるって大事だ。

  • 日本で起こる(起きている?)人口減少のインパクトがいかに大きくて、またそれに対して日本がどうするべきか論じた本。著者はオックスフォード で日本学を専攻して後にゴールドマンサックスのパートナーになった人。論理明快でわかりやすかった。

    女性の社会進出に関する議論は「お笑いジェンダー論」、日本企業のガバナンスの問題は「生涯投資家」で学んだ内容と似た主張で勉強の成果を感じた。

    この本を読んで改めて日本の経営者のレベルの低さを感じた。そうならないようにしっかり学びたい。たまには国家レベルでの問題点を論じた、マクロな視点で語られた本を読むのも大事やなと。

  • 経済的生産性の話かと思ったが、日本人の稚拙で低次元な論理思考について考察されており、ビジネス一般でも応用の効く考え方が、エピソードとともに示唆されている。
    これまでもコストを最優先にするべきではないと考えてきたが、価格を下げることはそれ以上の需要の喚起が前提になっていること、付加価値の向上が生産性向上の本質であること、それぞれがひとつの理由付けになるだろう。
    宅配サービスも、ガラパゴス携帯の例も、国内の過当競争が生んだ過剰な無駄品質で、グローバルスタンダードから求められないものになった。結果、国際的に見ると付加価値:生産性を下げることに繋がっているのではと感じた。
    経営にもサイエンスの要素を持ち込むべきだという一説には非常に説得力があった。
    以前、資本主義の歴史を書籍で読んだ際に、インフレの本質的な原因は労働者の給与引き上げ圧力だと理解した。著者の主張するところ、日本の失われた25年、デフレの原因は給与の引き下げという記述を見てまさにその通りだと思った。特に日本の場合には労働者の反発が少ないことが効いているのだろう。

  • 外国人の視点だからこそ、日本の問題が見えてくるのかもしれない。

  • 観光立国への根本的改善には王道を改善し極める。その大切さを改めて伝えてもらったと思います。電化製品の衰退も、余計な機能にこだわったせい。全てに共通する日本の課題ですね。

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