デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492396407

感想・レビュー・書評

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  • 分かりやすく、小気味良い

  • 日本の生産性について
    日本は経済大国なのは人口大国だったから。
    ・日本の人口が減少していく今、生産性を上げなくては、日本経済が経ち行かなくなる。日本の抱える借金や今の社会保障制度を維持するためにはGDPの維持は必須。
    生産性はGDPを国民の数で除したもの。
    そのためには生産性を上げる必要がある。
    では、どのように上げるのか。日本は何がいけないのか。
    ・移民を増やすと言う考察。2060年ごろまでに3400万人の労働人口が減少する。これを移民で補うと実に5人に2人が移民になると言う。(数字はうろ覚え)
    ・高齢者に働いてもらうと?そもそも身体的能力が衰えてくるので、現役世代と同等に考えることはできない。
    ・高品質、低価格
    価格を下げても、人口減少により、そもそも買う人が減るから、売上は伸びない。
    求められてもいない、企業の独りよがりな高品質で、売上は伸びないし、社員には無駄に高い負荷。(マーケティングで市場の求めるものをきっちり把握)
    それに高品質・低価格は伝統的な価値観じゃない。
    ・女性の活躍
    今は、昔に比べ、家事労働がかなり楽になっている。だから、子供の手がかからないときは、女性も働くべき。そうすれば、外食や贅沢、ハウスキーパーなど、様々なことにお金を使うようになる。これは経済成長にとって好循環。沢山稼いで沢山使う。
    ・経営者が無能。
    労働者の質は世界的に見ても、日本は高い。
    生産性の低い企業は淘汰される。そういう国に不利益になる企業をわざわざ国は守らなくても良い。悠長に守っている場合じゃない。もう悠長ではいてはいけない。
    ・その他
    企業が上げるのは利益ではなく生産性。同じ売り上げの中で、社員の給与を減らして相対的に利益を上げるのではなく、付加価値を高めて、売り上げを上げて、社員の給与も利益も上げる。
    効率を上げるのではなく、生産性を上げる。いかに効率よく仕事をしていても、無駄な仕事があったりする。そんなのを効率良くしても意味がない。無くした方が良い。

  • いろいろな部分で納得の内容。
    子育て世代への対策や日本の慣例など目から鱗。

  • 日本の人口減少に伴って、どれほど生産性向上が重要かよく理解できた。生産性の定義をキチンと理解できた点も大きな収穫。
    ファクトフルネスを読んだ後だったので、「そんなことないんじゃないか」とツッコみたくなる部分や極端すぎないか?と疑問に思う点もあったが総合して勉強になった。
    中小企業支援に対する厳しい指摘(生産性の低い中小企業は淘汰されるべき、事業継承支援は無駄など)が印象的。考えさせられた。

  • 著者には批判も多そうだけど書いてあることには概ね同調出来るので頑張って欲しい。この本を読むことでは世間で起きている事象と生産性に関する相関を見出しやすくなるというメリットがあると感じる。個人的に人口減は周りにまわってあまり憂いてはいなかったが、やはり多少考えを改める必要はあるかな。

  • 日本経済の生産性に絞って議論を進めた本。
    とはいえ、杉田女史の件もそうですが、この言葉(生産性:Productivity)は非常にセンシティブですね。
    生産能力とか生産手段とかいった左の言説の臭いもすれば、「生めよ増やせよ」の戦時統制の時代の空気の臭いもするという・・・。
    そのあたりの空気感を察知したわけではないのでしょうが、この本では生産性の定義を一人あたりのGDPとしていて、イデオロギーなあれこれを遮断している。
    著者いわく、経済学では「生産性=一人あたりのGDP」なのは常識なのだそうだ。
    そうなのかもしれない。
    もうね、カタカナでプロダクティビティとでも書いたほうが我々も混乱しないかもしれないです。

    ともあれ、経済学の議論だからということで、純粋な数字での論考となるのですが、ちょっと無理めなシミュレーションが続きます。
    GDPを維持するために必要な移民の数は約3420万人。つまり日本の人口の四割が移民である社会を受け入れますか?
    とか、17時間労働しますか?
    あ、でも女性の社会進出を加味しないなら21時間労働となります。とか。

    いやー、無理ですよね。だから生産性を向上させないと、というお話です。
    先日レビューした高橋洋一先生の『未来年表 人口減少危機論のウソ』では人口減少に伴うGDPへの寄与率は最大で年▲0.7%としていたが、この本では年率▲2.2%としている。
    それもあってこういった数字の列記になっているのでしょうが、▲2.2%が正しかったら、ちょっとやそっとの生産性の向上くらいじゃ無理でしょう。
    それでも向上させないと日本に未来は無いのです、というのはわかるが、日本の労働者は優秀なんです、という前提で議論を組み立てているので、生産性を向上させる鍵を経営層とか政府の施策に持っていっている。

    日本の経営者は無能だ、優秀な経営者が必要だ、アメリカ企業で労働者は不真面目なのに生産性が高いのは経営者が優秀だからだ。
    といった主張には、確かにね、シャープとか東芝とかの事例を見せられると頷くけど、そういう形の議論にすることで、今の労働者諸君自身が、自分のような社畜にはどうすることもできない話だし、関係もない、的な感じで、かえって問題意識から遠ざけ、現状への愚痴の根拠付にしかならなくなることを危惧。

    極論言うと、労働者は日本人、経営層はアングロサクソンにすれば、万事うまくいく。
    (だから日本は完全にアメリカの属国になれ。)的なこと、思ってません?

    あ、そういえば、著者も今や日本企業のガイジン経営者だった・・・。

  • 白石貢さんがすすめていたデービッド・アトキンソンの本。

    日本の人口減少をどうやって対策していくべきかを提案している。
    移民を受け入れる、老人を働かせる、女性を働かせる…
    様々な意見が取りざたされているが、
    イギリス生まれ、イギリス育ち、ゴールドマン・サックスに入社して…経済のプロとしての視点で、日本の問題点を暴き、解決の糸口を提案している。
    なるほど、そうかもしれないと思いました。

    日本の「高品質・低価格」は、本当か?
    ・求められてもいない不必要なことまでもやって、高品質をうたっても、高い価格で売れないの出れば、それは生産性が低い。なるほど。
    ・「高品質・低価格」は、労働者にサービス残業や低賃金で働くことを強要することで成り立っている悪しき慣習。これをやめなければ、日本の未来なない。なるほど。

    日本の戦後の経済発展は、人口爆発によっておこっただけ。勤勉で手先が器用だから(だけ)ではない。→これは、他の本でも読んだな。
    経済大国、アメリカや中国は、今も人口が増え続けている。
    人口減少は、ヨーロッパで以前から起きている。その対策として、女性を活用する方向にシフトした。日本人の女性の働く意欲のなさには驚く。ヨーロッパで数十年前までは、男尊女卑が横行していたが、それでは経済が成り立たないので、女性が活躍できる環境に整えてきた経緯がある。

  • 強い衝撃を受けた。数値的な根拠を提示しながら、生産性を上げるしかないという強いメッセージを送っている。
    日本が社会保障制度を維持し続けるためには、生産性の向上が必要。
    高度経済成長の主因は爆発的な人口増加であって、日本的経営や文化的背景が効いたわけではない。

    日本人は客観事実よりも感覚的に物事を捉える傾向が強い。FACTや一次情報を軽視し、抽象的なフレーズを多用する。これは大手企業や役人でさえ多くみかけられる。

    生産性向上5つのメリット
    1.労働者の生活水準の向上と労働条件の改善
    2.年金基金と一般株主の配当利益の増加
    3.消費者が受け取る付加価値の向上
    4.環境への配慮の向上
    5.政府が格差社会緩和のために使う税収の増加

    ーアクションー
    ・一度では消化不良があるので再読する
    ・経済本をお絵描きしながら読む
    ・対案や施策を提示する


    ーおまけー
    著者の書き方は非常にわかりやすい論理構成をしている。節の頭にメッセージを提示し、それを支持する内容を本文に書く。マッキンゼーのプレゼン本などで見かける構成をしている。

  • 日本の人口減少は「生産性」向上でしか補えない。女性活躍は必須。企業数は減らす。最低賃金を引き上げる。日本人は「生産性」と「効率性」を混同している。不要な商品をいくら「効率良く」作っても「生産性」はゼロ。むしろ「無駄」である。増やすべきは「利益」よりも「付加価値」。「高品質・低価格」は日本を滅ぼす。

  • おもしろくて夢中で読みました。
    この提言通りやって、生産性が上がったら幸せな人が増えるのではないかと思って明るい気持ちになったので、ぜひ読んでほしいなあと思います。

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