あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492443392

作品紹介・あらすじ

全米出版社協会最優秀学術書(2005年金融・経済部門)。一枚6ドルのTシャツからグローバル経済を見る。

感想・レビュー・書評

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  • SDGs|目標12 つくる責任つかう責任|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/42930

  • 開発目標12:つくる責任つかう責任
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00163011

  • アメリカの綿産業は政治的な政策で手厚く守られている。そのテキサスで生産された綿は中国に渡り中国の国営企業でTシャツに織られ、世界中に輸出されている。

    自由貿易とは程遠い構図が明らかとなる一方で、古着産業は明確な自由貿易であった。

    なるほど。

  • 「誰も書かなかったグローバル化の真実」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/detail?rgtn=080313

  • 面白かった!

    経済学者の視点でTシャツの一生を追う。
    アメリカの保護貿易政策の背景と歴史。
    普通に考えれば、私が惹かれるテーマには思えない。
    それでも終始とても楽しめた。
    内容自体が新鮮で興味深いというのもあるが、
    ストーリー立てや翻訳も上手なんだと思う。

    以下、個人的に印象的だった内容を列挙。

    ・米国の綿関連補助金は貧しい綿産国数カ国のGNP以上

    ・搾取工場の女工は自由を得たという側面もある

    ・多数の犬が一緒に唸れば聞かざるを得ない
     ⇒業界として声を1つにまとめることが政治を動かす

    ・段階的に輸入数量制限を排除する落としどころが、
     元々数量制限の対象でない輸入品から排除する(!)

    ・保護貿易策の結果として、
     ⇒目的の米国内の雇用は維持できなかった
     ⇒保護によって競争力低下につながる
     ⇒中国を押さえることで、
      他の極貧国に機会が巡ってくる効果もある

    ・政治力で"底辺の競争"を変えようとするが、
     それを過熱させるのも政治力。
     衣料品産業は市場競争に対応することよりも
     貿易障壁に適用することで国際化が進んだ

    ・Tシャツは古着になって初めて
     政治でなく経済がコントロールする市場になる
     

  • 586.092 R

  • Tシャツは、アメリカで生産された綿が中国で加工されてアメリカに輸出される。
    価格、生産は自由競争よりも政治による規制で決まる。
    アフリカなどの弱者は、政治的なチカラをつける必要がある。

  •  本書は、グローバル化する社会を、Tシャツの一生を追うことでわかりやすく可視化したユニークな物語だ。
     グローバル化、とくに市場万能主義が世界にひろまることで、貧困がさらに拡大するという見方がある。反対に、市場拡大・自由貿易こそが世界を貧困から救うのだという見解もあるだろう。しかし、著者が実際にTシャツの一生を追うことで目にしたものは、どちらの主張とも違っていた。
     Tシャツの一生は、いまだに市場原理ではなく、政府による規制や介入・保護などによって決められていた。ほんとうの意味でTシャツが市場と出会うのは、古着としてアフリカに入ってからだ。世界を貧困から救うには、グローバル化する市場経済をどーこーというより先に、発展途上国の人たちの識字率を上げ、政治を立て直すことのほうが重要だという結論に、著者は到達する。
     自由貿易を世界中に押しつけて廻っているアメリカが、必死に自国の繊維産業を保護している姿が描かれる。にもかかわらず、繊維業界は虫の息だ。アメリカの保護主義政策は自国の労働者を守ることはできなかったが、まわりまわって発展途上国の経済のためにはかえってプラスとなっている側面もあったりして……。黒か白かで語られることの多い「グローバル化」について、じっくりと地に足をつけて見直すために、「物語」という形式が非常に大きい効果を上げている。
     個人的な話をすれば、アメリカのヘビーウェイトTシャツが大好きで、10枚単位で注文するくらいだ。「フルーツ・オブ・ザ・ルーム」「ジャージーズ」「ユナイテッド・スポーツ」「アンヴィル」……最近は「GILDAN」(これはカナダメーカーだが)がお気に入り。これらのTシャツのほとんどがアメリカ産綿100%で、ホンジュラスやニカラグアやメキシコでつくられている理由が、アメリカの保護主義にあるとわかってたいそうおもしろかった。
     グローバル化する経済が、世界にどのような影響を与えているのか。そしてグローバル化の意味するものは、いったいなんなのか? わかりやすくて、爽快な読み心地の、じつに優れた論考だと思う。

  • 一枚のTシャツがどこで生まれ,どこで一生を終えるかを追うことによって,グローバル化の現実を描き出した著作。中国産のTシャツの原料である綿花は,実は大半がアメリカのテキサス産であった。そして,アメリカで着古されたTシャツは日本やアフリカの古着市場に送られ,そこで一生を終えているのであった。

    市場経済を「正しい」社会システムと考える著者による本であることをある程度割り引いて考える必要があるが,グローバル化によって貧窮する人びとが生じるのは,市場原理によってではなく,市場競争から除外され,市場に参加することが政治的に抑えられているせいであるという指摘は説得力がある。中国製品が安いのは,市場原理によって安価な労働力が買いたたかれているのではなく,政治的に抑圧された農民が国家によって不当に安価で働かされているからである。一方,アメリカの繊維産業のように,政治的な影響力を強く持つ人びとは,グローバル化や市場開放の影響を巧みに避けることによって利益を得ている。このように考えると,健全な市場原理が世界全体に浸透すれば,たしかにみながハッピーになる世の中が来るかのように思えてくる。

    健全な市場原理が世界全体に行きわたるということはほとんど期待できないということだ。市場原理を浸透させようとすればしただけ,市場を回避しようとする人びとが現れ,そこで利益や幸福の不公正な分配が生じるだろう。そうであれば,健全な市場原理の浸透を目指すことは逆説的に利益の不均衡を生み出すのだと考えられないだろうか。まさに,ポランニーのいう二重運動である。

    著者のバランスのとれた現状分析が心地よい。物事の両面をしっかりと見ることの大切さを教えてくれる。

  • 他人から勧められて手にした一冊。ブックオフに古本を売ったついでに手に入れたのですが、予想以上に面白かったです。アメリカで手に入るTシャツがどこで作られ、どのように流通されているのかを追いかけながら、グローバル経済や業界・国家のパワーバランスを知ることが出来る一冊。ストーリー仕立てなので、経済の教科書的な読みにくさがないのがいいです。

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