リスクと流動性: 金融安定性の新しい経済学

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492444122

作品紹介・あらすじ

本書は、金融市場においてリスク管理を行う金融機関や投資家の行動が資産価格や流動性に与える影響を分析することで、金融危機発生のメカニズムを解明しています。
 本書に示される考え方は、グローバル金融危機後の世界的な金融規制改革の理論的背景であるとともに、今日のグローバル金融市場の動向を理解する基礎となるものです。その意味で、本書は研究者のみならず、銀行関係者や機関投資家を含む金融市場で働く実務家にとっても役立ちます。第11章「グローバル流動性の第二局面と新興国経済への影響」は、日本語版向けに追加された新章です。
 世界的な経済学者・清滝信宏プリンストン大学教授による解説(「刊行に寄せて」)も収録しています。

感想・レビュー・書評

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  • 国際金融市場の安定化を企図して、バーゼルⅡで導入された統合リスク管理(経済資本管理)に採用されたVaR、国際会計基準で導入の進んでいる時価会計がリーマンショックの火種となっていたという(一般市民には)衝撃的な指摘をモデルに基づいて示している。しかも、筆者が教鞭をとっていたロンドンスクール オブ エコノミクスが2001年にバーゼル銀行監督委員会に懸念をレポートしていたという事実を知り、市場安定化のための効果的な施策がいかに困難であるかを痛切に感じた。

  • 自己資本規制やダイナミックヘッジングが、リスクの根本対策になっていないことを、実際の金融危機と参照しながら説明している。リスク許容度とVaRを組み合わせたバランスシート増減の説明や、満期の異なる証券と取付の関係の説明などが面白かった。処方箋として、流動性規制やフォワードルッキングな資本規制、カバードボンドなどが提示されているが、いずれも金融活動の定義を再考するものであり、現代市場原理の限界を感じる。
    まさに今、債券市場が混乱しており、非常に示唆に富んだ内容だと感じた。

  • 原題:Risk and Liquidity (Clarendon Lectures in Finance)
    著者:Hyun Song Shin
    訳者:大橋 和彦
    訳者:服部 正純
    解説:清滝 信宏

    【版元】
    ISBN:9784492444122
    サイズ:A5/上/288
    定価 4,180円(税込)

     本書は、金融市場においてリスク管理を行う金融機関や投資家の行動が資産価格や流動性に与える影響を分析することで、金融危機発生のメカニズムを解明しています。
     本書に示される考え方は、グローバル金融危機後の世界的な金融規制改革の理論的背景であるとともに、今日のグローバル金融市場の動向を理解する基礎となるものです。その意味で、本書は研究者のみならず、銀行関係者や機関投資家を含む金融市場で働く実務家にとっても役立ちます。第11章「グローバル流動性の第二局面と新興国経済への影響」は、日本語版向けに追加された新章です。
    https://str.toyokeizai.net/books/9784492444122/


    【簡易目次】
    刊行に寄せて(清滝信宏)
    日本語版への序文
    第1章 金融リスクの性質
    第2章 バリュー・アット・リスクと資本
    第3章 バリュー・アット・リスクが引き起こすブームとその崩壊
    第4章 ダイナミック・ヘッジング
    第5章 アセット・ライアビリティ・マネジメント
    第6章 金融システム
    第7章 貸出ブーム 
    第8章 ノーザン・ロックの事例
    第9章 証券化と金融システム
    第10章 未来に向けた新たな出発
    第11章 グローバル流動性の第二局面と新興国経済への影響

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