富国と強兵

著者 :
  • 東洋経済新報社
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本棚登録 : 299
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (638ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492444382

作品紹介・あらすじ

衰退著しい覇権国アメリカ、混乱する中東、クリミアを強引に奪取するロシア、東シナ海、南シナ海で挑発行為をやめない中国。
パワーバランスが大変動する今、「地政学」という、古めかしく、禍々しいニュアンスすら伴った言葉が現代に蘇ってきている。
一方でこれまでの地政学的思考だけで、世界を分析し、生き抜くことは非常に困難だ。
経済が地政学的環境にどのような影響を与えるのか、またその逆についても考察を及ばさなければならない。そうしなければ国際政治経済のダイナミズムを理解できず、戦略を立案することもできない。そこで、地政学と経済学を総合した「地政経済学」とも呼ぶべき新たな思考様式が必要となる。
本書では、「地政経済学」とは、「富国」と「強兵」、すなわち経済力と政治力・軍事力との間の密接不可分な関係を解明しようとする社会科学であることを示し、地政学なくして経済を理解することはできず、経済なくして地政学を理解することはできないことを明らかにする。
『TPP亡国論』で日米関係のゆがみを鋭い洞察力でえぐり出した著者が、資本主義終焉論と地政学が復活する今と未来を読み解く渾身の書き下ろし大著。
ポスト・グローバル化へ向かう政治、経済、軍事を縦横無尽に読み解く気宇壮大な21世紀の社会科学がここにある!

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読むと経済学という学問がいかに人間社会からかけ離れた社会科学であるかが良く分かる。そもそも経済学が大前提としている「経済人(エコノミックマン)」という考え方自体が現実とはあっていないのだ。人間は合理性があるかどうかだけを基準に物理的に動く原子のような物体では決してない。人間は社会あるいは人と人とのつながりの中で能動的に行動する社会的生物なのだ。間違った前提のもとでいかに議論を精密化させ数式のみを弄しても決して現実に合った解答は得られない。ノーベル賞から経済学賞は今すぐ廃止すべきだ。
    しかし、著者の中野剛志氏は膨大な学術書を読みこなし我々に分かりやすい言葉で解説してくれる。なんと頭の良い人だろう。

  • 経済は集団行動。政治も同じく。地政学的環境による。
    集団行動を科学するアイデアはマッキンダーの地政学から。
    経済は地政学なしでは語れない。逆もまたしかり。なので地政経済学。
    大きなトレンド転換は地政経済学の環境大変化が必要。
    ケインズを再評価+新自由主義批判。
    地政学、経済学、それぞれの国の実情を踏まえないとダメ。

    19世紀は自由主義。
    2度の世界大戦による戦時統制経済でケインズ主義が実現。
    終戦後も体制が経路依存性で持ち越されて民政化した統制経済。
    これによって高度経済成長期。
    ケインズ政策の副作用がインフレ→これによりケインズ主義の人気が低下。
    この戦後ケインズ主義は亜流だけど。
    インフレ=富裕層・支配階級が損。

    シカゴ学派の新自由主義、自由な金融、自由な貿易、グローバリゼーション。
    成長率も技術革新も何かと低下している。
    さらに金融恐慌が多い。
    新自由主義のデメリットがデフレ。
    デフレ=富裕層・支配階級が得。
    すでに新自由主義は失敗が顕在化してるが集団行動は慣性の法則で動き続ける、すぐ止まらない、経路依存性で。なので続いてる。。

    貨幣の信認は市場ではなく国家による=なんぼでもカネ刷れる。
    →財政出動で需要をつからないとダメ=MMT系と同じ主張。
    リチャード・クーとも同じ系の主張。

  • 地政学と経済学を一元的に見る社会科学の話。
    大著だが読みやすい。
    ここ100年のここ経済学と地政学の流れを追うのに必読。
    貨幣は国家による信用貨幣としての在り方の序章で満足していたので、残りを読めていなかったのだがその後はが本番であった。
    新自由主義の台頭とケインズ主義の復活とここ最近のグローバリズムの影響が見えてくる。
    不確実性な未来に向けた人類の今後を見据えたくなる。

  • 学生購入希望で購入した図書(2019年度)
    【所在】3F開架
    【請求記号】312.9||NA

    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/187418

    これまでに学生購入希望で購入した図書の一覧は
    http://www.lib.tut.ac.jp/irai/kibo.html#konyu_kibolist
    こちらで確認できます

  • とにかく良く調べ良く書かれた本で、その素晴らしさに感動した!

  • 長かった。。。冗長なようでエッセンス詰まってるので読み流すのにさえ時間がかかる。
    失われた20年と言われて久しいが、思考停止してんだね、と思いつつ、なぜ軌道修正できないのか、この論が異端なのか不思議。
    現政権なんて新自由主義のグロいところを重要法案だとか三本の矢だとか一億総活躍だとか言って推し進めてるんじゃないですかねぇ〜。誰がやっても同じ道進んだんだろうね。
    と思わせる、壮大かつある意味厭世的気分に浸れる一冊。

  • 現役官僚が著者とは到底思えないほど、専門的な本。本書の主題である、地政経済学とは、富国と強兵、すなわち経済力と政治力・軍事力との間の密接不可分な関係を解明しようとする社会科学。地政学なくして経済を理解することはできず、経済なくして地政学を理解することはできない、というのが地政経済学の大命題。
    学生の頃、経済学を学んでいたが、それはまさに経済学の一部分でしかないことを痛感させられた。
    そもそも、貨幣とは何か。領土との関係性は何か。政府債務とは、、など、分からないことだらけなのが分かる書籍。また、研究していた経済モデルの批判もあり、非常に勉強になった。そして、まだまだ勉強していかなければ、と考えさせられた。

    以下抜粋

    もしヘーゲルが言うように「ミネルヴァの梟は迫り来るくる夕闇とともに飛び始める」のであるならば、「大規模な戦争なしには経済的繁栄も社会的公正も実現できない」という不愉快な現実は、すでに過去のものになりつつあるということになろう。したがって、本書が示した認識が正しいとするならば、むしろ希望はまだ残っていると言うべきである。

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著者プロフィール

中野剛志 なかのたけし 一九七一年、神奈川県生まれ。評論家。専門は政治経済思想。東京大学教養学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。二〇〇〇年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。同大学院より二〇〇五年に博士号を取得。二〇〇三年、論文‘Theorising Economic Nationalism’( Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。著書に『官僚の反逆』『日本の没落』(ともに幻冬舎新書)、『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『変異する資本主義』(ダイヤモンド社)、『奇跡の社会科学』(PHP新書)、『奇跡の経済教室』シリーズ(ベストセラーズ)など。

「2022年 『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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