ソフトウェア工場―見えない工業製品の生産と労働

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  • 東洋経済新報社
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感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492500330

作品紹介・あらすじ

ソフトウェア開発における技術と労働はどう変わるか.ソフト開発はいまや,職人的作業から工場生産に変わった.本書は,次々に誕生するソフトウェア工場の歩みをたどり,その生産と労働の将来を展望した注目の書.

感想・レビュー・書評

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  • 1986年(26年前)に書かれた本で、当時の日本のソフトウェア開発方法を知ることができます。

    ソフトウェア工場というのは、Divide and Conquer で上手く行くという思想に基づいているものと思います。
    つまり、開発対象ソフトウェアの機能をモジュールに細分化する。具体的には、100行程度の大きさのプログラムにまで分解して、それを構造化プログラミングという手法によって統合すれば完成するという発想です。

    機能別に分業生産体制ができ、複数のモジュールを同時並行的に作るさまが工場を連想させたのでしょう。

    しかし、この本が出た後の26年を振り返ってみれば、「開発対象ソフトウェアの機能」そのものを初期段階で完璧に定義できないことに起因する問題が生じたり、モジュール間の想定できなかった組合せ問題(有則・無則とも)に悩んできたわけです。
    前者は、Agileで整理され、後者はテスティング技術の発展(あまり発展していないけれど)でカバーしているように思います。

    ★★★

    このように、決してうまいやり方というわけではないけれど、それでも、温故知新といいますか、当時の課題は何で、そのとき、ソフトウェア技術者は何を考え、どう行動したかを知ることは現在の活動に役立つことと思います。

    NECの水野常務(役職は当時)が真剣にもとめた「ソフトウェア生産のためのエキスパート・システム」は実現していませんが、ソフトウェア開発を支援するツールは今でも大切なテーマの一つです。

    また、SRAの岸田専務(K2さん)が「プログラムの開発をもっと効率よくできないものか」という勉強会をつくり、レヴィ・ストロースの構造主義から「構造論的プログラミング」という技法を生み出し(同時期にダイクストラが構造プログラミングを提案したのでそちらが有名ですが)、それを実践する会社としてSRAを立ち上げた話は、ゼロベースで何かを創り出そうという勇気を与えてくれます。

    第5世代コンピュータやΣシステムに夢を見ていた時期の本ですが、もう一度、そんな夢を見てもいいのかもしれないと思いました。

  • (1986.04.08読了)(1986.04.03購入)

    ☆下田博次さんの本(既読)
    「ソフトウェア労働の変貌」クラフト著・下田博次訳、コンピュータ・エージ社、1980.01.25
    「コンピュータ技術者神話の終焉」下田博次著、コンピュータ・エージ社、1980.04.30
    「通信革命と電電公社」下田博次著、毎日新聞社、1981.11.30
    「ソフト技術者の反乱」下田博次著、日本経済新聞社、1983.11.10
    「IBMとの10年戦争」下田博次著、PHP研究所、1984.06.06
    「テクノ症候群」下田博次著、TBSプリタニカ、1984.11.05
    「ドキュメント電電公社総裁室」下田博次著、日本経済新聞社、1984.11.19

  • ソフトウェア工場という考え方は、日本におけるソフトウェア産業の品質の向上においては役に立ったと思います。
    工場のように、品質に着目した仕事の仕方をしようという意欲をわきたたせてくれました。
    しかし、原価管理という面での切り込みが甘いかもしれない。

    ソフトウェアでは、発見的な開発の視点が、研究所で開発して工場で生産すればいいというまとめでは、うまくいかないことが多いと聞いています。
    道具としてのコンピュータは、誰でも、どこでも使えるようになっています。
    ソフトウェアでは、あらゆる機会に試行錯誤と実験ができます。
    そのため研究所の方が、工場よりも賢い人がいるという前提が成り立ちません。
    研究所と工場の連携方法と原価管理がソフトウェア工場の課題ではないでしょうか。

    本書には、過去の遺産が書かれていますので、何が問題かという視点で読むとよいと思われます。

    例えば、SRAの岸田さんが提唱された発想を刺激する開発メディアというのが、オープンソース以外でうまく実現しているのかどうかとか。

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