孫正義の参謀: ソフトバンク社長室長3000日

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492502648

作品紹介・あらすじ

ボーダフォン買収に続く「光の道論争」、東日本大震災から始まった「自然エネルギーへの挑戦」、スプリント買収による「アメリカ市場への大躍進」といった大舞台の数々で、稀代の経営者・孫正義は、そのとき何を決断し、行動したのか? 衆議院議員からビジネス界に転じ、ソフトバンクの社長室長となった著者が、孫正義と疾駆した8年間3000日にわたる激動の「正史」。

感想・レビュー・書評

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  • オーディオブックで読了。

    元民主党所属の衆議院議員であった嶋聡氏がソフトバンクで社長室長を勤めた8年間を綴った本。いや、ダイナミックな内容だった。

    ボーダフォン買収からスプリント買収までの、ソフトバンクの大躍進時代に孫社長を支えた影の実力者って感じです。なんというか、政治力すげーな、うへ。としか言いようが無い。

    光の道や震災時のソフトバンクの対応、クリーンエネルギー事業への参入など、一見脈絡が見られなかったソフトバンクの動きの裏で何があったかがよく分かります。いや、この本に書かれている出来事が8年の間に起きたとか驚き以外のなにものでもない・・けど、確かに記憶を辿ればそうなんだよなぁ。

    読み物として非常に面白いので、多くの人に是非読んでみて頂きたい一冊です。

  • 今振り返ってみると、すべて日本を振り回しただけのような気がする。
    特に再エネ法。
    負の遺産を残しただけにしか思えない。

  • 2021/08/11

  • 大企業が成長するには政治的な動きも必要なんだと改めて感じる。

    戦略にリアリティを持たせる。

  • 秘書の8年に及ぶ出来事の手記。

    時価総額10兆円超えの会社のうち、最も新しい、そして現在の日本で最も優秀であろう孫正義がどうやって今のソフトバンクを作り上げたのか、それは圧倒的な先見性と確固たる意志の2つの要素が大きいと思い知らされる。
    結果=頭の良さ×バイタリティ
    という方程式があるのだとしたら、間違いなく右辺の両方において彼は群を抜いてる、と思わされた。

    また、ソフトバンクの成長とは、NTTという元国営企業を倒す戦いであり、その武器として"iPhone"と言うワードは切っても切り離せないことがよくわかる。

    意志 定量 共感。

  • キャリア事業への新規参入(ボーダホン買収)から、民主党の政権交代の勢いに乗って(時に彼らを乗せて)『光の道』構想の政治的駆け引きをする様子(王者NTTとの戦い)、3.11後の再生エネルギー事業のグローバル展開(国家主席になる直前の習近平との接触など)、スプリント買収劇にまつわる米国ロビーイング活動など、当時の参謀の嶋さんの目線で追体験できる一冊。

    ローマ帝国や幕末、孫子の兵法と言ったロールモデル、心得なども随所に出てくる。あの時、参謀嶋さんは、孫さんは、何を思っていたのか、そのヒリヒリ感が伝わってくる。

    19年現在の孫さんは『政商』と言われたりしますが、 国を、人類を変えたいという志と会社の規模、関係者らの動き方がこの頃にピントが合ってきたことがわかる。

    AppleのジョブズからiPhoneにつながるプロダクトのアイデアを知らされてからの勝負感(スピード、度胸、粘り強さなど)は、ローマ帝国の将軍や幕末の英雄のそれと何ら変わらない凄みがあるように思う。

  • 民主党の3バカ大将の補佐をしていたのは自慢にはならないし、むしろ恥ずべき経歴です。

    入社の経緯も、孫さんが彼をスカウトしたのではなく、彼が落選したときに面識のあった孫さんに直談判で「使ってくれ」とねじ込んだもので、孫さんも松下政経塾つながりの政治家ネットワークをもつ政界ロビイストとしてなんかの役に立つということで採用したのだと思う。

    実際に、NTT分割や光ファイバー事業拡大では、政経塾の先輩風を利用して政治家への根回しや調整をしていますが、ソフトバンクの将来を左右する提言をしたような形跡もなさそうだし、どうみても諸葛孔明のような参謀役ではなく、せいぜい政界とのパイプ役だったことは明らかです。

    孫さん自身、大きな決断をするときに、嶋氏の助言を仰いだということもないようですので、読者として一番知りたい社長としての決断時の悩みや葛藤に触れられていません・・それで参謀といわれても・・

  • ロビイング、Public Affairsの面で孫正義を支え、ボーダフォン買収、光ファイバー構想、アジアスーパーグリッドやスプリント買収を見届けた元国会議員嶋聡氏の著作。孫社長が次々と掲げる壮大なビジョンと、時には失敗しつつも実現させてゆく姿に圧巻される。

  • 孫さんの懐刀ですな。
    ビジネスも大きくなると政治との関係構築が肝になるんだろうなぁ。そんなことまでできるビジネスパーソンになりたいね。

  • ソフトバンク 孫正義の苦悩と決断がよく見える。 
    島聡は、3期9年 の民主党国会議員を9月11日に落選した。
    郵政の民営化を進めるべきだと主張していた。
    そして、ソフトバンクに入社を2005年9月15日に
    孫正義にあって、決めた。2005年11月1日から始まった。
    2014年3月31日 卒業した。
    ソフトバンク社長室長として、8年3000日間働いた物語である。

    島聡の目標は「やんちゃなベンチャー企業」から
    「ちょっと大人のソフトバンク」にして
    「1兆円クラブ」企業に仲間入りさせる。
    営業利益が1兆円なのは、トヨタ自動車とNTTだけだった。
    2013年10月31日 決算発表。
    売上高、営業利益、純利益で NTTドコモを抜いた。
    売上高2.6兆円、営業利益7151億円 純利益3949億円

    2050年に、ブラジル、メキシコ、インドネシアに抜かれて
    日本のGDPは、8位に転落する。
    GDPを1%成長レベルから 3%成長へ。

    ボーダフォンを買収し、再生させるためには
    生産人件費の圧縮、生産力の向上、マーケティング力、技術開発力の
    四つのコミットメント。
    携帯電話事業を発展させるために何が必要なのか?
    それは、ふかく 政治と結びついていた。
    島聡のしているのは、どちらかと言えば 
    「参謀」というより「ロビイスト」
    松下政経塾の出身で、民主党議員だったことをフルに使う。
    巨大独占企業NTTの圧倒的な強さ。
    この本を読めば、いかにNTTが日本の通信事業の発展を
    阻害していて、妨害したのかがよくわかる。

    孫正義のビジョンをもって、取り組むスピード感、集中力。
    小勢力が巨大な敵に勝つにはどうすればいいのか?
    「勝つと思わせたものが、本当に勝つ」
    勝利は、より多くを味方にしたものが勝つ。
    人は「勝ち馬」に乗ろうとし、勝つと思うほうに味方する。

    プロジェクト成功の三要素。
    ①「象徴」イメージしやすいこと。強力な協力者。
    ②「志を衆に通じる」高き志と清き姿勢。
    ③「錦の御旗」→国策。
    人は大義では動かない、欲で動くものである。
    錦の御旗があることで動きやすくなる。
    「利をもって利とせず、義をもって利をなす」

    「優れたアイデアを葬り去る四つの基本戦略」
    ①不安をあおる。
    ②遅延による消滅を狙う。
    ③混乱に陥れる。多くの質問をして、浴びせかける。
    ④誹謗中傷。
    「燕雀 いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや」史記。

    佐藤一斎
    「人は須らく、自ら省察すべし。
    天、何の 故に我が身を生み出し、
    我をして果たして何の用に供せしむる。」
    我れ既に天物なれば、必ず天役あり。
    天役供せずんば、天の咎(とがめ)必ず至らん。
    省察して此に到れば則ち我が身の苟生すべからざるを知る。

    福島の原発事故で 孫正義は 日本の復興はどうあるべきか?
    を考え抜く。
    「電田プロジェクト」50万ヘクタールの休耕田の活用。
    自然エネルギーの促進の「秋田宣言」2011年7月13日
    ソフトバンクとして20万キロワット以上の自然エネルギー発電。
    東アジア スーパーグリッド構想 
    インド、中国、シンガポール、タイ、台湾、ロシア。
    1KW ソウル 0.09ドル 北京 0.12ドル 日本 0.25ドル。

    偉大な人の基準
    ①斬新で効果的な理念 理想を創造。
    ②理想を実現するための具体的な構想、構図を描く。
    →コンセプトの具体力
    ③構想を実現するための組織を作り、実行する。
    →組織力と実行力。
    ④現実政治の中で他人を納得させ、よき人間関係をつくれたか
    ⑤地位と役割にふさわしい知識と技術と体力を備える。

    2011年10月15日 天才ジョブスの死。
    2012年10月15日 アメリカ スプリントの買収。
    戦略の略とは、省略すると言う意味である。
    ありとあらゆる情報をあつめたら、無駄なもの、
    ノイズを徹底的に除去する。
    枝葉末節を徹底的に削り、一番太い幹を見出す。
    攻めるべく、急所 肝を見つけて 徹底して攻める。

    目的完遂のために何が必要かを考え、布石を打つ。

    トップマネジメントは 「事業の目的を考える」
    「ビジョンと価値基準を決める」
    そして、それに基づいて 渉外の役割を果たす。

    劉邦を補佐した張良になりたいと思っているらしいが、
    参謀って、もう少し違う感じだね。

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著者プロフィール

嶋 聡(シマ サトシ)
ソフトバンク顧問
1958年岐阜県生まれ。名古屋大学経済学部卒業。松下政経塾第2期生。政経塾卒塾後、塾の指導塾員、研究所長、東京政経塾代表を務める。1996年より衆議院議員に当選、3期9年を務める(新進党→民主党)。民主党では、菅直人、鳩山由紀夫、岡田克也三代表の補佐役を務める。2005年、郵政解散による総選挙で落選。政界からビジネス界へのトップランナーになることをめざし、孫正義社長を補佐するソフトバンク社長室長に就任。「孫正義の参謀」「懐刀」などと呼ばれる。2014年4月より同社顧問。東日本大震災復興支援財団評議員、東洋大学経済学部非常勤講師などを兼務。著作に『政治とケータイ』(朝日新書)、『「大風呂敷経営」進化論』(PHP研究所)がある。

「2015年 『孫正義の参謀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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