デービッド・アトキンソン 新・観光立国論

  • 東洋経済新報社
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レビュー : 153
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492502754

作品紹介・あらすじ

【「カンブリア宮殿」出演で話題沸騰!】

本書は、21世紀の「所得倍増計画」の提言です。

少子化が経済の足を引っ張る日本。
出生率は、すぐには上がりません。
移民政策は、なかなか受け入れられません。
ならば、外国人観光客をたくさん呼んで、
お金を落としてもらえばいいのです。

この国には、【世界有数の観光大国】になれる、潜在力があるのですから。

ですが、2014年の訪日客数は1300万人程度です。
日本ほどのポテンシャルをもつ国としては、驚くほど少ない数と言わざるをえません。

日本の潜在力と世界の観光産業の隆盛を考えれば、
2030年までに8200万人を招致することも、決して不可能ではありません。

それを成し遂げることで、日本経済には「第2の高度成長期」が訪れるのです。
本書では、そのための方策を、詳しく解説しましょう。

感想・レビュー・書評

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  • 長年、日本に在住するイギリス人アナリストの著者による、日本が「観光立国」になるための提言。事実を客観的に分析するという手法を使って、日本が「観光立国」になるためには何が足りなくて、何をすべきなのかを明らかにしている。
    経済成長の主要因が人口であるという前提や、観光振興には「あれもこれも」というフルメニューが重要という指摘など、一部に疑問に思う内容もあったが、著者の主張には同意するところが多かった。
    特に、これまで日本が強調してきた「おもてなし」への違和感や、「お金を落としてもらう」という発想が大切であり、そのためには滞在日数に着目し、「上客」を呼んでこなければならず、また、サービスに「差」をつけるべきであるという考え方には、強く共感した。現在、順調に日本へのインバウンドは増加しているが、より「観光立国」化を図るためには、著者の提言をどんどん取り入れるべきだと考える。

  • 昔、観光業界に身をおいていた者として「申し訳ございません」といいたくなってしまうような内容でした。ただ、業界にいた頃に感じていた違和感の多くが言葉になって表わされているのですっきりした部分もあります。

    僕がいた当時と比べて業界も変わりつつあるもののまだまだやることはある、と感じていたのですが、そもそも努力の方向が間違っていることを教えられました。

    永田町や霞ヶ関が主導する「クールジャパン」はニッチなマーケットにしか刺さらないでしょう。「おもてなし」を押し売りしても観光資源にならない。

    国全体で取り組まなくてはいけないこともあるけれで、それを言っていては絶望的なんで、まず自分が関われる、目に見えるエリアで変えられるところから変えていきたいと思います。
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  • 内容も興味深いが、理論の組み立て方と順序を踏んで展開していく手法が面白いと感じた。
    主題は人口が減少する日本で、経済の規模を保つ・または成長を続けるには、観光産業の拡大に大きな可能性がある、というもの。

    日本に来る観光客は1000万人を超えたが、世界の26番目。フランスとスペインは人口を超えている、アジアでもタイは3000万人、マレーシアで2500万人。

    日本は観光大国の4つの条件「気候」「自然」「文化」「食事」を満たしている。

    自画自賛、勘違い、的外れのアピールは逆効果。しっかりターゲットを絞り、ニーズを測り、対応することが必要。「治安」「交通機関の正確さ」「珍しいだけのもの」で観光客は来ない。

    「お金を落としてもらう」発想を。上客の呼び込み、滞在期間が長くなるような仕組み作り。コンテンツの多様性、文化財では説明と展示の工夫。

    その他
    ある程度の基礎ができると、GDPは人口の増減に大きく左右される。
    日本での戦後の人口増は、先進国にあまり例がない規模。
    高度経済成長期のGDP増加は、同時に人口増があったからこそ。人口減の時代に、同じことを実現するのは、相当難しい。
    シンガポールは女性が活躍していると感じるが、女性の就業率は日本と同じ65%。
    観光産業が、可能性のある成長分野だと理解したが、その拡大規模がGDPにどれだけ貢献できるか、数字が明確でない気がした。

  • 元々読みたかったけど、今回は撮影案件の提案資料作るためだったので、文字数も少ないし、1日で読了

    アトキンソンさん、過去の出版物に批判などがあったんだろうなーという感じで、日本人のプライドを傷付けて、言いたいことが伝わらない損をできるだけ排除するために、言い方や、発言のフォローに凄く気を使ってるし、ケアの言葉が変わってきてるなーという感じを受けました

    過去の著書とかと比べて、言いたいことは変わってないけど、説明の仕方やロジックの組み立ても少しずつ変えてきてる

    分かりやす過ぎる例では、「変われ!」じゃなくて、「調整しよう!」というスタンスですよね

    変な言葉ですが、気を使われてますねぇ、、、

    外国の人にここまで気を使わせる国が、おもてなしの国だそうですよ

    インバウンドがうんぬんとか言うためには一回読んだ方がいい

    元ゴールドマンサックスアナリストの意見を1620円で参考にできる良い本

    大胆にバクッと数字を掴むけど、その掴み方が気持ちよくて、その方法にスキはあるけど、これくらいの範囲で読み取る分には問題ないだろう、というののズカズカした感じとか、さすが脳が違います

  • 非常に説得力のある、また耳が痛いところが沢山書いてあるがその通りだから言い返しようがない。けれど2030年までに8700万人もの外国人旅行者が訪れるようになればそれはすごいことだと思う。そのために今は作り替えていく必要があるのと同時に日本人のメンタル、外国人に対する不寛容、アジア人に対する蔑視などは改善する必要がある。自分にとっても。だが少しずつ変わってきているように感じるし、またお金への常識と一緒で自分たちの世代が居なくなれば自然と受け入れられるように変わってくるのだろう。ただ自分も観光地を巡ってみて1番思うのはどメジャーな観光地でも、しょうもないお土産しか置いてなかったり美味しくないのに値段が高すぎるご飯、観光客の足元を見るような商売の仕方はいずれ自然と淘汰されるように思う。帯で養老先生が指摘しているように観光はそんなに甘くないと思う。

  • ソロモンブラザーズやゴールドマンサックスでアナリストを務めていただけあって、徹頭徹尾事実に基づいた分析と提言が行われている。本書のテーマは観光だが、これは観光に限らずどの分野でも必要なこと。観光業の成長余力もそのために必要なこともよく理解できた。これは、観光の分野でビジネスをしようとする人や、地域おこしに取り組んでいる人にはとても参考になることだと思う。「外国人観光客をひとくくりにせず、細かい属性やニーズまで見ているか」「おもてなしの押し売りに世界はうんざり」「親切かもしれないが説明が不十分」

  •  同著者の「新・所得倍増論」が面白かったので前作のこちらも読みました。観光大国になるための4つの条件は、気候、自然、文化、食事であり、「おもてなし」はおまけでしかない。日本のおもてなしは、時として柔軟性が低く、すばらしいおもてなしをしているので、「郷にいっては郷に従え」を押し付けることがある、という前段に賛同。その上で必要なのはマーケとロジスティクス。マーケといってもPRではなく、どうしたら観光客が着やすく過ごしやすくなるか。カードでの決済が普及が遅れている点も同感。チケット自販機などはまだ未対応ばかり。日本人でも不便。
     最大のポイントは観光は産業であり、ビジネスとして収益をあげながら成長させるべきもので、発信力はその一要素にすぎない、ということ。そもそも観光客を増やす必要を感じてなかった日本だったのだから、変えなければならないことは多い。移民議論の前にまずは観光客を増やそう。段階的に受容度を高められる

  • 異文化を取り入れるのは日本だけの特徴でない
    キリスト教は中東からきた宗教。クリスマスは真夏に行う誕生祭だったが、キリスト教以前の宗教で真冬におこなっていた最大のお祭りをなかなかやめてもらえず。真夏の誕生祭も浸透しない。苦肉の策としてキリスト教の誕生祭を真冬のお祭りにアレンジした

    クリスマスツリーはもともとドイツの古い宗教のならわしで、イギリスには19世紀に入ってきた

    イースターエッグも5000年ほど前のエジプトの習慣だった

    観光大国はリピーターが多い

    文化財の整備は上客をよぶ要因
     世界的にみると権力者が変わると、前の政権の文化的な構造物などは破壊されることが多い。

    日本文化の体験を支持しているのは北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアの観光客

    文化財には説明と展示が不可欠

    町並みの整備は急務

    nara audio guide iBeacon

  • 2020年のオリンピックを控え、インバウンド需要を喚起しようと、各社躍起になっています。
    私はといえば、東京タワーを訪れる海外からの観光客を横目に、「東京観光なんて、楽しいのだろうか…」と、覚めた目で見てしまう今日この頃です。
    アトキンソンさんは、文化財の修復工事を行う小西工藝社の社長です。イギリスのオックスフォード大学で日本学を学び、ゴールドマン・サックスのアナリストをしていたという経歴の持ち主です。
    本の内容は、GDP(国内総生産)は、人口と相関が高いので、人口を増やすのが一番だが、日本にとって、移民の受け入れは、現実的ではないから、海外からの観光客を増やし、消費者人口を増やそう、というものです。私が印象に残っているのは、日本には、数多く文化財があるが、海外からの観光客が見て、理解できるような工夫がされていない、というもの。
    たとえば、茶室は、茶会が開かれている様子を見なければ、ただの狭い部屋。コンテンツとともに、建築を見せることも考えなければならない。
    日本人も、わかったふりして観ているけど、
    私も含めて、大方の人は、本当は、よくわからなくて、退屈だったりしますよね。
    「おもてなし」については、「おもてなし」と声高にいっているが、無料の「おもてなし」を体験するために、わざわざ大枚をはたいて、時間をかけて、日本へ来る人はいない。サービスとは有料であり、お金を払う人にサービスすべきだ。日本では、サービスが一方通行だ、日本では、「ほかに御用はありませんか」と聞かれることが少ない。つっこまれないように、余計なことをいって、仕事が増えないように…と
    「ほかに御用はありませんか」の一言がいえない、わかります…。
    この本を読んで、日本の観光地は、滞在時間が、日本の盆暮れの長期休暇のレベルで、ヨーロッパの長期休暇に対応していない、滞在時間に比例して、消費金額が増加するという、ごく当たり前のことが日本の観光地ではなされていないことに、改めて気づきました。
    点ではなく、面で、楽しませることを、考えなければならないということですね。そこに行きさえすれば、素晴らしい時間がすごせる空間、例えば、リゾートや
    点と点をつなぎ、有意義な時間をすごせる、観光ツアーとか。大前研一さんも、日本人は、もっと真剣に遊ぶことを考えればいけない、といっていました。
    私の物見遊山も無駄ではないかも…。
    やっぱり、方向は間違っていないな…。

  • 観光立国の4条件。
    気候、自然、文化、食事

    日本の特徴は、
    古い文化を残しながら、次にやってきた新しい文化を取り入れること。→共存
    公家&武家、天皇&将軍

    観光立国が進まない日本
    力をいれていない、観光業を途上国のやるものとみなしている。

    気配り、マナー、サービスは観光動機にならない。

    新幹線もただの移動手段。

    おもてなしに最も足りないのは、お金を落としてもらうだけの高品質なサービス。
    お客様である外国人の言葉に耳を傾けること

    外国人をひとまとめにしない。セグメントしてターゲットを決める

    距離のある国の富裕層を取り込む。→滞在が長期化

    インフラとコンテンツを整備する

    私鉄でクレジットカードが使えない
    技術の提携が進んでいない

    渡航のスケジュールを立てるのは3.5ヶ月前。情報の提供が遅い

    回答はシンプルアンサーではない。and で応えていく

    コストランクをつけるのは、差別ではなく多様性

    文化財も生きている。守る、ではなく、魅せる、視点を。
    世界の文化財に比べて地味な日本の文化財。説明が必要。

    世界をクライアントとする

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著者プロフィール

デービッド・アトキンソン
小西美術工藝社社長
小西美術工藝社社長
1965年イギリス生まれ。日本在住31年。オックスフォード大学「日本学」専攻。裏千家茶名「宗真」拝受。
1992年ゴールドマン・サックス入社。金融調査室長として日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。2009年創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年同社会長兼社長に就任。2017年から日本政府観光局特別顧問を務める。
『日本人の勝算』『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(山本七平賞、不動産協会賞受賞)『新・生産性立国論』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。2016年に『財界』「経営者賞」、2017年に「日英協会賞」受賞。

「2020年 『日本企業の勝算』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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