世界一訪れたい日本のつくりかた

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492502907

作品紹介・あらすじ

【観光業を大進化させたベストセラー『新・観光立国論』著者の“最新”提言!】

過去数年で、日本は「観光の後進国」から「発展途上国」になりました。
さまざまな実績が出始めており、街で外国人観光客を見かける機会も増えました。

しかし、日本の潜在能力を考えると、まだまだこんなものではありません。
日本は、やるべきことをやりさえすれば、「世界第5位の観光大国」になれる潜在能力があります。

本書では、日本が「6000万人の外国人観光客」を招致できる
真の「観光先進国」になるためにとるべき方策を、あますところなく解説します。


■どう分析するか?
→フランス人よりもドイツ人を呼ぶべき理由
→観光収入の9割は「これ」で決まる
→日本の「地の利」が最強な理由

■何を整備するか?
→「サービス」の概念を根本から改めよう
→日本人だけが気づいていない「観光資源」とは
→カジノは最強の「集金システム」である

■いかに発信するか?
→「翻訳」はもう止めよう
→外国人には「意味不明」な写真とは
→「&Tokyo」がダメなわけ 他

感想・レビュー・書評

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  • オックスフォード卒、元ゴールドマン・サックスのアナリストで、今は文化財の修理・施工を行う会社の社長を務めながら国の観光政策等にも携わっている著者による、日本のインバウンド観光客拡大に向けた提言の書。
    今はコロナ禍で観光どころではなく、特にインバウンドに至ってはいつになるのか…という状況ですが、夜が明ける前に少しお勉強しておこうかな、ということで読了。
    ただ、「観光ほど不測の事態に強く、安定成長が期待できる産業はない」という本著内のフレーズはちょっと虚しく響きましたね。。

    著者は「日本の観光資源は説明を受けるとその良さが伝わり、その奥深さに驚き、感動がわいてきます。」と言い、だからこそそれをちゃんと伝える努力をすべきだ、と主張しており、その例として、「日本の森林は定期的に自然災害に見舞われることで、強い種を一方的に強くしない新陳代謝が行われている。」という見解を国立公園のパークレンジャーから聞いて深く納得した経験を挙げています。
    その対象として文化財は説明不足だし、自然については説明しようとする努力がそもそも行われていないのでは?という懸念があるようです。
    このくだりを読んで個人的に感じたこととして、確かに、日本の場合は、出された芸術/景観を受け手が「匠の目」で見て「ひょっとすると、この意匠はこういう意図では?/背景では?」と見抜いた人がエラい、という傾向があるのではと。
    だからこそ、「最初に1から10まで言っちゃむしろ興醒めする」という感覚がどこかにあって、それが解説を妨げていたんじゃという気もしますが、もはや日本でも鬼滅の刃のようにしっかり説明されたコンテンツが尊ばれる時代です。転換する良いタイミングなのかもしれません。

    あと、細かなところで著者の意見に同意できなかった点が2つほど。
    「日本の街並みは美しいとは言い難い」というのは、ヨーロッパの均整のとれた街並みとの比較なのでしょうが、個人的には、高さの揃っていないスカイラインやゴチャゴチャ伸びた電線、入り組んだ路地なんてのは、別の価値観における美しさががあって、そういったものに触れることこそ観光とも言えるのではないかと。
    (まぁ、それをちゃんと解説・発信していないというのはあるでしょうが…)
    あと、「航空交通インフラ」の記載で、日本は他の観光大国に比べてやや低い順位だと出てますが、これってどうなのか。
    機材数/離陸数が少ないという指摘には、日本は大型機が多いからと返せるし、そもそも高速鉄道がこれだけ発達した国に対して航空だけあげつらわれても、と思います。空港の密度が薄い、と言っても、もはや1県に1空港は必ずある中でこれ以上増やすのは自殺行為にも思えます。

    とは言え、本著に書かれているほとんどの記述は、「まぁそりゃそうだよなぁ」というもの。ちょっと頑張れば改善できるものがほとんどです。(逆に、驚くような抜本的提言はなく、日本の方向性自体はそこまで間違っていないという証左なのでしょうか)
    良いインフラ(ソフト含む)を整え、世界ともっと良いコミュニケーションができるようになる絵が浮かぶ1冊でした。

  • 観光に携わるものとして必読。
    修学旅行、林間学校などのマスのイメージが未だ観光にはある。
    日本人ではないネイティブにも分かりやすい表現など相手の立場に立つ必要がある。
    とりあえず作ればいいから、分かってもらえるよう気をつけて考えていきたい。
    やはり稼ぐことは大事。

  • 日本をこよなく愛してくれている外国人や、文化や芸術に造詣の深い海外の方など、日本政府はサポートジャパンとして協力をお願いしもっと活躍していただける場を提供すればいいのにと思います。その最右翼が、アトキンソンさんです。経歴を見れば、既に日本政府観光局特別顧問(2017~)として活躍されているようですが、2017年の本書の提言からはIRカジノリゾートだけがつまみ食いされている感じがしてしまうのは私だけでしょうか?
    最近の官庁がらみの案件は、既得権益や箱物といった昭和の遺物が幅を利かせている色合いが以前よりも強くなっている気がします。莫大な予算が使えるプロジェクトには真剣だが、金を使わないが効果的なアイディアが軽視されるのでは困ります。
    本書でも、金をあまりかけないアイディアがたくさんあります。例えば、外国人観光客に日本の課題を解決してもらうボランティア観光という提言です。ともすれば、何かをしてもらうと費用が掛かるという常識に反して、自然保護活動をしている経験豊富な人たちに来日を呼びかけるという発想は斬新です。そのためには、受け入れ態勢の整備や来日活動目的などを含めた魅力あるプレゼンが必要ですが、世界には自分の時間とカネをかけてでも貢献したいと思う篤志家が少なからずいるわけで、お互いにウィンウィンの関係であれば持続性も期待できそうです。
    また、観光上客を呼び込みたいのなら、5つ星ホテルのグローバルな視点で整備充実を図れ、というのももっともです。(そもそも、タイには110軒あるが、日本には28軒しかない)
    また、税金におんぶにだっこの文化財保護についても、文化財自身が管理維持費を稼げるようなサイクル確立が必要だというのも当然です。せっかくの世界遺産が、「でかい負債」ではダジャレにもなりません。こうした体質にしてしまうのも、省庁の権益確保のための補助金という制度が、逆に自治体の自助努力のインセンティブの芽を摘んでしまう結果になっているのは残念です。
    現在、武漢ウィルスが猛威を振るい、先日WHOがパンデミック宣言を出して、世界的に観光どころではなくなりましたが、いつか必ず終息して、観光業も復活するわけですので、閑散時だからこそいろいろ準備しておくという将来を見据えた複眼思考も必要です。
    頑張れ、日本!

  • なるほど確かに…と思う部分がいっぱいだった。
    yokoso japanは確かに伝わらない…本気でその人の目線で考えるということをしない結果なんだろうな。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/699490

  • 多国と比較して日本の観光事業の現状と課題、将来性について細かく語られていた。
    データ分析がとても細かく、ここまで考えられている本はなかなかないと思う。
    官公庁や世界的機関のデータなど中立的立場、且つある程度信憑の得られる発信元からデータ分析を行っている点もよかった。

  • 観光業に興味があって読んでみた。

    ほとんど予備知識のない私でも読みやすかった。導き出された著者の考えは、様々なデータと明確な理由をもって私を納得させた。特に、人口減少が進むなか、今までの観光業のやり方は通用しない、というのは、説得力があった。
    ただ、この本は2016年出版。当時と現在では状況が違いすぎる。コロナ禍を迎えた今、著者は観光業をどのように捉えているのか、気になるところである。

  • オーディブルで聞いた

    成功例
    軽井沢のそば 風上庵
    パン


    昭和

    量重視
    一生に一度
    どの土産物も同じもの

  • 観光という面で日本の足りないところを指摘してる。確かにと思うことが何点もあった。少子高齢化を迎えてる日本に、これから伸びる産業が観光というのも納得できた。

    ただし、良くも悪くもコロナがなければ・・・

  • この本だけ読んでも意味は伝わると思うが、『観光立国論』が前提で、そちらに観光と経済と日本の特徴についてわかりやすくまとまっているので、読んでいない人はそちらを読むことをおすすめする。
    『観光立国論』から数年。日本の観光業界はどのような動きをたどったか。
    外国人を誘致するために具体的にどう動けばよいか。どの国の観光客を狙うべきか。スポーツと観光、カジノとギャンブル依存症、などなど、相変わらずこの著者は、データに基づいて考察しているので、説得力があり大変おもしろい。
    (観光だけでなく、他の分野の展望や行動案についても考察してほしい)

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著者プロフィール

デービッド・アトキンソン
小西美術工藝社社長
1965年イギリス生まれ。日本在住33年。オックスフォード大学「日本学」専攻。裏千家茶名「宗真」拝受。
1992年ゴールドマン・サックス入社。金融調査室長として日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し、注目を集める。2006年に共同出資者となるが、マネーゲームを達観するに至り2007年に退社。2009年創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社に入社、2011年同社会長兼社長に就任。2017年から日本政府観光局特別顧問、2020年から政府の「成長戦略会議」委員などを歴任。
『日本人の勝算』『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(山本七平賞、不動産協会賞受賞)『新・生産性立国論』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。2016年に『財界』「経営者賞」、2017年に「日英協会賞」受賞。

「2023年 『給料の上げ方 日本人みんなで豊かになる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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