the four GAFA 四騎士が創り変えた世界

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492503027

作品紹介・あらすじ

Google、Apple、Facebook、Amazon――GAFA。

GAFAが創り変えた世界の姿とは。
激変を予言した著名教授が断言する、次の10年を支配するルールとは。
米国発、22カ国で続々刊行のベストセラーがついに日本上陸!

【本書の3大テーマ】
GAFAはなぜ、これほどの力を得たのか
GAFAは世界をどう支配し、どう創り変えたのか
GAFAが創り変えた世界で、僕たちはどう生きるか

【GAFAが生み出した「新ルール」とは】
・「崇高なビジョン」を掲げる
・「利益」はいらない
・法律は「無視」できる
・競争相手は「資金」で踏みつぶす
・人間の「本能」を刺激する
・ほとんどの人は「農奴」になる ……など

【本書の主な内容】
・GAFAはなぜ、これほどの力を得たのか?
・GAFAが狙い打ちにする「人間の本能」とは何か?
・GAFAに共通する「8つの覇権遺伝子」とは何か?
・GAFAは世界を、どのように創り変えたのか?
・GAFAに続く「第五の騎士」は現われるのか?
・GAFAが創り変えた世界で、僕たちはどう生きるか?……など

【著者紹介】
スコット・ギャロウェイ(Scott Galloway)
ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。MBAコースでブランド戦略とデジタルマーケティングを教える。
連続起業家(シリアル・アントレプレナー)としてL2、Red Envelope、Prophetなど9つの会社を起業。
ニューヨーク・タイムズ、ゲートウェイ・コンピューターなどの役員も歴任。
2012年、クレイトン・クリステンセン(『イノベーションのジレンマ』著者)、リンダ・グラットン(『ライフ・シフト』著者)らとともに
「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出。
Youtubeで毎週公開している動画「Winners & Losers」は数百万回再生を誇るほか、
TED「How Amazon, Apple, Facebook and Google manipulate our emotions
(アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルはいかに人間の感情を操るのか)」は200万回以上閲覧された。

感想・レビュー・書評

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  • GAFA - Google, Amazon, Facebook, Appleがいかに傲慢で支配的であるのかを滔々と語った本。結構長い。GAFAが強大であるのはみなが知っての通りであるが、それがいかにして支配力を獲得し、今も高め続けているのかを熱意と敵意を込めて語っている。
    著者は、彼らをヨハネの黙示録に出てくる支配者にちなんで「四騎士」と呼んでいる。著者は彼ら「四騎士」について、一般の人々が考えているほどには善良であるとは考えていない。四騎士の存在は、ある領域においては影響力や規模の面においても政府や法律も超えている。その傲慢さによって暴走しないように四騎士同士の対抗心による自己抑制が働くことを著者は期待している。

    以下、GAFAそれぞれについて見ていく。

    【Amazon】
    Amazonは、小売業界を破壊しようとしている。すでに全米の52%の世帯にAmazon Primeは浸透している。いまや固定電話よりもAmazon Primeの方が多い。
    Amazonがゼロクリックオーダー(ユーザが欲しくなるであろうものを送っておいて、不要なものを返品する方式でAmazonにより特許が取得されている)が完成すれば、小売業界は大きな変革を迫られるだろう。ホールフーズの買収はそれに向けた一歩として店舗兼倉庫となる拠点の確保という意味合いを持っているという。われわれは、小売業界の大きな転換点を見ているのかもしれない。Amazonは、オンラインだけではなく、オフラインも含めて小売りの世界を支配する。Amazonは消費者の山ほどのデータを使ってそれを実現するだろう。
    Amazonの強みのひとつとして、他の小売業が太刀打ちできない安い資本コストが得ていることが挙げられる。これはベゾスのストーリーテリングの能力の賜物でもある。他の企業では致命傷になりそうな携帯端末事業での失敗もいまやすっかり忘れ去られている。ベゾスは失敗を推奨しさえする。歴史的には大胆さ(Bold)が報われているとして、大胆であることを奨める。おとなしいことには代償が伴うのだ。本当に奇想天外なことは、ばかげているのではなく、大胆なのだ。空飛ぶ倉庫やドローン配送なども先んじて取組む姿勢を見せることで周りに対して機先を制している。今ではAmazonにとっては、投資が大きいものであれば、大きいほどよい。なぜなら競争相手は指をくわえてそれを見ているしかないからだ。Amazonは、「莫大な資金がかかるために他社ではできないことで、我々が他社を出し抜けることは何だろうか」と考える。
    Amazonはクラウドの世界でも(AWS)、メディアの世界でも(Amazon Prime Video)大きな存在感を見せている。おそらくは、サーバー事業を自ら手掛けたように、運送事業も自ら手掛けるようになるだろう。そのときには、Fedex、DHL、UPSなどが競争相手(捕食対象)になる。
    Alexaによる音声インタフェースへの進出も見事だった。Amazonは安い資本コストと、ハードウェアで利益を得る必要がないというメリットを存分に生かして他社を出し抜きつつある。
    著者によるとAmazonが最初に時価総額一兆円を達成する企業になるだろうと予測する。

    【Apple】
    Appleは、高級品として自らを位置づけることで、企業体として最も長く生きながらえる可能性が高くなっているとする。世の中の高級品ブランドを見るとそのことが理解できる。ジョブズを失ってもAppleの収益性はさらに磨きがかかっているのは、自らを高級品ブランドとして認知させることに成功したからだ。成功の基礎は、当初酷評されたApple Storeによるものが大きいと著者はいう。それこそがジョブズが自らの製品を単なるデジタル製品として見ていなかったことの証である。iPhoneの利益率とその他のAndroidスマホの利益率の違いが、それが贅沢品であることを示している。
    それにしてもジョブズ帰還後のAppleの革新は思い返すに飛び抜けていた。2001年以降の10年間において、iPod、iTunes、iPhone、iPadを新しく生み出した。
    著者はジョブズ本人については、その品性を含めて厳しい評価をしている。いわく、チャリティーに興味がなかった、娘の認知をしなかった、など。ジョブズが教祖然としてあがめられていることにも皮肉な目を向ける。Appleが犯罪捜査のためにスマホのデータを司法が見るためのバックドアを作ることを拒否したことに対しても批判的だ(そのことで著者はずいぶんと世間で非難されたようだけれども)。
    テクノロジー企業は短期間で大企業になれるが存続する期間も短かいが、Appleはテクノロジー企業の軛から離れて高級品ブランドを売るようになったとする。それにより、Appleは他社が容易には追いつくことができない深い溝を掘ることに成功した。
    著者は、AppleがGAFAの中で22世紀まで存続する可能性が一番高いと予測する。

    【Facebook】
    Facebookは、利用者数の観点では史上最も成功した企業である。その数は20億人、地球上の人類の約1/4と関係を持っている。その数は中国人よりも、カソリック教徒の数よりも多い。人々は毎日50分以上の時間をFacebookとInstagramとWhatsUpに費やしているという。そのことでFacebookはマーケティングファネルの一番上流にあたる認知に影響力を持つこととなった。
    Facebookはプライバシー問題で騒動を起こしたが、とにかく利用者のことをよく知りうる立場にある。150の「いいね」を分析することで配偶者よりもよくその人を理解することができ、300の「いいね」で本人よりも理解することができると言われている。Facebookは規模とターゲティングの両方を併せ持つ初めてのメディア企業となった。GoogleとFacebookは今や最大のメディア企業でもある。
    一方で、Facebookは自らをメディア企業とみられたくないのだと著者は言う。彼ら自身がメディアとしての公共責任を負いたくないからだと批判する。かつてニューヨーク・タイムスの取締役にもなっていた著者はメディアの中立性や責任を強調し、Facebookのことを金がすべての企業だと批判する。よほどフェイクニュースやケンブリッジ・アナリティクスの件が気に入らなかったらしい。

    【Google】
    Googleは、人びとから得られているその信頼から神にも比されている。
    GoogleはAppleが高級品ブランドになるのとは逆に公益企業となった。どこにでもいて、あるのが当たり前の空気のような存在になりつつある。そのために常に独占禁止法の対象になっている。
    Googleは、インターネットの発展とともにさらに発展する可能性が高いと予測する。その支配力と影響力の高さを次のように表現する - 「誰もがうつむいてスマホを見つめ、Googleに祈りをささげる」

    著者は、上記の四騎士には共通する8つの要素があるという。①商品の差別化、②ビジョンへの投資、③世界展開、④好感度、⑤垂直統合、⑥AI、⑦キャリアの箔付けになる、⑧地の利、である。これを一兆円企業になるためのTアルゴリズム (Trillion Algorithm)と呼んで、著者が保有するコンサル会社のツールやビジネススクールでの講義に使っているという。この中でも優秀な人材確保のためにGAFAに採用されることがその後のキャリアの箔付けになると認知されることは、人材が競争力の源泉にもなることから本当に重要だ。

    そもそも、著者としては四騎士に対してはその成功を評価するものの、よい印象を持っていない。「それまで考えられなかったスピードで価値を生み出して発展した大企業は、ある種のペテンや知的財産の盗用犯していることがよくある。四騎士もまた例外ではない」というのが押しなべての批判になる。
    著者の大きな懸念は、これらの四騎士がその企業価値に比して実質的な雇用を産まないことだ。Amazonは多くの雇用を支える小売業から雇用を奪っている。一握りの大金を握る支配層と貧困にあえぐ下層に分かれて、かつてアメリカが理想とした中産階級の消滅を嘆いている。ビリオネアになるのはかつてないほど容易だが、ミリオネアになるのはかつてないほど難しい時代だという。著者自身は、成功したシリアルアントレプレナーであり、ビジネススクールの人気教授でもあり、明らかに成功者である。そして根っからのリベラルである。Appleに対してその莫大な利益から無料の教育機関を創設するべきだと進言するくらいリベラルだ。だから雇用を奪う四騎士のことが心から好きにはなれないのだろう。リベラルはGAFAのような会社が条件抜きで好きなのかと思っていたのだけれど、冷静に考えると彼らはすでに支配者であり、リベラルが好きな解放者ではなくなっているのかもしれない。もちろん、IBMやMicrosoftの例を持ち出すまでもなく四騎士が将来においても支配力を維持し、どうしようもなく盤石であるということではない。それでも、この四騎士がかつてないほど強大な影響力を持つ企業になっていることは間違いない。その他の企業にとってはいまやどう戦うのかでなく、多くの場合はどうやって協力関係を取り結ぶのかということが課題となっているのである。

    著者は四騎士に対抗する第五の騎士についても言及している。Alibaba, Tesla, Uber, AirBnB, Microsoft, Verizon/AT&T/Comcast/Time Warner, などを挙げているが、彼らとて大きな雇用を産むわけではない。Uberは大きな雇用を産んでいるけれどもその多くは低賃金のドライバーで本書では「農奴」とまで呼んでいる。ちなみにVerizon/AT&T/Comcast/Time Warnerは、第五の騎士候補としてはとりあえず触れただけという感じで、ろくな分析はされていない。こういった既存大企業はずいぶんと期待されていないということなのだろう。

    最後にこれからの若者に対するアドバイスとして、大学、それもよい大学に行けという。身も蓋もない学歴主義だが、実際そうなのだから仕方がない、と。もちろん、授業料の高騰への批判は忘れない。また、ちゃんと20代、30代の頃に株式などに投資しなさいという。好きなことでなく、得意なことでキャリアを築きなさい、ともいう。好きなことをやりなさいとは言わないのが、妙に現実主義者でもある。また、①人前で失敗しても平気でいられるか、②売り込みは好きか、③大企業で働くスキルに欠けているか、と問う。大企業で働くスキルがなく、①と②の能力を持っているのであれば、起業するのも悪くない、と自分のことを振り返って伝える。大企業で成功するにはユニークなスキルが求められるということだ。そのスキルがあるのであれば、リスクを考えると大企業にいるのは悪い選択ではないと。皮肉屋だけれども、どこまでも現実的である。

    ちょっと批判バイアスがかかりすぎのような気がするが、ある意味「リベラル的」健全さを持った現状解説になっている。ものすごく意外な分析はなかったが、GAFAまとめて整理するにはよいのでは。

    ※リベットの実験の解釈が少々おかしいと思うのはご愛敬というところか(人は無意識にクリックする)。

  • GAFAを、黙示録の四騎士と呼んでいる。ヨハネの黙示によれば、剣、飢饉、悪疫、獣によって、地上を支配する4人の騎士が紹介がされている。

    この書にかかれていることは、はじまりにすぎない。
    邦訳は、2018年だが、後段にかかれている、NextGAFA:第5の騎士、GAFA以後の世界についても示唆が描かれています。

  • Windows PC で Google Chrome を起動し、booklogにログインする。
    booklog で気になった本があるとリンクされている Amazon のページに飛び、さらに「その本、図書館にあります。」で設定した図書館の在庫と予約状況をチェックする。
    最新のニュースをチェックしたら、iTunes を開き Podcast を更新し iPod と同期をとる。
    通勤中は、iPod を聴きながら Android タブレットで Gmail をチェックし Facebook、instagram、twitter も眺める。
    連絡は iPhone で行う。

    おやおや、今やすっかりGAFAありきの生活だ。自ら良かれと思い選択したつもりだが、まったくもって巧みに取り込まれてしまった。

    Facebook は「人」を、Amazon は「物」を、Google は「情報」を繋ぐプラットフォーム、Apple は 繋がりにアクセスする高級ブランド品だ。

    著者は起業家であり有名企業の役員も務めた人物だが、ビジネスにおいてGAFAには少なからず煮え湯を飲まされている。
    本書はそんな経験もネタにして、GAFAがここまで成長できた戦略と共に、今後目指していること、そして牙城を守るための裏の顔にも触れています。

    Next GAFA にも言及し、いくつかの企業を挙げているが、GAFA と肩を並べるには不足している点を指摘している。

    想定している読者層は起業家を目指している若者のようで、起業家タイプの人の特徴にも言及しています。

    起業に成功するための考え方を GAFA の成功例を分析し(GAFAの悪口をスパイスとして)解説した本です。
    成功の手段となるテクノロジーの解説や、政治的なノウハウなどには触れていません。
    第10章の「GAFA以降の世界で生きるための武器」が、著者が本書で伝えたいことのようです。

    それはともかく、どんな秘密でも警戒心なく気軽に相談できる Google には何でも知られてしまう怖さを改めて感じました。

  • 【感想】
    現在、凄まじい勢いで世間を圧巻している「GAFA」について書かれた本。
    筆者自体がGAFA嫌い?と思うような表現が多く、その中でも認めざるを得ないこの4企業について鮮明に描かれており、読んでいて面白かった。
    もはや「GAFA」というフレーズを聞かない日がないぐらい名を馳せた4社だが、ここまで巨大化したのはやはりアメリカ本土のチャレンジ精神によるものなのだろう。
    (個人的にはFacebookとAppleは世を覇権しているとまで感じていないが・・・というよりGoogleが巨大すぎる。)

    4社がどのような手法でのし上がってきたか、簡潔に述べられている述べられている前半部分と、GAFAを追うNEXT企業の紹介も面白かったが、何より300ページ目以降の「8つの覇権遺伝子」と「GAFA以後の世界で生きる武器」が読んでいて本当に勉強になった。
    中でも会社としてではなく、個人として今後どう成長していくかを考えたところ、重要なのは以下7点ではないだろうか。

    ・好奇心
    ・当事者意識
    ・都市に出よ。
    ・豊かさの定義
    ・不満を口にしない
    ・頑強さ

    勿論それ相応のスペックは必要不可欠として、上記でも簡単にできるのは「好奇心」「当事者意識」「不満を口にしない」この3点だろう。
    日本人からすれば、閉鎖的かつヌルイ島国根性からいまだ抜け出せずにいる性根を叩き直す事からしていかないといけないかなぁ。


    【内容まとめ】
    四騎士が共有する8つの「覇権遺伝子」
    ①商品の差別化
    ②ビジョンへの投資
    ③世界展開、グローバル
    ④好感度
    ⑤垂直統合(ワンストップ)
    ⑥AI
    ⑦キャリアの箔づけになる
    ⑧地の利

    1.ヨハネの黙示録の四騎士
    地上の4分の1を支配し、剣・飢饉・悪疫・獣によって、「地上の人間を殺す権威」を与えられている。

    2.四騎士はすべて他社より先を行くことを旨とし、大胆な計画に賭け、失敗に寛大だ。
    この遺伝子が、成功の核心である。
    四騎士は神・セックス・消費の具現者であり、何十億人もの人々の毎日の生活価値を高めている。
    とは言うものの、これらの企業が私たちの精神状態の心配をしてくれるわけではなく、老後の面倒を見てくれるわけでもない。

    3.グーグルに祈れば答えが返ってくる。
    グーグルは誰に対しても知識を授けてくれる。
    生い立ちや教育レベルは関係ない。
    アップルは世界一革新的な企業と考えられている。Amazonは最も評判のよい企業。Facebookは1番働きやすい企業だ。
    しかし私たちがグーグルに置く信頼にはならぶものがない。

    4.四騎士は先行者の死骸をあさって情報を集め、間違いから学び、資産を買い上げ、顧客を奪って成長した。
    他の会社の知的財産を拝借し、それを本来とは別の目的に使って利益を上げる点だ。
    他の誰かが築いた資産を使って、それを開発した人にはできないやり方で利益を上げる

    5.重要なのは、「盗んで」大きくなるということだけでなく、他の人には見えない価値を見抜き、他の人には引き出せない価値を引き出すということ。

    6.面倒を減らす
    新しいアイデアを考えている時、起業家は何を付け加えればいいか、顧客に面白い体験をさせられるか、ばかり考える。
    何かを減らして面倒を取り除こうと考えることは稀だ。
    しかし、大きな価値を生み出しているのは、何かを減らす工夫である。

    7.心理的成熟とならび、好奇心もまた成功には重要だ。
    昨日うまくいっていたことは今日には時代遅れとなり、明日には忘れられる。
    テクノロジーの時代、モノが入れ替わるペースが上がっている。
    変化を恐れるのではなく、好奇心を持って「こういう風にしたらどうだろう?」と問い掛ける事ができる人物が必要だ。

    8.都市に出よ。
    結局、いくらデジタル化が進んでも、都市に出なければ置いていかれてしまう。
    富、情報、権力、そしてチャンスは都市に集中している。
    イノベーションの多くはアイデアが集まるところで起こり、進歩は人間と人間の直接の交わりから生じる。

    9.豊かさの定義
    給料だけで大金持ちになる事はできない。
    資産を増やして富を築くには、別の収入ツールが必要不可欠だ。
    現金の報酬はあなたのライフスタイルを向上させるが、それで財産は増えない。
    そして人は自然に貯金するようには出来ていない。

    豊かさの定義とは、不労所得が生活費を上回った状態。
    豊かさとはいくら稼ぐかより、きちんと計画を立てる事なのだ。
    収入以下の生活、そして収入を生む資産形成が必要である。


    【引用】
    四騎士
    ヨハネの黙示録の四騎士
    地上の4分の1を支配し、剣・飢饉・悪疫・獣によって、「地上の人間を殺す権威」を与えられている。


    四騎士が共有する8つの「覇権遺伝子」
    1.商品の差別化
    2.ビジョンへの投資
    3.世界展開、グローバル
    4.好感度
    5.垂直統合(ワンストップ)
    6.AI
    7.キャリアの箔づけになる
    8.地の利


    四騎士は神・セックス・消費の具現者であり、何十億人もの人々の毎日の生活価値を高めている。
    とは言うものの、これらの企業が私たちの精神状態の心配をしてくれるわけではなく、老後の面倒を見てくれるわけでもない。


    p72
    ベゾスが掲げるAmazonの年次書簡
    「失敗と発明は不可分の双子だ。新しいものを生み出すには実験が必要だ。最初からうまくいくことがわかっていたら、それは実験ではない。」

    四騎士はすべて他社より先を行くことを旨とし、大胆な計画に賭け、失敗に寛大だ。
    この遺伝子が、成功の核心である。


    p136
    富裕層というのは、地上に存在する他のどんな集団より均質である。
    同じ言語を話し、エルメス、カルティエ、ロレックスを身につけている。
    子どもをアイビーリーグへ行かせ、イタリアやフランスの海辺かカリブ海のサン・バルテルミー島で休暇を過ごす。
    中産階級が多様性があるのに比べ、それとは対照的に世界のどこへ行っても富裕層のエリートは多様でありながら同じ色だ。
    高級ブランドが大量生産品よりも地理的な境界を越えやすいのは、これが理由である。


    p151
    四騎士の歴史に目を向けると、それぞれ別の事業から始まっていることがわかる。
    アップルはマシン、Amazonはストア、グーグルは検索エンジン、Facebookはソーシャルネットワーク。
    しかし現在、四騎士はどんどんと互いの領域に踏み込んでいる。
    それは広告であったり、音楽、本、映画、携帯電話、最近では自動運転車であったりする。
    しかしアップルは高級ブランドとして独自の地位を確立している。これは大きな利点だ。


    p180
    ・スピードと順応力
    Facebookがインスタグラムで成功した要因は、そのスピードとマーケットへの順応力にある。
    新機軸を次々と生み出す能力は、他に類を見ない。
    新しい製品を生み出しては消すことで、Facebookは世界で最も革新的な企業になった。


    p204
    現在、宗教は死にかかっている。
    情報と教育を得たことで、信仰心は逆に減っている。
    IQが高い人ほど神を信じない傾向があり、IQ140を超える人で宗教から満足を得るという人は6人に1人にすぎない。

    グーグルに祈れば答えが返ってくる。
    グーグルは誰に対しても知識を授けてくれる。
    生い立ちや教育レベルは関係ない。

    アップルは世界一革新的な企業と考えられている。Amazonは最も評判のよい企業。Facebookは1番働きやすい企業だ。
    しかし私たちがグーグルに置く信頼にはならぶものがない。


    p219
    神(google)が偉大なのは、私たちが何をするかだけでなく、何をしたいかを知っていることだ。
    誰にも打ち明けたことがなくても、神はネットのモールを歩いているあなたを見ている。
    高級ブランドのパンプスやボーズの新しいヘッドフォンに目を留めて、それが欲しくてたまらなくなったことを神はご存知なのだ。


    p244
    1998年9月、スタンフォード大学の学生であるセルデイ・ブリンとラリー・ペイジが検索エンジンと呼ばれる新しいウェブツールを開発した。
    これを使えばキーワードを探してインターネット上を自由に飛び回れる。
    googleの類まれな能力は、その日からそこに存在した。


    p251
    ・四騎士は「ペテン師」から成り上がった。
    騎士たちの罪は、次の2つのタイプのペテンのどちらかに入る。
    1つ目は、他の会社の知的財産を拝借する行為。悪質なのは、それを本来とは別の目的に使って利益を上げる点だ。
    2つ目は、他の誰かが築いた資産を使って、それを開発した人にはできないやり方で利益を上げることだ。

    1つ目のペテン
    ・革新的なアイデアを思いつかなくても未来の騎士になれる可能性がある。
    ・自分たちに同じことを仕掛けようとする相手には、弁護士を立てて対抗できる。

    2つ目のペテン
    ・先行者利益が必ずしも絶対的な利益にはならない。ある業界のパイオニアが、うしろから撃たれる事はよくある。

    四騎士は先行者の死骸をあさって情報を集め、間違いから学び、資産を買い上げ、顧客を奪って成長した。


    p255
    重要なのは、「盗んで」大きくなるということだけでなく、他の人には見えない価値を見抜き、他の人には引き出せない価値を引き出すということだ。


    p268
    ・脳、心、性器を標的にする四騎士
    進化心理学の見地からすると、成功するビジネスはどれも体の3つの部位のどれかに訴えかけるものだ。
    その3つとは、脳・心・性器である。


    p293
    ・面倒を減らす
    新しいアイデアを考えている時、起業家は何を付け加えればいいか、顧客に面白い体験をさせられるか、ばかり考える。
    何かを減らして面倒を取り除こうと考えることは稀だ。
    しかし、大きな価値を生み出しているのは、何かを減らす工夫である。

    Amazonは、車で地元のモールへ行き、駐車スペースを探し、半マイルほど歩いて店に入り何千とある興味ない製品に圧倒され、買った物を車まで運んで家に帰るという面倒をすべて取り除く。
    むしろ運転時のガソリン代より安く家まで運んでくれる。


    p299
    世界を支配する必要はない。むしろ必要なのは、あなたが持っている製品やサービスが「デジタル的」であり、普通の文化摩擦のルールは当てはまらないと証明することだ。

    もし第五の騎士になりたければ、あなたの会社の製品にパスポートを持たせる、つまり世界中に売り込む必要がある。


    p302
    ・好感度
    企業の好感度が低いほど、筋の通らない理由で反トラスト、反プライバシー保護の取り締まり対象に選ばれやすくなり、素早く行政介入が行われる。
    法律は結果を左右するが、企業を法廷に引っ張り出すか否かは主観が左右する。
    見解は往々にしてその企業が善良か否か、あるいはしおらしく見えるか否かに基づいている。


    p318
    ・地の利
    キャリアの箔づけ企業となるためには、地の利という利点が必要だ。
    一流の学位を持つ人材が集まる場所に企業をつくる必要がある。

    テクノロジー、ソフトウェアは世界を支配しようとしている。
    いまや、プログラミングができるだけでは十分ではない。
    企業あるいは消費者にとっての価値を上げる力と技術の両方を追求するセンスを持つ人材が必要だ。
    そして、そのような仕事ができるトップレベルの人材の多くは、えてしてトップレベルの大学出身なのである。

    今後50年、世界のGDPの成長は都市部で起きる。
    都市には最高の人材が集まるだけでなく、都市が最高の人材を生み出す。


    p366
    ・好奇心
    心理的成熟とならび、好奇心もまた成功には重要だ。
    昨日うまくいっていたことは今日には時代遅れとなり、明日には忘れられる。
    テクノロジーの時代、モノが入れ替わるペースが上がっている。
    変化を恐れるのではなく、好奇心を持って「こういう風にしたらどうだろう?」と問い掛ける事ができる人物が必要だ。


    p367
    ・当事者意識
    チームの誰よりも細部にこだわり、何をいつ、どのように終わらせる必要があるか。
    自分が全員を、すべてを掌握しなければ、何も起こらないと考える。


    p372
    ・大学に入る
    当たり前の事だが、デジタル時代にホワイトカラーの仕事で成功したいなら、名門大学に入らなくてはいけない。
    行くと行かないとの違いは大きい。

    受験というフェアではない競争を勝ち抜き、優秀な友人とブランドを勝ち取らなければいけない。
    ネームバリューのある大学に入学できない時は、編入という手がある。

    また、ブランドという点では、「資格」を取得する事も必須である。
    世界70億人とは違っている事を証明する何よりの手段である。


    p374
    ・都市に出よ。
    結局、いくらデジタル化が進んでも、都市に出なければ置いていかれてしまう。
    富、情報、権力、そしてチャンスは都市に集中している。
    イノベーションの多くはアイデアが集まるところで起こり、進歩は人間と人間の直接の交わりから生じる。


    p375
    ・どうすれば他の聡明な若者たちから抜きん出る事が出来るだろうか?
    第一に、自分の特技を強調して、自信を持って出来る仕事の限界を広げる必要がある。
    そして良い仕事をしても、それを宣伝して自分のものだと主張できるメディアがないと、正当な報酬は得られない。


    p380
    給料だけで大金持ちになる事はできない。
    資産を増やして富を築くには、別の収入ツールが必要不可欠だ。
    現金の報酬はあなたのライフスタイルを向上させるが、それで財産は増えない。
    そして人は自然に貯金するようには出来ていない。
    収入が増えると、同じくらいの収入を得ている人たちと付き合うようになり、そこで目にするものが欲しくなる。


    p380
    ・豊かさの定義
    豊かさの定義とは、不労所得が生活費を上回った状態である。
    7桁の稼ぎがありながら、豊かではない人も数多く存在する。
    そういう人はえてして、働くのをやめた時の事を考えていない。

    豊かさとはいくら稼ぐかよりと、きちんと計画を立てる事なのだ。
    収入以下の生活、そして収入を生む資産形成が必要である。


    p385
    ・不満を口にしない
    もしあなたが公正を求めているなら、それは企業の世界では見つからない。
    不公平な扱いを受け、大変な状況に置かれることもあるだろう。
    そこに耐えるべきか、他の仕事に就くかは決めなければならなくなる。

    ただ、周りの人は、どんな辞め方をしたかを覚えている。どんな状況でも、穏やかに事を進めるべきである。

    他人への文句や、どれほど酷い目に遭わされたかという不満を口にするのは、負け犬のすることだ。


    p389
    ・頑強さ
    自分が運動する時間を増やせば、成功する可能性は高くなる。
    単純に痩せたりムキムキになるという事だけではなく、身体的にも精神的にも強くなるということだ。
    (数多くのCEOは、定期的に運動をしている。)

    体を健康に保つ事が出来れば、うつになる可能性も低く、思考が明確になり、よく眠れる。
    ストレスがあっても冷静さを保ち、大きな問題にガムシャラに精力的に取り組む。

  •  Google、Apple、Facebook、Amazon。
     この4つの企業がそれぞれがどんな戦略で利益を得ているか。何を押しのけ、どんな業界を征服し、どんな戦略を採用しているか。
     内容は割と軽くて、初心者への紹介本にちょうどいい。キャッチー過ぎて、逆に内容が薄まって見える部分もありますが、軽ーい気持ちで読むにはちょうどよかったです。Googleがどうやって儲けているかとか、そういえばきちんと考えてみたことなかった。言われて納得。

     日本ではここまでGAFA独占っていう印象はないですが、今、アメリカはこうなのかーという意味では興味深い。
     あと、著者さんが言うような消費スタイルがアメリカにはゴロゴロしているのかと、GAFA云々より前に、そっちのほうが興味深かったり。
     AmazonEchoさんに話しかけて、毎日の買い物の手間を省く――つもりでAmazonに貢ぎ続けるアメリカ人って、ほんとにそんなに多いのかなーとか。

     確かにGAFAは強いけど、まだまだひっくり返る余地はありそう。10年後には勢力図が思いっきり変わってそう。
     とりあえず、買い物する時はよく見て、よく考えようと思いました……ぼんやりしてると、必要でないものも欲しくなりそうです――今の企業は、そういう戦略をとるらしいから。

  • p162
    ユーザーは人生最高の体験、覚えていたい瞬間、そして覚えてもらいたい瞬間のことを投稿する

    この言葉が好き

  • 前々から評判になっていた本。
    成毛さんの「Amazon」をまず読んで予習してから、読み始めました。

    まず、タイトルのGAFAってのが秀逸。
    歴史に残るタイトルになったような気がします。

    内容に関して言うと、まずGAFA各社の分析があって、
    GAFAの共通項、GAFA時代に個々人や会社がどう生き残ってくのかが述べられています。
    テクノロジーの影響が無視できない時代になって来て、
    こういった内容をどんな人でも押さえておかなければならなくなってきている訳ですが、
    内容は悪くないんだけど、自分の期待値があまりに大きかっただけに、
    もうちょっと頑張って欲しかったというのが正直なところ。
    ちょっと著者の思いが詰まり過ぎていて、客観的な分析(特にファイナンス面とか)がやや足りていないように感じました。
    (著者はブランディングなどを専門としている教授なので、もともと専門ではないというのもあると思いますが。)
    話もやや冗長で、もう少しシンプルに分析できたはず。

    こちらの期待値が高かっただけに、少し辛口になってしまいましたが、
    やぱり一度は目を通しておくべき本だと思いますし、
    著者が某新聞社を立て直そうとしたくだりなどは、個人的に一番の読みどころで、
    とても楽しめました。(結局、失敗しちゃんですが。)

    今の時代を象徴する一冊になると思います。

  • 今さらながら、読了。随所に皮肉が効いている。過去にない成長スピードの4騎士。その支配構造と、今後の支配についての示唆があった。
    また、起業家とは?いかなる生き物なのかについても、触れられている。

  • GAFA各社についての詳細な分析と、次世代のGAFA候補になりうる企業が列挙されており、今後の世界の勢力の予想に役立つだけでなく、著者の皮肉、具体例が面白くどんどん読み進められる。著者の洞察力が素晴らしい。
    後半には、GAFA以降の世界で我々がどう生きていけばいいか列挙されており(人に誠実に、新しいものを受け入れる etc)、非常に示唆に富んでいる。ビジネスマンならば1回は読んでおきたい書。

  • スコットギャロウェイ氏の文は皮肉も少しあって面白い。翻訳者の力もあるかと思う。
    GAFAをある一人の視点から見つめた論理展開は、「近いようで遠いところで起きている変革」がより「身近で自分ごとになる」ものだった。どのような業界に置くものであってもビジネスマンは必読の一冊だと思う。世界がもっと面白くなる。

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著者プロフィール

スコット・ギャロウェイ
ニューヨーク大学スターン経営大学院教授
ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。MBAコースでブランド戦略とデジタルマーケティングを教える。連続起業家(シリアル・アントレプレナー)としてL2、Red Envelope、Prophetなど10の会社を起業。ニューヨーク・タイムズ、ゲートウェイ・コンピュータなどの役員も歴任。2012年、クレイトン・クリステンセン(『イノベーションのジレンマ』著者)、リンダ・グラットン(『ライフ・シフト』著者)らとともに「世界最高のビジネススクール教授50人」に選出。
著書『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(渡会圭子訳、東洋経済新報社)は15万部のベストセラーになったほか、「ビジネス書大賞2019 読者賞」「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019 総合第1位」の2冠を達成、日本にGAFAという言葉を定着させた。

「2021年 『GAFA next stage ガーファ ネクストステージ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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