サービスを制するものはビジネスを制する

  • 東洋経済新報社
3.78
  • (1)
  • (13)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 69
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492533345

作品紹介・あらすじ

▼サービスで儲けることができるのか
サービスとは「おもてなしの心」のあらわれだから、サービス自体では儲からないと多くの人が言う。またサービスは、スタッフの資質や勘と経験で成り立っているから、サービスのレベルアップを図るのは難しいとサービス業に従事する人は考える。しかしこれらは全くの誤解であると著者はいう。
▼世界に通用するサービスを
サービスやおもてなしの心の行き届いた旅館や料亭があり、繁盛しているのも事実だ。しかしこれらは日本限定のものであり、世界に通用していくサービスではない。リッツカールトンやディズニーリゾートのように世界に通用するサービスが日本で育ちにくいのはなぜか?
▼サービスのプロが解き明かす
本書は多くのサービス業にコンサルを行ってきた斯界の第一人者が、製造業や金融業はじめあらゆる業界にとって必要なサービスの概念、成長の方法、儲けの方法など様々な事例を挙げながらわかりやすく解説する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • サービスのお勉強。

     費用発想の弊害は、小倉昌男氏の次の言葉によく表れています。「(目先の)利益のことばかり考えていれば、サービスはほどほどでよいと思うようになり、サービスの差別化などできない。となると、収入も増えない。よって利益はいつまでたっても出ない。こんな悪循環を招くだけである。」

     サービスの結果を決定づける要素は、「サービスを受ける顧客」や「サービスを担当する従業員」ばかりではありません。その他に「サービスを提供する設備や移設といった物的環境」「その場に居合わせた他の顧客」「サービス提供を背後で支える内部のシステムや組織」の三つが影響力を持ちます。サービス結果を決定づける五つの要素をまとめて、サーバクション(Servuction:Service Production System)と呼びます。

     サービスの価値=(カスタマーにとっての「結果」+サービス提供のプロセスのクオリティ)÷(売価+入手コスト)

     …顧客満足を向上させるには、本質サービスにあたる属性はミスなく提供しつつ、表層サービスにあたる属性のうち、自社のサービスコンセプトに合致し、トータルの顧客満足に影響する属性を集中的に高めていく、そういったメリハリが効果的なのです。

     サービスマーケティングの7P
    4P+
    People(人的要素):
     ・サービス提供に直接・間接で携わる従業員
      -人的要素:サービス提供に直接・間接で携わる従業員
     ・サービスの現場を共有する他の顧客
    Physical Evidence(物的証拠):
     ・資格(または他の感覚)で感知でき、顧客にサービス品質に関する手掛かりを与えるもの
      ‐店舗や社屋などの建物、インテリア、設備・備品、看板、印刷物、従業員の服装など
    Process
     ・サービス提供の手順
     ・サービス提供にあたってのノウハウや方法論

  • サービスを語る本、というと、「XXで学んだ感動のおもてなし」みたいな一種の「働きがい本」が思い浮かびがちだ。これはこれで胸が熱くなったりもするのだが、ともすれば現場の「情熱」「誇り」を強調し、下手をすると「だから日本は素晴らしい」という文脈に着地していたりして、必ずしも「もうかる仕組みとしてのサービス」の分析になっていないものも多い。著者はそうした視点から離れ、サービスを「企業価値の源泉、経営資源」として捉え直そうとしている。

    例えば本書では、現場の判断重視がよい、という通説を疑う。「マニュアル化」という言葉は、従業員の自主性を奪う、顧客ニーズより経営の都合を優先する、とネガティブに語られやすいが、著者はこうした風潮に媚びない。豊富な実例をベースに、「新人従業員には、徹底して標準に沿った行動を身に付けさせるのが鉄則」(P.193)と言い切る。また、大手外食での仕入れ自動化の例などを引きながら、「現場の勘」依存から脱却することにこだわる(「現場軽視」と同義でないことは読めば分かる)。
    背景にあるのは「標準のオペレーションがしっかりしているからこそ、イレギュラーな対応について考える余裕が現場に生まれる」(P.215)という明快な整理だ。

    こうした一見クールとも思えるアプローチの背後に、サービス業を魅力ある産業・職場にしたい、また、効率経営の論理と顧客満足とは両立するし、させねばならない、という著者の信念を読み取ることは容易だろう。サービスの提供者として、受益者として、また、サービス業を顧客とする実務家として、多くの示唆を得られる一冊。

  • グロービス発行のサービスマネジメントに関する本。
    教科書的に網羅的にわかりやすくまとまっており、非常に参考になる。仕事のヒントとして使えるように思う。

    <特に残った点>
    ・利益が出るような仕組み構築はまず、魅せて十分な魅力を構築できてから行うべきという点。
    ・4P以外に人、物的証拠、プロセスなども駆使して伝えるべきであるという点
    ・標準化の重要性、人の重要性。ベースを作ることで初めて、改善に繋げられる、オペレーションが楽になりエクセレンスにつながるという話

    <メモ>
    ・サービスの特性
    無形性、同時性(生産消費同時)、消滅性、変動性
    ・サーバクションフレームワーク
    サービスは提供企業側要因と同時に顧客側の要因がもたらす影響が大きい。サービスを提供する物的環境、その場に居合わせた他の顧客、サービス提供を支える見えない内部のシステム組織がサービスに影響しているというフレームワーク。
    →相性の良い顧客を取り込めればより強固なサービスにつながる。顧客の共創という。
    ・サービスの価値=(カスタマーにとっての結果+サービス提供プロセスクオリティ)➗(売価+入手コスト)
    ・サービス成長のためのシナリオ
    1模倣困難性の構築シナリオ。 立地、ノウハウ技術、内部管理情報システムなど。一番は人材の質、組織文化、ブランド
    2コスト競争力の強化シナリオ。提供プロセスの効率化。
    3規模化のシナリオ。どんな市場に横展開できるか。人的資源をどう拡張するか。
    ・無形性を特徴とするサービスは新規顧客販売労力が大きい。既存顧客の継続利用のメリットは非常に大きい。顧客ニーズを把握できており、顧客も利用法を心得てくれている。顧客離脱率を5%減らせば、利益25%から85%まで改善すると言われる。
    ・顧客満足で無理をしないために
    1 誰を満足させるかを決める
    2 何で頑張るかを決める
    3 パフォーマンスを可視化する。見えないサービスを見えるようにする。高級レストランで食材や調理法に対する説明をしたり、ホテルでトイレットペーパー三角おりやグラスにカバーなど。
    4 認知作用を使う。
    ・顧客満足の原動力 人材と組織
     顧客満足と従業員満足はミラーになっている。
    ・サービスプロフィットチェーン
    1サービス企業の社内サービスの質が従業員満足に影響を与え、
    2高い従業員満足が高い従業員ロイヤルティを生み
    3高い従業員ロイヤルティが従業員の生産性を高め
    4高い生産性がサービスの価値を高め
    5高いサービス価値が高い顧客満足を生み
    6高い顧客満足が顧客ロイヤルティを生み
    7高い顧客ロイヤルティが企業の業績向上につながる

    ・成功企業は標準オペレーションがしっかりしているからこそ、イレギュラーな対応について考える余裕が現場に生まれる一方、そうでない企業では本来は定型的にこなせるはずの業務まで、いちいち自己判断しているので余裕が生まれない。イレギュラーを判断することさえ手間になっている

    ・多店舗展開できている企業は出店可否の判断基準が極めて明確。証券魅力度、リッチ魅力度に関し、既存の繁盛店を分析し、自社の店舗リッチ戦定時に重視する項目を特定している。

    ・人材育成のポイント
    1価値観の共有 ビジョン、行動規範、自身の理想像をイメージしてもらう
    2実践と自己観照 実技演習 OJT 自身のパフォーマンスを振り返ってもらい、できてない自分に気づいてもらう
    3基本手順の習得
    4他社との対話 他社と対話し、自分が目指したい理想像を再確認したり、自分の現状を客観視してもらう。

    ・非定型サービスでの従業員育成
    1サービス現場の環境整備
     定型部分の標準化、自動化 
     現場への裁量権限の付与
     従業員間での事例共有
    2育成上の工夫
     技の意図を読み取る訓練
     顧客視点でのフィードバック
     失敗から学ばせる

    ・統合のマネジメント
     統合を検討すべき領域は情報システムや人事経理といった内部制度の統合、坂路やサービスラインアップの整理、一番は企業文化。

  • サービスマネジメントを体系的に事例を交え、整理された本である。サービスマネジメントを学ぶ入門書として、利用すると、非常に学びが大きいと考える本である。

  • 「サービス・マネジメント」の山口講師の著書。自身がサービス業に勤めていることもあり、気になっていた1冊。すべてのサービス業関係者にお勧めの1冊。

    こちらもおすすめ「おもてなしで飯が食えるか?」
    http://globis.jp/column_series/column-8/

    また、余談だがクラステキスト「サービス業における失敗のサイクルの打開」より

    【サービス組織の複製】
    基本は「採用」と「育成」(と「環境」)
    1.採用
    経験や保有スキル以上に、顧客嗜好のマインドをもっているか、自社の理念やビジョンに強く共感できるかといった価値観の面を重視する。
    「価値観にずれがない」<「価値観に強く共感できる」レベルでなければならない。そのためには、本人の価値観を浮き彫りにする質問を重ねる、正式入社前に実技試験やインターンを通じて価値観を実際に体現できる人物かをチェックするという取り組みが行われる。

    2.育成
    「価値観の共有」→「実践と自己観照」→「基本手順の習得」→「他社との対話」の4要素。
    また、以下の4つも注視すべき。
    ①技の意図をくみ取る訓練
    ②顧客からのFB
    ③失敗から学ばせる(まず、やらせてみる)

    3.環境
    ・定型的に対応できる部分を明らかにし、標準化・ITやツールへの代替を図る
    ・現場への採用権限の付与
    ・やらなくていいこと/やってはいけないことを明示した上で、裁量を与える
    ・従業員間での事例共有

    キーワード:本書については別途要約済み。

  • サービスを特定の産業・業界に属するものと捉えるのではなく、機能として捉え、殆どの企業にはサービスという機能が存在するという前提から、サービスを体系的に構築していくためのプロセスが非常に丁寧にまとめられている。
    本書が素晴らしいのは、「優れたサービスは現場感覚に基づく優れた属人性により提供される」という世間の通念を覆し、属人性ではなく仕組みを構築することで再現性のあるものとしてサービスを説明している点にある。例えばよく言われる「現場の声が大事」という意見に対しては、その重要性は否定しないものの、「現場感覚なるものに振り回されると、従業員がみんな頑張っているのに報われない、生産性の低い企業になる(本書p4)」との考え方が示されている。

    本書で具体的に書かれている「ビジネスモデルを設計する→品質の追求と訴求→安定化と生産性向上→持続的成長への試練」という4つのサービス拡大のプロセスでは、マーケティングにおけるターゲティングの重要性や、生産性向上のためのオペレーション改革のステップなど、サービスに限定されない汎用性がある議論が含まれており、その意味でも有用性が高い1冊。

    【以下、個人メモ】
    ・サービスは目先の損益ベースで考えがちで、短期的な赤字を避けたがる傾向が強い。しかし、サービスであっても、製造業のような工場建設など投資ベースでの考え方が必要。例えば人材に対する投資、顧客への提供価値を実現するために必要なオペレーションの構築への投資など。宅急便創始者の小倉昌男氏による「サービスが先、利益は後」という言葉はこの点を突いている。
    ・サービスの価値を本質価値と表層価値に分けた場合に、本質価値の部分は標準化が可能な範囲。また、教育における講師など、その属人性が一定程度出てしまうサービスの場合、標準から極めて外れて優秀なサービスを提供するメンバーの存在はデメリットにもなり得る。そうしたメンバーのサービスが広がりすぎてしまうと顧客の事前期待が高まりすぎて、それ以外の平均的なメンバーに対する評価が事前期待とのギャップにより極めて低いものになり、顧客満足度を低下させてしまうため。
    ・サービス提供時の安定性を高めるための手段の代表例は、従業員のスキルとウィルの向上、分業化、集約化、顧客の絞り込み、標準化、モノへの置き換え、労働力の代替など。特に労働力の代替における顧客の力を活用する手段は、インプットの低下に繋がると同時に、そうしたプロセス自体を楽しむ顧客の満足度向上も期待できる。
    ・生産性(アウトプット÷インプット)を高めるためには、上記手法によるインプットの低下と単価やクロスセルによるアウトプットの上昇だけではなく、プロセスの最適化も必要。そのためには不定形のサービスにとっては一見難しい需給バランスの調整が不可欠。そのためには需要の平準化と供給のコントロールの2面で考える。

  • サービスの構築から運営についての要点を、かなりスッキリまとめた本書。典型的な事例を交えながら展開される内容は、とてもわかりやすい。
    日本では、サービス業=ものづくり以外の産業、とされているが、整理付けをしっかりすればもっとはっきりした定義付け・モデル化ができ、数字以外の要素を含めてちゃんと経営できることが、よくわかる。

  • 請求記号:673/Gur
    資料ID:50072677
    配架場所:図書館1階西 学生選書コーナー

  • 「サービスを制するものはビジネスを制する」読了 ★4つ
    http://www.amazon.co.jp/dp/4492533346/

    今まで自分に関係ないと思い、グロービス時代もクラスを取らなかったわけですが、「すべてのビジネスにはサービスが内包されている」との言葉を読んで手にとりました。

    一般的な卸業の価値が減っていく傾向にあるなか、この辺の切り口がうちに必要かもしれない。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

グロービス経営大学院(グロービスケイエイダイガクイン)
社会に創造と変革をもたらすビジネスリーダーを育成するとともに、グロービスの各活動を通じて蓄積した知見に基づいた、実践的な経営ノウハウの研究・開発・発信を行なっている。
 ・日本語(東京、大阪、名古屋、仙台、福岡、オンライン) ・英語(東京、大阪、オンライン)

グロービスには以下の事業がある。
●グロービス・マネジメント・スクール 
●グロービス・コーポレート・エデュケーション(法人向け人材育成サービス/日本・上海・シンガポール・タイ)
●グロービス・キャピタル・パートナーズ(ベンチャーキャピタル事業) ●グロービス出版(出版/電子出版事業)
●GLOBIS知見録/GLOBIS Insights(オウンドメディア、スマホアプリ)

その他の事業: 
●一般社団法人G1(カンファレンス運営) ●一般財団法人KIBOW(震災復興支援活動、社会的インパクト投資)
●株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント(プロバスケットボールチーム運営)


「2019年 『志を育てる 増補改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

グロービス経営大学院の作品

サービスを制するものはビジネスを制するを本棚に登録しているひと

ツイートする