- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492533444
感想・レビュー・書評
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僕はよく、これ面白そうじゃんとか、これ出来たら気持ちいいだろうなぁとか、言ったり思ったりして仕事を進めちゃってる。
これも好き嫌いって事なんだよなぁ。
だから、とっても共感出来るし、勇気付けられる本です。 -
好き嫌い「と」経営。経営者の好き嫌いに触れることで価値観を覗きこむ。
ビジネス書というよりも、ノンフィクション小説的な要素が強い気がします。
好きな話よりも、嫌いの話の方が面白い。
こだわりのポイントもよくわかるし、何よりも全編を通しての楠木さんの好き嫌いが強くにじみ出ているのが面白い。
好き嫌い「が」経営ではないのがポイントかと。 -
「ストーリーとしての競争戦略」著者の楠木建氏の本。14人の経営者との対談をまとめたもので、分厚いが読みやすい。永守、柳井、原田、新浪、佐山、松本、藤田、重松、出口、石黒、江幡、前澤、星野、大前氏の、良い悪いではなく、好き嫌いについて記しており、社風や経営哲学につながっており興味深い。そしてさすがの大前節。
以下メモ
⚫︎組織のポジションには位置エネルギーのようなものがあり、なってしまうと、状態のリーダーになりさがり、行動のリーダーではなくなることが多い。
⚫︎誘因インセンティブと動因ドライバーは異なり、動因というのはその人の内側から自然と湧き上がってくるもの。外的な誘因がなくとも、自分の中に強い動因があれば人は動く。
⚫︎松下幸之助の、道をひらく、は仕上げ段階の本。きれいごと。
⚫︎ユニクロの初期は売場の半分が雑貨。しかしそれでは積み重ねにならない。シーズンが終わるたびに新しい品物に入れ替えたりして全部やり直しになる。雑貨とはバッグや帽子などの様々な商品。帽子専門店の帽子よりも優れたものを揃える。それが評価されて次のシーズンもこの店の帽子を買おうと思ってもらえるのがビジネスの本質。非常に高いハードル。服が売れないから雑貨を売りましょうは逃げ。
⚫︎教科書どおり、で意見をけなす。ケーススタディーはあくまでも一例。純粋培養的な理論が適用出来るようなら現状はない。
⚫︎知識を使わなくちゃという気持ちが前面に出ているようでは駄目。もっとビジネスを考えろ。
⚫︎理不尽なことを理不尽なスケジュールとコストでやれ、と言われるのが開発の仕事。無理なことを考え、やらざるを得ない時、とんでもない発想が出てくる。
⚫︎ダイバーシティには3つある。外国人、女性、異業種。
⚫︎公私混同というより、公私一体。どこからどこまでがプライベートのような線引きはなく、常に仕事。次から次へと浮かんだことをすぐやりたくなる。指示した報告が来る前にあれどうなってますか?と聞くのはレスポンスが来る前にまた別のアイデアがすでに浮かんでいるから。
⚫︎人生は自作自演のドラマ。
⚫︎エンジニアはこの製品のことを10割以上知ってくれ、とか開発に至った経緯とか、延々と話し続ける
⚫︎事業化は構想として持っておいて、待つことが重要。
⚫︎フランスのモンブラン近くのシャモニーでやるパラグライダー。
⚫︎営業は、一種の総合芸術。プレゼンテーションや交渉など、個別のスキルに落とし込めないような力。会社を代表して営業先の会社と対峙する。商売全体を見渡すというセンスが必要。
⚫︎フラットに議論するには、制度的に取り入れてもダメ。文化。
⚫︎仕事をやっている自分と、死の直前の自分。その間の15年くらいの自分。この3つについてどう生きたいかを考えないといけない。
⚫︎管理するのではなく統率する。組織の人を心酔させて率いる。 -
◯どんなことであれ、時間的な流れのなかで物事がどう推移したかが大切だと思っています。(77p)
◯私は時々足元も見ますけれど、基本的にできるだけ目線を上げるよう心がけています。(124p)
◯好き嫌いというより、こだわりです。そうじゃないと普通のリゾート、普通の旅館になってしまいます。(309p)
★錚々たるカリスマ経営者たちのこだわりが聞けて面白かった。原田さんはMだなあ。 -
起業家はみな好きなことしかやってない!
良し悪しでなく好き嫌いが肝。
はじめは単なるインタビューものかと思ったが、ひとつのロジックでまとめ上げられていて、最後の楠木先生まとめまで読むとなるほどなるほど感たっぷりになる。 -
楠木先生のインタビューが馴染めず、軽い先生だと感じた。物事の基本が好き嫌いでも問題ないが、久々に読んだ軽い内容だった。研究者としては、実績があるのかもしれないが。
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無類のゴルフ好きあり、無類のゴルフ嫌いもあり。
好き嫌いという切り口に関する著者の着想と仮説には賛同するが、これを紐解いてみればゴルフの例に見られるように好き嫌いそれ自体を議論することは本筋ではないと見えてくる。
この人たちにはなにが見えているのか、何を好んで何にその時間を費やすのか。
その片鱗に触れられた気がする貴重な書籍。 -
面白い視点だと思いました。体裁を整えた会社案内やIR資料を読むよりも、得るものは大きいと思います。
経営指南書ではなく、個人の生き方のヒントになる本だという感じです。楠木先生のベストセラー「ストーリーとしての競争戦略」などよりも、ずっと読みやすく、一般の方にお勧めしたいです。
往々にして私たちは、「好き」「嫌い」という判断の軸は、心の奥底にしまいこみがちです。「正しい」か、「正しくない」かで決断をする場面が多いこと! 多いこと!
法に触れない限り、もっと、「好き」「嫌い」を前面に出して、自由度の高い人生を送りたいものです。
私はファイナンシャル・プランナーとして、「好き」「嫌い」の軸を、クライアントさんにも大切にして頂きたいな、と感じました。選択肢はたくさんあるのですから。 -
ビジネス書というよりも読み物として最高に面白い。本書に登場する経営者とサシ飲みで話しているような感覚に陥るのは、テーマが好き嫌いにあることとインタビュアーの楠木さんの質問力に依るところが大きいのだと思う。
各経営者の好き嫌いはまさに千差万別で、競争が好きな人、そうでない人、ストイックに目標を定めて走る人、自然な流れに身をまかせる人など様々だ。
しかしながらどの方々も共通して、自分の好き嫌いをはっきりとわかっているし(当たり前だが)、お金をたくさん持っている上で足るを知っているし、失敗を経験からよく理解していて謙虚である。
一通り経営者のおもしろ話が聞けた後の楠木さんによる好き嫌いと競争戦略の関連性についての終章がまた面白い。
好き嫌いとはそもそも価値観であり、好き嫌いが最もはっきり現れるのはパラダラッコ氏が表現した決定的瞬間に見られるという。つまりどちらをとっても正しい選択であるときにどちらを選ぶか?が好き嫌いの分かれ目であるというわけだ。
また、好き嫌いは主に個人の価値観であるが、それをもっとユニバーサルな視点に引き上げていくとそれは世の中的な良し悪しにつながるという面白い指摘をしている。
つまり好きと嫌いの軸にユニバーサルとローカルの軸を加えた4象限に世の中の判断基準はプロットできるというわけだ。
また一方、市場と企業を取引のガバナンスの違いとみなしてこれまたユニバーサルとローカルのような延長線上にあるものと捉えると近年その境目はどんどん薄れていっているという現象が起きている。クラウドソーシングなどによる機能の外部化などはその一例であろう。
市場と企業の関係性を海と島というように表現した経済学者がいるが、その島の存在意義が薄れてきている今、島の形状を決めるのは好き嫌いに他ならないと楠木氏は締めくくっている。
世の中的に正しいこと、良いことである前提で、その中での選択を迫られたときに自分または企業はどちらを選ぶか?これは好き嫌いの問題であり、そこに共感する人々が存在する限り、労働者も消費者も存在し続けるわけで、それをいかに自覚できているか表現できているかは競争戦略の根源であると解くのである。
いやぁあっぱれ、好き嫌いって大事だなと痛感した次第。自分も、自分の好き嫌いを今一度振り返ってみたい。