LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略
- 東洋経済新報社 (2016年10月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492533871
作品紹介・あらすじ
誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。
働き方、学び方、結婚、子育て、人生のすべてが変わる。
目前に迫る長寿社会を楽しむバイブル。
世界で活躍するビジネス思想家が示す、新しい人生のビジョン。
みんなが足並みをそろえて教育、勤労、引退という
3つのステージを生きた時代は終わった。
では、どのように生き方、働き方を変えていくべきか。
その一つの答えが本書にある。
100歳時代の戦略的人生設計書。
《本書の主な内容》
●人生はより長く、健康になる。
●エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカーという新しいステージが出現する。
●40年の労働で老後の20年をカバーできても、35年をカバーするのはしんどい。
●テレビの前やゴルフコースで過ごすには、35年はあまりに長い。老後=人生のおまけという考えを捨てよう。
●企業年金、国の年金だけをあてにして生きることは難しくなる。
●お金(有形資産)も大事だが、見えない資産(無形資産)も大事。
●スキル、知識、仲間、評判、健康、生活、友人関係、アイデンティティ、人的ネットワーク、オープンな姿勢が大事。
●大学卒業後、すぐに就職を考えるのは危険。自分を見きわめ、選択肢を広げることを考えるべき。
●結婚相手を選ぶ際は慎重に。
●労働市場に存在する職種は、これから数十年で大きく入れ替わる。
●100歳になった自分がいまの自分をどう見るかを考える。
●個人と企業の間で、産業革命に匹敵するほどの激しい争いが起きる。
●共働きの本当のリスクは、消費水準を下げられないこと。
●金融商品を買うときは、パンフレットの細部に気をつけ、手数料をチェックする。
●レクリエーション(余暇)ではなく、リ・クリエーション(自己の再創造)に時間を使おう。
●男女の役割分担が変わる。質の高いパートナー関係が必要になる。
●数十年単位での役割の調整が必要。高度な信頼関係と徹底した計画が不可欠。
●他の世代と一緒に生き、交流する機会がどんどん増えていく。
●各人のアイデンティティが変わっていく。
●教育機関=学びの提供、企業=多様な人生への対応、政府=格差への対応、という課題がこれから生じてくる。
《世界を代表する知識人が称賛!》
明快でタイムリー、オリジナルで書きぶりも素晴らしく、そしてとても恐ろしい。
ニーアル・ファーガソン(『劣化国家』著者)
より健康で長寿になる私たちの人生に関する迫真のケーススタディ。
私たちの知っている世界とはまったく別の未来がくるだろう。
ダロン・アセモグル(『国家はなぜ衰退するのか』著者)
感想・レビュー・書評
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世界規模の問題を自分の視点から再確認させられる著書です。
一昔前までは終身雇用が当たり前で、ひたすらに働き続ければ恩恵を受けられると、自分が育った環境はまさしくそんな中にあって、親からも長い物には巻かれろと言われてここまで来てしまった。そんなお花畑な頭を変えていかないと、この先の人生苦労するよっていう教えですね。自分のことは自分で守る。そのためには努力せよと。時間は有限で、お金の使い方とセットでよく考えておかないと、将来手元に何も残っていないかも知れませんよと。そして、国政によってもこの先の人生悩ましいものになるかも知れないから、準備を怠らない方がいいよといった教えが詰め込まれていました。途中から読み進めるのが億劫になるくらいリアルを突きつけられる本。この読書をフックに何かしらの感覚は変わるはず。何歳まで働いて、何歳まで生きなければならないのか。ま、私自身は今のままでは安泰ではないかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なぜこの本が気になったか…
もう少し仕事で拘束される時間を減らして、やりたいことに時間が欲しい!と前々から思っていた
残業は減らすことができても、ただの雇われ労働者では自分の力量で定時を変えることができない
今回のコロナで在宅業務や、時短等を実施し、働き方改革が促進すれば…と思ったが、何事もなかったかのように通常業務となってしまった
仕事は別に好きなのだが……ああ!時間がもったいない!
他にも、昔から海外旅行が好きなのだが、今の職場ではまとまった休みが取れない、将来に対する不安、ある程度のまとまった資産が欲しい、自由の効く仕事がしたい、好きな場所で働きたいかつ移動もしたい、など…
そんなこともあり、何か参考になればと読んでみることに!
100年ライフでなにが変わるか?
あなたの100年ライフをつくる本
・70代、さらには80代まで働かなくてはならない
・新しい職種が登場し、手持ちのスキルだけでは生き残れない
・教育→仕事→引退という3ステージの人生が崩壊し、人生がマルチステージ化する
・変化を経験する機会が増えるため、選択肢をもっておくことの価値が増す
・子育て後の人生が長くなることで、家庭と仕事の関係が変わる
・老いて生きる期間ではなく、若々しく生きる期間が長くなる
有形資産(お金、土地などの金銭的資産)だけではなく、大いに価値のある無形資産(友達、スキル、知識、健康など)の両方を充実させ、相乗効果を生み出す必要がある
■無形資産
①生産性資産:主に仕事に役に立つ知識やスキル
・スキルと知識に継続投資が不可欠
・アイデア、イノベーション、創造性、起業家精神が重視されている
・(人工知能の実現でも価値を失わない)人間ならではのスキルと判断力が重要
・あらゆる分野で通用する思考の柔軟性と敏捷性が不可欠
・知識の量だけでは差がつかない時代へ その知識を使ってどういう体験をしたか
・相互の信頼で結ばれた協力な仕事仲間のネットワーク
・個人のブランドと評判を上げる 情報社会において個人の言動が厳しい監視にさらされるため、慎重な自分のブランド管理が必要
②活力資産:健康や、良好な家族・友人関係
・年齢に関係なく脳を繰り返し使用し訓練を積めば、機能を高められる
・体を動かすことにより脳の機能低下を避けられる(現段階の研究においては理由はわからず)
・ストレスをうまく管理し、バランスの取れた生活をする
・前向きな親しい友人たちのネットワーク
③変身資産:変化に応じて自分を変えていく力
・今の自分を知り、将来の自分の可能性を知ることが必要
絶え間なく自分の「過去」、「現在」、「未来」について自問し続けること
・他の人に聞いた意見を内省し、自己認識を変更することも大切
・円滑な移行を遂げるためには、活力と多様性に富む人的ネットワークを築いておく
・考えることではなく、行動することによって変化に到達する
無形資産の継続的管理の必要性
メンテナンスと投資の必要
続けてやらないと友人をなくしたり、知識の価値が下がる
■新しいステージ
①エクスプローラー
・一か所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に敏捷に動き続ける
・身軽でいるため金銭面の制約は最小限に抑える
・生涯を通じて探検と旅を続け、新しい経験を追求
・自分を日常の生活と行動から切り離し、多様なものに触れ、真の実験が行われる時、自分の価値観と物事の優先順位を改めて深く考える
・人的ネットワークを広げ、その多様性を高める
・自分と言う存在の境界を押し広げ、固定観念から脱却し、他の人たちの行動をじっくり見る
・「システムの端」に立ち、自分の思い込みや価値観に新しい光を当てる
・他人の人生の物語に触れることにより、自分の人生の物語が揺さぶられる
・ただし、単なる受け身の時間にすると、重要な資産を劣化させ減少させかねない
②インディペンデント・プロデューサー
・自分の職を生み出す人
・成功することよりも、ビジネスの活動自体を目的にしており、永続的な企業を作ろうと思っているわけではない
・組織に雇われずに独立した立場で生産的な活動に携わるためにまとまった時間を費やすことに大きな意味を持つ
・素早く試行錯誤を繰り返すことにより、絶えずフィードバックを得てプロジェクトを成功させる方法を見いだしていく
・金銭的資産を大きく増やせるケースは滅多になく、生産活動を通じて学習することに重きが置かれる
・経費を差し引いて生活費をギリギリ賄えるくらいの収入を得ようとするスタイル
(このスタイルによりシェアリングエコノミーが発展した)
・知的財産を公開し、他の人たちとシェアすることを重んじる 高い価値を生み出せる協働型の人的ネットワークの本質
③ポートフォリオ・ワーカー
・異なる種類の活動を同時に行うステージ
生産活動に携わる時期のいつでも実践できる
・支出を賄い、貯蓄を増やす
・過去の経歴とつながりがあり、評判とスキルと知的刺激を維持できるパートタイムの役割を担う
・新しいことを学び、やりがいを感じられるような役割を新た担う
・旧来型の第二ステージを生きてきただけでは柔軟性が身につかない
・フルタイムの職についているうちに、小規模なプロジェクトを通じて実験を始める(早い段階で準備に取りかかる)
・社内中心の人的ネットワークを社会の多様なネットワークに変えていく
・非効率を緩和する
すべての活動に共通する能力や知識を持たせるようにする
時間を細切れにせず、大きくまとめる
いずれの移行期間も無形の資産への投資が大切
エネルギーを最重点して活力資産を増やしたり、自分を再創造(リ・クリエーション)して生産性資産に磨きをかけたりする
また金銭的準備も必要
■新しいお金の考え方
・お金に関する知識と判断力が不可欠
・ポートフォリオをマネジメントする
・貯金を増やすためのセルフコントロール
昇給した分を自動的に貯金に回して生活レベルを一定に保つ
■変革への課題
・積極的に計画を立て行動しなければ、長寿化は厄災の種になりかねない
・一人ひとりの選択と価値観が人生の出来事やステージや移行の順序を決め、それが自己意識、つまりアイデンティティーを築いていく
・一斉行進型モデルが弱まり、自分についての知識を深め、内省の能力をはぐくむ
・計画と実験
・世界でなにが起きていて、変化に対処するために何ができるかについて理解を深めるため、自己効果力(自分ならできるという認識)を高める必要がある
・自己主体性を高めるために、余暇時間をレクリエーション(娯楽)から、リ・クリエーション(再創造)に切り替える
・未来に得られるかもしれない恩恵のために、いま厳しい決断ができるようセルフコントロール能力を高める
ほぼ400ページのなかなかのボリュームであったが、あまり真新しい新鮮な情報はなく少々残念であった
長寿化に備えようと考えている人には当たり前の内容ではなかろうか
これから考えていきたい人向けということか
働き方については別の本でもう少し掘り下げていきたいし、お金の面は逆に世間の知識のなさに驚いてしまった
一番響いたのはやはり自己分析が足りないことだと実感
自分が何がしたいのか、何をしていれば幸せで苦なく続けられるのか…
とことん自分と向き合わなくてはいくらこういう本ばかり読んでもダメな気がする
また人的ネットワークを広げるのは正直ハウツーがわからないのでここも調べていきたい
問題点が明確になったので読んで良かったであろう -
本書は、今を生きる全ての人、特に年齢50歳以下の人にはぜひ読んでもらいたい本だ。
先日、政府が「夫婦で老後は2,000万円が貯蓄として必要」と発表したことで大騒ぎになったが、こんなことはちょっと考えれば小学生でも分かることだ。そのことを野党が追及するのも的外れだし、与党も年金制度は破綻しないなどと言うのも全く逃げとしか言いようがない。
ごくごく単純に考えて年金を積み立てる期間が20歳から60歳の40年間だとして、その後60歳から100歳まで生きるとしたら、その期間は同じく40年間。つまり、単純に自分達の払ってきた年金分しか受け取る資格がない訳だ。
自分としては60歳からまったく40年間働かずに自分が積み立てた年金だけで暮らしていけるほどの金額を積み立てているとは到底思えない。だからと言って、その分、子供や孫の世代に自分を養って欲しいとも思わないので、自分で働けるうちにその分のお金を貯蓄しておくか、60歳以降も働く必要があるということは自明の理なのだ。
なぜ、そんな単純なことを大騒ぎするのだろうか。
年金制度ができた時に、将来、人々の多くが100歳まで生きるなどとはまったく考えられなかったし、若い人の人口が減少していくということも想定していない。
今になってその仕組みを作った官僚や当時の政治家を非難しても何の意味もないし、現在の政府も「年金制度が設立当時とは全く想定が違っているので再考します。このままでは国全体が破産してしまうので、国民の皆様ご協力お願いします」と素直に言えばよいのだ。
この本は、年金だけで生きていくことは不可能なので、その分若い時から将来の人生設計をして対応策をしておけということが分かりやすく書いてある。
もちろん、世界中でこれだけベストセラーになっている本なのだから、ただ「貯蓄に努めましょう」などという、どこぞのファイナンシャルプランナーが小遣い稼ぎの為に書いたような本とはレベルが違う。
「これからの未来を生き抜く為には、人々の意識を改革していく必要性がある」と説いているのが本書なのである。
今、50代後半の人ならば、今までどおりに働き、何とか死ぬまで苦労せずに人生を全うできるかもしれない。
しかし、僕らのように今40代以下の人間が生きていく未来の社会は誰も経験してこなかった社会が訪れる。もう100歳まで生きるのは当たり前となり、どうやって100歳まで生きていくかと言うことが本書で述べられていることなのである。
もう、年金には頼ることはできない。子供や孫の世代にも頼れない。
なら、頼ることができるのは、自らの身体と知力だけなのである。
厳しいことを言えば、今、40代以下の世代の人々は
60歳で仕事を辞め、その後、死ぬまで悠々自適の生活をすることなどあり得ない
もう忘れるのだ。
そんな世界はやってこない。
働けるだけ働くのだ。70歳だろうが、80歳だろうが。
この本が説いているのは、どうやったら70歳、80歳まで快適に働けるかということである。
僕がこの本を読んで、まったくこの本の内容を知らない人に分かりやすく説明してくれと言われたら、僕の理解した範囲、とりあえず以下の例を示すのが一番分かりやすいかなと思うので記載してみる。
例えば、いま45歳の会社員が定年の60歳まで、現在の職場で毎日残業をし、死ぬ思いをしてあと15年働いたとして、年収約600万円なら15年働けば約9,000万円だ。ここで仕事を引退したらこの約9,000万円から15年間の生活費を引いて、その残った金額で引退後の40年を生きながらえなければならない。
生活費を1年200万円にしたとして、15年で使う金額は3,000万円。9,000万円から3,000万円を引いた6,000万円で残り40年を暮らしていけるかということだ。つまり、1年約150万円で暮らせるならばそれは可能だ。
分かりやすく数式にすれば
600万円×15年=9,000万円
9,000万円-200万×15年=6,000万円
6,000万円÷40年=150万円
ということになる。
一方、年収400万円だが比較的身体的にも楽で時間的にも余裕のある仕事で定年が70歳の企業に45歳の時に転職したとしたらどうだろう。
70歳まで25年間働けば1億円を稼ぐ計算になる。先ほどと同じように1年の生活費を200万円にすると、25年で使う金額は5,000万円となり、1億円から5,000万円を引いた5,000万円を残り引退後の30年間で使えるということになる、そうすると1年間で約166万円まで使えるということになる。
同じく数式にすれば
400万円×25年=1億円
1億円-200万×25年=5,000万円
5,000万円÷30年≒約166万円
となる。
身体や精神的負担、時間の自由度、引退後の生活など総合的に判断すると、どちらが自分にとって良い選択だろうか。
つまり、この本に書いてあるのはこういうことなのだ。
前者の例で言えば60歳で定年退職した後、再雇用や再就職をするというオプションもあるし、後者の例でも70歳の定年を75歳に延長することも可能かもしれない。
もし働くことの可能なパートナーがいれば世帯収入は変わってくるし、子供やマイホームを持っていればまた違った計算が必要だろう。
もう、自分の身や自分の家族は自分で守るしかないのである。
70歳、80歳まで働くためにはどうすれば良いのか。
もちろん健康であることは第一の条件だ。
それから、働くことに必要なスキルや知識をその都度習得することも必要だろう。
そして自分が好きな仕事、自分がやりたい仕事をその時に見つけるためにはどうすればよいのかを常に考えておく。
こういったことを今から一人ひとりが考えていけば、その時に大騒ぎすることは全くないのである。
本書は、こういったことを非常に分かりやすい例を引いて論じられている。
さすが世界中でベストセラーになる本である、以前から漠然とは分かっていたが、ここまではっきりと記されると、もはや自ら生きる世界が既に変わってしまっているのだときっちりと認識させてくれる良書である。 -
長寿という贈り物に対して、最大限恩恵を受けるためには、考え方を変えなければならない。
当たり前に画一的な人生を送るだけでは、将来色々な面で袋小路にはまり込む可能性がある。
最も大切なことは、内省をして自分自身を深く理解し、自己効力感(自分ならできる)と、自己主体感(自ら取り組む)をもって人生を切り拓くこと。 -
100歳まで生きることの戦略。
豊かな人生にするために何をすべきか?
長くなっていく生涯を突きつけられて、自分達の置かれている状況を知って驚愕させられる。
そんなにも生きられるのかと。
長寿を贈り物ととして捉えて、様々なキャリアや無形資産を形成する。このためには、個人も社会も変化を求められる。
選択肢をもっておくことの価値、選択肢に投資し、マルチステージを生きる。
今の日本では、なかなか考えづらいが、緩やかに変わる社会で、すでにゆでガエルとなって、選択肢を奪われている世代がいるように思った。特に40代以上が、自発的に新しいスキルに投資するのは、相当難しいと感じる人が多いのではないだろうか。これも3ステージの考え方に囚われている証拠かもしれない。
40代は、3ステージの人生が軋む、とあるが65〜70歳まで働くことを考えると、まだまだ折り返し地点で残りの時間をどう過ごすかという観点で見ると、知識の蓄えを増やさないとモチベーションを維持することは難しそう。
このためにも、自分についての知識を持つという内容が、面白い。自分について内省し、アイデンティティを知る。こういった本も増えているように思う。不安が渦巻いてきている証拠なのだろうか。どんな将来を望むか、どんな将来を避けたいと思っているかを知る。
100歳まで生きたら、老いの捉え方も変わりそう。
ひ孫なんて当たり前、定年退職もみんなバラバラ、その後の生活のモチベも多様性が増して、決まりきった未来ではなく、老いた後の未来をデザインすることになる。
考えさせられる。
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1997年生まれの方々はなんと、平均寿命107歳。
結構衝撃的な数字だけれど、確かなデータがあってこその、このインパクト。
読む前は、人生100年時代に対してネガティブなイメージの方が大きく、
老後だけが伸びるように想像していたけれど、
本を読むうちに
「やっぱりお金か…→意外と楽しみ!→やっぱりお金か…→選択肢増えるってワクワクする!→…」
の繰り返し。笑
分かったことは、老後の時期が伸びる訳ではなくて、
「若い時期」が伸びるということ。
医療の進歩とIT時代の流れ。
若い時期が伸びるんだ!と思えただけで大きな収穫。
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私たちの世代は、平均寿命が100歳くらいになるため、長寿化することで、労働期間がのび、勉強し続けないといけなくなり、より未来に対して楽観せず向き合いながら生きていく必要性を訴えた本。
うっすらと言われてきたことだが、ここまでハッキリとメリットデメリットを訴えている本は初めてだった。
改めて、自分の未来に責任を持っていく必要性を感じた。
ただ、結婚についても
「今までのように、生産性向上のための、役割分担と所得格差があるパートナーとの結婚ではなく、信頼を築ける、近しいレベルの相手との結婚が中心になる」
だったり、人間関係も、
「有形資産を増やすために、無形資産(人間関係や家族など)が今までより大切になる」
となり、働き方も、
「画一的なキャリアが大事な時代から、キャリアを中断して学ぶエクスプローラー時代を踏まえたり、独自の専門性を高めることで事業を仕掛けるインディペンデントプロデューサーが増えたり、様々な顔をもつポートフォリオワーカーが増える」
などと書かれている。
これはつまり、
より自由に自分らしく生きる為の勉強と選択をして、人間関係を大事にしていくことが重要な時代になる
という意味なのかなと。
これは時代が一回りして、本当に人間にとって大切なことを学びなおすような、そんな時代へ入っていくようにも思えた。 -
【はじめに】
「人生100年時代」という言葉が初めて聞かれたのは、多くの人にとっては2016年に小泉進次郎らが主導して「2020年以降の経済財政構想小委員会」の中で今後の日本社会の状況を伝えるために使われたときだろう。本書『LIFE SHIFT』は、その「人生100年時代」という考え方のベースにもなった本である。
日本で2007年に生まれた子供の半分は107歳まで生きることになるという。世界でも100歳の声を聞くことができる人の割合は半数を超えるだろうと言われている。1世紀前に生まれた人は100歳を迎えることができる割合が1%に満たないことを考えると長尺の進歩である。最近読んだ『LIFE SPAN』や医療未来学者の奥信也さんの本を合わせて読み、そこに書かれた技術革新の加速度性とバイオ・ナノテクといった領域での進歩の余地を考えると思ったよりも早くその世界は来るのだろうなと確信している。本書は、そういった「人生100年時代」を迎えたとき、われわれの人生をどう考えるべきかについて論じたものである。
【概要】
「人生100年時代」になったとき、大きく変わらざるを得ないのは、個人の人生設計である。これまでの寿命を70歳代くらいであることを前提とし、そこから就職と引退を区切りとした教育・仕事・引退、の三ステージの直線的な生き方は、これからは成立しない世の中になる。より長く働き、継続的に自らを再教育していくような「マルチステージ」の人生設計が必要な時代になる、というのがここで書かれていることだ。
まずとにかく、長く生きるのだから、長く働くことが求められる。国の年金制度は破綻し、企業年金制度もおそらく先細る。したがって、貯蓄・資産運用・共働きなどもますます重要になる。また長く生きるとすると、有形の資産形成も重要だが、それ以上に友人関係・家族関係などの無形資産が大事になってくる。人生の最後の時間は単なる余暇を楽しむ時間(レクリエーション)ではなく、再創造(リ・クリエーション)の時間だと考えるべきである。マルチステージの人生をうまく歩んでいくために、著者は「オプション」を増やすべきだという。つまり、自分の幅を広げるということだ。そのための無形資産として、生産性資産(知識、ノウハウ)、活力資産(健康、家族・友人)、変身資産(自らを変えていく能力)が重要になってくると説く。
重要なことのひとつ(重要なことはたくさんあるのだが)はエイジとステージが切り離され、そうであるがゆえに、これらの無形資産の重要性が増していくということだ。
本書の中で、ジャック(1945年生まれ)、ジミー(1971年生まれ)、ジェーン(1998年生まれ)の三世代がどのように異なった世界を生きていくことになるのかが描かれている。この寸劇的描写には好き嫌いがあるのかもしれないが(自分は、なくてもいいんではと思う方)、とにかくこの三世代で大きく家族観や仕事観が変わるであろうことが明確に示されている。
もちろん、これらは想像上の事例に過ぎないが、ひとつの傾向性を示していると言える。そして、あなたが何歳であっても、変化に備えることが必要だということは言えるのではないだろうか。
【所感】
寿命が伸びる話はもちろん個人に関しては長生きできるというのはおおよそよいことではあるのだけれども、社会面では高齢化社会の進展とそれによる社会保障制度の崩壊のイメージと強く結びついているのが実情だ。「人生100年」と言われた場合にも、そういった負の側面をイメージする人が多いのではないだろうか。先般、老後の資金が引退時に2,000万円必要という数字だけが独り歩きしたニュースがあった。あれ自体はとても受け取る側のリテラシーの問題を強く感じたものだったが、一方で世の中でその不安が根底に根強く渦巻いているのがあるからだろうというのは容易に想像がついた。
この件でもっとも大事なことは、平均寿命が伸びることと、健康寿命が伸びることは大きく違うことを意味しているということを理解し、区別することだ。そして、その理解の下で初めて長寿化の問題は個人の人生設計の選択の問題として正しく目の前に現れるということだ。
著者はこれからの生き方として、「エクスプローラ」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオ・ワーカー」といった新しい働き方のカテゴリーを提唱しているが、そんなに難しく考えることはないだろう。いずれにせよ、学習をし続けて、人間の幅を広げようということだと思う。それはそれで楽しいことだと思う。もはや20代で付けた知識が引退するまで通用することはほぼないというのは、情報通信産業で働いているとよくわかる。例えば自分はISDNが主流であったときに入社したのだが、そのときに言われたのが、ISDNを勉強していればしばらくは飯のタネになる、というものだった。ISDNはもはや過去のものとなり、サービスの完全終了もあと数年だ。固定電話も早晩無用の長物になりそうだ。
本書では日本語版への序文が付されるとともに、本文の中でも日本を長寿化の先進国として、ある種の期待をもって語られている。個人も社会も変わらないといけない。個人的に期待しているのは、変わらなければならないということが明らかになったとき、日本という国はこれまでかなりうまくそのことを受け入れてきたことだ。
健康寿命への社会的地位や経済力の影響は、平均寿命への影響よりも大きいかもしれない。社会格差・経済格差が世代で固着化する傾向が進んでいると言われる中、情報へのアクセス含めて新たな不平等への懸念も生じる。かなり射程の広い本。現代社会の基礎本と呼べるかもしれない。
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『LIFE SPAN: 老いなき世界』(デビッド・A・シンクレア)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4492046747
『未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと』(奥信也)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4065211379 -
「人生100年時代」って、誰が言ったのか?
不図、そんな疑問をもった。
将来の年金財政の破綻回避を目的に、政府が提唱したのかと思ったが、しっかりとした出典があった。
その出典が、この本でした。
この本では、寿命の長期化によって先進国の2007年生まれの2人に1人が103歳まで生きる「人生100年時代」が到来するとしている。
この本を基に、小泉進次郎・村井英樹・小林史明・鈴木憲和ら自民党の若手議員が「2020年以降の経済財政構想小委員会」を立ち上げたようである。
今では、この「人生100年時代」という言葉が、あちらこちらで使われ、ポジティブな意味でも使われているように思う。
●2023年4月2日、追記。
著者、リンダ・グラットンさん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
リンダ・グラットン(Lynda Gratton, 1955年 - )は、イギリスの組織論学者、 コンサルタント、ロンドン・ビジネス・スクールの管理経営学教授及び彼女自身の組織行動論(英語版)上の実績で有名なHot Spots Movementの創業者である。
---引用終了 -
他方面で影響をもたらした本書を改めて読み直しました。
日本のみならず先進国である程度共通する諸問題を正確に捉えており、その中でも日本が急速に進んでいる、そのために危惧すべきという論調です。
従来の社会制度そのものが変動する中、私たちの価値観、生き方、お金に関する形成方法などに自分自身で考えるヒントをくれます。