戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法: 「頭の知性」×「心の知性」×「プロフェッショナル・マインド」を鍛える最強のバイブル

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  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492534205

作品紹介・あらすじ

頭の知性【ビジネスIQ・考える力】 
ロジカル・シンキングを超える――「クリエイティブ・シンキング」6つの発想法
「骨太のロジック」「動的なシナリオ」「自分の思考スタイル」――極意を全公開

心の知性【ビジネスEQ・感じる力】
相手の「心を開く」――話の聞き方、伝え方、動き方、人間関係の築き方
相手の「心に響く」――スライド作成、話し方、プレゼン術

プロフェッショナル・マインド【プロとしての自覚】
「脳」を活かすのは「マインド」――「一流のプロ」に共通する8つの心構え
私が続ける「7つの習慣」――読書術、メモ・ノート術、時間術、アウトプット

感想・レビュー・書評

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  • 【どんな本?】
    ローランドベルガー日本法人会長の遠藤功氏が自身の「戦略コンサル論」をまとめた書。筆者が「本書はプロフェッショナル論」と述べているように、仕事の要諦から自分の付加価値の考え方、仕事における戦略の立て方・実践論、マインドセットに至るまで、幅広いノウハウが詰まった良書。

    https://www.amazon.co.jp/dp/4492534202

    【大まかな感想】
    自分はコンサル業に興味を持っていた時に買って積読していたが、今の仕事で新規事業や重要アジェンダの戦略を描く中で、超一流の戦略コンサルの考え方が参考になると思い、読んでみた。

    数多くの学びがあったが、「“あいつと一緒に働きたい“と思われる仕事をしたい」「言語化、構造化を通じて問題を解いたり同僚に示唆を与えることが嬉しい」と思っている自分にとって、特に印象的だったのは、「一流の触媒」という言葉。

    自分はコンサルタントではないが、会社の変革を担う者として必要な客観的な視点と本質的な思考とオモシロい絵を描くクリエイティビティはまさにコンサルに求められる能力そのもの。

    自分は戦略家・マーケターとして生きていきたいが、名参謀になるには頭の良いイケ好かない奴ではなく、人をエンパワーメントする存在を目指すことは絶対条件だな、と強く意識させられた。仲間を、顧客を、会社をポジティブにするにはどうしたら良いかをもっと真剣に考えていきたい。

    もはや自分は”コンサルタントになった気持ち”で会社がさらに発展するための戦略を立案・実行していくべきと思ったし、外資戦コンのエリートを凌駕するレベルで問題解決力を磨いていきたい。彼らは毎日戦場にいるわけで、自分の環境の作り方も工夫せねばと感じる。

    350ページ近くある本だが、文中にもある「メッセージのクリスタライズ」が徹底されておりスラスラ読めた。
    接続詞を使いすぎず、長すぎないワンメッセージをズバズバと並べていくスタイルは真似したい(その証拠に行がえも頻繁に行われていた。)。

    また、30代前半で大企業からコンサル業界に転身をした著者の転職前と似た境遇にある自分のキャリアの参考としても大いに役立った。

    【おすすめ度】
    ★★★★☆(濃密な内容だが気軽に読める。)

    【こんな人におすすめ】
    ・仕事で会社や事業の戦略を描いている人
    ・戦略本が好きだが、いまいち実践しきれていない人
    ・大きなPJTを任されるなど、今までと違った筋肉が必要になってきた若手社員

    【学び】
    ■コンサルタントが目指すのは「一流の触媒」。変革のプロとして、変革に慣れていないクライアントの触媒となる
    ■触媒のミッションは「変革の方向性を定めて」「クライアントを変革に向かわせる」こと
    ■一流の触媒になるには、変革の方向性を理詰めで定める「IQ」と、クライアントの感覚・感情・情緒を鋭く知覚し寄り添いながらコントロールして変革に向かわせる「EQ」、クライアントに成功してもらいたいというピュアなサービス精神を持ってそのための自分の役回りに徹せる「プロフェッショナル・マインド」の3つが必要。
    ■IQは、合理性を失った会社に理を取り戻させる
    ■筆者は昔「言ってることは間違ってないけど、面白くないんだよね」と言われたことがある。ロジカルな正論をぶつけても、サプライズに欠けていると付加価値は生まれない。
    ■ことあるごとに「本当に大事なことは何か」を見極めること。会社は枝葉末節にこだわるあまり本質を見失うことが多い。筆者は各発表会でA4 1枚のエグゼクティブサマリを必ず用意してプレゼンに臨んでいた。
    ■理詰めで考えるほど、答えは同質化する。一見ロジカルでも全く差別化されていない戦略に陥ってしまうことがあるので、「適社性(その会社に適した個別解」に拘っている。
    ■戦略コンサルタントが付加価値をつけるための具体的な方法論は「脳味噌から汗が出るほど考える」しかない。

    ■骨太の変革シナリオを生み出すための、筆者のこだわり
    - 適社性にこだわること
    - 理詰めで考えるほど、答えは同質化するので、この会社の個別解にこだわる
    - ファクトにこだわること
    - ファクトを集めることも能力
    - 概念化・言語化・構造化にこだわること
    - 現状や課題に対して「いつの間にか思考停止」にならず考え抜く知的タフネス
    - 膝詰めにこだわること
    - どんなに優秀でも自分の頭だけで考えれば必ずに詰まるので、主観をぶつけ合う
    - 相手は客観的な意見や評論家的コメントではなく、「遠藤さんならどうするか」を求めている
    - 実行には「納得性」が必要。膝詰めの議論は腹落ちや納得をも生む
    - 現場にこだわること
    - 現場の共感と実行なくして戦略の実現はあり得ない

    ■クリエイティブシンキングのためのアイデアは以下の6つ
    ①常識を洗い出し、あえて否定してみる
    ②立ち位置を競争相手や顧客の視点に変えてみる
    ③既存の価値を組み合わせ、複合させる
    ④一般の常識では選ばない道をあえて進む「逆張り」をしてみる
    ⑤思い切って選択と集中をし、サービスを尖らせる
    ⑥皆がリスクを恐れて手を出さない「未成熟なもの」に賭けてみる

    ■EQは①「クライアントの心が開く」②「クライアントの心に響く」の2側面から機能しないといけない。心が開かないと協力が得られないし、心に響かないと採用してもらえない

    ■明晰な思考は簡潔な表現となる。メッセージをクリスタライズせよ。

    ■「ピュアなサービス精神」で相手を「その気にさせていく」


    ■心構えで特に印象だったのは以下の点。
    - 偉そうにしない。相手に心を開いてもらわないと良い仕事はできない(耳が痛い・・)。でも生意気であるべき。自分のスタンスをとって相手にぶつける以外に化学反応は生まれない。
    - 逃げない。ハードルひとつひとつに動揺していたのでは、この仕事はできない。困難な局面でこそ「一流の触媒」かどうかが問われる。
    - 納期意識。納期を背負った仕事は間違いなく効率的になる。
    - 教養を磨き、人としての幅・魅力を磨かないと「一流の触媒」にはなり得ない。
    - 大事なのは畑違いの情報や知識。固定概念を打ち破り、ブレイクスルー的な発想に繋がるきっかけとなるため。そのため、日経新聞の「通読」を自分に課している
    - 熱量こそが戦略コンサルタントの優位性の源泉。「遠藤さんといると元気が出るよね」と言わしめて当たり前
    - タイムマネジメントが人生を決める。遠藤氏が出会った「仕事のできる人」は皆タイムマネジメントの達人だった。時間の価値をしり、人生という限られた時間から何かを生み出そうと必死にもがいている。
    - 戦略コンサルタントはクライアントに選ばれ、活かされてこそいい仕事ができる。しかしエリートたちは「選ばれること」に慣れてしまい、その尊さに気づかないことが多い。

    【今後の動き方】
    詳しくは別のnoteにも書くが、特に以下は意識したい。
    ・大きな戦略を描けるようにするため、脳から汗が出るほど考えるだけでなく、様々な人と膝詰めで議論をする
    ・ありたい姿である「人から心酔される戦略家」を達成するため、「Vodkaといると元気が出る」と言われるほどのEQを意識する
    ・「Vodkaの提案ってロジカルなだけでなく、面白いよね!」といつも言わしめる。「この提案面白いか?」をいつも意識する

  • 欧州系戦略コンサルティング会社であるローランド・ベルガー日本法人会長遠藤功氏による著作。

    前半はコンサル業界変遷と著者自身のキャリアを振り返る回顧的内容。後半は、戦略コンサルタントの秘儀、ではなくプロフェッショナルとしてのマインドセットや仕事への向き合い方について。自己啓発本に近い類で戦コンの理論や手法を期待すると肩透かしの内容となっている。

    遠藤氏の「戦略コンサルタント=触媒」という表現、外国人上司から問い詰められた「Prove it!」、堀氏の海外メーカーへのプレゼン逸話は面白かった。

  • ・コンサルタントに必要なのは、
    IQ×EQ×プロフェッショナルマインド

    ・不連続の変革をするときにコンサルタントは必要
    ->クライアントとなる事業会社の方が知識は多いが、変革のプロではない。ここにコンサルタントとしての価値がある

    ・ダメなコンサルタントは、簡単なことを小難しく語る。良いコンサルタントは、複雑なことをシンプルに語る。

  • ◆感想
    ・何が戦略コンサルタントたらしめる要因なのか把握をするため読了
    ・長年の実績に裏打ちされた情報群は、シンプルな内容だが説得力が違う。コンサルタントの役割として「触媒」と表現していることも面白い

    ◆要点
    ・戦略コンサルタントは「変革のプロ」。変革が非日常なクライアントと違い日常
    ・独立性、客観性、専門性がプロとしての要素
    ・触媒である=変革の方向性を定める、変革にむかわせることが役割
    ・理詰めで考えるほど答えは同質化する=個社性にこだわる必要がある
    ・付加価値の高めかたは「考える」こと
    ・概念化、構造化、言語化が必要スキル
    ・尖り、は選択と集中から生まれる。何かを捨てることを恐れていては尖りは生まれない
    ・すべてのことが相関関係では説明できないので、因果関係も明らかにする
    ・明確な思考は簡潔な表現になる=クリスタライズ
    ・ダメなスライドはBusy。そうなる理由は伝えたいメッセージに確固たる自信がないから、あれもこれも書いてしまう
    ・楽観構想、悲観的計画、楽観的実行
    ・納期を背負った仕事は効率的になる
    ・仕事の話しかできないというのでは、トップ層に相手にされない
    ・経営に再現性はないが原理原則はある
    ・毎年1か所は未訪問の国や地域を訪れる
    ・睡眠は大事
    ・プロフェッショナルは自分の腕一本で生きていく覚悟を持つ人間。組織に属しても隷属はしない。自分個人の価値で勝負する
    ・プロセスでなく結果に拘る
    ・自分にしかできない何か、を追求し比較対象のない絶対的な存在を目指す
    ・己を知ることがプロの一歩
    ・自主管理

  • 戦略コンサルの人の振り返り本。エッセイ的でもある。
    こうすべき、という本ではなく、その時時の想いが書かれている。

    付加価値だけは不十分で、行動に移させたかmake it happen
    楽しさはなかったが想いはあった

    社外コンサルは変革のプロ、不連続な変革を推し進める
    アウトサイダーであるからこその社内のしがらみに捉われない提言ができる

    概念化、構造化、言語化

    データ分析と提言(クリエイティブシンキング)どちらが先に来るべきなのか

  • プロになりたい!

  • 30年超戦略コンサルタントの世界で活躍され、ローランドベルガーをトップとしてマッキンゼーやBCGと並ぶトップコンサルティング会社に育て上げられた遠藤氏の語る、コンサルティングとは?という深い問いに答える本。

    真のクライアントのパートナーになる為には、頭の知性と、心の知性を掛け合わせて触媒にならないといけない。
    頭の知性は弛まないファクト・ロジック・クリエイティブを駆使して考え尽くした最適解
    心の知性は相手がやってみようと思える関係性を築く力と、心に刺さるメッセージを伝える言語化力

    それらをどの様に鍛え、コンサルティングのプロジェクトで活かしてきたかを丁寧に解説されている。

  • 戦略コンサルタントとは、「触媒」である。
    という冒頭の言葉が、印象的。

    触媒であり、主役ではない。
    その立場で成果を出すには、プロフェッショナルマインドをベースとし、IQ、EQ、を使いこなすことが必要というのが主張。

    本書には、そのヒントや発想方法が散りばめられている。
    そしてプロになることは、成功の入り口に過ぎないという、先の長い話を最後に頂ける本書。

    はい、頑張ります。
    ビジネス書というよりは、自己啓発にも近い書評になるような内容。

  • ・toppointで読む
    ・少なくとも1章のコンサル史は完全に要らなかった気がする、既に色々本出てるのでは
    ・その他も仕事に取り込む具体性はあまり

  • 戦略コンサルタントとして必要な資質を「頭の知性」「心の知性」「プロフェッショナルマインド」と要素分解している。内容は、思考法や技法というよりは「プロフェッショナルマインド」のあり方について重きを置いているように思う。著者自身の体験談や習慣にしていることが多く示されておりわかりやすい。

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著者プロフィール

遠藤 功(エンドウ イサオ)
株式会社シナ・コーポレーション代表取締役
早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て、現職。2006年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。2020年6月末にローランド・ベルガー会長を退任。同年7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動している。多くの企業で社外取締役、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。
株式会社良品計画社外取締役。SOMPOホールディングス株式会社社外取締役。株式会社ネクステージ社外取締役。株式会社ドリーム・アーツ社外取締役。株式会社マザーハウス社外取締役。
15万部を超えるロングセラーである『現場力を鍛える』『見える化』(いずれも東洋経済新報社)をはじめ、『現場論』『生きている会社 死んでいる会社』(いずれも東洋経済新報社)『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)『ガリガリ君の秘密』(日経ビジネス人文庫)など、ベストセラー書籍多数。

「2022年 『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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