熱狂的ビジネスモデル アートが見せる価値創造の未来

  • 東洋経済新報社 (2025年3月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784492534823

作品紹介・あらすじ

本書のテーマは、アートマインドセットをもとに、ゼロベースでビジネスマインドセットを構築することである。大切なことは、従来のビジネスマインドセットを持つ人々が、本書で掲げるアートマインドセットを参考に、いかに自社独自のマインドセットを創り出すのかということだ。それこそが「ビジネス・アートマインドセット(BAM)」である。BAMは、これまでの常識を打ち破る、自分価値を追求するプロダクトアウトを可能にする。本書は、このBAMをもとに、これからの時代に必要な「問題提起型」のビジネスモデルへのアップグレードをめざす。西洋美術史の多くの名作も、カラーで掲載した異色の経営書。

感想・レビュー・書評

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  • アートの本質は、「感動→感覚→アート作品→感覚→感動」である。

    アーティストは感じた感動でアートを創る。鑑賞者はアート作品から感じ取り、アーティストの感動が再現される。

    アート×ビジネスを体系的にまとめた良書。

  • 東2法経図・6F開架:336.1A/Ka94n//K

  • 導入:アートがビジネスを強くする
    本書は、「熱狂的ビジネスモデル」という独自の概念を提唱し、ビジネスモデルの再構築を提案する。これは、単にアートをビジネスに付加するのではなく、アーティストの姿勢や行動様式に着目し、アートマインドセットを確立することで、新しいビジネスの可能性を探るものである。従来のビジネスモデルが冷静かつ冷徹に利益を追求するイメージを持つのに対し、本書が提唱する熱狂的ビジネスモデルは、顧客を喜ばせながらも企業が継続的に利益を生む仕組みである。

    アートマインドセットの核心
    アートマインドセットは、アーティストが作品に向き合う姿勢や態度をペースに構築される。これは、既存のビジネスをベースに単にアートを付け足すのではなく、アーティストの姿勢や行動様式に注目してビジネスモデルを再構築し展開することを提案するものである。アートが持つ本質的な創造性、直感、感性は、ビジネスのイノベーションに不可欠な要素であると本書は主張する。

    重要な要素として挙げられるのは、「感覚」、「態度」、「心h靡え」、そして「情熱」である。これらは思考や分析を超えた深い創造の源泉となり、アーティストは世の中を独自の視点で捉え、既存の枠組みにとらわれず、自由な発想で表現する。

    熱狂的ビジネスモデルの構築
    熱狂的ビジネスモデルは、アートの力によってビジネスモデルを強くすることを目指す。ビジネスモデルを「儲ける仕組み」と定義するだけでなく、顧客を喜ばせながらも企業が継続的に利益を生む仕組みであると明確に定義する。

    プロダクトを強くするアート
    プロダクトを強くするためには、アートが持つ「熱狂」の力を借りることが重要である。プロダクトは、アーティストの熱狂がそのまま保存された状態のものであるべきだとし、あらゆるタッチポイントにおいて、プロダクトの品質が一定に保たれ、創り手のこだわりが強く反映されたものとなっていることが重要である。

    特に、規格外のプロダクトに高い価値がつく理由として、感性的価値の高さが挙げられる。絵画のように機能的価値がほとんどなくとも、感性的価値のみで高値で取引される事例は、ビジネスモデルの研究者にとっても有益な視座を与える。成功した企業をベンチマークしたり、その模倣をしたりするのではなく、独自の価値創造を目指す企業は、アートからイノベーションのヒントを得るべきであると本書は示唆する。

    アート思考と熱狂的ビジネスモデルの違い
    近年「アート思考」が注目されているが、本書は熱狂的ビジネスモデルを区別する。アート思考は、アートがもたらす感受性や直感のみに焦点を当てがちであり、表面的な技術や技法に矮小化される危険性がある。一方、熱狂的ビジネスモデルは、アーティストの「熱狂」を核とし、顧客の心を揺さぶるプロダクトやサービスを生み出すことを目指す。

    受け手の熱狂と価値のデコード
    受け手の熱狂は、熱狂的ビジネスモデルにおいて不可欠な概念である。プロダクトへの熱狂は、ユーザーのロイヤルティを向上させ、継続購入を促し、収益にも繋がる。熱狂の非対称性を軽減するためには、プロダクトに込められた創り手の熱狂を受け手が感じ取れるような仕掛けが必要である。プロダクトに仕込まれた「わかる人にはわかる」ポイントをデコードすることで、受け手は作品に敬意と愛着を持つようになる。

    バリュー・インターセクション
    バリュー・インターセクションは、プロダクトを通して価値創造と価値獲得を同時に追求するモデルである。アートマインドセットを融合することで、革新的なビジネスモデルを可視化するためのデザインツールとなる。特に、創り手の熱狂、感覚のシンクロ、熱狂の追体験という3つの要素が重要となる。

    利益方程式
    利益方程式は、価値獲得のパターンを生み出す考え方である。大黒柱(利益の担い手)、利益源(主要プロダクト、補完プロダクト、補完サービスなど)、タイミング(利益回収のタイミング)の3つの要素の組み合わせで多様な収益源を構築する。主要プロダクトで利益が生まれなくても、他の利益源を探し、回収タイミングを変化させることで、事業利益を生み出す方策があることを示唆する。

    まとめ
    本書は、ビジネスにおけるイノベーションのためには、従来の論理的思考だけでなく、アーティストの持つ「熱狂」と「感性」に焦点を当てたアートマインドセットを取り入れることが重要であると主張する。そして、アートマインドセットをベースとした「熱狂的ビジネスモデル」を構築することで、顧客の心を掴み、持続的な成長を実現できると説いている。これは、単なるビジネス戦略ではなく、企業文化やものづくりの姿勢そのものを変革することを提案するものである。

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著者プロフィール

川上 昌直(カワカミ マサナオ)
兵庫県立大学国際商経学部教授
1974年大阪府生まれ。福島大学経済学部准教授などを経て、2012年兵庫県立大学経営学部教授、学部再編により現職。博士(経営学)。「現場で使えるビジネスモデル」を体系づけ、実際の企業で「臨床」までを行う実践派の経営学者。専門はビジネスモデル、マネタイズ。初の単独著書『ビジネスモデルのグランドデザイン』(中央経済社)は、経営コンサルティングの規範的研究であるとして、日本公認会計士協会・第41回学術賞(MCS賞)を受賞。ビジネスの全体像を俯瞰する「ナインセルメソッド」は、規模や業種を問わずさまざまな企業で新規事業立案に用いられ、自身もアドバイザーとして関与している。また、講演活動や各種メディアを通してビジネスの面白さを発信している。他の著書に、『「つながり」の創りかた』(東洋経済新報社)、『ビジネスモデル思考法』『マネタイズ戦略』(以上、ダイヤモンド社)、『儲ける仕組みをつくるフレームワークの教科書』『課金ポイントを変える利益モデルの方程式』(以上、かんき出版)などがある。

「2021年 『収益多様化の戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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