マーケティング10の大罪

制作 : 恩蔵 直人 
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492555293

作品紹介・あらすじ

機能不全に陥ったマーケティングの諸症状に効く、世界的権威の処方箋。

感想・レビュー・書評

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  • ある(2018/09/26)

  • あらゆる国のあらゆる企業が、多かれ少なかれマーケティング上の過ちを犯している。本来マーケティングは、戦略の推進役のはずだ。ビジネスの「種」を見つけるところから戦略の方向性を見極めるところまで、プロセス全般に責任を負うのがあるべき姿だ。しかし、現実はどうだろう。4Pマーケティングなどといわれるが、ほとんどはそのうちの1つ――プロモーションしか行えていないのである。あれこれ手を尽くしているはずなのに、なぜ多くの企業が一向に成果をあげられずにいるのだろう?
    マーケティング界の重鎮、フィリップ・コトラーは本書の中で、市場での成功をはばむ10の要因とその解決策を掲げ、効率的なマーケティングのあり方を示している。

    第1章 市場の定義が不明瞭で顧客主導になっていない
    第2章 ターゲット顧客を十分理解していない
    第3章 競合に対する認識が不足している
    第4章 利害関係者との関係を適切に管理できていない
    第5章 新たな機会を見出せない
    第6章 マーケティング計画策定プロセスに問題がある
    第7章 製品やサービスを十分に絞り込めていない
    第8章 ブランド構築力やコミュニケーション能力が低い
    第9章 マーケティングを効果的・効率的に推進できる組織になっていない
    第10章 テクノロジーを活用しきれていない

  • マーケティングの失敗原因とその回避策は?

    →環境分析、SWOT分析、重要課題の特定、目的の明確化、戦略、戦術、予算策定、コントロールという一連のプロセスからなる計画策定フォーマットを確立する
    ポジショニングは3つに分類され、
    1.製品リーダーシップ
    2.オペレーションの卓越性
    3.カスタマーインティマシー、顧客との親密さ

  • [読んだ理由]==================
    マーケティングの本が読みたかった。コトラーの著作だったから。タイトル通りなら具体例付きで読みやすそうな気がしたから。


    [読んだ後の感想]==============
    内容も具体的で、章毎に内容もわかれていて読みやすかった。分量も程々。あまり学問的すぎて現実感のないような内容ではなくて、自分にとっては良かった。


    [備忘録]======================
    ■第一章:市場の定義が不明確で顧客主導になっていない
    大半の社員が、顧客に奉仕するのはマーケティング部門と営業部門の仕事だと考えている。研究者は顧客と接することなく研究室にこもり、生産技術者は顧客と接することなく向上で作業にあたり、勾配担当者は顧客と接することなく業者の相手をし、会計や財務の他当社は顧客と接することなく数字と戯れる、これが現代の企業組織の姿だ。

    株主を祭り上げることほど、株主に対する貢献を阻害するものはない「顧客が第一、社員が第二。この姿勢を貫くことで、株主に対して最大の成果をもたらすことができる」

    企業は顧客と社員に最大限配慮しなければならない。顧客や社員を満足させられないくらいなら、いっその事事業を閉じたほうがマシというものだ。


    ■第二章:ターゲット顧客を十分理解していない


    ■第三章:競合に対する認識が不足している
    企業は日頃から技術動向に目を光らせておく必要が有る。なぜなら、自社の主要提供物や生産プロセスの存在を脅かしかねない新技術が、どこから登場してくるかわからないからだ。

    「他社製品と喰い合うぐらいなら、自社製品同士で食い合ったほうがマシだ」


    ■第四章:利害関係者との関係を適切に管理できていない
    優れた企業の中には、インターナル・マーケティングの考え方にそって従業員を把握しようと試みるところもある。つまり、従業員のニーズはひとりひとり異なるという前提にたった上で、従業員個々のニーズを把握し、会社としてできるだけ彼らの満足度を高めようというのだ。

    最近では、そのカテゴリーで最高のサプライヤーとだけ取引を行うというケースが増えてきている。例えば自動車メーカーの場合、シート、ブレーキ、エアコンといったカテゴリーごとに、サプライヤーを一社ずつ決めているのである。この方法を取ると、自動車メーカーと各サプライヤーがパートナーとして互いに投資を行い、設計や製造に一丸となって取組むようになる。そして、このレベルの協働が実現すれば、自動車メーカはコスト削減を図りつつ、品質、生産性、革新性を向上させることができる。


    ■第五章:新たな機会を見いだせない
    新たな機会などもはや存在しないと考えている企業もある。自分たちの業界は成熟しきっているというのだ。あるいは、我々は売っているのはコモディティだから、といった声も聞こえてくる。だが実際には、成熟しきった市場などというものは存在しないし、コモディティなるものも存在しないのである。そういったものが有るという思い込みのせいで、想像力を発揮できないだけなのだ。スターバックスはコーヒー市場が成熟しているとは決して思わなかったはずである。

    ラテラルマーケティング(水平思考のマーケティング):対象となる製品、サービスと、それとは全く異なる製品、サービス、アイデアとを結びつける。つまり、ひとつのサービスを掘り下げるのではなく複数の製品、サービスを横断的に捉えるという発想だ。


    ■第六章:マーケティング計画策定ブロセスに問題が有る
    同じ製品に関する昨年の計画と今年の計画を見比べてみよう。おそらく戦略も戦術も何ら変更されていないだろう。つまり、本年度の計画は前年度の計画とほとんど同じということだ。底には新しい発送が全く見られない、以前の計画を踏襲するという、極めて無難な道を選んだに過ぎない。市場の条件が変化していること、新たな戦略が求められていること、握手のマーケティング・ツールの硬化性が変化していること、いずれも計画立案者の頭からすっかり抜け落ちているのである。


    ■第七章:製品やサービスを十分に絞り込めていない
    幅広い製品やサービスを扱っていながら、顧客から要求のあった商品しか販売していない企業は多い。自動車だけを販売して、保険やローンの紹介をしようともしないディーラー、スーツの購入者に対して、スーツを引き立ててくれそうなシャツやネクタイ、靴などを進めようとしない店員、当座預金から現金を引き出した顧客に、普通預金や学資ローンなど、その他の金融商品を案内しない銀行。いずれも積極的にクロスセリングをおこなっていない例である。


    ■第八章:ブランド構築力やコミュニケーション能力が低い
    自社が何を提供しているのか、比較的よく認識されていたとしても、競合他社の提供物と似たり寄ったりだと思われている場合もある。試しに、次のように顧客に尋ねてみよう。「競合するブランドが全て同じ価格だとしたら、どれを購入しますか?」「どれでも構わない」とか「特にこだわらない」といった答えが帰ってきたら要注意だ。この場合、「其々のブランドの特徴を述べてください」と尋ねても、誰も答えられないに違いない。

    ブランドそのものの価値を見積もるのではなく、ブランド・エクイティと相関関係にある指標を選び、その値をモニターしたほうが効果的だというのがアンブラーの主張である。

    ブランド・エクイティを高めるにはどうすればよいのだろうか。たいていのマーケティング担当者が、特攻や右派広告だと言うだろう。だが広告とは、製品の認知度の工場や製品知識の提供、製品への興味関心の喚起を主たる目的とするものであり、製品に対する嗜好を高められることはめったにない。

    多くの企業は、広告というコストの掛かるツールを一種の保険だと考えている。つまり、広告を出しておけば、全く新しい情報がない場合や新しいコミュニケーションの方法を思いつかない場合でも、とりあえず自社の存在だけは示せるというわけだ。だが、広告費と同じ金額を品質や顧客サービスの改善、あるいはロジスティックスの改善などに振り向けていたほうが、はるかに有効だったのではないか?企業が真に自問すべきは、この事である。

    コカコーラ経営陣の真の狙いは、マーケティング担当者に財務的視点を身につけさせることに有る。粗利益、資産回転率、投資収益率、経済付加価値、株主価値という言葉に馴染んで欲しいのだ。マーケティング担当者が財務的視点を身につければ財務担当者との間で実りある話し合いが持てるようになる。


    ■第九章:マーケティングを効果的・効率的に推進できる組織になっていない
    新たなマーケティング・スキル
    ○Positioning
    ボルボの「安全性」、BMWの「高性能の走り」、タイドの「最高の洗浄力」などのように、ブランドはそれぞれ独自の言葉を持つべきだ。

    ○Brand Asset Management
    「スター級の強力ブランド名」の使われ方をきちんと管理する責任者が必要。このようなブランド名が、安っぽく、期待はずれの製品に使われるようなことは絶対にあってはならない。

    ○Customer Relationship Management(CRM)及びDatabase Marketing
    ○Partner Relationship Management(PRM)
    ○Contact Center
    ○Internet Marketing
    ○Public Relationship Marketing
    企業は時々思い出したようにPRの必要性に気づき、その都度自社のPR部門や外部のPR部門にすがりつくような姿勢を改めて、マーケティング部門そのもののPRスキルを向上させて行かなければならない

    ○Service Marketing及び経験Marketing
    ○Integrated Marketing Communication(IMC)
    ○収益性分析
    ○市場先導スキル
    盛田昭夫「どのような製品がほしいかと大衆に尋ねるのではなく、新たな製品で大衆を導いていくのが、我々の目指すところである。大衆は何が可能なのかを知らない。だが、我々は知っている」


    ■第十章:テクノロジーを活用しきれていない
    マーケティング関連の定型的な意思決定は、人間が行うよりもソフトウェアに任せたほうが効果的である。よりよい意思決定が下せる上に、労働時間の節約にもなる。


    ■エピローグ
    マーケティングを通じて高い生産性と収益性を実現するための十戒
    ①市場を細分化し、最も好ましいセグメントを選択した上で、各セグメントにおいて確固たる地位を築くべし
    ②顧客のニーズ、知覚、選考、行動を明確に把握し、すべての関係者が顧客への奉仕と顧客満足のために邁進するよう動機づけよ
    ③主要な競合他社の動向を把握し、相手の強味と弱味を把握せよ
    ④関係者の中からパートナーとなるべき相手を見出し、手厚く扱うべし
    ⑤機会を見出し、機会に優先順位をつけ、最も優れた機会を選択するためのシステムを構築せよ
    ⑥マーケティング計画を策定するためのシステムを管理し、長期的にも短期的にも優れた計画を立案せよ
    ⑦製品みっくす並びにサービス・ミックスを厳しく管理せよ
    ⑧最も費用対効果に優れたコミュニケーション・ツールとプロモーション・ツールを活用にして、強力なブランドを構築せよ
    ⑨企業はマーケティング部門にリーダーシップを発揮させ、マーケティング部門と他部門がチームとして行動するように働きかけよ
    ⑩競争優位性の源泉となるテクノロジーを継続的に導入せよ

  • ■効果的なマーケティングのための十戒

    A.市場を細分化し、最も好ましいセグメントを選択した上で、各セグメントにおいて確固たる地位を築くべし。

    B.顧客のニーズ、知覚、選好、行動を明確に把握し、全ての関係者が顧客奉仕、顧客満足に邁進するよう動機づけよ。

    C.主要な競合他社の動向、およびその強みと弱みを把握せよ。

    D.関係者の中からパートナーとなるべき相手を見いだし、手厚く扱うべし。

    E.機会を見いだして優先順位をつけ、最も優れた機会を選択するためのシステムを構築せよ。

    F.マーケティング計画を策定するためのシステムを管理し、長期的にも短期的にも優れた計画を立案せよ。

    G.製品ミックス、サービス・ミックスを厳しく管理せよ。

    H.最も費用対効果に優れたコミュニケーション・ツールなどを活用して、強力なブランドを構築せよ。

    Iマーケティング部門にリーダーシップを発揮させ、他部門とともにチームとして行動するよう働きかけよ。

    J.競争優位性の源泉となるテクノロジーを継続的に導入せよ。

  • マーケティングの10の大罪

    1.市場の定義が不明確で顧客主導になっていない
    2.ターゲット顧客を十分理解していない
    3.競合に対する認識が不足している
    4.利害関係者との関係を適切に管理できていない。
    5.新たな機会を見出せない
    6.マーケティング計画およびその策定プロセスに問題がある
    7.製品やサービスを十分に絞り込めていない
    8.ブランド構築力やコミュニケーション能力が低い
    9.マーケティングを効果的・効率的に推進できる組織になっていない
    10.テクノロジーを活用しきれていない

  • 内容はマーケティングに関する他の本などですでに紹介されていることですが、
    それをチェックし、出来ていない部分を改善するという意味では、良い構成の本です。

  • 1、市場の定義が不明確で顧客主導になっていない
    2、ターゲット顧客を十分理解していない
    3、競合に対する認識が不足している
    4、利害関係者との関係を適切に管理出来ていない
    5、新たな機会を見出せない
    6、マーケティング計画策定プロセスに問題がある
    7、製品やサービスを十分に絞り込めていない
    8、ブランド構築力やコミュニケーション能力が低い
    9、マーケティングを効果的、効率的に推進できる組織になっていない
    10、テクノロジーを活用しきれていない

  • マーケティングの権威と言える有名なコトラー教授の書。

    現在(と言っても2005年発刊であるが)のマーケティングの
    現状から、マーケティングが犯しているミスを大罪とやや誇張し、
    以下の10項目を挙げている。

    1.市場の定義が不明確で顧客主導になっていない
    2.ターゲット顧客を十分に理解していない
    3.競合に対する認識が不足している
    4.利害関係者との関係を適切に管理できていない
    5.新たな機会を見出せない
    6.マーケティング計画およびその策定プロセスに問題がある
    7.製品やサービスを十分に絞り込めていない
    8.ブランド構築力やコミュニケーション能力が低い
    9.マーケティングを効果的・効率的に推進できる組織でない
    10.テクノロジーを活用しきれていない

    これら一つ一つを詳細な説明の上、対応策を示しているが、
    その対応策がやや陳腐で、底の浅い感が否めない。
    極めて書かれていることが、至極当たり前のこと。

    とは言え、新たな気づきをいくつか得ることが出来た。

    中でも、4Pのうち、PROMOTIONだけをマーケティングと
    勘違いしている企業が多いと言う意見は、自分も賛同。

    また、新たに習得すべきマーケティング・スキル11項目の
    中にも知らないものをあった。


    和訳本ではあるが、有名なWBSの恩蔵教授監修のためか、
    大変読みやすい本で、理解し易い良い本だと感じる。

  • 1.市場の定義が不明確で顧客主導になっていない。
    2.ターゲット顧客を十分理解していない。
    3.競合に対する認識が不足している。
    4.利害関係者との関係を適切に管理できていない。
    5.新たな機会を見いだせない。
    6.マーケティング計画およびその策定プロセスに問題がある。
    7.製品やサービスを十分に絞り込めていない。
    8.ブランド構築力やコミュニケーション能力が低い。
    9.マーケティングを効果的・効率的に推進できる組織になっていない。
    10.テクノロジーを活用できていない。

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著者プロフィール

2022年11月現在
米国・ノースウェスタン大学経営大学院(ケロッグスク-ル)S.C. Johnson & Sons 特別栄誉教授

「2022年 『「公共の利益」のための思想と実践』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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