プロフェッショナルコンサルティング

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492556917

感想・レビュー・書評

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  • 10年ぶりに電子書籍で読み返した。
    震災直後に出版されたこともあり、当時の日本企業・日本経済への不安を感じ取ることができる。
    出版後10年近く経ち、日経平均は劇的な回復を遂げたものの、本質的な企業価値は向上しておらず、足元ではGAFAMの合計時価総額が東証一部全体の合計時価総額を上回っており、グローバル競争力が成長しているとは言いがたい状況。

    当時はまだ自身の経験が乏しく、記載されていることの半分程度しか腹落ちして理解することができていなかったと思う。
    いまは自身が事業会社役員を経験したこともあり、ほとんどが納得感をもって読み進めることができた。

    ■世界経済、日本企業の状況
    グローバル化、資本の巨大化、デジタル化の流れ
    付加価値の源泉が設備から人のインテリジェンスに移行してきている
    設備は保有できるが、人は保有できない(奴隷ではない)

    企業の経営力を決定するファクター「SOLVE」
    S・・・Strategy
    O・・・Organization
    L・・・Leadership
    V・・・Vision
    E・・・Execution

    富山氏はOrganization、Executionを機軸にした再生が強み、波頭氏はStrategy、Leadershipを機軸にしたピュアな戦略が強みな印象

    環境変化による戦略の修正速度が上がっているため、以前は半年~1年程度かけて戦略策定していたのが、いまは3ヶ月程度で策定する必要
    外部環境の複雑性が上昇することで、戦略策定の難易度が上昇
    グローバルで成功している企業は、日本独自の強み・特徴を持っている。ローカルくさい。地方の企業が多い。東京まで出るのも海を越えるのも同じだから?
    企業は2つの本能を有することを理解。両社を舵取りするのがマネジメント
     - 資本の本能:利益、拡大
     - 組織の本能:現状維持、変化の排除、自己増殖

    一番しがらみがあるのは経営者。社内、取引先、経営者OBなど。しがらみの多さを理解
    経営者候補をしがらみがないように育成(例、海外や子会社への出向)することも
    意思決定は合理、組織を動かすのは情理
    カネボウの事例は合理⇒情理⇒合理、とサイクルを回しながらビジネスモデルを組み立てているのが特徴的
    足元ではExecutionをベースにした施策を積み上げることになるが、同時に将来のビジョンから逆算した戦略、組織設計、人材育成を行う必要
    魚の流通市場は複雑性が高い、多層化。天候変動、漁獲エリアを考慮したポートフォリオの重要性、売ってもらえる人間関係
    ビジネスDDでは、公開されている書籍やレポートに記載されている以上のそのビジネスの肝をどれだけ押さえられているか
    財務DD、法務DDは瑕疵の治癒の問題、もしくはバリュエーションへの反映の問題だが、ビジネスDDは良いか悪いかの二択の問題(「イエス・ノー・クエスチョン」

    ■プロフェッショナルなコンサルタント
    経営者と対峙し、戦略の方向性の転換、経営者の意思決定に関与できるのがトップクラスのコンサルタント
    起点と終点を決められたプロジェクトばかりやると高級文房具になってしまう
    MBA的なハードスキルは必要なスキルの10分の1程度
    ロジカルシンキング・ロジカルコミュニケーションは筋力。やればやるほど有る程度までは伸びる。特に若い間は。
    ロジカルシンキングは、ディメンジョン、因果の強さ、独立・相関、を意識
    ロジカルコミュニケーションでは言いたいメッセージの本質を抽出したメタファーを活用できると相手の理解度が上がる
    情理の存在を理解することは大事だが、情理に逃げない。情理を論理的に理解するように努める
    3ヶ月で1つのマスターを取得するくらいのつもりで勉強することが大事
    経営者が知らないファインディングを示すことが重要
    大企業になるほど現場の実情まで把握できていないことが多いので、現場のリサーチ、ヒアリングを通じて経営者が知らない情報、示唆を得ていると経営者は話を聞く
    企業の正史だけでなく裏史も理解

  • 波頭さん・冨山さんという日本を代表する戦略コンサルタントが
    コンサルティング業界について語った対談本。

    昔、コンサルティングに興味があったからというのもあり、
    かなり面白かった。
    けど、コンサルの世界は凄まじい、その一言に尽きる。。

    3ヶ月でマスターを1つ取るくらいの気持ちで勉強!?
    それを4・5年続けて、基礎的な知的体力がつく!?
    この人たちの勉強量はどこまでやり込むのでしょうか。。
    世の中にはここまで自分を高めようと努力する人たちがいるのかと
    とっても大きな刺激を受けました。

  • この本を読むまでこの二人のことは知らなかったのだが、いかにもコンサルタント的な知的会話の応酬と行った対談形式が面白い。世の中一般に第一印象で語られがちな、"所詮コンサルは・・・"といわれるコンサルタントとは一線を画す、ビジネスで変化を起こして成果を生むタイプの本来的な意味でのコンサルタントであることを伺わせる。僕自身もそういった本物のコンサルタントと仕事をご一緒させて頂いたことがあるのでよく分かるが、彼らは本当に勉強して半端ない仕事量・・・この場合の仕事とはデスクワークではなく、とにかく「考えて考えて考え続ける」という意味での仕事・・・をこなしている。
    ここまで自分を追い込めるかどうかは、若いときにその基礎動作が癖として出来ているかどうか、というようなことを本の中でも語られている。
    厳しいが、おっしゃる通り。

  • 3ヶ月でマスター1本取得するつもりで勉強する。情理の前に論理を身に着ける。それが20代で器を広げることになる。一分一秒を惜しまず、睡眠時間を削り、インプットとアウトプットに時間を割く。

  • コンサルタント向けに書かれているので、コンサルタントと縁が無いとイマイチしっくりこないところもある。
    ただ、仕事に対する取り組み方には共通する部分もあり、参考にしたい点もある。

    一番印象に残ったのは、以前のコンサルティングと言えば、「大きな戦略を提示しておしまい、実践はクライアントで考えてね」で十分に稼げていたのだが、今は戦略自体を思いつくだけではクライアントは納得せず、具体的に現場を動かす「執行力」というものまでコンサルには求められている、というところ。

    プランを提示すること以上に、人を動かす、モチベートする、という活動の重要性が高まっているようだ。

  • 数々の生々しい修羅場をくぐり抜けて来たコンサルタントの2人だけに読み応えのある内容。とても説得力がある。流石に論理的でわかりやすい。今後は執行力が重要との指摘も共感出来た。

  • ・3ヶ月に1回、修士の学位を取るくらいに勉強せよ。

  • 現場に出るだとか、圧倒的にインプットするだとか、リアリティのあるコンサルティングが自分にできているのか、問い続けないといけないのだなと。あとは、仮設思考は重要だけど、勘所掴むまでは数を打つのも経験だと言う話は面白かった。

  • ロジックのトレーニングを徹底的にやる

    そこで間違ったら、あなた死にまっせ。と言えるか。これで勝負しないんだったら、すいませんけど、今回僕ら手伝いませんよって、言えるかどうか。

    じぶんだったらどう考えるかというスタンスが、分析をしたり、リコメンデーションを作ったりする時の基本姿勢になっている人が伸びるんです

    例えば、19世紀、20世紀であればどう行動したか、と考えると面白くなる。

    靴をすり減らして、現場経験を積む!!

    現場で起きていること自体を、本当に本気で面白いと思って取り組んでいるかどうか

    小さくとも一気通貫のビジネスを経験してみる

    仮説の設定、調査の設定、質問表のスクリプト、インタビューの実施、データの解析まで。

    その結果に基いて戦略を立て、コンセプト、デザインまで自分でやって成果を出す。

    一つの答えに向かって、必要なことを一つひとつ整合させながら一人で統括的にまとめあげる。実際にエグゼキューションまで行う。

    3ヶ月に一つ、マスターを取るくらいの勉強が必要

    論理的思考=ディメンション、独立・相関、因果の強さ

    日本の商習慣は継続を前提に考える

    ファクト、論理、情理が全て

    論理的になぜ、なぜを繰り返していくと、動機付け体系とか価値観とかが見えてくる

    リアリティをちゃんと調べることは、本当のファクトを追いかけることである

    とにかくファクト、1次情報を取りに行く。

    本質的レベルでの、プロとしてのプライド

    コンサルタントはリアリティをもっている、分かっている。
    →もっと面白いことがある、このままだとヤバいですよ

    しかし、心に留めておくべきは、過去ほど情報格差が無くなっていること

    年功序列を崩せば、終身雇用は守れるかもしれない



  • ・対談本は読みにくい
    ・起点と終点を設定しなければ楽な案件
    ・低レベルなBDDが衰退させた
    ・仕事で死なないというのは、とてもインテリの二人から出たとは思えない酷い話

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著者プロフィール

波頭 亮(はとう・りょう):1957年愛媛県生まれ。東京大学経済学部卒業。マッキンゼーを経て、88年㈱XEEDを設立し独立。戦略系コンサルティングの第一人者として活躍する一方で、明快で斬新なヴィジョンを提起するソシオエコノミストとしても注目される。著書に、『プロフェッショナル原論』『成熟日本への進路』『論理的思考のコアスキル』(以上ちくま新書)、『知識人の裏切り』(西部邁との対談、ちくま文庫)、『経営戦略概論』『戦略策定概論』『組織設計概論』『思考・論理・分析』『リーダーシップ構造論』(以上、産能大学出版部)、『AIとBIはいかに人間を変えるのか』(幻冬舎)ほか多数。

「2021年 『文学部の逆襲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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