バリュエーションの教科書

著者 :
  • 東洋経済新報社
4.26
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本棚登録 : 156
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492602232

作品紹介・あらすじ

株式投資から企業IR、M&A、事業再生、「会社は誰のものか?」「金融資本主義の功罪」の議論まで――。M&A、ファイナンスの最前線で活躍する実務家から絶大な評価を受ける著者による最新作。難解な金融・ファイナンスの世界を「実務現場感覚」でシンプルに説き明かす。ファイナンスは積み上げ型で学ぶより俯瞰して理解せよというスタンスの下、基本から最先端の理論までを網羅した新しいテキスト。

【本書の「はじめに」より】
 企業価値算定やM&Aは、ファイナンスの上級・応用編、ピラミッドの上部に位置づけられることが多い。そこへ到達するには、1つひとつ石を積み上げなければならず、その土台作りのために、数学や統計学の知識を身につける必要がある。こう言われると、苦難の道のりとなる。 本書は、世の常識的スタイル(≒欧米のビジネススクールで教わる手順)を無視して、ピラミッドの全体像を見てから骨格と枠組みを作り、そこに肉づけをして完成させるというアプローチを取っている。
 企業価値算定は、専門家が複雑な理論やモデルを駆使しなければできないような世界ではなく、企業経営者と投資家が建設的にコミュニケーションを取るための共通言語として、使い勝手の良いものでなければならない。バリュエーションを身近で手触り感のあるものにすることによって、世間を騒がせる経済ニュースの意味や背景がより鮮明に見えるようになり、グローバル取引の交渉や投資家へのIR活動の場で役立つスキルを手に入れることができる。
 同時に、2000年以降のバリュエーションの世界がより難しさを増していることも、おそらく事実だろう。事業活動を取り巻く「リスク」がますます多様かつ複雑になっているからだ。その結果、ひと昔前の経済成長時代のファイナンス理論だけでは対応しきれなくなったり、リスク管理の手法としてデリバティブ取引なるものが活発化して市場を攪乱したり、という現象が起こっている。経営者や投資家やファイナンス理論の専門家が、それぞれの定義とニュアンスで使っている「リスク」なるものを整理し直し、それらが企業価値算定や投資の意思決定にどう反映されるのか、を検討する。

感想・レビュー・書評

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  • バリュエーションを日本語で言えば企業価値の評価。多くのファイナンスの本は数式の解説が中心だが、本書ではバリュエーションの意義、社会動向、限界等、考えるうえでの基礎に力点を置いている。ビジネススクールで教鞭を取っている著者だけに説明は分かりやすいが、初心者はまず一般的なファイナンスの教科書を読んだうえで、本書に当たった方がより理解が深まるだろう。

  • 実務でスタートアップのMAを何回か経験して感じたかゆいところへの回答が載っている。リアルオプションのところまでいくと、ケースが枝分かれしていき、うぁー、となるが、こういう訓練を普段からしているといいのだと思う。

  • 『「和をもって貴しとする」だけでは済まない世の中は、持つ者と持たざる者の格差を広げ、不安、不満、開き直りを助長する。その苛立ちは暴動やテロにつながり、社会をますます不安定にする。

    このような時代に強くたくましく前向きに生きていく人たちを育むには、どういう社会をつくればよいか?
    「そのカギはバリュエーションにある」
    と言うと、唐突すぎて理解を得られないのだが、
    「価値を生むこととカネが儲かることがずれない社会づくりをめざすべき」
    と言えば、より共感を得られるだろう。』

    志はよく理解できたけれど、本作がそれに成功しているとは思えないが、読み物としては勉強になって楽しめた。

    会社の価値とどう向き合うか、リスクをどう捉えて引き受けるのか、総合的に責任ある経営をいかに実現するか、この辺りの問いに対して、価値とリスクと価値算定に向き合う経営の可能性について学ぶことができる作品。

    ドラマの「ハゲタカ」を観たくなった。

  • まず読みこなすにはファイナンスの基礎知識は必須。その前提でバリュエーション関連書の中でも良い出来だ。理論と実務の乖離を埋め、ファイナンス書で散見される「こういうものだ」ではなく「こういう理由で『こういうものだ』と考えている」という背景まで丁寧に説明されている。

    PER=PBR×ROE、PBR-1=のれん、企業創出力=EBITDA倍率×ROIC(EBITDA/IC)など、シンプルで腑に落ちて分かりやすい。特にWACCやTerminal Valueは実務家が感じる違和感を解き解し、ある意味潔い割り切りを提示してくれている。

    理論と実務の狭間で悶々としているバリュエーションの実務家には読んで欲しい本だ。ちょっとすっきりするはずである。

  • バリュエーション実務を一通りこなした方が、改めて「バリュエーションとは」を考えるのに最適な書ではないでしょうか。
    自分は、付箋はりまくり、蛍光ペン引きまくりでした。

    ちょっと気になったのが、参考文献のリスト。
    掲載している書籍のバージョンがいずれも古いものばかり。笑

  • 336.83 日比谷

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著者プロフィール

森生 明(モリオ アキラ)
グロービス経営大学院教授
1959年大阪府生まれ。83年京都大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。86年ハーバード・ロースクールにて修士号取得。91~94年ゴールドマン・サックスにてM&Aアドバイザー業務に従事。その後、米国上場メーカーのアジア事業開発担当、日本企業の経営企画・上場担当を経て独立。西村あさひ法律事務所およびベンチャー企業の経営顧問・外部役員を務める。テレビドラマと映画版の「ハゲタカ」を監修。2013年よりグロービス経営大学院教授。長年にわたって、総合商社や金融機関、グローバル展開を進める大手企業など、ファイナンスの最前線に立つ実務家たちに企業価値算定・M&Aの研修を行っている。著作に『MBAバリュエーション』(日経BP社)、『会社の値段』(ちくま新書)がある。

「2016年 『バリュエーションの教科書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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