日本の銀行進化への競争戦略 飛躍への5つの条件

  • 東洋経済新報社 (2006年3月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784492653685

感想・レビュー・書評

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  • 2006年刊行(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)。バブル崩壊で痛手を被った銀行業界が、いかにして生き残るかという点の処方箋を検討したもの。この点、著者は市場型間接金融、つまり証券化商品の取引を推奨する。証券化の問題点は過日のサブプライムローン問題で顕在化したとおり、証券の内実を構成する債権に『くず』が混入されていても誰も判別できない点にある。くず債権を抱えるリスクを外部(証券の購入者)に転嫁する方法論なのだ。他方、くずを購入してよいかどうかは、利回り(利息・配当という宣伝文句もありえようが)による。
    つまり、利回りとリスクとが見合うもの、等しい対価と見做せる場合には購入するのも一考だ。ところが、購入者はリスクテイカーの位置に立たされるにも拘らず、実際は、その対価性の判断は不可能で、欠陥の有無・程度はブラックボックス内に閉じ込められてしまう。他方、くずの程度は、証券化した販売側は、より多い情報を持っているため、購入者よりも優位に立つ。このような情報の非対称性が回避できない形態と想定される。
    なお、東京三菱の岸頭取に触発された叙述は名言。危機にあっても○○は凛として起つべし。順境にあっても○○は凛として緩むべからず。「使命感」なくして○○に何の存在価値があろう。「誇り」なくして、どうしてリスクビジネスを営むものの厳しい規律が守れようか。「夢」なくして、どうして変革の知恵を沸かせ、地味な業務のカイゼンを継続できようか。凛と起つ人は、寒風…でも熱風の中でも軸がぶれることはない。凛と起つ人は、恥の何たるかを知っており、仕事の品性を汚すことはない。凛と起つ人には、黙っていても人が集まって、…大事をなす

  • 「10年後の夢から入り、5年後の入場券を得る条件を確認し、2年後の行動計画と目標を具体化する」

    地銀の役員調査をしていて福岡銀行に変わった経歴の人がいるなと思ったら書籍を出していたのでチェック。
    地方銀行によりつつ国内銀行全体としてどう動いていくべきかについて、よくまとめられている。
    やる気出して、現実見て危機感持って、米銀の真似しないで自分たちがなりたい将来像に必要な部分だけ取り入れて、ゆうても科学的マネジメント力は必須なのでそこはしっかり勉強して身につけて、自分の勝ちパターンを愚直に続けていこう、といった大枠の流れの中で、それれぞれのポイントについて詳細に説明。

    ただ、前半は特にそうだが、全体として銀行員向けに熱く語りかける感じのトーンなので、行員でない立場で読むには若干温度差と文章に余剰感も。

    横並びでやっても、融資だけやっててもダメ、というのは同意。
    証券運用のノウハウは、第一地銀と第二地銀というくくりで見ても特にここ2年ほどはその力量がハッキリとでてしまっており、著者が指摘するとおり、もはや余資でというより本資で本気で取り組むべき。
    分析をする際には、事業会社と違って地銀はある程度同じで財務中心で見ていくが、それもやはり横並びで独自性に欠けるため。

    銀行の現状の問題と今後にどう期待するかという点について理解できる一冊。


    ・不良債権の大半はバブルの遺産ではなく、その後のデフレにより新規に発生したもの
    ・国民の住宅専門会社への公的資金投入反対の声に迎合し、回復効果が大きい早期段階には公的資金投入を拒否
    →銀行が重傷になってから、破綻銀行へ預金保険機構から25兆円、資本不足銀行へ公的資金12兆円投入
    →資産査定を厳格化し、減損会計を導入し、繰延税金資産の活用を制約
    →不良債権処理とリストラを躊躇する銀行へのショック療法にはなったが、破綻や企業債務者の倒産が続出
    →官のミスジャッジメント
    ・ピーク時の不良債権額は2001年の39兆円
    -銀行融資の8%
    ・顧客の期待を理解するのに手っ取り早いのは、銀行の本店から外に出てみること。本で知ろうとしたら大きな間違い
    ・地銀の地域へのコミットメントコスト
    -地元経済と雇用を守るため、地元企業をつぶさない、指定金融機関は銀行の経費持ち出しでもやる、危ない第三セクターへの融資や地方債購入にも参加することを暗黙に求められている
    ・0.084%の預金保険料をリスクに関わらず徴収される
    -米国は銀行のリスク度に応じて可変的で上限は0.027%
    ・日本では不良債権償却の大半が有税償却だが米国では無税償却が原則
    -日本は将来利益からの差し引きだが、米国は赤字決算に陥った場合に過去の利益に対して支払った法人税から還付される
    ・企業を融資の対象と思い込んでいては銀行ビジネスは衰退する
    -バランスシートの両方を含めた企業の金庫のシェア獲得競争の時代
    ・デフレ不況で資金需要は少なく、預証率は1993年の25%から2005年には36%に上昇
    -証券運用収益が祖利益の16%(1995)から26%(2003年)まで上昇
    -必ずしも銀行の運用技術は高くない
    -証券運用利回りでは80-100bp差があるが、NPLを除いた預貸利回り格差ではせいぜい40-60bp
    ・銀行業には規模の経済があると信じていたが・・・一定のレベルを超えると銀行は規模の不経済に悩まされる
    ・米国の官僚・補佐官の中には投資銀行や大手金融機関のトップが大勢参画しており、米国の利益となる具体的・実務的な金融制度ルール改革を日本に要求する能力を持っているが、日本の官邸アクターに金融の経営経験者は皆無
    ・クロスセル
    -個人:給与振込・預金取引をきっかけに、公共料金引落し口座、クレジットカード、投信、インターネットバンキング、保険、そして住宅ローンや遺言信託
    -中小企業:手形割引、法人預金、短期運転資金融資、従業員給与振込、長期設備投資資金融資、外為、売掛金証券化、企業年金運用、オーナーの資産運用サービス、不動産の証券化、法人保険

  • 前半は銀行業界の現状についてで、後半はこれからの銀行経営の戦略についてって感じ。読者ターゲットは、銀行経営者か?
    コンサル出身の人が書いてるだけに、後半はコンサルってこんなことするんだろうな〜って文章になっている気がする。

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