決済インフラ大全〔2030年版〕 新型スマホ決済から新決済リスク、金融業態改革、次世代決済まで
- 東洋経済新報社 (2025年3月19日発売)
本棚登録 : 77人
感想 : 8件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (276ページ) / ISBN・EAN: 9784492681527
作品紹介・あらすじ
この1冊で「決済の全体像」と次世代動向を完全解説!
通貨・決済分野の第一人者による好評シリーズの最新版。
【決済インフラを理解するキーワード】
・為替と決済
・新型スマホ決済
・決済ヒエラルキー
・新通貨発行
・機械決済リスク
・犯罪決済リスク
・戦争決済リスク
・デジタル通貨・給与
・SWIFT
・Payシリーズ
・タンス預金
・ポイ活
・QRコード決済
・タッチ決済
・新型決済インフラ
・マイナンバー
・マネーロンダリング
・特殊詐欺
・金融業態改革
・次世代決済
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
これは金融系で決済を担当している人しか読まないのではないかというくらい振り切っていて逆に面白かった。
歴史を振り返っての決済システムの流れや、各国のシステム、これからについても触れられている。
ただゆうちょの貸出への道のりは遠い気はするが。
中でもコラムの10円玉の平等院鳳凰堂の両側屋根の影のグラデーションが最も高度な部分ということや、顔認証では、瞳と瞳の間隔、顎の関節と顎の関節の間隔の2点で確認しているというのは学びだった。
また決済関連の関係官庁も、金融庁、財務省、日銀だけかと思いきや、経産省は企業ポイントを見ていたり、国交省がマイレージサービスなどを見ているのも興味深い。
細かい部分はおそらく使う人であれば手元に置いて振り返ったりするのではないか。 -
世の中の決済方法を紹介している。金融に携わる新人には良いかも
-
主なテーマと重要なアイデア/事実:
デジタル化の進展と決済インフラの進化:
「デジタル」と「デジタル空間経済(メタバース)」、「デジタル証明」といったデジタル技術の進展が、決済インフラの改革の原動力となっている。特にスマートフォン(スマホ)は、カメラ機能などを活用したQRコード決済やバーコード決済といった「新型決済インフラ」の普及を牽引している。「まえがき」より、「近年で、経済・金融・社会の改革、イノベーションを起こしたのが、この「スマホ」ではないか」。
政府主導のデジタル化政策も進められており、「一省庁、一デジタル」を目指した取り組みが各省庁で行われている。
マイナンバーカードの普及もデジタル化の一環として重要視されており、特に災害時における迅速な支援金給付や、健康保険証・運転免許証との紐付けによる利便性向上が期待されている。犯罪対策の観点からも「本人確認」の重要性が増しており、マイナンバーカードがその主要な手段となりつつある。
決済の基礎知識と分類:
決済には、現金によるものと為替によるものがある。銀行における為替業務は「預貸(預金・貸出)」ではなく「預貸(預金・貸出)にともなう為替業務」であると定義されている。
決済は大きく「支払い決済」と「価値交換型決済」に分類される。「支払い決済」は単にモノやサービスの対価を支払うものであり、「価値交換型決済」は証券決済や外為決済のように二つの金融商品の価値を交換する決済であり、リスク管理がより困難である。
決済システムは「ヒエラルキー」(階層構造)を形成しており、中央銀行(日銀)の決済が最終的かつ不可逆的なものとなる。「図表2-1-6」参照。
新型決済インフラの台頭と小売分野への影響:
スマホ決済、特にPayシリーズが新型決済インフラの主流となっている。「まえがき」より、「主流となるスマホ決済、特にPayシリーズ、相次ぐ金融機関の合併、デジタル給与、機械・犯罪・戦争などの新しい決済リスク、新通貨の発行、そしてデジタル通貨などを解説する」。
「決済インフラ大全〔2030年版〕」では、特に小売分野の「新型決済インフラ」を重視し大幅に書き加えている。
決済を取り巻く新たなリスク:
「機械・犯罪・戦争など」といった新たなリスクが決済インフラに影響を与えている。「まえがき」参照。
特に「なりすまし」(Impersonation)による投資詐欺などの犯罪が多発しており、「本人確認」の重要性が高まっている。
オペレーショナルリスクの一環として、「ヒャリハット」「インシデント」「アクシデント」といった段階的なリスクとそれによる実損について解説されている。「図表3-1」参照。
マネーロンダリング(資金洗浄)やサイバー犯罪、情報漏洩といった決済に関する犯罪リスクも増加しており、対策強化の必要性が指摘されている。不正アクセスによる「なりすまし」問題や、LINEなど無料通信アプリでの個人情報漏洩もその例として挙げられている。
金融機関の再編と決済システム:
相次ぐ金融機関の合併が進んでおり、それに伴う決済システム統合のリスクが指摘されている。みずほ銀行のシステムトラブルがその典型的な事例として挙げられている。「金融機関の合併のときにはどうしてもリスクが高まるのである。特にシステムの統合が困難になる」。
地方銀行においては、「オーバーバンキング」(銀行過剰)の問題が指摘されており、再編・改革の時期を迎えている。日本銀行は経営統合や経費節減を行った銀行に上乗せ金利を付けるなどの経営支援を行っている。
2022年には、全銀システムの参加資格が資金移動業者にも拡大された。決済システムの最終決済を行うためには、日銀に口座を保有する必要がある。
現金とキャッシュレス化:
銀行にとって、現金の取扱いは収益性が低く、盗難などのリスクが高い業務となっている。このため、現金有高を減らす方向で動いている。
スウェーデンなどの北欧諸国では、過度な電子化により現金が使用できる店舗が減少しており、高齢者などが日常生活で困難を経験する弊害が出ている。生活に密着した決済インフラの電子化は、急速に行うべきではないという教訓が示唆されている。
通貨と偽造防止:
紙幣や硬貨の改鋳(デザイン変更)は、偽造防止のための最新技術導入やユニバーサルデザイン化を目的としている。日本の造幣局の技術力の高さが示唆されており、特に10円硬貨の平等院鳳凰堂の屋根の彩グラデーションは高度な人的技術のレベルを示している。
偽札事件についても触れられており、過去の有名な事件として「チー37号事件」が挙げられている。これは戦後最大の紙幣偽造事件とされている。
通貨偽造は刑法で厳しく罰せられる。国立印刷局以外のコピー機には紙幣のコピー防止機能が備わっている。
その他の決済手段:
電子マネーの普及は進んでおり、ポイント付与と絡めた「ポイ活」も盛んに行われている。ポイントは「おまけ」として位置づけられているが、法制度横断的な対応が必要な状況となっている。ポイントを企業通貨とみなす考え方も示されている。
トラベルプリペイドカードや、QRコード、バーコード決済、代引き決済、コンビニ収納代行なども様々な決済手段として解説されている。
国際決済システム:
国際的な外為取引は、各国の中央銀行や民間銀行間の決済システムを通じて行われる。中国の人民元国際化や、CDCPS、SHCH、CIPSといった国際決済システムについて触れられている。
将来展望:
書籍名が「入門」から「大全」に変更されたことからも、内容の充実と決済インフラの重要性の増大が示唆されている。
リテール分野の「新型決済インフラ」が特に重視されており、今後の決済市場の大きなテーマとなることが示されている。
金利や低経済成長により経営環境が悪化する銀行業界、特に地方銀行の再編・改革が進む中で、銀行は「インテグリティ」(誠実さ)を基盤としたビジネス展開が重要となる。ESGやSDGsといった社会目標も経営に取り込む方向性が示されている。
「ゆうちょ銀行」は日本の大きな決済プラットフォームとしてユニバーサルサービスを担っており、今後も重要な役割を果たすことが期待される。
日本円の国際化や、米国経済の構造問題(双子の赤字)についても触れられており、国際金融情勢が決済インフラに与える影響も示唆されている。
将来的にCO2が国際通貨、そして基軸通貨となる可能性についても言及されている。 -
現時点の日本における決済回りの現状を確認できる。
この手の本は、鮮度が重要なため、発刊されてからすぐに読めたことは良かった。
特に、1章〜3章と10章が良かった。
4〜9章は辞書チックであり、読み物としての魅力に欠け、もう少し磨いたり抽象化した文章が欲しかった。 -
学者の書いた本で実務的でない。そのわりに2,500円と高い。
著者プロフィール
宿輪純一の作品
