金融ジェロントロジー

著者 :
制作 : 清家 篤 
  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492733424

作品紹介・あらすじ

金融機関も他人事ではなくなる2025年問題とは何か?
認知機能が低下した高齢者の資産管理はどうあるべきか?
再生医療や介護ロボットなどの実用可能性は?

日本の高齢化は世界に類を見ないものである。
2016年時点で65歳以上の高齢人口率は27%を超えているが、
この後も上昇を続け、今年(2017年)生まれた子供が大学生になる2035年には
日本の人口の3分の1になると予測されている。
また、認知症患者は2025年に700万人以上になると推計されている。

日本では、高齢化や認知症の問題は、
医療、介護、社会保障制度などを中心に議論されてきたが、
明るい高齢社会をいかに築くかを考えるとき、もう1つ大事な視点がある。
お金の問題である。

認知能力の低下した高齢者の増加で
最も深刻な影響を受ける可能性のある産業が金融業である。
複雑な金融商品の購入は認知能力のしっかりした個人でも容易ではない。
認知能力の低下した高齢者にそうした金融商品を買ってもらうわけにはいかない。

しかも、金融資産の保有量は年齢に比例して増える傾向にある。
日本の家計金融資産は、2016年9月時点で1752兆円。
貯蓄の6割、有価証券の7割を60歳以上の世代が保有している。
高齢者ほど多くの金融資産を保有しており、
かつ認知能力低下のリスクもより高く持っているのである。
高齢化と認知症の増加の問題は、
高齢者の資産管理・運用を担う金融機関の問題でもあるのだ。

すでに米国などでは、
老齢期及び老齢化のプロセスの研究であるジェロントロジー(老年学)と
金融(資産運用・資産管理)研究とを組み合わせた学際研究が進んでいる。
それが「金融ジェロントロジー」と呼ばれるものだ。

このような問題意識をもとに、
医学・工学などの自然科学、経済学・法学などの社会科学の研究者と、
金融機関や民間シンクタンクの知見を集め、
明るい高齢社会を築くために、
いかに「健康寿命」と「資産寿命」を伸ばすかについて、
現状の問題と解決のための提言をまとめたものが本書である。

著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。現在、慶應義塾大学商学部教授。労働経済学専攻。<br>[主要著書]<br>『高齢者の労働経済学』(日本経済新聞社、1992年)、『高齢化社会の労働市場』(東洋経済新報社、1993年)、『生涯現役社会の条件』(中公新書、1998年)、『定年破壊』(講談社、2000年)、『労働経済』(東洋経済新報社、2002年)、『生涯現役社会をめざして』(日本放送出版協会、2003年)、『高齢者就業の経済学』(共著、日本経済新聞社、2004年)など。

「2005年 『高齢社会日本の雇用政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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