日・米・中 IoT最終戦争

著者 :
  • 東洋経済新報社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492762325

作品紹介・あらすじ

ソニー、東芝は大復活する!
IoT時代、センサー、ロボット、半導体市場の大爆発で、
「ものづくり日本」に猛烈な追い風が吹く!

急成長する巨大市場をめぐる激烈バトルの行方は?
人工知能(AI)や次世代自動車をめぐる世界覇権競争の最新動向

 IoT革命によって生み出される新たな市場は、少なく見積もっても360兆円はあるといわれており、エネルギーの1300兆円、医療の560兆円に次ぐとんでもない新市場が形成されることになる。このIoT革命をめぐって世界の企業は、それこそ死に物狂いでその体制を整えつつある。
 IoTの上流を形成する人工知能(AI)、ハイエンドサーバー、各種のITサービス、自動走行などの車載IoTについては米国がぶっちぎりで疾走しており、これからもその地歩を固めていくだろう。また、中国は今や一般的家電製品については世界チャンピオンであり、太陽電池、液晶などの電子デバイスにおいてもひときわ存在感を放ち始めた。
 こうした米中激突のはざまの中で我が国ニッポンはどう戦っていくのか。今回の本は、日米中が激突する世界IoT革命の中で日本企業がモノづくりの強みを活かし、センサー、ロボット、半導体メモリーなどで一気に抜け出していく、というストーリーを最新取材でまとめあげたものである。(「はじめに」より抜粋)

感想・レビュー・書評

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  • 意外と、勇気をもらえる本。

  • 各国、地域のIoTに向けての戦略や状況を解説していて引き込まれる。
    技術への探求、M&A、各国の得意分野への戦略など、お国時事情も絡んでいるため、一筋縄ではいかないのも確か。
    気になったのは、著者の日本のIoT戦略、見通しへの賞賛が過ぎていて、ちょっと興醒め。
    いろんな分野で日本も戦えそうということはわかるが、今までもそうだったように必ずしも日本の思惑通りにいかないのが、グローバルビジネスな気がします。
    しかし、IoT分野のビジネス規模が360兆円というのは、凄まじい。

  • # 書評☆3 日・米・中 IoT最終戦争 | シャープ買収劇は鴻海のほうこそ生き残りに必死

    ## 概要
    産業タイムズ社代表取締役であり,半導体分野の記者の第一人者とみえる著者による,2017年付近のIoT関係の動きとその展望を解説した書籍となっている。

    アメリカ・中国・日本のIoTをめぐる市場の動き,ソニー・東芝,センサー企業群,次世代自動車,ロボットなどIoTに関して後半に展望を解説している。

    特に,東芝の不正会計やシャープの買収など日本企業のネガティブな印象を受ける報道がここ数年で連続している。しかし,まだまだ希望は持てそうな内容だった。

    メディアで報道される内容と違った視点もあり参考になった。

    ## 参考
    > ### p. 32: IoTの3のポイント
    > IoTのポイントは、大きく3つある。第1は、人を介在させない、または人間の力を使わないこと。第2は、あらゆるものがネットワークで直接的に繋がること。そして第3は、フルカスタムの世界であるということだ。これらの3点がすべて達成されて、初めてIoTと呼べるのである。

    IoTの特徴はいろいろ意見が出ているが,一つの参考になった。

    > ### p. 42: IoTマーケットは自動車を凌ぐ360兆円規模に
    > アメリカのサーバーシステム最大手シスコシステムズは、約900兆円のマーケットになると予測している。
    >
    > 世界でもっとも大きな産業はエネルギーで、1300兆円。内訳は石油が600兆円、石炭が200兆円、天然ガスが300兆円、原発が200兆円となっている。2番目は医療で560兆円、3番目は食品で360兆円4番目は自動車で300兆円、5番目はエレクトロニクスで150兆円と続く。
    >
    > いずれにしても、共通しているのは社会インフラであるということだ。
    >
    > その中でIoTが900兆円になるとは、とても考えられない。筆者の見立てによれば、360兆円程度が妥当であるだろう。

    世界の産業勢力図がわかった。ただし,文献の引用がないのが残念だ。

    > ### p. 71: アメリカの弱みは「ファブレス」だ
    > ところがIoTの時代になると、国際分業はこれまでのようには通用しなくなる。前述の通りパーツがカスタム化され、何百万種類に作り分ける必要があるからだ。ノーブランドの精算請負であるファンドリ企業やサブコン企業では、これには対応できないのである。
    >
    > 逆に求められるのは、垂直統合だ。1社または1つの系列企業群で、1つ1つデバイスから最終製品まで作りこむような世界である。言うまでもなく、そうなれば日本企業の出番だろう。
    > ___
    > 余談ながら、一方で対応に苦慮しそうなのが台湾などのファウンドリ、サブコン企業だ。これを象徴する出来事が、鴻海精密工業によるシャープ買収劇である。日本のメディアは「シャープの凋落」「台湾企業の軍門に降った」「無能な経営陣」といったネガティブな報道に終止したが、これは本質を見誤っている。鴻海のほうこそ、生き残りに必死なのである。
    >
    > すでに鴻海は成長のピークを迎えつつあり、得意の電子機器組立も頭打ちとなっている。
    > ___
    > だからシャープの買収に多くの望みを託したわけだ。
    >
    > 同社は今後、「シャープ」のブランドを前面に出し、液晶ディスプレイや家電などで勝負をかけようとするだろう。しかし、所詮は下請け専業であり、大量生産・集中生産を得意とするノーブランド企業なので、IoTの時代まで活躍し続けることはできない。時代に取り残されるのは確実である。

    IoT時代はフルカスタムの時代になるので,それにあったチームが有利となる。シャープ買収劇は自分もネガティブな印象を持っていたが,別の視点がえられてよかった。

    > ### p. 74: 中国がフラッシュメモリーで仕掛けるチキンレース
    > 中国が仕掛けようとしているのは、チキンレースである。そうすれば必ず勝てるという経験則があるからだ。その第一弾は太陽電池。ほんの10年ほど前までは、その生産量も販売量もシェアトップは日本だった。
    >
    > ところがその後,中国は莫大な国費を投じて100社もの太陽電池メーカーを設立。低コスト・低価格を武器に、日本とドイツのメーカーを叩き潰すことが目的だ。その結果、今では中国が太陽電池に置いて世界の72
    %シェアをもっている。目的は見事に果たしたわけだ。
    >
    > ただし,この話にはいかにも中国らしいオチがある。当初設立された100社の太陽電池メーカーの内、多くは既に倒産、残る会社もかなりが赤字を計上している。
    > ___
    > それはともかく、中国が仕掛けたチキンレースは、太陽電池だけではない。LED照明でもいつの間にか世界一のシェアを持ち、今は液晶でもトップを狙っている。
    > ___
    > もちろん、台湾・韓国のメーカーもこういう自体を予測している。例えばサムスン電子は、有機ELの生産に傾注し、今や世界の市場をほぼ独占している。大きな差はあるが、2位の韓国のLG電子だ。有機ELは液晶の次に主流になるといわれているパネルで、もともとは日本で開発されたものである。この一点を捉えて、日本のメディアは「韓国に横取りされた」「日本メーカーは大きく水を開けられた」といった報道に終止している。
    >
    > しかしこの見方は間違っている。サムスン電子にしろLG電子にしろ、有機ELにしか行き場がなかった、という見方が正しい。中国に液晶の市場を叩き壊されることは明白なので、別の分野に活路を見い出すしかなかったのである。

    東アジアの電子メーカーの戦略がわかった。

    ## 結論
    この分野に精通している著者による,著者にしか書けないような内容が多かった。

    そのため,今後IoTをめぐる企業間の競争がどういう流れになっているのか,どうなっていくのか一つの視点としてよかった。

    パーマリンク: <https://senooken.jp/blog/2018/10/26/>

  • 日本の製造業は、IoTが進行する中でセンサーとロボットで圧倒的な世界トップのシェアを維持するらしい。そうなればいいと思う。

  • IIOT分野を中心に日本のIotの針路を考察。
    センサー、ロボット、製造機器の現在のシェアの高さを今後の成長に繋げられるか?

  • 中国ではIoTと言わない、ドイツではIndustry4.0.これらはアメリカにはくみしないという勢いが感じある。日本とアメリカくらいがIotと言っている。日本はセンサーのM2Mが得意。

  • IoTが産業にイノベーションを起こす。日本はセンサーとロボットで高いシェアを占めているので好業績が期待できるという主張。
    東芝はフラッシュメモリーで復活するということで、買収は日本政府が情報流出を恐れて行わせないということだった。
    中国は真似しかできないので、トップにはならないということだが、日本、韓国も従来はそのような流れで進歩しているので、必ずしもそうではないと思う。

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著者プロフィール

神奈川県横浜市生まれ。中央大学法学部政治学科卒業後、産業タイムズ社に入社。半導体・マテリアルを中心にさまざまな企業を取材。記者歴32年、その対象はのべ5万社に及ぶ。現在、専務取締役編集局長。旺盛な執筆活動のほかに、大型カンファレンス、各種研究会などで講師を務める。著書に『100年企業、だけど最先端、しかも世界一』(亜紀書房)、『ニッポンの素材力』(東洋経済新報社)などがある。

「2009年 『こころから感動する会社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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