- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492762394
作品紹介・あらすじ
東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界ーー。しかし、”彼”はMARCHクラスには楽勝で合格していた!これが意味することとはなにか? AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか? 最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる。
感想・レビュー・書評
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2階集密 : 007.13/ARA : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410167198
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AIとは何かを理解すること、そのAIにできないことが意味を理解すること、つまり読解力であるが、読解力がない子供達が多い事実があるということ、その上で今後どうしていくべきなのかについて学び考えさせられる本。
AIはあくまでコンピュータに過ぎない、数値化できるものでしか判断できない。数学が歴史上証明してきたものは、論理、確率、統計である。そのことを踏まえてAIができることを理解する必要がある。
読解力がないことの証明はデータに基づく根拠のある提言がされており興味深いものだった。意味を理解し考え新たなものを生み出すような力が求められる中で、読解力を養う方法はない、読書による向上はデータからは導けなかったとあるが、文章を読み意味を考えることを継続することに効果はあると自分は考える。
その他、情報の非対称性(立場が異なる双方において情報が共有されていない状態)がAIにより修正され、一物一価の原理が早いスピードで起こってくる、など勉強になることも多かった。
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佐藤優氏との対談が掲載されている「国難のインテリジェンス」を読み、概要をわかったつもりでいた本書の重要性を痛感し、今更ながら拝読。5年ほど前の著作でAIのことを書いているにも関わらず全く古さを感じさせない。ということはシンギュラリティが絶対不可能なAI技術の本質を論理的に喝破しているから。後半の読解力の絶対的不足は国難といっても過言ではなく、本の精読が非常に重要だと感じた。本当に素晴らしい本で、AIの立ち位置が明確にわかる。
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2024年2月25日読了。数学者で「AIは東大に合格できるか?」というプロジェクトを推進してきた著者による、今のAIの限界と未来について、そしてもっと深刻な人類の現状について。生成AIの挙動には騙されそうになるが、AIのアウトプットは「統計的に確からしい、自然言語っぽく生成された回答」にしかすぎないわけで、シンギュラリティとか人類を超えるとかは基本心配することはない、が、「AIにできないことを人類がやる」という楽観的議論に、「そもそも人類はAIができないことをできるケイパビリティがあったんでしたっけ?」とぶつけられる疑問の深刻さにゾッとする。大学生に対する調査をエビデンスとしているが、確かに、中学受験で叩き込まれる処理は「問題を図形的にとらえ、過去に対処した似たような問題や公式を当てはめ高速で処理する」と、まさにAIが得意な学習をひたすら鍛えているわけで、「AIの下請け」みたいな若者を量産しているということなのだよな…。AIに駆逐されるのではなく、人類が勝手に滅んでいく、という。解決のための処方箋はないが、真剣に考えていく必要があるのではないか。
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20240213
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世の中のほとんどの仕事はAIキャンバスに代わられてしまう。その中で生き残っていくためには、AIが持っていない読解力が必要だが、近年の学生はこの能力が低い。AI時代を生きていく中で、現代の学生に危機感を警鐘する1冊。
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AI関連の書籍を色々読んでくると、前半はさすがに聞いたことある話も多いが、東大合格に向けて頑張るAIトオルくんの話とかは面白かった。また第五世代コンピュータ開発の失敗談が国内に見当たらないというのは、研究が失敗すると論文化出来ずその知見が世に公開されずに終わる、というアカデミアの問題にも通ずるような気がした。RST開発からの読解力の大切さへの気づきは、著者ならではで面白かった。日本では、文系がトップに座ることが多いためか自分とコミュニケーションが取れない数学出身者を使いこなせず、大きく出遅れがち…それだけじゃ無いだろうけど、同意…あと、このAI全盛期に行列・線形代数は重要だよね…生成AIが登場した今でも書かれている内容は陳腐化していないと思う。
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学力って、結局は「読むチカラなんだよなー」と改めて感じた一冊。
AIの進展について学んだというよりは、
子どもたち、本当に大丈夫か?!と心配になった。
筆者も危惧しているドリルのような反復学習について、
小学生のうちからデジタルドリルに励んで「勉強した気分」になり,テストでいい点をとってしまうと,それが成功体験となってしまって,読解力が不足していることに気づきにくくなる。中学に入ってもデジタルドリルを,繰り返せば,一次方程式のテストで満点が取れて,英単語や漢字は身に付くから、そこそこの成績はとれる。
ところが受験勉強など、読解力が問われるシチュエーションに置かれると、急に「分からなくなる」。
しかも、ドリルで身につく能力がもっとも「AIに代替されやすい能力」と言われているんだからもう。。